人生100年時代、「高齢期」をどのように過ごしていきたいかと聞かれたとき、皆さんはどのように答えられるでしょうか。
2016年12月5日
多様に描ける後半人生の生き方パターン
子どものときはよく、大人になったら何になりたいか、聞かれたものですが、大人になってからも常に先の人生における自分の希望(生き方ニーズ)を考えることは大切です。人生は一度きりです。“たった1回の人生”をどれだけ充実させることができるか、それは皆さん自身にかかっています。
では、実際どのような「生き方ニーズ」(先の人生における自分の希望)があるでしょうか。「今までの暮らしを続けられればよい、老後はゆっくりできればよい」、そのように考える方も多いのかもしれません。しかし、人生100年時代を生きる私たちにとっては、仕事や子育てを終えたあとも、高齢期の暮らしが何十年と続く可能性があり、その時間は、現役生活と同じくらいの長さになる可能性もあります。
仕事や子育てから解放されれば、「どこに住む、そして何をして活躍する」、また「普段、何をして楽しむか」など、自分が望むライフスタイルを改めて創造することが可能になります。例えば、「住む場所」にしても、都会に住むか、自然に触れ合う地方で暮らすか、またはその二地域を行き来するような暮らしをするか(二地域居住)、さらには物価の安い海外にロングステイするか等といったパターンが考えられます。
「活躍の仕方」についても、雇用されて働くだけでなく、仲間と一緒に起業する、趣味を活かした仕事をする、NPOやボランティアで地域社会に貢献しながら活躍する、海外で自分の経験を活かして活躍する、フリーランスとして個人で仕事を受注して働く(クラウドソーシング等)、協同組合(ワーカーズコープやワーカーズコレクティブ等)に参加して協同労働(事業者であり労働者でもある働き方)の形で働く等といった様々なパターンがあります。
「楽しみ方」については、さらにいろいろなパターンがあると思います。例えば、生涯学習に励んで楽しむ、大学に戻って博士号取得を目指す、音楽や絵画などアートにふれあって楽しむ、インターネットで趣味の合う人たちとの交流を楽しむ、全国の温泉めぐりで楽しむ、日本の名山を制覇するなど、仕事や子育て中には忙しくてなかなかできなかった楽しみができる可能性があります。
僅かな例に留まりますが、自分のために多くの時間を使うことができる可能性の高い高齢期には、さまざまな選択肢の中から、自分(及び家族)にあった選択肢を組み合わせながら、新しいライフスタイルを創造することができるのです。このようなことを具体的に考えたことのなかった人はぜひ一度、“高齢期に何をしようか”考えてみてください。それが見えたとき、新たなことへチャレンジする「意欲」だったり、「楽しみ」や「希望」のようなもの湧き起こってはこないでしょうか。“たった1回の人生”を自分らしく満喫していくためにも、できるだけ早い段階から、後半人生の「生き方ニーズ」を考えていただくことをお薦めします。
(ニッセイ基礎研究所 前田 展弘)
筆者紹介前田 展弘(まえだ のぶひろ)
株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
研究・専門分野:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
- ▼ニッセイ基礎研究所ホームページ(前田主任研究員)
https://www.nli-research.co.jp/topics_detail2/id=41?site=nli