温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボン・ニュートラル」実現に向けた取組みが、世界で加速しています(図表1)。
世界第1位の温室効果ガス排出国である中国は、2020年9月の国連総会において、習近平国家主席が「2060年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ことを宣言し、世界第2位の排出国の米国も、2021年4月の気候変動サミットにおいて、バイデン大統領が「2050年までの実質ゼロ」を表明しています。
また、これまで期限の設定を頑なに拒んできた、世界第3位の排出国であるインドも、11月の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、モディ首相が「2070年までの実質ゼロ」を宣言し、脱炭素化の取組みを加速することを明らかにしています。更に、脱炭素化の先頭を走る欧州は、「2050年までの気候中立」の達成を、EU域内で拘束力のある目標として法制化しています。脱炭素化の潮流は、確実に世界に広がってきたと言えるでしょう。
各国で取組みが加速する中、世界第5位の排出国である日本もまた、2020年10月に「2050年までの実質ゼロ」を宣言し、米国主催の気候変動サミットに合せて、2030年度の中間目標を、「2013年度比26%削減」から「46%削減」に大きく引上げています。この目標は、簡単に取下げることができないよう法制化され、国策として強力に推進することが明確化されています。今後、この目標の実現に向けて、具体的な成果が問われることになります。