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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第135回 日本は「世界第3位の経済大国」というけれど

2021年5月6日

日本の名目GDPは世界第3位

 日本の国内総生産(GDP)は世界第何位かと問われれば、世界第3位とすぐに答えられる人が多いと思います。GDPは一定期間に国内で生み出された付加価値(中間投入物を除いた生産額)の合計であり、生み出された付加価値は分配されて所得になるので、国の経済規模や国の豊かさを表す指標といえます。実際、国際通貨基金(IMF)のデータベース(※1)によれば、為替レート(米ドル)で換算した日本の名目GDPの規模は、2010年に中国に追い抜かれて以降、米国、中国に次ぐ第3位です。

図:名目GDP(為替レート(米ドル換算))の上位5カ国(米国・中国・日本・ドイツ・インド)の推移

国ごとの物価の差を調整すると

 ところで、上述のGDPは為替レート(米ドル)で換算されたものですが、国際比較のためには、国ごとの物価の違いを考慮した方が望ましいかもしれません。GDPが同じでも、物価の高い国より物価の低い国のほうが、実質的な生産額や所得額は大きいといえるからです。国ごとの物価の違いが為替レートには反映されていないかもしれません。そこで、IMFの同じデータベースを用いて、国ごとの物価の違いを示す購買力平価(※2)でGDPを換算すると、日本は、2009年にインドに抜かれて以降、中国、米国、インドに次ぐ世界第4位となっています。

(※1) World Economic Outlook Database, April 2021 (2021年4月12日閲覧)。なお、各国の今後の統計の更新により、GDPの水準や順位は変更される可能性がある。
(※2) 購買力平価は算出機関により違いがあるため、購買力平価で換算した名目GDPは幅をもって捉える必要がある。

図:名目GDP(購買力平価換算)の国際比較の上位5カ国(米国・中国・インド・日本・ドイツ)の推移

図:日本のGDPの為替レート(米ドル)換算と購買力平価換算の違い

国の平均的な豊かさを表す一人当たりGDP

 GDPは、国内での一人ひとりの経済活動の産物ですので、人口の多さに影響されるかもしれません。そのため、平均的な豊かさを示す指標としてはGDPを人口で割った「一人当たりGDP」がよく用いられます。IMFの同じデータベースによれば、2020年の日本の一人当たりGDP(※3)は、購買力平価換算で世界第30位でした。GDPの順位と大きな差があります。GDPを一人当たりGDPと人口の掛け算と捉えれば、日本のGDPは人口で大きくなっているのでしょうか。

(※3) IMF(World Economic Outlook Database, April 2021 (2021年4月12日閲覧))による2020年の予測値に基づく順位であり、各国の統計更新により、GDPの水準や順位は変更される可能性がある。

表:一人当たりGDPのランキング(購買力平価換算)

日本はそれほど豊かではない?

 実は、一人当たりGDPのランキングの上位にルクセンブルクやシンガポールなど、人口の少ない国が多く含まれています。小国の特殊要因が影響している可能性もあります(※4)。実際、人口が5,000万人以上の国で比較すれば、日本の一人当たりGDPは、購買力平価換算では世界第6位となり、GDPの順位との乖離は小さくなります。そう考えると、世界第3位であるかはともかくも、日本は依然として世界で有数の豊かな国であるといえそうです。

(※4) 例えば、ルクセンブルクの一人当たりGDPが大きい要因として、近隣諸国からの通勤労働者が多いことが挙げられる。(“Regional GDP per capita ranged from 32% to 260% of the EU average in 2019”、2021年3月3日、Eurostat、
https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/-/ddn-20210303-1新しいウィンドウ
(2021年4月12日閲覧)

(ニッセイ基礎研究所 山下 大輔)

筆者紹介

山下 大輔(やました だいすけ)

株式会社ニッセイ基礎研究所、経済研究部 准主任研究員
研究・専門分野:日本経済