内部監査基本方針

日本生命保険相互会社(以下、「当社」という。)が実施する内部監査の基本的な考え方を示すことを目的として、本方針を定める。

第1条(内部監査の目的)

当社の内部監査は、取締役会および社長に対し、第9条に定める内部監査の対象・範囲に関するリスクベースで客観的なアシュアランス、助言、洞察および先見性を提供することにより、ステークホルダーからの信頼を深め、当社の価値を高めることを目的とし、監査部がこれを担う。

第2条(グローバル内部監査基準等への適合)

監査部は、内部監査人協会が定める「専門職的実施の国際フレームワーク」の構成要素である「グローバル内部監査基準」および「トピック別要求事項」(以下、あわせて「グローバル内部監査基準等」という。)に適合する態勢を構築するほか、関係法令および規制上の要件を遵守して内部監査を実施する。
ただし、グローバル内部監査基準等のうち適合できない事項がある場合、監査部はその理由、影響および代替措置等を取締役会および監査等委員会ならびに社長(以下、「取締役会等」という。)に報告する。

第3条(監査部の権限)

  • 1監査部は、第1条に定める目的を達成するために実施する内部監査業務の遂行にあたり、次の各号に定める事項を行うことができる。
    • (1)内部監査業務の遂行に際し、監査対象組織等の全ての所属に対して、次のアからエに定める事項を実施すること。
      • 全ての資料・記録等の徴求・閲覧
      • 全ての有形・無形資産等の調査
      • 全ての役職員に対する面接・質問
      • 各種委員会・会議への出席
    • (2)内部監査業務の遂行のために次のアからオに定める事項を実施すること。
      • 監査資源の配分
      • 監査計画における年間の監査頻度および監査テーマの策定
      • 監査業務の範囲の決定
      • 監査の目的を達成するために必要な手法の決定
      • 監査報告書の作成
    • (3)必要に応じて社内外から専門的なサービスや支援・協力等を受けること。
  • 2監査部は、前項第1号に関し、秘密の保持ならびに資料・記録等および有形・無形資産等の保全に対する責任を負う。

第4条(独立性と客観性)

  1. 監査部長は、監査部の職員(以下、「内部監査人」という。)が客観的な立場で職責を全うできる環境を確保する。
  2. 監査部長は、少なくとも年に1回、監査部の組織上の独立性および内部監査人の客観性の確保の状況を取締役会等に報告する。監査部長は、監査部の組織上の独立性および内部監査人の客観性を阻害する要因がある場合、当該要因を除去するための措置を講じ、文書化のうえ、必要に応じて取締役会等に報告する。
  3. 監査部長は、個々の内部監査業務を実施するなかで、独立性または客観性が損なわれたと判断する場合には、内部監査の有効性および監査部の職務遂行に与える影響を取締役会等に報告する。
  4. 監査部長の異動は、監査等委員会の同意を得たうえで、取締役会が決定する。
  5. 内部監査人は、公正不偏な態度で内部監査業務を遂行し、常に監査品質の向上に努める。
  6. 内部監査人は、監査対象であるすべての業務について、責任や権限を有さない。

第5条(取締役会による監督)

取締役会は、次の各号に定める事項を通じて、監査部に対する負託事項(監査部の権限、監査部長の責任および内部監査の対象・範囲)を定め、監査部がその職責を果たすために十分な権限を確立し、その維持に努める。

  • (1)本方針を決定すること。また、必要に応じて見直しを行うこと。
  • (2)内部監査計画を決定すること。なお、決定にあたっては、計画策定の基礎となったリスク評価、重点監査項目ならびに外部の専門家の活用を含む要員および予算の充足状況等について報告を受けるものとする。
  • (3)個々の内部監査業務の結果のうち重要な事項について報告を受けること。
  • (4)外部の第三者による監査部への評価の結果および提言事項の内容等を踏まえた監査部による対応に関する報告を受けること。
  • (5)監査部長および内部監査人の職務遂行状況ならびに監査手法や人材育成を含む内部監査高度化の状況について報告を受けること。

第6条(監査部長の責任)

監査部長は次の各号に定める事項について責任を負う。

  • (1)取締役会が本方針を決定するにあたり、必要な情報を提供すること。
  • (2)少なくとも年に1回、内部監査計画を立案し、監査等委員会の事前同意を得たうえで、取締役会に決定を求めること。なお、内部監査計画は、監査資源の制約による影響や事業運営、リスク、事業計画、内部統制の変化を踏まえて立案するものとする。
  • (3)内部監査計画の重大な変更について、取締役会に決定を求めること。
  • (4)内部監査計画における個々の内部監査業務を確実に実行すること。なお、個々の内部監査業務には次のアからカに定める事項を含むものとする。
    • 個々の内部監査業務の目的および範囲を設定すること
    • 適切に監査資源を配分し管理すること
    • グローバル内部監査基準等に適合した監査プログラムおよび検証結果を文書化すること
    • 個々の内部監査業務の結果(検証結果および改善のための提言等)を、監査対象組織等の関係者に報告すること
    • 個々の内部監査業務における改善のための提言等に関し、必要に応じて監査対象組織等の関係者に改善措置を要求し、その取組状況・有効性等を確認・評価すること
    • 個々の内部監査業務の結果に影響を与える重要な誤謬または脱漏があると判明した場合、修正した結果とともに、監査対象組織等の関係者に報告すること
  • (5)必要に応じて、個々の内部監査業務の複数の結果から導かれる改善のための提言に関し、監査対象組織等の関係者に改善措置を要求し、その取組状況・有効性等を確認・評価すること。
  • (6)前2号に定める内部監査業務の結果を、取締役会等に定期的に報告すること。また、監査等委員会が必要と認めた場合は、その求めに応じて説明または調査を行うこと。
  • (7)監査部が本方針に定める職責を果たすために組織として必要な知見・能力等を備えるための態勢整備を行うこと。
  • (8)内部監査業務に影響を与える可能性のある環境の変化等について、十分に注意を払い、必要に応じて取締役会等に報告すること。
  • (9)内部監査の趨勢および社内外の事例を収集・活用するための態勢整備を行うこと。
  • (10)内部監査の規程と手続を策定し、内部監査人に遵守させるための態勢整備を行うこと。
  • (11)監査部がグローバル内部監査基準等に適合するための態勢整備を行うこと。
  • (12)必要に応じて、外部のアシュアランスおよびアドバイザリーサービス提供者に連携・依拠することを検討すること。なお、外部のアシュアランスおよびアドバイザリーサービス提供者に依拠する場合、監査部長は、その根拠を文書化するとともに、依拠した結果、内部監査部門が到達した結論について責任を負う。

第7条(倫理と専門職としての気質)

監査部長は、グローバル内部監査基準等に定められた次の各号に関する事項を内部監査人に徹底させるための態勢整備を行う。

  • (1)倫理と専門職としての気質の原則(誠実性の発揮、客観性の維持、専門的能力の発揮、専門職としての正当な注意の発揮、秘密の保持)に適合すること。
  • (2)内部監査人に対して求められる正当かつ倫理的な期待を理解し、尊重すること。
  • (3)監査対象組織等に対し、倫理的な価値観や原則を重視する文化を奨励・促進すること。
  • (4)倫理的な期待に反する行動がなされた場合に、監査部長にその旨を報告すること。

第8条(品質のアシュアランスと改善のプログラム)

  • 1監査部長は、取り巻く環境等の変化を勘案し、次の各号を含む監査部の態勢および個々の内部監査業務に関する「品質のアシュアランスと改善のプログラム」を策定および実施し、必要に応じて見直す。
    • (1)監査部のグローバル内部監査基準等への適合性に関する内部評価
    • (2)適格にして独立した外部の第三者が最低でも5年に1度実施する外部評価
    • (3)内部監査の目標達成に向けた進捗状況と継続的な改善状況の評価
    • (4)内部監査に関連する法令や規制上の要件の遵守状況の評価
  • 2監査部長は、取締役会等に、監査部の「品質のアシュアランスと改善のプログラム」に基づく検証結果を定期的に報告する。

第9条(内部監査の対象・範囲)

  • 1監査部は、ガバナンス、リスクマネジメン卜およびリスクコントロールの各プロセスの有効性の評価および改善の提言を実施する。
  • 2内部監査は、関係法令および規制上の要件に抵触しない範囲で、当社およびグループ会社のすべての業務(外部委託業務を含む)および組織を対象とする。
  • 3内部監査による評価には次の各号に定める事項を含む。
    • (1)戦略目標の達成に関わるリスクが、適切に識別、管理されているか。
    • (2)事業運営または事業計画が、効果的かつ効率的に実行されているか。
    • (3)事業運営または事業計画の結果が、当初の目的および目標と合致しているか。
    • (4)リスク管理体制等も含めた内部統制が、社内規程、関係法令および規制上の要件に沿っているか。
    • (5)内部監査で使用する情報が信頼性を有しており、かつ、当該情報が適切な手段により識別、測定、分析、分類および報告されているか。
    • (6)グループ会社の役職員および当社の委託先の活動が、各社の社内規程、関係法令および規制上の要件に沿っているか。

第10条(グループ会社監査)

監査部は、次の各号に定める基本的な考え方に基づき、グループ会社に対する内部監査業務およびグループ会社の内部監査態勢の整備を行う。

  • (1)当社は、グループ会社の内部監査態勢の整備に向けた管理・指導等を行うとともに、グループ会社に対する内部監査計画を策定し、監査を実施する。
  • (2)当社は、グループ会社の内部監査態勢の整備に向けた管理・指導等およびグループ会社における内部監査に関する体制の評価・改善等を通じて、当社グループにおける内部監査の高度化に努める。
  • (3)前2号に基づく管理・指導等、監査および内部監査の高度化に際しては、グループ会社のリスクの種類、特性および軽重や、当社による経営関与の度合い等に応じて実施する。
  • (4)日本国外に所在するグループ会社については、その所在する国・地域の法制度等も踏まえた適切な方法により管理・指導等を行う。

第11条(改廃)

本方針の改廃は、取締役会の決議をもって行う。

制定 2025年 3月25日

用語の説明

本方針内の用語の定義は以下の通り。

  • (1)アシュアランス
    ある問題、状況、対象事項又はレビューの対象となる活動に関する、組織体のガバナンス、リスクマネジメント及びコントロールの各プロセスについて、確立された基準と比較することにより、ステークホルダーの信頼度を高めることを目的とした表明を指す。
  • (2)助言
    監査の結果に基づいて、組織の運営改善やリスク管理に向けた具体的な提案や推奨。監査人は、業務プロセスや内部統制の評価を通じて、改善の余地や潜在的な問題を特定し、実行可能な解決策を提供することが求められる。
  • (3)洞察
    監査プロセスを通じて得られた深い理解や見解。これは、データ分析や業務の観察を通じて、隠れた問題やトレンドを明らかにし、組織にとって重要な情報を提供する。洞察は、単なる事実の指摘に留まらず、その背後にある原因や影響、今後の影響について考察することが含まれる。
  • (4)先見性
    将来のリスクや機会を見越して、組織がどのように行動すべきかを提言。監査人は過去のデータや現状の分析を基に、将来的な展望を考え、変化する環境や市場の動向に応じた戦略的なアドバイスを行うことが求められる。

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