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第26回 人生100年時代のライフデザイン〜青写真の描き方

2018年11月5日

後半人生ライフデザインのフレームワーク(考え方)

 人生100年を“より良く”生きていくうえで、これまで健康のこと、お金のこと、社会とのつながりのことなど様々なテーマに注目して考えてきました。事前に準備しておくこと、心がけることも多かったと思います。今回はそれらを含めて、全体として人生をどのように設計していくのがよいのか、特に50歳からの後半人生の設計方法について(青写真の描き方まで)考えてみたいと思います。

 「人生100年時代、これからの人生をどうしますか」、と聞かれたとき、あなたはどのように答えられるでしょうか。「よくわからない、何とかなる」、「考える暇がない」、「考えたくない」、このように答えられる人が意外と多いのではないかと推察します。実際、人生設計の方法については、特にルールなどがあるわけでもないので、いざ考えようにも何をどこから考えれば良いか、戸惑われる人も多いのではないでしょうか。そこで今回、あくまで私案になりますが、人生100年の折り返し地点である50歳を起点とした後半人生の設計方法について提案したいと思います。
 人生設計を行うには、基本的には自らが希望する高齢期の生活像(何歳のときはこのような生活をしたい)を時系列に整理していく作業が必要になると考えますが、生活を構成する要素は様々あり、考えにくいものです。そこで生活の要素を分解して整理していくと、大きくは生活を支える「基盤」と、その基盤のうえでの日々の「活動」、さらに生活の充実を高める要素(「楽しみ」等)に分けられると考えます。それらを一覧としてイメージしたのが図表1になります。一見、当たり前の話をしているように思われるかもしれませんが、このように分解しながら全体を俯瞰してみることが大切なことだと思います。
 こうして見ていくと考えるべきことは多くあります。またそれぞれを関連づけながら考えていかなければならないこともわかります。具体的には、①家族(親)との関係をどうするか、介護が必要なときにどうするか、いつまでにしっかり親孝行するか(できるか)、②自分の体力が低下したときの暮らし方、③友人との関係をどうするか、どのようなつきあい方(楽しみ方)をしていくか、④経済基盤をどう維持していくか、⑤どこで暮らすか、住み替えるか、⑥日々、どのような活動に取組むか、⑦日々、どのように楽しんでいくか、などについて、自分として、また家族とも相談しながら考えていくことが必要です。その答え(考え)を時系列に組み合わせていくことで、後半人生の一つの人生モデルの青写真が描かれていくものと考えます。

 図表1:後半人生のライフデザイン検討イメージ

重要なのは「生き方ニーズ」を考えること

 以上のようにライフデザインのフレームワークに沿って、個々のテーマ(課題)を考えていくことが堅実であり重要であることは変わりませんが、一つ意識して欲しいことがあります。それは、人生モデルの全体に影響を及ぼすことにもなる“生き方”のニーズを前向きに考えていくことです。“こういう生活をしたい”という希望を考えることです。人生100年時代は、特に高齢期に豊富な時間があり、多くのチャレンジが可能です。したいことをたくさんできるのが人生100年時代です。そこで、あくまで例示にすぎませんが、「高齢期に望む○○生活(=生き方ニーズ)」を考えてみました。No.1の平穏安定生活を「基本」としながら、No.2〜28までは、その内容を踏まえて「活躍の仕方」、「暮らし方」、「つながり方」、「楽しみ方」の4次元に分けて示しています。自分が望む○○生活を実現していくことで、後半人生がより充実していくと考えます。

<後半人生の生き方ニーズ・高齢期に望む○○生活(例)>


 以上、今回は後半人生を全体として考えていくうえでの一つの考え方及び視点をご紹介しました。全体として抽象的な話となりましたが、まずはライフデザインのフレームワークにある「テーマ・課題」と、「こういう生活をしたいという生き方ニーズ」を考えてみてください。そこから何か発見だったり、新たな希望が見出されていくことを期待します。たった一度の人生、自分らしい魅力ある後半人生のライフデザインモデルを描きながら、その設計図を歩んでいただくことを願っております。

(ニッセイ基礎研究所 前田 展弘)

筆者紹介

前田 展弘(まえだ のぶひろ)

株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
研究・専門分野:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)