資産運用

  

日本生命の資産運用について

基本的な考え方

当社は、生命保険契約というご契約者との長いお約束を守り、配当を長期・安定的にお支払いすることを使命として、資産運用に取り組んでいます。
具体的には、ご契約者にお約束した利回りの安定的な確保のため、ALMの考え方に基づき円金利資産である公社債等の運用を軸に、厳格なリスク管理と経営の健全性確保を前提に外国証券等のリスク性資産にも投資しています。また、資産・国・通貨等の分散に留意したバランスの取れた分散型ポートフォリオの構築や、中長期的に相場循環を捉えた売買の実施を通じて安定的な収益力の向上に努めています。
こうした資産は、ご契約者からお預かりした保険料の集積であることから、投資にあたっては、安全性・収益性・流動性に加え、公共性を勘案しています。

ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント):資産(=アセット「A」)と負債(=ライアビリティ「L」)を総合的に把握し管理(マネジメント「M」)する手法。

<当社の一般勘定運用の基本的考え方>

  1. ご契約者に対する経済的保障責任を全うすることを第一義として資産の運用を行う
  2. 一貫した運用戦略の遂行を通じて運用収益の長期・安定的な拡大を図る
  3. 生命保険事業の使命や公共性をふまえ、ご契約者に納得いただける運用を実践する

一般勘定資産の構成

資産運用戦略

当社は、不透明な資産運用環境が継続する中でも、保障責任を全うするため、資産運用の強化・高度化を通じて収益・健全性の向上に努めてきました。2024年度から始まった中期経営計画においては、レジリエントなポートフォリオの構築と責任投融資アプローチの深化の2点に注力しています。
具体的には、マーケット変動にも耐えうるレジリエントなポートフォリオの構築を通じて、変動する金融経済環境下でも安定的な運用益の確保を図ります。また、サステナビリティ・アウトカムの創出に向けた責任投融資アプローチを推進することで、地球環境等の社会課題解決へのさらなる貢献を目指します。

中期経営計画における資産運用戦略

レジリエントなポートフォリオの構築

ポートフォリオの頑健性強化とリスク・リターン向上

当社では、生命保険会社の負債特性に合わせ、円金利資産である公社債等の資産運用を中心としつつ、リスク・リターン向上のため、クレジット・オルタナティブ資産の積み増し等、国際分散投融資を推進しています。
不透明な資産運用環境が継続する中で、今後はより安定的な運用収益の確保に拘り、金利水準に応じて抑揚をつけた超長期国債の投資・入替を通じて、円金利リスクコントロールを強化します。
また、引き続きクレジット・オルタナティブ資産への投資を行うとともに、変動金利資産の拡充も図ることで、マーケット変動にも耐えうる頑健性の高いポートフォリオ構築に努めてまいります。

フォワードルッキングなリスク管理の継続強化

当社では、投融資先やマーケット状況に対するきめ細かなモニタリングなどにより、環境変化にも機敏に対応できるよう態勢整備に取り組んでいます。特に、損益や財務健全性への影響が大きいと想定される潜在的なリスク懸念事象を洗い出し、必要な対応策を検討・実施するフォワードルッキングなリスク管理を継続・強化してまいります。例えば、国内外の金利急騰を警戒する必要があると判断した場合等には、ポートフォリオへの影響分析やアクションプランの策定を実施し、速やかな経営報告を行っています。
また、投融資執行部門が、厳格な案件選別や分散投資を通じてリスクの抑制に取り組むとともに、リスク管理・審査管理部門が、ポートフォリオのリスク量の計測や与信リミットの設定、個別案件審査などを通じて牽制を働かせることで、安定的な収益の確保に努めています。

投融資執行部門に対する牽制体制

責任投融資アプローチの深化

当社は、投融資や対話を軸に、さまざまなアプローチで責任投融資をバランスよく推進することで投融資先企業等のESG取り組みを後押しし、アウトカム創出による企業価値向上を目指しています。また、国際的なイニシアティブでは、当社役員・職員が理事や代表者グループのメンバーを務めているほか、各省庁主催の検討会に参加し、責任投融資の普及・拡大や方針策定における意見発信に努めています。
中期経営計画では、さらに取り組みを進めるべく、資産運用部門におけるサステナビリティ重点取組テーマを六つ特定しました。加えて、これらテーマやSDGsに資する「テーマ投融資」の内枠目標として、「ニッセイ・インパクト投融資枠」を設定し、インパクト創出の意図が特に強い案件への資金提供を推進するほか、脱炭素社会の実現に向け、企業へのトランジション・ファイナンスにも取り組んでまいります。

ESG投融資図

地域・社会の成長を支える取り組み

生命保険会社は社会性・公共性の高い事業であり、当社は生命保険会社としての資金の長期性を生かし、環境や地域・社会と共生し、日本経済・企業と安定的な成長を共有していく視点から資産運用を行っています。
例えば、全国各地のお客様との融資取引や、各地域のオフィスビル等への幅広い不動産投資を通じて、地域・産業の発展に寄与しています。

国内企業向け貸付 地域別内訳(残高・貸付先数)

企業数 ウエイト 残高 ウエイト
大企業 640先 39.3% 4兆164億円 84.2%
中堅企業 160先 9.8% 425億円 0.9%
中小企業 828先 50.9% 7,116億円 14.9%
合計 1628先 100.0% 4兆7,706億円 100.0%

賃貸用ビル 地域別内訳(保有棟数)

グループ運用体制高度化

日本生命グループでは、国内のみならず海外の運用拠点も加えたグローバルな運用体制を構築し、各社の強みを生かしながら、資産運用の収益源の多様化・資産の分散化を推進しています。
グループ各社のクレジット・オルタナティブ投資機能を、資産運用子会社のニッセイアセットマネジメントへ移管する取り組みを進めており、日本生命(2021年3月)、大樹生命(2022年3月)に続き、ニッセイ・ウェルス生命の当該機能を移管する方針です。
グループの専門人材の結集等を通じ、運用体制の強化を図るとともに、ニッセイアセットマネジメントにおいても、生命保険資産の長期・安定運用のノウハウ等を蓄積することで、一層質の高い資産運用サービスをお客様に提供することを目指します。

グループ運用体制

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