地球環境への取り組み

主な取り組み

かけがえのない地球環境を次世代へ継承することを目指し、「気候変動問題への取り組み」「プラスチック問題への取り組み」「生物多様性への取り組み」の3つの軸に沿って、環境保護への取り組みを推進しています。
2024年3月にはこれまで統合報告書等で開示してきた当社の気候変動・生物多様性に関する取り組みについてまとめた「TCFD・TNFDレポート」を公表しております。

TCFD・TNFDレポート

気候変動問題への取組

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

近年、地球温暖化により自然災害が頻発するなど、気候変動問題が喫緊の課題であり、2015年に採択されたパリ協定やIPCC報告書、日本政府の方針等で示されているように、気候変動問題に対し社会全体での対応が必要です。
当社は、気候変動問題への取り組みを経営に関する重要な事項の一つと捉え、脱炭素社会の実現に向けて積極的に各種取り組みを推進しています。

  • * Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)。5~7年ごとに報告書を作成し、気候変動に関する最新の科学的知見を提供
【気候変動問題に関する国際的な動向と当社のあゆみ】

気候変動問題への対応については、国内外において議論が進められています。
当社は、国際的な動向も踏まえながら、気候変動問題に取り組んでいます。2001年に制定した「環境憲章」に基づき、地球環境保護への取り組みが全ての人類・企業にとって最重要課題であると認識し、企業活動のあらゆる分野で環境に配慮した行動に努めてきました。
2018年12月には、金融安定理事会により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言へ賛同し、気候変動がもたらすリスクや機会の分析、CO2・温室効果ガス排出量削減目標に向けた取り組み等を実施し、毎年開示内容を充実させています。
また、CO2・温室効果ガス排出量削減目標については、国内外の動向をふまえて、設定(引上げ含む)をしています。

  社会動向 当社の取り組み
1889
  ● 創業以来、社会公共性に資する投融資を実施
1972 ● 国連環境計画(UNEP)設立 - 環境問題に関する国際協調に向けた取組の始まり  
1979   ● 日本生命財団を設立 - 資源枯渇や環境汚染などが世界共通の課題となるなか、「人間活動と環境保全との調和」をテーマに掲げ、環境問題研究助成を開始
1992 ● 国連環境開発会議(地球サミット) - 森林原則声明採択、国連気候変動枠組み条約の署名開始 ● 「ニッセイ100万本の植樹活動」を開始
1997 ●COP*3「京都議定書」採択 - 先進国全体で2008-2012の5年間で温室効果ガス△5%以上(1990比)の目標を設定
  • *3 国連気候変動枠組条約締約国会議。1992年に、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「国連気候変動枠組条約」が採択されたことに基づき、1995年より毎年開催
 
2000   ● 「環境委員会」を設置 - 環境取り組みのあり方を検討し、環境対策を発展・進化
2001   ● 「環境憲章」を制定
2015 ● COP21「パリ協定」採択 - 世界全体で産業革命前からの平均気温の上昇を2℃に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求 - すべての国が自らのGHG削減目標を決定・表明し、取組を行う  
2016 ● 日本政府「地球温暖化対策計画」決定 - 2030年度△26%(2013年度比)、2050年度△80%(2013年度比)
2017 ● 「TCFD提言」公表 ● 「ESG投融資の取組方針」を策定
2018 ● IPCC「1.5℃特別報告書」 - 平均気温の上昇が1.5℃と2℃の場合の影響の差を示し、 今後の取組の重要性を示唆 ● TCFD提言へ賛同
2019   ● 自社(単体)のCO2排出量削減目標を設定
(2030年度:△40%、2050年度△80%(2013年度比))
2020 ● 日本政府 「2050年ネットゼロ」宣言 ● 自社のCO2排出量・投資先の温室効果ガス排出量に関して、2050年度「ネットゼロ」を表明
2021 ● 日本政府「地球温暖化対策計画」改定 - 2030年度目標を国全体で△46%(2013年度比)に見直し、金融機関を含む「業務その他部門」の目標を△51%(2013年度比)に設定 ● 日本政府「第6次エネルギー基本計画」 - 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応、2050年を見据えた2030年に向けた政策対応 ● COP26 「グラスゴー気候合意」採択 - パリ協定の1.5℃努力目標達成に向け、2030年に向けて野心的な対策を締約国に求める ● 自社(グループ)のCO2排出量の2030年度中間目標を引き上げおよび対象範囲をグループへ拡大(△51%以上(2013年度比)) ● 投資先の温室効果ガス排出量の2030年度中間目標を設定
(総排出量:△45%以上(2010年度比)、インテンシティ:△49%以上(2020年度比))
【TCFD提言の中核的要素と主な取組状況】
TCFD提言の中核的要素 主な取り組み状況
ガバナンス サステナビリティ委員会とリスク管理委員会での気候変動に関する戦略やリスク管理等の検討内容を踏まえ、経営会議・取締役会にて、気候変動が当社経営へ与える影響を含めた経営戦略計画を審議・決定
戦略(リスクと機会) 生命保険事業・資産運用ともにシナリオ分析を実施し、気候変動による影響の評価を実施
リスク管理 気候変動リスクを含む各種リスクが、全体として経営に及ぼす影響について統合的に管理
指標・目標 生命保険事業・資産運用ともに、2050年度ネットゼロ目標および2030年度中間目標を設定
■ガバナンス

当社は、中期経営計画(2021‐2023)において、「サステナビリティ経営」を事業運営の根幹と位置付けています。気候変動問題への取り組みを経営に関する重要な事項の一つとして捉え、経営会議・取締役会にて、気候変動による当社経営への影響を踏まえた経営戦略や今後の対応方針について審議・決定しています。
経営会議の諮問機関としては、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、気候変動問題への取り組み目標の設定や取り組み方針の策定等を実施しています。また、リスク管理委員会やその諮問機関である運用リスク管理専門委員会では、気候変動に関するリスク認識や評価、シナリオ分析等を行っています。
これらの委員会での審議結果については、それぞれ経営会議・取締役会に報告し、経営会議では業務執行の統制、取締役会では重要な業務執行の決定および監督を行っています。さらに、取締役会の諮問機関である社外取締役委員会(2022年7月の監査等委員会設置会社移行後は社外取締役会議)においては、気候変動への取り組みを含めたサステナビリティ経営推進状況について審議を行っており、社外取締役の幅広い知見を当社の経営に積極的に反映し、取り組みを推進しています。

【気候変動対応に関するガバナンス体制】

■リスク管理

リスク管理については、気候変動を含むさまざまなリスクが全体として会社に及ぼす影響を統合的に管理する観点から、統合的リスク管理を実施しています(トップリスクやリスク管理の詳細については、こちら)。

■戦略

当社では、気候変動によって当社事業へもたらされる影響(リスク・機会)を事業活動領域と資産運用領域のそれぞれで認識しており、気候関連シナリオを用いた分析結果を踏まえ、リスクコントロールやレジリエンス(強靭性)を高める取り組みを推進しています。

■リスク・機会の認識・特定

当社では、気候変動によって、次のような物理的リスク・移行リスク・機会が、短期・中期・長期の時間軸でもたらされる可能性があると認識しています。

【リスク・機会】

【当社のシナリオ分析にて使用するシナリオ】

【シナリオ分析の対象】

特定した物理的リスク・移行リスク・機会のうち、次のものを対象として、シナリオ分析を行っています。

<事業活動領域>

事業活動領域のシナリオ分析にあたっては、当社収支への影響度と発生頻度・確率が比較的高いと想定されるリスク事象から、今後、順次分析範囲を広げる予定です。

【発生頻度・確率が比較的高いと想定されるリスク事象と当社収支への影響度】

将来(2050年〜2100年)の気温上昇が+4.0℃の場合の健康影響の想定
(環境省「気候変動影響評価報告書」、米国CDC「人の健康への気候変動の影響」等を参照)

【夏季の暑熱・熱波による死亡率・死亡保険金額への影響】

2021年度に、夏季の暑熱・熱波による死亡率・死亡保険金額への影響を試算しました。当社の過去の支払実績や国立研究開発法人国立環境研究所が公開する気温上昇時の超過死亡に関する研究データにもとづき気温と死亡率の関係性を推計したうえで、平均気温が2℃上昇または4℃上昇した場合における、夏季の気温上昇(暑熱)に伴う死亡率・死亡保険金額への影響について、当社の生命保険保有状況に合わせて分析を行ったところ、2℃上昇の場合は死亡率が0.5%程度増加、死亡保険金額が35億円程度増加、4℃上昇の場合は死亡率が1.0%程度増加、死亡保険金額が70億円程度増加するという試算結果が得られました。
当該試算結果については、当社の2021年度の死亡保険金支払額が約7,611億円である点や、将来のお支払いに備えて積み立てている責任準備金からのお支払いが可能である点を踏まえれば、現時点では保険収支への影響は限定的と考えています。
なお、同様の手法を用いて、冬季の気温上昇に伴う影響についても分析を行ったところ、死亡率が一定程度改善されるという試算結果も得られています。
一方、温暖化に伴う健康への影響が、中長期的に顕在化し、生命保険の地球温暖化に対する影響への適応の重要性が改めて認識されることで、生命保険の加入のインセンティブが高まる効果も機会として期待できます。
引き続き、研究機関等とも連携を図りながら、当社の生命保険事業における影響分析の高度化を進めるとともに、分析結果の開示や当該リスクへの適切な対応策の実施に向けて取り組んでまいります。

〈分析結果〉

  • ※ 国立環境研究所(気候変動適応センター)が整備している環境省「環境研究総合推進費S-8温暖化影響評価・適用政策に関する総合的研究(2010~2014)(S-8データ)をもとに当社が分析
  • ※ RCPシナリオ(代表的濃度経路シナリオ):気候モデル予測で用いられる温室効果ガスの代表的な濃度の仮定(シナリオ)のこと。1986~2005年の世界の平均気温を基準として、21世紀末(2081~2100年)における平均気温が、RCP2.6ではおよそ2℃程度、RCP8.5ではおよそ4℃程度上昇と予測。
〈シナリオ想定〉

生命保険収支への影響に関してはIPCC第5次報告で採用されている今後の気温上昇が2℃の場合(おおむねRCP2.6に相当)と、4℃の場合(RCP8.5に相当)を基本的なシナリオとして採用し、保険収支への影響を想定しました。(1年程度の短期については、いまのところ顕著な影響は発生していないため、分析の対象外としています。)

〈分析方法〉

温暖化の健康に対する影響は各種想定されますが、日本国内での研究も進んでいる夏季の気温上昇(暑熱)に伴う死亡率の変化について、当社の生命保険保有状況に合わせて収支への影響を下記方法により評価しました。

  • 当社の過去の支払実績(2012~2019年度)から各月の平均気温と死亡率を分析し、日本国内における過去の気温の範囲内における気温と死亡率の関係性を推定
  • 日本国内における過去の気温の範囲を超えた気温上昇時の死亡率の推定には、国立研究開発法人国立環境研究所が公開する気温上昇時の超過死亡に関する研究データ(地球温暖化「日本への影響」(2014)よりRCP8.5シナリオ下・2081年~2100年)を活用
  • 上記により推定した気温上昇時の死亡率変化にもとづき、各気温上昇シナリオにおける各月の死亡率変化を推計し、死亡率が増加する夏季の影響額だけを抽出し評価

【洪水による当社事業拠点の建物損害額への影響のシナリオ分析結果】

2022年度は、洪水による当社事業拠点の建物損害額への影響を試算しました。日本における台風・降水量の増加に伴い、洪水が発生する確率の高まりと、発生した場合の雨量の増加等をもとに、被災拠点数と損害額について分析を行いました。2℃以下の場合は、現在と比べて、損害額はほぼ横ばいであるのに対し、4℃上昇の場合は、損害額は3倍程度に拡大する可能性があるとの計算結果が得られました。当該試算結果については、当社の事業費全体の額を踏まえれば収支への影響は限定的と考えています。

  • ※洪水のシナリオ分析については、NGFSシナリオも参照しています。
【シナリオ分析結果(数値は概算)】

【生命保険事業における影響分析高度化に向けた研究機関との連携】

2050年や2100年のといった将来における気温上昇時の健康影響に関する研究機関等の研究は、いまだ限られる状況であり、当社経営に及ぼす影響は明らかになっていません。引き続き、研究機関等とも連携しながら、事業活動領域における影響分析の高度化、およびリスクへの適切な対応策の実施に向けて取り組んでいきます。

国立研究開発法人
国立環境研究所
暑熱による死亡数増加について研究
  • 当社契約者の推計死亡者数を算出
一般財団法人
日本気象協会
洪水による死亡数増加について研究
  • 複数の国内外の研究機関(日本・米国・英国・豪州)が開発する、気候予測モデルを元に、独自手法で高い解像度(1kmメッシュ)での雨量を推計
  • 過去の豪雨による災害犠牲者数を踏まえて、当社契約者の推計死亡者数を算出
株式会社
ニッセイ基礎研究所
日本の地域毎の気候変動指数化について研究
  • 北米・豪州のアクチュアリーが開発する先行事例を参考に、日本の気候指数を作成
<資産運用領域>

2022年度は、気候変動に伴う資産運用ポートフォリオ*1のリスクと機会を測定する手法として、MSCI社が提供する「Climate Value-at- Risk」(CVaR)*2を用いた分析を行いました。具体的には、NGFSシナリオを活用しながら、「シナリオ分析の対象」の表で示しているリスクと機会を分析しました。また、企業の温室効果ガス排出量がどの程度の温暖化をもたらすかを気温上昇の尺度で評価する「温暖化ポテンシャル」の分析も実施しました。

  • *1 当社ポートフォリオは内外株式、内外社債を対象に試算
  • *2 CVaRは、気候変動に伴う企業ごとの株式や社債などの資産価値への影響(リスクと機会)を評価するもので、気候変動に関する政策変更・規制強化に伴うコストである「政策リスク(移行リスク) 」および低炭素技術等に伴う収益機会である「技術機会」、自然災害等に伴うコストと機会である「物理的リスク」の3つの項目を分析することで、気候変動に伴う資産運用ポートフォリオのリスクと機会を定量的に把握することが可能
■CVaR
【気温上昇シナリオ別】

気温上昇シナリオ別の分析では、「政策リスク」や「技術機会」において、2030年まで排出量が減少せず、気温上昇を抑制するために政府による強力な規制導入や大幅な技術革新を想定する2.0℃シナリオが最も資産価値に与える影響が大きい結果となりました。また、「物理的リスク」については、気温が上昇するシナリオほどリスクは増大する傾向にありました。「政策リスク」、「技術機会」、「物理的リスク」を合わせた「総合CVaR」においても、気温が上昇するシナリオほどリスクが増大する結果となりました。

【資産別】

資産別の分析では、国内株式における1.5℃シナリオおよび2.0℃シナリオについて、低炭素技術に関する特許数等を基に推定した「技術機会」によるプラスの影響が大きい結果となりました。

  • *3 リスクと機会が資産運用ポートフォリオの資産価値に与えるポジティブ・ネガティブな影響度
■温暖化ポテンシャル

温暖化ポテンシャルを用いて、当社の資産運用ポートフォリオがどの程度の温暖化をもたらすか評価を実施した結果、TOPIXを下回る+3.34℃となりました。温暖化ポテンシャルを 1.5℃に近づけるためには、企業や社会全体の脱炭素に向けた取り組みを後押しすることが重要となります。

今後も、インテグレーションやエンゲージメントを通じて投資先企業を後押しすることで、気候変動に関連するリスクと機会を考慮した取り組みを行ってまいります。なお、CVaR等の気候変動の定量モデルに関しては、最新の研究結果をもとに改良が図られており、今後もリスク評価手法の調査・分析を継続してまいります。

■指標と目標

当社は、気候変動問題の解決に向けて、事業活動領域および資産運用領域において、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量削減目標を設定しています。各領域とも、2050年度ネットゼロ達成、2030年度中間目標を設定し、排出量削減に向けた取り組みを進めていきます。

【2050年度ネットゼロに向けたロードマップ】

  • *1 CO2排出量を対象としており、国内主要子会社(大樹生命、ニッセイ・ウェルス生命、はなさく生命、ニッセイアセットマネジメント、ニッセイ・リース、ニッセイ情報テクノロジー、ニッセイプラス少額短期保険)および海外主要子会社(Nippon Life Insurance Company of America、MLC Limited、Nippon Life India Asset Management Ltd.)の排出量を含みます
  • *2 温室効果ガス排出量を対象としており、国内外上場株式・国内外社債・不動産の投資先のスコープ1・2の排出量を含みます(株式と社債は投資信託経由を含みます)

事業活動領域における取り組み

事業活動領域のCO2排出量把握・公表の基本姿勢

2018年度から、日本生命単体のCO2排出量の公表をスタートさせました。CO2排出量の把握・公表にあたっては、GHGプロトコル・環境省サプライチェーン排出量ガイドラインに沿って、幅広くCO2排出量の把握を行うことに努めています。スコープ3についても、幅広く把握することに努めています。また、国内・海外のグループ会社の排出量について把握・公表しています。

事業活動領域のCO2排出量

当社における、生命保険などの事業活動に伴いCO2を排出する主な項目は、保険の営業活動での移動手段としての自動車の使用(スコープ1)、オフィスとして使用するビル・建物での電気の使用(スコープ2)、保険のご提案などで使用する紙の使用(スコープ3)、その他、従業員の通勤や出張、郵便(スコープ3)などです。当社は2050年度総排出量ネットゼロの目標を設定しており、この達成に向けて2030年度の中間目標として51%以上削減(対2013年度比)を設定し、各種取り組みを進めています。昨年度までの合計CO2排出量は17.5万t-CO(対2013年度△30.9%)であり、2030年度、2050年度目標達成に向け、着実に取り組みを推進しています。

EV車・PHV車・FCV車の導入推進

FCV車を導入

当社の事業活動において、社用車として使用する約2,000台の自動車について、これまでに約3分の1をHV車に変更しました。
また、CO2排出量の少ないEV車*1・PHV車*2・FCV車*3を段階的に導入しており、2030年度までにおおむね全ての車両のEV化を目指しています。2050年度までには全営業車の脱炭素化に向け対応策を検討しています。

  • *1 Electric Vehicle(電気自動車)
  • *2 Plug-in Hybrid Vehicle(プラグインハイブリッド自動車)
  • *3 Fuel Cell Vehicle(燃料電池自動車) : 酸素と水素を「燃料電池」に取り込んで発電し、その電気でモーターを回して走る自動車のこと

営業拠点・保有ビルの省エネルギー化に向けた各種取り組み

知立営業部

日本生命本店(東館)屋上

オフサイトコーポレートPPA(兵庫県姫路市)

■ZEB化・LED化等による営業拠点の省エネルギー化

当社では、老朽化した営業拠点の建て替えを推進しています。2018年7月以降の建て替えについては、ZEB Ready*1水準での建て替えを実施しており、2022年度末で累計107拠点を竣工しました。 各営業拠点において、おおむね20~30%を超える使用電力量の削減を実現しています。
また、そのうちの5拠点(川口営業部・桶川営業部・伏虎営業部・玉出営業部・知立営業部)に太陽光パネルや蓄電池を追加設置し、『ZEB』*2水準にて建設をしています。知立営業部では"ニッセイの森"の間伐材を利用した木製什器を採用するほか、太陽光以外の再生可能エネルギー電源の活用やPHV車両の配置等、環境に配慮した機能・設備を随所に取り入れています。

  • *1 『ZEB Ready』:再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物
  • *2 『ZEB』:大幅な省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入で、年間の一次エネルギー消費量がゼロまたはマイナスの建築物
■当社保有ビルへの太陽光パネルの設置・グリーン電力の導入

当社保有ビルのうち、大阪本店・東京本部などの一部のビルに太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを導入しています。その他の当社保有ビルを新築する際は、LED照明の採用や高エネルギー効率設備を導入し、省エネに取り組んでいます。2020年度から、大阪本店東館においてグリーン電力を導入しており、東館では使用する電気の全量を実質再生可能エネルギーで賄っています。また、2021年度から、東京本部などの一部ビルに、2022年度からは、大阪本店本館・南館においても導入しています。
さらに、当社敷地外(20地点)に当社専用の太陽光発電設備を設置するオフサイトコーポレートPPAを導入し、2023年4月より受電を開始しました。当設備で発電した再生可能エネルギー電力を、当社の大阪本店(本館・東館・南館)およびコンピュータセンターに供給しています。

  • * オフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement):
    電力の需要場所から離れた土地に太陽光発電所を所有する発電事業者が、太陽光発電所で発電された電力を需要家が所有する遠隔の需要場所に供給する契約形態

ペーパーレス化の徹底と物流の圧縮に向けた取り組み

「ご契約のしおり」をホームページ上で提供

当社ホームページ・日本生命アプリを通じた情報提供やオンラインでご利用可能なお手続きの範囲拡大など、紙使用量の一層の削減に取り組んでいます。年1回、ご契約者にお届けしている「ご契約内容のお知らせ」や契約成立後にご契約者にお届けしている「契約内容通知書」について、ご同意いただいたお客様につきましては、従来の“郵送通知”に替えるかたちで、“Web通知(メール受け取り後、「ニッセイマイページ」の画面上で確認)”を開始しています*。「ご契約のしおり」 についても、原則、ホームページ上で提供しています。これにより、申込時にお客様へお渡しする書類のページ数は従来比約80%減となっています。

  • * 「ご契約内容のお知らせ」は2021年7月、「契約内容通知書」は2023年3月から開始しています

社内便・出張の削減

支社における事務のWEB化による支社・本部間の社内便の削減や、2022年6月より一部社内便の発送頻度を減らすことで、社内便の発送に係るCO2排出量の削減に取り組んでいます。
また、出張による会議をWEB会議に置き換えることで、各種交通機関・航空便の利用によるCO2の排出を抑えています。

オフィスでの省エネルギー・省資源取り組み

リサイクルステーション(丸の内ビル)

照明の調節、昼間の消灯や空調設定温度の調整などの節電取り組みを実施しているほか、分別廃棄の徹底、グリーン購入、職員への環境教育を推進しています。また、本店・本部で使用した紙を全てリサイクルする仕組みを構築しています。

プラスチック問題への取組

当社は、企業活動におけるプラスチック使用量の削減に向けた取り組みを推進し、世界的課題であるプラスチック問題の解決に貢献しています。

「ニッセイPlastics Smart運動」宣言

紙製ファイル

日本生命グループとその役員・職員は、環境省が主催するPlastics Smart運動へ賛同し、業務や日常生活で使用するプラスチックのリデュース・リユース・リサイクルに努めます。

[プラスチッククリアファイルゼロ]

その一環として、 「プラスチッククリアファイルゼロ」を目標に設定します。これは、企業活動におけるクリアファイルの使用量を削減すると同時に、新規購入するクリアファイルをプラスチック製から紙製に切り替える目標です。2024年度以降は全て紙製にすることを目指します。

[その他の活動例]
  • ・「海ごみゼロウィーク」への参加
    ※ 環境省と公益財団法人日本財団が実施する共同事業
  • ・エコバッグを持参し、レジ袋を削減
  • ・ペットボトルを適正に廃棄し、リサイクルに貢献
  • ・マイボトルを持参し、ペットボトル飲料購入量を削減
  • ・その他身の周りのプラスチック製品使用削減、再利用

など

「海ごみゼロウィーク※」参加の様子(2022年)

資産運用を通じた取組

当社は気候変動を資産運用上の重要なリスクと捉え、対応を強化しています。投融資先企業の気候変動対応が遅れた場合には、規制対応コストの増加等(移行リスク)や、風水害を受けた資産の損傷等(物理的リスク)による財務状況の悪化、ならびに当社ポートフォリオの価値の毀損につながります。こうした気候変動リスクに対応するため、資産運用ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の2050年度ネットゼロの目標と2030年度中間目標を設定しています。

目標の達成に向けては、資金提供と企業への働きかけの両面で取り組みを進めていきます。

資金提供面では、ESGテーマ投融資の2023年6月までの累計投融資額のうち、約7割が環境領域への投融資となっています。温室効果ガスを多く排出する企業が脱炭素化を目指し、段階的に削減取り組みを行う「トランジション」や、CO2の回収・貯留技術等の脱炭素関連の技術革新である「イノベーション」に係るファイナンス等を対象とする脱炭素ファイナンス枠を活用しながら、社会と企業の脱炭素につながる取り組みを支援しています。

企業への働きかけの面では、投資先企業との対話において、気候変動に関する情報開示を要望しています。また、温室効果ガス排出量の多い企業等約70社とは気候変動を主要テーマとする対話を行っており、2050年度ネットゼロに向けた削減ロードマップの策定・開示を要望しています。今後はスコープ3も含めた排出量削減に向けた取り組み内容の開示を求めていく方針です。なお、業種や企業ごとに状況が異なるため、数値のみに着目した画一的な対話は行わず、企業の状況も踏まえたうえで、中長期の視点で削減取り組みを後押ししていきます。

【気候変動におけるリスク】

【秋田県での洋上風力発電プロジェクトへの融資】

国内初の商業用洋上風力発電プロジェクトであり、再生可能エネルギーの活用拡大を支えるもの

洋上風力発電
(出典:Akita Offshore Wind Corporation)

生物多様性への取組

私たちの社会全体を支える「生態系サービス」は過去50年間で急速に劣化しており、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」に向けた行動が急務となっています。当社では、自然資本・生物多様性保全に関するさまざまな取り組みを推進しています。

  • *生態系サービス:生態系の機能のうち、特に人間がその恩恵に浴しているもの
■ 自然資本・生物多様性に対する国内外の動向

COP10にて合意された2020年を目標年とした愛知目標を科学的な評価・達成状況を踏まえて見直した、昆明・モントリオール生物多様性枠組が、2022年12月COP15において採択されました。その枠組の中で、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させるための行動をとることと、2050年までに自然と共生する世界を実現することが、世界目標として定められました。
また、2023年3月には「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定され、2030年に向けた目標として「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現が明示されました。今後益々世界はもとより、日本国内での生物多様性保全に関する動きが加速することが予想されます。

■ 当社における生物多様性に関する取り組み内容と今後の取り組み方針

当社は、2001年に制定した環境憲章において、かけがえのない地球環境を次世代に継承することと、生物多様性の保全に努めることを明記しています。
また、2022年12月に、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の取り組みに賛同しており、今後は自然資本や生物多様性の保全に関する取り組みの推進・情報開示の充実を図っていきます。

■資産運用領域における生物多様性に関する取り組み内容

「陸上養殖の様子 提供:マルハニチロ株式会社」

当社では、ESGテーマ投融資などを通じて、自然資本や生物多様性における課題の解決を目指しています。環境持続型の漁業・養殖事業を資金使途とするブルーボンドをはじめ、これまでも森林整備や絶滅危惧種の生息域調査等を資金使途とするグリーンボンドへの投融資を実施してきました。また、生物多様性は、気候変動と密接に関連するテーマであることから、投資先企業とは、気候変動問題への取り組みを通じて自然資本の保全・回復についても対話を実施しています。
グローバルには、国連責任投資原則(PRI)などの国際的なイニシアティブでも議論が活発に進んでいます。直近では、PRIが自然資本に関するスチュワードシップ・イニシアティブの立ち上げを検討しており、そこでも多くの民間企業の参加および議論が予想されるなど、今後は民間主導での取り組みも加速することが見込まれます。

ニッセイ未来を育む森づくり

かけがえのない地球環境を次世代へ引き継ぐことを願い、森林資源の保全に貢献することを目的に、“ニッセイの森”友の会は(公財)ニッセイ緑の財団とともに1992年から森づくりに取組んでいます。これまでに植えた苗木は138万本を超え、2023年1月、沖縄県島尻郡八重瀬町での“ニッセイ八重瀬の森”設置により、“ニッセイの森”は47都道府県の207カ所(約474.9ha) に拡がっています。“ニッセイの森”の植樹・育樹(下草刈り・除伐等)には、職員もボランティアとして参加し、環境意識の啓発にもつながっています。また、緑化への取組を積極的に行っている自治体と協力し、公園や埋立地等での植樹・育樹にも力を入れています。

間伐

【CO2吸収・固定効果】

【参加者数】

これらの取組が評価され、令和2年度全国育樹活動コンクールにて、農林水産大臣賞を受賞しました。

また、❝ニッセイの森❞の公益的機能が評価され、「森林×脱炭素チャレンジ2022」にて、「優秀賞(林野庁長官賞)」を受賞しました。

“ニッセイの森”友の会
  • 当社の職員を主な会員とするボランティア組織です。“ニッセイの森”等での植樹・育樹活動を行っており、その苗木代や活動経費は会員からの寄付によりまかなっています。
“ニッセイの森”の環境貢献度
  • “ニッセイの森”の環境貢献度は林野庁の試算により、以下のとおり評価されています。
    (2022年度単年分)
    ・約5,383名分の年間排出CO2を吸収・固定
    ・2リットル・ペットボトル換算で、年間、1億2,634万本分の降雨を貯水、その水質を浄化
    ・10tダンプトラック約1,040台分の土砂流出防止
    ・経済価値総額10,462.4万円

平成27年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰
(対策活動実践・普及部門)

これらの取組が評価され、環境省主催の「平成27年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(対策活動実践・普及部門)」を受賞しました。

環境問題研究助成

(公財)日本生命財団では、21世紀の社会が活力あふれる真に豊かな社会となるためには、調和のとれた社会・自然環境に支えられた、活力と創造性ある人間性豊かな生活環境を一層確立していくことが重要と考え、豊かな人間生活にとって欠かせない基盤の一つである、環境の改善・充実に資する研究に対し、助成を行っております。

また当助成では、研究の遂行と並び、助成による研究成果の普及を図ることも重要であり、研究成果が社会に受け入れられ実践されてこそ、環境問題への具体的貢献であると考えています。
このため当財団では、研究成果出版物の刊行を支援する成果発表助成、助成成果を報告・討議するワークショップの開催など、助成成果の普及や環境問題の啓発にも注力しております。

第35回環境問題ワークショップ
(2020年1月、慶應義塾大学)

2021年度成果出版物
「自然と歴史を活かした震災復興」

【生物多様性に関する研究助成件数・金額】

ニッセイ緑の環境講座

(公財)ニッセイ緑の財団は、2001年度より森林や環境への理解を深めることを目的とした公開講座を、市民団体や環境問題に関心のある方を対象に東京・大阪などで「ニッセイ緑の環境講座」として開催してきました。
また、当講座を同財団SNS(Facebook、Instagram)や公式HPを通してオンライン配信しています。ご自宅で樹木や自然について関心を持っていただきたいという想いでスタートした当講座は、2021年度、5回の配信で累計、延べ762万人を超えるユーザーにご視聴いただいています。
また、その他にもクラフト作家やインストラクター会等にご協力いただき、「森の植物の歳時記」や、当財団による「“ニッセイの森” の紹介」等、自然に親しんでいただけるコンテンツを発信しております。

ニッセイ緑の環境講座

オンライン版環境講座
(樹種説明:ソメイヨシノ)

「ずっともっとサービス」を通じた取組

個人のご契約者向けサービス「ずっともっとサービス」では、貯まったサンクスマイルに応じて、お好きな賞品と交換することができます。当社は、サンクスマイルメニューに、環境保全団体である WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)への寄付新しいウィンドウ を組み込んでいます。その他、社会貢献に寄与する団体( 日本ユニセフ協会新しいウィンドウ 日本赤十字社新しいウィンドウ あしなが育英会新しいウィンドウ )等にも寄付できる仕組となっています。

【2022年度サンクスマイル寄付金額】

日本赤十字社 1,625万円
財団法人 日本ユニセフ協会 1,827万円
あしなが育英会 1,437万円
WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン) 495万円
若草プロジェクト 63万円
認定NPO法人フローレンス 63万円
国立国際医療研究センター 153万円

全国各地での生物多様性保全活動

当社職員が、全国各地で、地域に根差した生物多様性の保全活動に参画しています。

<春国岱での外来植物除去ボランティア活動>

日本生命道東支社根室営業部では、2013年より、毎年、6月から7月にかけて、ラムサール条約登録湿地である「春国岱」において、外来植物「オニハマダイコン」の除去のボランティア活動を行っています。活動に際しては、日本野鳥の会根室市春国岱原生野鳥公園担当の皆様にご指導をいただいています。外来植物に加え、プラスチックゴミ等の回収も行っています。

<「小倉城竹あかりイベント」への参加>

日本生命北九州支社では、竹林被害のある山林の竹を積極的に伐採し、竹灯籠を作成する当イベントに参加しました。イベントで設営された竹灯籠を1,000枚の竹炭に形を変え、当社職員がお客様に配布し、竹炭の効用とイベントのPRを致しました。

<ビーチクリーンアップとサンゴの保護活動>

那覇支社では、OCCN*等が主催するビーチクリーンアップのイベントに参画し、沖縄の海をきれいにする活動を積極的に行っています。また、沖縄のサンゴを守る・広げる活動を展開する団体を支援し、県内での周知活動を実施しています。

  • *OCCN:沖縄クリーンコーストネットワークの略称。沖縄の豊かな自然を守っていくためのネットワーク
<鮭川村米湿原の整備活動への参画>

山形県鮭川村にある米湿原は、貴重な動植物が多く生息する自然豊かな場所であることから、山形支社では地域住民や村役場等とともに、米湿原の整備活動に参画しています。

TOPICS

建築物木材利用促進協定

当社では、老朽化した営業拠点の建て替えを促進しており、これまで『ZEB Ready』※1水準での建て替えを実施し、2023年9月末までに120物件を竣工しました。
また、2022年9月には『ZEB』※2認証を取得した木造の環境配慮型営業拠点を新設する等、CO2排出量削減に向けて取り組んでいます。
このような背景を踏まえ、当社の「建築物の木材の利用に関する構想」について農林水産省・環境省と連携・協力すべく、「建築物木材利用促進協定」を締結し、2030年度末までに全国で100物件の木造営業拠点の建築を目指しています。
営業拠点の整備にあたっては国産木材を積極的に活用し、建築物の木造化及び木質化を地域社会に建物意匠面等で訴求することにより、山村の活性化やネイチャーポジティブへの貢献を目指しています。

  • ※1 『ZEB Ready』:再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物
  • ※2 『ZEB』:大幅な省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入で、年間の一次エネルギー消費量がゼロまたはマイナスの建築物

建築物木材利用促進協定締結時の様子(2023.10.17)

環境関係イニシアティブへの参画

当社は、生命保険会社としての社会的責任を果たし、安心・安全で持続可能な社会づくりに寄与していくため、各種イニシアティブに署名・賛同しています。

Copyright © 日本生命保険相互会社
2024‐1153G,サステナビリティ経営推進部