責任投融資
当社は創業以来、「共存共栄」「相互扶助」という生命保険事業の基本精神にもとづき、お客様の利益を最優先に考え、長期的な視点で堅実な経営に努めるとともに、資産運用においても、社会公共性に資する投融資を実施してまいりました。
環境(E:Environment)、社会(S:Social)、ガバナンス(G:Governance)の課題を考慮する責任投融資は、SDGs*達成に向けた取組みを投融資の面から後押しするものであると同時に、当社が重視してきた収益性、安全性に加え公共性にも配慮した資産運用と本質的に共通であり、中長期的な観点から、従来の投融資判断を高度化するものだと考えております。
加えて、投融資判断において環境・社会課題を考慮することで、全ての企業の事業活動の基盤となっている地球環境・社会の持続可能性が高まるうえ、投融資先企業は、環境や社会の課題解決を目指し、社会需要に沿った収益機会を捕捉することで、企業価値を高めていくことができます。
このように、責任投融資は持続可能な社会の実現と投融資先の企業価値向上の両立に寄与するものであり、その結果としての運用収益の向上を、保険金・給付金等の確実なお支払いやご契約者配当の安定的なお支払いといった、お客様の利益の拡大につなげてまいります。
*SDGsとは、2015年9月に国連総会で採択された、持続可能な発展のために世界が共有して取り組む17の目標と169のターゲットからなる国際目標です。
また、当社では、気候変動を資産運用上の重要なリスクと捉え、資金提供や対話を通じて投融資先企業の脱炭素化に向けた取組みを後押ししてまいりました。こうした中、気候変動への対応を一層強化する観点から、2050年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す日本政府の方針に賛同するとともに、資産運用ポートフォリオにおける排出量(※)について、2050年にネットゼロとすることを目指し、2030年の中間目標を設定しております。
2030年中間目標 |
総排出量 |
▲45%以上削減(2010年比)
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インテンシティ* |
▲49%以上削減(2020年比)
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このような当社の責任投融資に関する取組を、より詳細にステークホルダーの皆様にご報告することを目的とし、「責任投融資レポート」を発行しております。
責任投融資レポート |
2024年 |
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2023年 |
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2022年 |
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2021年 |
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2024年6月には、トランジション・ファイナンスに係る具体的な評価基準やその根拠、評価プロセス等をまとめた「日本生命トランジション・ファイナンス実践要領」を策定しました。投資家として信頼性・透明性の高いトランジション・ファイナンスを積極的に推進するとともに、当要領を公開・共有することを通じて、広く関係者の共通理解を促進し、トランジション・ファイナンス市場の健全な拡大に貢献したいと考えています。
日本生命トランジション・ファイナンス実践要領 |
2024年 |
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責任投融資ガイドライン
当社は、生命保険会社としての社会的責務をふまえ、すべての資産クラスにおいて、資産特性・地域特性に応じ、中長期的な視点から、環境・社会・ガバナンス(以下、ESG)の観点を考慮した資産運用を行います。生命保険事業の使命や公共性、重要な社会課題への対応の観点から、一部の企業や事業に対して投融資を行いません。責任投融資を通じた「経済的保障とともに安心して暮らせる未来」の実現を目指し、サステナビリティ・アウトカムの創出を志向するとともに、長期安定的な運用収益の確保に努めてまいります。
- すべての資産における運用プロセスにESGの要素を組み込み(インテグレーション)、社会課題解決に資する資金提供に取り組んでまいります。具体的には、すべての資産に対して当社独自のESG評価(ESGレーティングの付与)を行い、個別投融資の判断に活用してまいります。
- 株式、社債、融資、不動産については、ポートフォリオにおけるESGレーティング別のアロケーション・ルールを設定し、ESG取り組みの優れた投融資先に優先的に資金を提供するとともに、ESG取り組みに改善の余地があると考えられる投融資先には、対話などを通じてESG取り組みを後押しすることで、投融資先全体のESG取り組みの進展に貢献してまいります。
- 資金使途がSDGsのテーマなどにつながるテーマ投融資において、提供した資金によって世の中に生み出されるサステナビリティ・アウトカムを特に重視し、社会課題の解決に貢献してまいります。
- 投融資先企業との建設的な対話(エンゲージメント)において、ESGの観点も含む非財務情報の開示充実を求め、当社が重要と考えるESGをテーマとする対話を行うとともに、適切なスチュワードシップ活動を実施することで、ESG課題の解決をサポートし、投融資先企業の持続可能な成長ならびにサステナビリティ・アウトカムの創出を後押ししてまいります。また、国内外のイニシアティブへの参加も含め、協働エンゲージメントも実施し、投融資先企業への働きかけに取り組んでまいります。複数年にわたる対話を通じての働きかけにも関わらず、投融資先の取り組みに改善が期待できない場合、「議決権行使精査要領」に従った議決権行使における反対や投融資方針の見直し、保有資産の売却などを検討します。
- 短期的・画一的ではなく、中長期かつ国・業種・企業ごとの多様性を尊重した責任投融資を基本としますが、生命保険事業の使命や公共性、重要な社会課題への対応の観点から、一部の企業や事業に対しては投融資を行いません(ネガティブ・スクリーニング)。なお、国際条約の動向や国内外のイニシアティブが策定する基準などをふまえながら、継続的に対象範囲を見直し、各種レポートやウェブサイトなどで随時更新してまいります。
- 投融資先に対するエンゲージメントに加え、お客様本位の業務運営の取り組みの一環として、最終受益者としてのお客様(ご契約者)に対するエンゲージメントを通じて、責任投融資に関する認識・価値観を把握し、意向をふまえながら責任投融資に取り組むことで、信頼関係の構築につなげてまいります。
- 責任投融資に関する国内外のイニシアティブや各省庁が主催する勉強会、検討会への参加を通じて、日本の地域事情に応じた意見発信を行ってまいります。また、気候変動対応や人権重視などの、当社が目指すサステナビリティ・アウトカムの創出と整合するよう、政策決定に大きな影響を及ぼす国・政策当局へのポリシーエンゲージメントも実施してまいります。
- 国内外の金融機関、政府、地域・社会の幅広いステークホルダーとの関係構築を図りながら責任投融資に関する活動内容について積極的な発信を行い、責任投融資の普及ひいては金融市場の健全な発展に貢献してまいります。
- グループ全体で責任投融資の推進・強化を図るべく、相互に責任投融資に関するノウハウや課題を共有することにより、シナジーを創出しながら、グループ一体で責任投融資の高度化を図ってまいります。
- 利益相反防止の観点から、営業部門と資産運用部門の組織を分離し、取引関係の有無などに関わらず資産運用部門が独立して投融資判断を行う体制構築に取り組んでまいります。また、当社の投融資先に対する議決権行使についても、投融資先企業との保険取引関係の有無などに関わらず、資産運用部門が独立して判断を行ってまいります。
当社の資産運用におけるサステナビリティ重点取組テーマ(スチュワードシップ活動含む)
当社は、「気候変動」「自然資本」「地域経済」「グローバルヘルス」「人権尊重」「人的資本」の6つを資産運用のサステナビリティ重点取組テーマとして特定しています。なお、外部環境や社会を取り巻く状況等の変化をふまえ、定期的にサステナビリティ重点取組テーマの見直しを実施します。
<各サステナビリティ重点取組テーマの課題解決に向けた取り組み>
「気候変動」は、グローバルに取り組むべき優先課題の一つであり、世界各国の科学者で構成される政府間パネル(IPCC)の研究などにおいて、今後大幅な温室効果ガスの排出量の削減が必要とされています。当社の資産運用領域では、投融資ポートフォリオの2030年排出量の削減目標ならびに2050年までのネットゼロの実現に向けて、脱炭素取り組みに資する資金提供や主に多排出の企業への働きかけの両面で取り組みを進めていきます。
「自然資本」は、経済活動の拡大によって自然破壊や生息環境の悪化が進む中、自然資本の喪失を止め、回復軌道に乗せるネイチャーポジティブ(自然再興)に向けた行動が急務とされています。当社は、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に賛同しており、今後は自然資本の保全・回復に関する取り組みの推進・情報開示の充実を図っていきます。
「地域経済」は、少子高齢化や人口減少に伴う地域間の格差といった日本固有の社会課題が生じていると捉えており、日本全体の経済成長実現には課題解決が不可欠と考えています。今後は、同じ考えや価値観を持つ地域金融機関とともに連携しながら、全国各地の中小企業への投融資、オフィスビルへの投資等を通じて地域経済の発展に貢献していきます。
「グローバルヘルス」は、人々の健康に直接関わるのみならず、社会や経済全体にも負の影響を与える重要な社会課題の一つとして、官民連携でリスクを最小化するための対応が求められています。生命保険事業を担う当社として、保健医療へのアクセスや健康寿命の延伸等の社会課題解決に向けて果たせる役割は大きいものと考えており、国内外の金融機関とともに課題解決を目指していきます。
「人権」は、すべての人が生まれながらにして持っている基本的な権利であり、強制労働や差別、ハラスメントなど、人権を侵害する行為が問題となっています。2011年に国連が「ビジネスと人権に関する指導原則」を策定して以降、人権に配慮した企業経営を求める声が国際的に高まり、各国政府が基準の策定を進めています。日本でも2022年に政府が人権尊重のためのガイドラインを公表しており、当社の資産運用領域でも、当ガイドラインを踏まえた取り組みを進めていきます。
「人的資本」は、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことであり、企業経営においては、業種を問わず中長期的な企業価値向上に繋がる重要なテーマであると認識しています。とりわけ、企業経営において経営戦略と人材戦略を連動させることが重要との認識のもと、企業の人的資本経営に関連する取り組みを後押ししていきます。
その他、ウェルビーイング、ダイバーシティ、役員報酬、少数株主利益、買収防衛策、取締役の独立性などのテーマに取り組んでおり、当社の各種レポートやウェブサイトなどに随時更新いたします。
“運用部門におけるサステナビリティ重点取組テーマ”

主な責任投融資手法
当社では、「責任投融資ガイドライン」のもと、資産特性や地域特性に応じ、ひとつの手法に偏ることなくさまざまな手法をバランスよく活用することで、「収益性の確保」「持続可能な社会の実現」を両立し、お客様利益の拡大に努めています。
<日本生命の責任投融資>

■インテグレーション
当社は、全ての資産クラスでESGの要素を投融資プロセスに組み込むインテグレーションを実施しています。
具体的には、資産特性に応じた方法で投融資先のESG取り組みを評価したうえで、財務分析などの従来の分析に、企業価値や信用力への影響などの観点でESG評価を加味し、投融資判断を行っています。
ESG評価を行う際には、例えば株式や社債への投資では、企業との対話から得た情報や、10年以上にわたりESG評価を行っているグループ会社のニッセイアセットマネジメントからの情報に加えて、統合報告書などの開示情報やESGベンダーの情報など、さまざまな情報をバランスよく活用しています。
さらに、ESG評価によって特定した投融資先の重要課題については、対話を通じて状況を確認するとともに取り組みの後押しを行っていきます。このようにインテグレーションとエンゲージメントを連動させた取り組みを行うことで、投融資先の企業価値の向上を通じた、ポートフォリオのリスクの低減とリターンの向上を目指しています。
<株式>
- 投資先企業との対話を通じて得た情報やESG評価機関の情報等を基に、投資先企業のESG取組みを評価します。
- 企業分析における定性評価に、投資先企業の企業価値に影響を与えるかという観点でESG評価を加味し、収益予測やバリュエーションの定量評価と合わせて投資判断を行います。

<融資>
- 融資先の企業訪問を通じて得た情報等を基に、融資先企業のESG取組みを評価します。
- 企業分析における定性評価に、融資先企業の信用力に影響を与えるかという観点でESG評価を加味し、財務分析等の定量評価と合わせて案件審査を行います。
- プロジェクトファイナンスにおいては、赤道原則も踏まえ、環境・社会リスクにも留意した案件審査を行います。ESGの要素も踏まえて社内格付を付与するほか、個別の案件審査においてもESG要素を考慮します。

<国債>
- 国際統計やESG評価機関の情報等を基に、投資先のESG取組みを評価します。
- 投資対象の分析における定性評価に、投資先の信用力に影響を与えるかという観点でESG評価を加味し、経済・財政分析や金利水準等の定量評価と合わせて投資判断を行います。

<社債>
- 投資先企業との対話を通じて得た情報等を基に、投資先企業のESG取組みを評価します。
- 企業分析における定性評価に、投資先の返済能力に影響を与えるかという観点でESG評価を加味し、財務分析や金利水準等の定量評価と合わせて投資判断を行います。

<不動産>
- 環境に配慮した建築基準を設けるとともに、省エネルギー・CO2削減に向けた機器導入等を進め、投資不動産におけるBELS※等の環境・社会認証を積極的に取得します。
- * Building-Housing Energy-efficiency Labelling Systemの略称で、国土交通省が定めた「建築物の省エネ性能表示のガイドライン」に基づき、建築物の省エネ性能を第三者機関が客観的に評価し、5段階で表示する制度です。
- 不動産施工会社の選定にあたっては、工事実施や資材調達における環境・社会配慮の取組み状況を確認します。

- ※外部委託については、運用戦略や資産特性も踏まえつつ、委託先のESGに関する方針やインテグレーションなどの取り組み状況について確認し、投資判断において考慮します。
■ネガティブ・スクリーニング
生命保険事業の使命や公共性に鑑み、クラスター弾や生物兵器、対人地雷、化学兵器、核兵器の製造を行っている企業に対する投融資を禁止しています。
加えて、その他の重要な社会課題への対応の観点から、パーム油関連企業※やタバコ関連企業にも投融資を禁止しています。
また、国連で採択されたSDGsやパリ協定などを受け、国際的に気候変動への関心が急速に高まっている状況をふまえ、石炭関連プロジェクト(1.5℃パスウェイに沿ったブラウンフィールドのプロジェクトは除く)と石油・ガス関連プロジェクトのうち、(1)グリーンフィールドの資源開発プロジェクト、(2)資源開発以外の関連プロジェクト(1.5℃パスウェイに沿ったガス関連プロジェクトは除く)への新規投融資については、国内外問わず取り組まない方針としています。
■ポジティブ・スクリーニング
ポジティブ・スクリーニングとは、ネガティブ・スクリー ニングのように企業を投資対象から排除するのではなく、一例として環境に優しい製品の生産や地域社会の発展に資するビジネスを実践する企業等を選別して投資する手法です。
具体的には、ESGレーティングが高評価である先の残高占率基準を設けるアロケーションルールを資産横断で適用しています。これにより、ESG取組の優れた投融資先に優先的に資金を提供するとともに、ESG取組に改善の余地があると考えられる投融資先には、対話などを通じてESG取組を後押ししています。
■テーマ投融資
2015年の国連サミットにおいて、グローバルな社会課題を解決し持続可能な世界を実現するための国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)が採択され、2030年を達成期限として「17の目標」と「169のターゲット」が定められました。世界中の企業は、SDGsを経営に組み込み、2030年までに達成すべき共通のゴールを目指して取り組みを進めており、当社の資産運用においても、資金提供などを通じて企業の取り組みを後押しすることで、持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。
そのため、当社は資金使途がSDGs等につながる「テーマ投融資」について、累計投融資実施額5兆円の目標(2017年度~2030年度)を設定しており、2024年度9月末時点での累計投融資実績額は、2兆8,000億円を超えています。
<脱炭素ファイナンス枠>
社会全体・企業ごとの脱炭素の取組を後押しすべく、グリーンボンドやトランジション・ファイナンス等を対象とする投融資目標(2017-2030年度3兆円)です。
<ニッセイ・インパクト投融資枠>
より能動的なサステナビリティ・アウトカム創出を追求する観点から設定した投融資目標(2024-2030年度5,000億円)です。当社が掲げるインパクト投融資では、一般的に認識されているインパクト投資の定義に加え、当社が対話を中心とした働きかけを要件とすることで、強いアウトカム創出に繋げていくことを企図しています。

<テーマ投融資目標5兆円における進捗状況>

2024年度9月末における内訳

<テーマ投融資を通じて創出したアウトカム例>

アウトカムとは、実社会に対するポジティブなインパクトの創出、あるいはネガティブなインパクトの削減を示す成果や効果を指し、サステナビリティ・アウトカムとも呼ばれます。当社が創出したアウトカムは、投融資先企業が提供している情報をもとに、投融資額の持ち分を考慮した上で算出しています。
- (※1)世帯数で開示されている場合は、世帯あたり2人にて換算
- (※2)経済効果は、環境省「地域経済波及効果分析ツール Ver6.0」を用いたシミュレーション結果
- (※3)供給人数は、淡水化プラント等の生活用水提供キャパシティを、世界の平均年間水使用量(1人あたり)で除して年換算ベースで算出
- (※4)供給人数は、1日あたりの患者数を年換算で算出
■スチュワードシップ活動
長期投資を行う機関投資家として、投資先企業との環境・社会の要素も考慮に入れた建設的な対話を通じて、投資先企業の中長期的な企業価値向上につなげるとともに「安心・安全で持続可能な社会」を実現することを目指しています。
当社では、2013年度の日本版スチュワードシップ・コード制定以前から、投資先企業とは、株主還元や収益性と合わせてG(ガバナンス)を重視した対話を行ってきました。また、E(環境)・S(社会)のテーマに対する企業・投資家の意識の高まりから、2017年よりE・Sに係る対話を強化し、企業価値向上の観点から重要な対話のテーマを順次拡大しています。
なお、議決権行使の賛否判断を行う際には、定量的な基準に基づき画一的に判断するのではなく、対話を通じて把握した個別企業の状況や改善に向けた取組状況等を踏まえ、きめ細かく判断することとしております。
また、債券投資では、ESG課題をテーマとした対話に加え、投資機会の創出に向け、発行体へESG債等の発行の働きかけも行っています。
■その他
<CSRローン>
環境に配慮した取り組みを行っている個人のお客様を支援する観点から金利優遇制度を設けています。
<環境に配慮した不動産投資>
ビルの新築や設備更新の際に省エネルギーに資する設備の導入等を積極的に行っており、日本生命丸の内ガーデンタワーが環境・社会への配慮がなされた不動産として、2014年度にDBJ Green Building認証の「five
stars」*、2015年度にLEED-CS(テナントビル版)の「本認証(ゴールド)」*を獲得しています。
- *DBJ Green Building認証は、株式会社日本政策投資銀行と一般財団法人日本不動産研究所が行う環境・社会への配慮がなされた不動産を対象とした認証制度であり、「five stars」は5段階で最高位の認証です。
- *LEED-CS(テナントビル版)は、米国グリーンビル協会が主催する世界で最も普及している環境指標の1つである 「LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)」のうち、CS部門(Core & Shell)を指し、テナント用ビルが当該部門に該当します。
<健康・安全性に配慮した不動産投資>
日本生命浜松町クレアタワーが、世界的な健康・安全性の認証である「WELL Health-Safety
Rating(WELL健康安全性評価)」*を取得しました。保険会社としての当該認証の取得は初となります。
- *米国IWBIが2020年6月に新しく公開した、従業員や施設利用者の健康や安全性に配慮して物件が運営・管理されていることを評価する認証です。
対外活動
■イニシアティブへの参画
<国連責任投資原則(PRI)への署名>
当社は、持続可能な社会の実現に向けて、2017年3月にPRIに署名しています。
2022年の活動を対象とした2023年のPRI年次評価においては、「上場株式 アクティブ」、「債券 アクティブ」、「信頼醸成措置」の3分野で最高評価の「5つ星」を獲得しました。また、残りの2分野においても、「4つ星」を獲得しました。
2021年より、当社役員が理事会のメンバーを務めています。
また、当社はPRIが2023年10月に東京で開催した年次カンファレンス「PRI in Person」において、保険会社として世界で初めてリードスポンサーを務めました。
<気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同>
当社は、2018年12月に、金融安定理事会により設置されたTCFDの提言へ賛同しました。
TCFD提言が推奨する気候変動に係る「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」等の各項目に関する開示の充実を図るとともに、機関投資家(資産保有者)として、投資先に対する開示の働きかけ等を行い、持続可能な社会の形成に寄与してまいります。
<赤道原則の採択>
当社は、2019年4月に、プロジェクトファイナンス等における環境・社会配慮の国際的な枠組みである「赤道原則」をアジアの保険会社として初めて採択しました。赤道原則の採択に伴い、プロジェクトファイナンス等の意思決定のプロセスにおいて環境・社会影響の評価を行うとともに、融資実行後に遵守状況のモニタリングを行っていきます。
<ESG情報開示研究会への参加>
当社は、2020年6月に、ESG情報開示に関する研究活動を行うESG情報開示研究会へ参加しました。
<ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(NZAOA)への加盟>
当社は、2021年10月に、気候変動に関する国際的なイニシアティブであるネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス(NZAOA)に加盟しました。
NZAOAへの加盟を通じ、国内外の投資家とも協働し、国際社会で議論されている気候変動に関する科学的分析や計測手法等について最新の情報を獲得しながら、資産運用ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量削減の取り組みを進めてまいります。
2022年より、当社役員がNZAOA加盟機関の代表者グループであるSteering Groupのメンバーを務めています。
<Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)への加盟>
当社は、2022年3月に、資産運用ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の計測・開示手法を標準化することを目的としたイニシアティブであるPartnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)に加盟しました。
PCAFへの加盟を通じ、国内外の金融機関とも協働し排出量の測定ルール策定の議論に関わりながら、排出量の計測・開示手法を高度化し、資産運用ポートフォリオにおける排出量削減の取り組みを進めてまいります。
<水素バリューチェーン推進協議会への加盟>
当社は、2022年5月に、水素関連技術の社会実装化に取組む業界横断的な団体である水素バリューチェーン推進協議会に参加しました。
水素バリューチェーン推進協議会での水素技術に関する情報収集や金融面からのサポート等を通じて、脱炭素に資する水素社会の実現に向けた社会・企業の取り組みを後押ししながら、持続可能な社会の実現と運用収益向上の両立を目指してまいります。
<Climate Action 100+への加盟>
当社は、2022年7月に、温室効果ガスを多く排出する企業との対話を通じて気候変動問題の解決を目指す国際イニシアティブであるClimate Action 100+に加盟しました。
Climate Action 100+への加盟を通じ、国内外の投資家とも協働し、国際気候変動問題に関する動向について最新の情報を獲得しながら、投資先企業の気候変動リスクに配慮した取り組みを進めてまいります。
<Advanceへの加盟>
当社は、2022年12月に、企業との対話を通じて人権問題などの社会課題の解決を目指す国際的なイニシアティブであるAdvanceに加盟しました。
Advanceへの加盟を通じ、人権問題などの社会課題に関する国際動向について最新の情報を獲得しながら、投資先企業の人権リスクに配慮した取り組みを強化してまいります。
<インパクト志向金融宣言への署名>
当社は、2023年1月に、インパクト志向※を有する国内金融機関の協働イニシアティブであるインパクト志向金融宣言に署名しました。
インパクト志向金融宣言への署名を通じ、賛同する各社と知見を共有することでインパクト志向の投融資の普及・拡大に努めるとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
- ※投融資先の生み出す環境・社会への影響(インパクト)を捉えて環境・社会課題を解決するという考え方
<CDPへの署名>
当社は、2023年3月に、企業や投資家に対し、環境に関する重要な情報を管理するグローバルな情報開示システムを提供している国際的なNGOであるCDPに署名しました。
機関投資家として、CDPの開示情報や知見等を活かし、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進してまいります。
<グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ(Triple I for GH)への加盟>
当社は、2023年9月に、Triple I for GHに加盟しました。Triple I for GHは、2023年5月のG7 広島サミットにおいて承認された、グローバルヘルス分野の社会課題を解決することを目的とし、インパクト投資を通じた民間資金動員の促進を呼びかけるイニシアティブです。
Triple I for GHへの参画を通じ、パートナー機関と知見を共有することで、グローバルヘルス分野でのインパクト投資の普及・拡大に努めるとともに、社会経済課題の解決に貢献していきます。
<Springへの加盟>
当社は、2024年2月に、自然資本・生物多様性に関する課題を有する企業との対話を通じて、生物多様性の喪失を食い止め、回復軌道に乗せることを目指す国際的なイニシアティブであるSpringに加盟しました。
Springへの加盟を通じ、自然分野の課題に関する国際動向について最新の情報を獲得しながら、自然資本・生物多様性の保全に関する取り組みや投資先企業との対話を強化してまいります。
■ポリシーエンゲージメント
イニシアティブ活動を通じた意見発信やセミナー・勉強会への登壇等を通じて、持続可能な社会の実現に向けたポリシーエンゲージメント(政策当局への働きかけ)に取り組んでいます。
<当社役職員が委員を務める主な外部会議>
主催・共催 |
会議名等 |
PRI |
PRI 理事会/Global Policy Reference Group/Asset Owner Technicalp Advisory Committee/Japan Advisory Committee |
NZAOA |
NZAOA Steering Group |
GFANZ |
日本支部コンサルテーティブグループ/コアワーキンググループの他、各種グローバル・APACの実務者会合 |
金融庁 |
ソーシャルボンド検討会議 |
金融庁・GSG国内諮問委員会(*1) |
インパクト投資に関する勉強会 |
金融庁・経済産業省・環境省 |
トランジション・ファイナンス環境整備検討会、 ファイナンスド・エミッションに関するサブワーキング |
経済産業省 |
ISO/TC260 国内審議委員会 (人的資本) |
環境省 |
グリーンファイナンスに関する検討会(*2) |
日本経済団体連合会 |
建設的対話促進ワーキンググループ |
生命保険協会 |
スチュワードシップ活動ワーキンググループ、 責任投融資推進ワーキンググループ |
※1
インパクト投資を推進するグローバルネットワークであるGSG(The Global Steering Group for Impact Investment)の日本における国内諮問委員会
※2
業界を通じてESG に係る情報収集・意見発信等をする外部会議
■外部評価
責任投融資の取り組みはさまざまな機関より高い評価をいただいています。
主なテーマ投融資事例
■直近のテーマ投融資事例
日立製作所が発行するグリーン・デジタル・トラック・ボンドへの投資
株式会社日立製作所が発行するグリーン・デジタル・トラック・ボンドに50億円投資しました。
グリーン・デジタル・トラック・ボンドとは、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル債のスキームを活用したグリーンボンドで、グリーン投資に係るデータの透明性の向上およびデータ収集の効率化を目指す債券です。
当債券発行による調達資金は、日立製作所中央研究所「協創棟」(省エネルギービル)に関する建設費用および改修費用のリファイナンスに充当されます。
(2023年12月)
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ニッセイ・ポジティブ・インパクト・ファイナンスの取り扱い開始
持続可能な環境・社会・経済づくりを資金提供の面から後押しすべく、「ニッセイ・ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取り扱いを開始しました。
当融資は、企業の事業活動全体がもたらす環境・社会・経済領域へのインパクトを特定し、KPIと目標を設定することでポジティブインパクトの増大、ネガティブインパクトの低減を目指すものであり、国際的な原則・ガイドラインに対する適合性の評価については、当社が策定した実施体制に基づいて行われます。
なお、この度、カシオ計算機株式会社に対し、当社初のニッセイ・ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実行しました。
設定した目標の進捗状況(ポジティブ・インパクトの増大やネガティブ・インパクトの低減の状況)については、ファイナンス期間にわたり当社が年1回のモニタリングを実施します。
(2023年7月)
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ニッセイ・サステナビリティ・リンク・ローンの取り扱い開始
持続可能な環境・社会・経済づくりを資金提供の面から後押しすべく、「ニッセイ・サステナビリティ・リンク・ローン」の取り扱いを開始しました。
当融資は企業のサステナビリティ目標の達成を促すため、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(「SPTs」)を設定し、その進捗に連動した金利変動等のインセンティブを付与することで、環境・社会面で持続可能な経済活動と成長を促進し、支援することを目指すものであり、国際的な原則・ガイドラインに対する適合性の評価については、当社が策定したフレームワークに基づいて行われます。
なお、この度、油研工業株式会社およびリファインホールディングス株式会社に対し、当社初のニッセイ・サステナビリティ・リンク・ローンを実行しました。
当融資で設定したSPTsについては、年1回のモニタリングを実施し、その達成状況に応じて金利条件が変動します。
(2023年6月)
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サステナビリティ課題解決ファンドへの投資
当社子会社であるニッセイ・キャピタルが運用するサステナビリティ課題解決1号ファンドに投資しました。
当ファンドは、脱炭素・環境負荷軽減・新エネルギー・健康長寿・持続可能性に関する技術・サービスなど、SDGs面での社会貢献が期待されるスタートアップ(およびそれらを主たる投資対象としたベンチャーキャピタルファンド)に投資を行います。
(2023年5月)
提供:ニッセイ・キャピタル株式会社
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■これまでの主なテーマ投融資事例
案件名
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関係の深いSDGs*
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サステナビリティ 重点取組テーマ
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*SDGsのうち当社が投融資を通じて貢献につながると考える主なゴールです。
<トランジション・ファイナンス>