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第23回 人生100年時代の“高齢期の学び”

2018年8月6日

「生涯学習」の実態と効果〜学ぶことは人生を豊かにする

 人生100年時代、高齢期は特に多くの自由な時間があります。その時間をどのように過ごしていくか、前回(第22回)は“働く、活躍する”をテーマに取り上げましたが、今回は“高齢期における学び”に注目したいと思います。学ぶことについては、何でも好き、テーマによっては好き、学ぶことは嫌い、あるいは高齢になって何故学ばなければならないかなど、その受け止め方は人それぞれだと思います。ただ、学ぶことを通じて人生の可能性が拡がるなどの効果は期待できるのではないでしょうか。高齢者の学びに関する実態等を確認しながら、“高齢期に学ぶ”ことについて考えてみます。

 高齢者が学ぶことについては、よく「生涯学習」という言葉が用いられます。その意味を文部科学省のHPで確認すると、「生涯学習とは、一般には人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち、学校教育、家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、レクリエーション活動、ボランティア活動、企業内教育、趣味など様々な場や機会において行う学習」@とされています。生涯学習については、国(政府)としても重要視していて、政府が策定する教育振興基本計画(2013年6月14日閣議決定)の中でも、「特に、今後も進展が予想される少子化・高齢化を踏まえ、一人一人が生涯にわたって能動的に学び続け、必要とする様々な力を養い、その成果を社会に生かしていくことが可能な生涯学習社会を目指していく必要がある」とされています。
 こうした生涯学習をどれくらいの高齢者が行っているのでしょうか。「生涯学習をしたことがあるか、ないか等」を尋ねた内閣府の調査結果の60歳以上の人の回答をみると、「したことがある」は47.3%、「したことがない」は52.4%といった状況でした(図表1)。実に二分していることがわかります。取組まれたテーマについては、「趣味的なもの」、「健康・スポーツ関係」、「ボランティア活動のために必要な知識・技能」が比較的多くなっています。次の質問で、生涯学習をしたことがある人に「学んでどうだったか(身につけた知識等の活用状況)」を尋ねていますが、同じく60歳以上の人でみると、実に約6割の人が「自分の人生がより豊かになっている」と回答しています(図表2)。豊かになったと答える理由までは定かではありませんが、学ぶことは知識や教養が身につくだけでなく、学ぶ「場」を通じて新たな人との出会いがあり、新たなつながりが生まれるといったことや、自分を見つめ直すきっかけとなって、新たな自分を発見でき、これまでとは違う新たなライフスタイルを築くことができたなどにより、豊かさがもたらされたのではないかと想像します。

図表1:生涯学習の取組状況(60歳以上の回答)

資料:内閣府「教育・生涯学習に関する世論調査」(平成27年)

※調査対象は全国20歳以上の日本国籍を有する者であるが、そのうち60歳以上の回答を抜粋して掲載

図表2:身につけた知識等の活用状況(生涯学習を行っている60歳以上の回答。複数回答)

資料:内閣府「教育・生涯学習に関する世論調査」(平成27年)

※調査対象は全国20歳以上の日本国籍を有する者であるが、そのうち60歳以上の回答を抜粋して掲載

高齢期の学びの生かし方〜マルチキャリアの実現を

 では、現在特に生涯学習に取組んでいない人、また若者をはじめこれから生涯学習に取組もうとする人にとっては、どのような学びが望ましいのでしょうか。何を目的に学ぶかは人それぞれの話であり、実際、図表2の結果を見ても学びを活かす場面は異なるわけですが、“人生100年を生きる”という視点に立ったときには、あくまで私見になりますが「実益」につながるような学びがこれからより有益になってくるのではないかと考えます。政府が現在検討を行っている「人生100年時代構想会議」においても、学び直しから仕事(活動)につなげる“リカレント教育”への注目が集まっています。マルチキャリア、つまり人生100年を様々なキャリアを経験しながら生きていける社会にしていく狙いが背景にありますが、学ぶだけに止まらず、その学びをキャリア(仕事等)につなげていけることは個人にとっても望ましいと考えます。
 例えば、短期留学をして語学を学び、その語学を仕事に活かす。そうした目的の民間のツアーもあります。また、介護士、保育士など、人手が足りない現状を踏まえて、介護士などの「資格」をとる。独立・起業に向けて、社会保険労務士等の国家資格をとることも一つの選択肢になるのではないでしょうか。こうしたチャレンジは、自分の意思と家族等の周囲の理解があれば、何歳からでも可能だと思います。むしろ多くの自由な時間を獲得できる高齢期のほうが取組みやすいと考えます。

 以上、僅かな指摘に止まりますが、いずれにしても“学び”に対して意欲を高めチャレンジしていくことは、前述のとおり、人生に豊かさをもたらすことでしょうし、特に健康(認知症予防)にも大きく寄与することだと思います。人生100年時代をより豊かにしていくためにも、高齢期の“学び”にぜひ関心を高めていただければ幸いです。

@http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab201501/detail/1361552.htm新しいウィンドウ

(ニッセイ基礎研究所 前田 展弘)

筆者紹介

前田 展弘(まえだ のぶひろ)

株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
研究・専門分野:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)