資産運用
アセットオーナー・プリンシプルに関する取組
2024年9月19日
日本生命保険相互会社
Ⅰ.アセットオーナー・プリンシプルの受け入れ
日本生命保険相互会社(以下「当社」)は、2024年8月28日に公表されたアセットオーナー・プリンシプルの趣旨に賛同し、当プリンシプルを受け入れることを表明いたします。
当プリンシプルは、2023年12月に公表された「資産運用立国実現プラン」*の中で、アセットオーナーシップの改革のための取組の1つとして、策定が掲げられたものです。当プリンシプルでは、公的年金、共済組合、企業年金、保険会社、大学ファンド等のアセットオーナーが、受益者等の最善の利益を勘案して、その資産を運用する責任を果たしていくうえで有用と考えられる共通の諸原則が定められています。
当社は従来より、生命保険契約というご契約者との長いお約束を守り、配当を長期・安定的にお支払いすることを使命として、適切な組織体制とリスク管理体制を整備したうえで、経済・金融環境等を踏まえた運用目標・運用方針に沿って、安全性・収益性・流動性・公共性を勘案した投資を行ってきました。
今後も、ご契約者の最善の利益を追求する中で、アセットオーナーとしての責任を果たしていくことに努めてまいります。
Ⅱ.各原則への対応
原則1 | アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続に基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。 |
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当社は、一般勘定運用の基本的考え方を定め、ご契約者にお約束した利回りを安定的に確保し、将来の保険金・給付金等を確実にお支払いすることを使命として、資産運用に取り組んでいます。
<当社の一般勘定運用の基本的考え方>
- ご契約者に対する経済的保障責任を全うすることを第一義として資産の運用を行う
- 一貫した運用戦略の遂行を通じて運用収益の長期・安定的な拡大を図る
- 生命保険事業の使命や公共性をふまえ、ご契約者に納得いただける運用を実践する
当社では、お客様にお約束した利回りと健全性の確保を目指すなかでALM*の考え方や資産運用リスク管理方針、長期的な経済・金融環境等に基づき、長期的に目指すポートフォリオを定めています。そのうえで、その時々の経済・金融環境等も踏まえながら柔軟な資金配分を実施しています。
これらの策定・見直しについては、経営会議等、適切な体制下で意思決定しています。
- *ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント):資産(=アセット「A」)と負債(=ライアビリティ「L」)を総合的に把握し管理(マネジメント「M」)する手法。
原則2 | 受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである。 |
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当社では、有価証券領域と融資・不動産領域それぞれに運用担当責任者を設置しています。また、運用担当責任者の権限は、社内規程において明確化しています。
また、運用部門の取組計画は経営会議等で決議されるとともに、その後の取組状況についても経営会議等の場で確認を行っています。
当社では、知見の拡充に資する人事ローテーションを通じた人材育成やキャリア採用等も通じ、適切な資質を持った人材の計画的な確保に努めています。また、必要に応じ外部コンサルティング会社等の外部組織も活用することで、知見の補充・充実に努めています。
原則3 | アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、自己又は第三者ではなく受益者等の利益の観点から運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な運用委託先を選定するとともに、定期的な見直しを行うべきである。 |
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当社では、原則1に記載のとおり、長期的に目指すポートフォリオを定め、経済・金融環境等を踏まえながら、さまざまな運用対象資産に資金配分を実施しています。
また、リスク管理部門によるVaR等の算出やストレステストの実施などを通じて、適切なリスク管理を実施しています。
外部へ運用委託する場合には、社内で定めている外部への運用委託に係る基準に従い、投資手法・戦略や利益相反、フィー体系等を確認したうえで、運用委託を行っています。
さらに、当社では資産運用立国の実現に向けて、EMP*に資する取り組みも行っています。**
- *Emerging Managers Program:新興運用業者への運用資金拠出促進を図るプログラム
- **【参考】金融庁「金融機関におけるEMP取組事例の把握・公表について(新興運用業者促進プログラム(日本版EMP))」
原則4 | アセットオーナーは、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、運用状況についての情報提供(「見える化」)を行い、ステークホルダーとの対話に役立てるべきである。 |
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当社では、統合報告書等において生命保険会社共通の様式で運用実績を公表するとともに、運用方針や責任投融資の取組などについても公表しています。
原則5 | アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るに当たり、自ら又は運用委託先の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。 |
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当社は、2014年5月26日に日本版スチュワードシップ・コードを受け入れ、各原則に則って適切にスチュワードシップ活動に取り組んでおり、その状況を公表しています。
また、責任投融資ガイドラインを策定し、これに従い、すべての資産クラスにおいて、資産特性・地域特性に応じ、中長期的な視点から、環境・社会・ガバナンスの観点を考慮した資産運用を行っています。
当社は、持続可能な社会の実現に向けて、2017年3月にPRIに署名しています。