2021年12月、中国の文学雑誌である「咬文嚼字(こうぶんしゃくじ)」は、中国における2021年の流行語トップ10を発表しました。さて、中国の流行語にはどのような言葉がランクインしたのでしょうか。
中国の流行語トップ3にランクインしたのは、いずれも「政治・発言」の分類の言葉となりました。
第1位の「百年未有之大変局(百年間なかった大変動)」とは、2017年12月、習近平総書記が駐外使節会議にて、「世界に関心を向けると、百年間なかった大変動に直面している」と発言したものであり、その後も様々な重要な会議や場面にて用いられてきた言葉です。中国共産党が、創設された1921年から2021年までの100年間にわたり奮闘し続け、豊かな社会を建設したことを示しています。
そして、第2位の「小康(ややゆとりのある)」とは、1978年の改革開放以来、中国共産党が「小康社会(ややゆとりのある社会)建設」を目標として掲げた言葉です。そして2021年7月の中国共産党創立100周年記念式典にて、習近平総書記は、「中国は小康社会を全面的に完成させた」と演説しました。
続いて、第3位の「ー考(力試し)」とは、毛沢東氏が北京へ向かう道中で中国共産党員に対し、「今日は『力試し』のために北京に向かう日である」と、謙虚に奮闘する姿勢を示すために用いました。こちらも中国共産党創立100周年記念式典での習総書記の演説にて用いられた言葉です(※1)。
また、第4位から10位をみると、中国の現状を反映する流行語が多数ランクインしました。第4位の「双減(ダブル負担軽減)」は、中国当局が2021年7月、義務教育段階の学生の負担を軽減すべく、宿題負担を軽減すること、また、学習塾の新規開設を認めず、既存の学習塾は非営利団体として登記させることを命じたものです(※2)。
そして、第9位の「躺平(寝そべり現象)」は、直訳すると、「横たわる」という意味ですが、近年の急速な社会変化によって生じる過酷な競争から離脱する若者の現象を指しています。住宅や車の購入、結婚、出産を早々にあきらめ、質素にのんびりと暮らそうとすることが特徴として挙げられます(※3)。