日本生命 統合報告書 2022 menu

人事部門担当執行役員インタビュー

人的資本についてどのように考えていますか。

生命保険は形のない商品・サービスだからこそ「人は力、人が全て」

これまで130年以上にわたり、当社が築きあげてきたお客様や社会との揺るぎない信頼は、当社を支えてきた「人」によるものに他なりません。生命保険事業の使命は、全国各地のお客様に対して、保障責任を全うし、「安心・安全」をお届けすることであり、その事業運営においては、「人」の重要性がとりわけ高いものと考えています。

今後も、直面している少子高齢化や超低金利の継続、デジタル技術の進展や新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う新しい生活様式の浸透、お客様ニーズの多様化など、目まぐるしく変化する経営環境や社会課題に柔軟に対応し、引き続き当社が成長し続けるためには、従業員一人ひとりが最大限力を発揮できる環境を整備することが重要です。

昨今、経営戦略と人材戦略の連動が重要視されており、当社においても「人的資本」の強化は、将来の経営戦略の実現に大きく影響する、経営上最も重要な要素の一つとして取り組みを推進しています。

日本生命における具体的な人材戦略についてお聞かせください。

変化し続ける経営環境に適応し、永きにわたり活躍し続ける人材を育成していく

 就労ニーズの多様化をはじめとする労働マーケットの変化やお客様のさまざまな価値観の変化など、経営を取り巻く環境が変わり続ける中で、当社では、《人材の多様化・高度化を通じた経営戦略を支える人的基盤の構築》を基本方針に据え、社長を座長とした「人財価値向上プロジェクト」を通じて、これまで培ってきた強みを継承しつつ、変革に挑戦し推進していく人材の育成強化を進めていきます。

「人財価値向上プロジェクト」では、《一人ひとりが誇るべき“個”有の強みを持ち、生涯にわたり活躍し、日本生命グループを支える“逞しい人財”の育成》を育成理念とし、「人財育成」と「闊達な風土の醸成」の二軸で取り組みを推進しています。

まず、「人財育成」についてですが、お客様の価値観の多様化を背景に事業環境も大きく変化する中で、従業員一人ひとりが“個”有の強みを持つ人材になっていかなければならないと考え、事業戦略や職務特性に応じた専門性を高める人材育成に力を入れています。これまでも、将来における事業戦略に必要なスキル・経験や人材像を明確化し、それぞれの領域の特性を踏まえた育成施策を進めてきましたが、直近では、2021年度に導入した「タレントマネジメントシステム」を通じ、人事情報の可視化を進めるとともに、初期育成やローテーションによるOJTを含めた領域横断での取り組みへも反映していくことで、戦略実現に資する人材育成を志向しています。

次に、「闊達な風土の醸成」については、従業員が自律して、失敗を恐れず変革に挑戦する姿勢を持ち、多様性を持ち合わせながら成長し続ける組織を作っていくために、ダイバーシティ&インクルージョン推進や働き方の変革などを通じた組織パフォーマンスの向上に継続的に取り組んでいます。とりわけ、従業員の約9割が女性である当社では、さらなる女性活躍推進が企業の持続的成長を支える重要な取り組みであると考え、重点的に取り組んでいます。

また、労働生産人口の減少トレンドや少子化などの見通しを踏まえる中では、今後、人材の確保はさらに難化していくものと考えており、こうした取り組みに加え、エンゲージメントの向上を通じた企業としての魅力向上が、人材戦略の重要な要素の一つになると認識しています。エンゲージメントの向上に向けては、従業員の意識や行動の実態把握と、それを踏まえた施策の展開が要諦であると捉えており、「意識実態調査」を通じた、従業員が会社に期待している点・不安に感じている点の把握に加え、研修などの各種育成施策の受講者の声の把握とそれらの施策への反映を積極的に実施していきます。

これらの取り組みに加え、中途採用や障がい者雇用などもあわせて進めることで、多様な人材の多彩な活躍を後押ししながら、持続的な企業価値向上を推進していきます。

人材育成にかける思いについてお聞かせください。

お客様からも従業員からも選ばれる企業こそ持続する企業

生命保険は、数十年にわたり、お客様の人生に寄り添い生活を支えていくものであり、長期的にお客様への保障責任を全うするために、幅広い領域において安定的かつ持続可能な事業運営が求められます。多様化するお客様ニーズなどに柔軟に対応しながら、これからも持続的にお客様へ安心・安全を提供し続けるためには、当社の「経営基本理念」である《信念・誠実・努力》の信条のもと、従業員一人ひとりが、お客様本位の業務運営を通じて社会的役割を誠実に遂行し、自律して成長し続ける人材でなければならないと考えています。

そして、このような人材の育成を幅広く推進していくために、とりわけ重要となるキーパーソンは課長クラスの管理職であり、当該層の意識・行動変革が組織に最も影響を及ぼすと考え、管理職育成については特に力を入れて取り組んでいます。課長相当職の管理職を「ニッセイ版イクボス」と位置付け、経営層が当該層に自身の経験談などを直接的に語り掛ける対話機会の創出や、マネジメントスキルの向上を目的としたオンライン講座の開催等を通じて、意欲的にマネジメント力向上への支援を実施しています。また、四つの「イクジ」—次世代を育成する「育次」、自らも成長し続ける「育自」、部下のワークライフマネジメントをサポートする「育児」、闊達な組織や風土を作る「育地」—の実践を通じた組織力の強化を積極的に推進しています。

こうした人材育成取り組みに、決してゴールはありません。当社がお客様からも従業員からも愛され、今後とも永く選ばれ続ける企業であるために、引き続き人材育成に力を入れて取り組んでいきます。

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