資産運用

  

日本生命の資産運用について

基本的な考え方

当社は、生命保険契約というご契約者との長いお約束を守り、配当を長期・安定的にお支払いすることを使命として、資産運用に取り組んでいます。
具体的には、ご契約者にお約束した利回りの安定的な確保のため、ALMの考え方に基づき円金利資産である公社債等の運用を軸に、厳格なリスク管理と経営の健全性確保を前提に外国証券等のリスク性資産にも投資しています。また、資産・国・通貨等の分散に留意したバランスの取れた分散型ポートフォリオの構築や、中長期的に相場循環を捉えた売買の実施を通じて安定的な収益力の向上に努めています。
こうした資産は、ご契約者からお預かりした保険料の集積であることから、投資にあたっては、安全性・収益性・流動性に加え、公共性を勘案しています。

ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント):資産(=アセット「A」)と負債(=ライアビリティ「L」)を総合的に把握し管理(マネジメント「M」)する手法。

<当社の一般勘定運用の基本的考え方>

  1. ご契約者に対する経済的保障責任を全うすることを第一義として資産の運用を行う
  2. 一貫した運用戦略の遂行を通じて運用収益の長期・安定的な拡大を図る
  3. 生命保険事業の使命や公共性をふまえ、ご契約者に納得いただける運用を実践する

一般勘定資産の構成

資産運用戦略

当社は、これまでの低金利環境をはじめとし、さまざまな厳しい環境下においても、保障責任を全うするため、資産運用の強化・高度化を通じて収益・健全性の向上に努めてきました。2021年度から2023年度の中期経営計画においては、当初想定し得なかったさまざまな環境変化が生じていますが、そのような中においても、安定的な運用収益を確保すべく、変化に対応しながら、引き続き、ポートフォリオの変革とESG投融資の強化の2点に注力しています。
ポートフォリオの変革については、円金利資産の長期化による金利リスクの圧縮や、海外を中心としたクレジット資産・オルタナティブ資産等への国際分散投融資の推進を継続しつつも、変化の激しい資産運用環境を踏まえ機動的に資金配分を見直すことで、長期安定的な運用収益の確保とリスク削減の両立を目指します。
ESG投融資の強化については、気候変動による災害の激甚化等を背景に、ESG要素が中長期の企業価値に与える影響が強まっている潮流を踏まえ、取り組みを強化しています。2022年度は、資産運用ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の2050年度ネットゼロの目標達成に向けて、環境に資する取り組みを支援するテーマ投融資や脱炭素ファイナンス枠の目標を拡大するとともに、多排出企業と気候変動をテーマとした対話(エンゲージメント)を強化しました。引き続き、さまざまなESG投融資を組み合わせ、収益性の確保とともにアウトカムの創出に努めていきます。
さらに、これらの資産運用戦略を支えるべく、グローバルな投資体制や、高度な専門性を有する人材の育成、システム開発など、「基盤構築」もグループ一体で推進します。中期経営計画においては、グループの運用機能・人材を結集し、運用利回り向上に向けた取り組みを進めるため、当社・大樹生命のクレジット・オルタナティブ投資の機能を、資産運用子会社であるニッセイアセットマネジメントへ移管しました。今後も、ご契約者利益に貢献すべく、当社グループのリソースを有効に活用し、資産運用に取り組みます。

中期経営計画における資産運用戦略

ポートフォリオの変革

クレジット・オルタナティブ資産への投融資

当社では、運用収益向上の観点から、クレジット資産やオルタナティブ資産への投融資に注力しています。
主なクレジット資産としては、社債やプロジェクトファイナンスが挙げられます。また、オルタナティブ資産には、ベンチャー投資や新興国、海外不動産等が該当します。
こうした資産は、相対的に高い利回りが見込まれることに加え、株式や債券等の伝統的資産との相関が低い資産が多く、リスク抑制の観点からも、重要であると認識しています。
当社グループの強みであるグローバルな運用体制を活かし、クレジット資産やオルタナティブ資産への投融資を通じて、国際的な分散投資を推進していきます。

フォワードルッキングなリスク管理の推進

投融資手法が多様化・複雑化してきたことにより、資産運用リスク管理の重要性はますます高まっています。
当社では、投融資先やマーケット状況に対するきめ細かなモニタリングなどにより、環境変化にも機敏に対応できるよう態勢整備に取り組んでいます。特に、損益や財務健全性への影響が大きいと想定される潜在的なリスク懸念事象を洗い出し、必要な対応策を検討・実施するフォワードルッキングなリスク管理を推進しています。例えば、国内外の金利急騰を警戒する必要があると判断した場合等には、ポートフォリオへの影響分析やアクションプランの策定を実施し、速やかな経営報告を行っています。
また、投融資執行部門が、厳格な案件選別や分散投資を通じてリスクの抑制に取り組むとともに、リスク管理・審査管理部門が、ポートフォリオのリスク量の計測や与信リミットの設定、個別案件審査などを通じて牽制を働かせることで、安定的な収益の確保に努めています。

投融資執行部門に対する牽制体制

ESG投融資の強化

当社は、ESGインテグレーションをはじめとする投融資および対話(エンゲージメント)を軸として、さまざまなアプローチでESG投融資をバランスよく推進し、投融資先企業のESG取り組みを後押ししています。参加する国際的なイニシアティブでは、当社役員が理事や代表者グループのメンバーを務め、日本を代表する機関投資家として意見発信を行い、世の中のESG投融資の普及・拡大に努めています。 国内での議論においても、各省庁が主催する検討会や勉強会に積極的に参加し、官民一体となって活発に議論を行っています。これらのESG投融資における取り組みを通じて、 運用収益の向上を通じた「ご契約者利益の拡大」と、アウトカムの創出を通じた「社会課題の解決」を目指していきます。

ESG投融資図

地域・社会の成長を支える取り組み

生命保険会社は社会性・公共性の高い事業であり、当社は生命保険会社としての資金の長期性を活かし、環境や地域・社会と共生し、日本経済・企業と安定的な成長を共有していく視点から資産運用を行っています。
例えば、融資取引においては全国各地のお客様との取引を通じて、地域・産業の発展に役立つように努めています。不動産投資においても、全国各地のオフィスビル等に幅広い投資を実施することで、地域の発展に寄与しています。

国内企業向け貸付 地域別内訳(残高・貸付先数)

企業数 ウエイト 残高 ウエイト
大企業 671先 40.5% 4兆555億円 84.5%
中堅企業 171先 10.3% 494億円 1.0%
中小企業 816先 49.2% 6,934億円 14.5%
合計 1658先 100.0% 4兆7,984億円 100.0%

賃貸用ビル 地域別内訳(保有棟数)

グループ運用態勢高度化

日本生命グループでは、国内のみならず海外の運用拠点も加えたグローバルな運用体制を構築し、各社の強みを活かしながら、資産運用の収益源の多様化・資産の分散化を進めています。
2022年3月には、グループのリソースを結集し、運用力を強化する観点から、日本生命(2021年3月)に続き大樹生命のクレジット・オルタナティブ投資の機能を、資産運用子会社であるニッセイアセットマネジメントへ移管しました。

グループ運用体制

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