近年では、投票率向上策としてインターネットを利用した選挙運動が解禁されました。ウェブサイトや電子メールの他、政治家が自身の活動をツイッターやフェイスブックといったSNS(※4)を利用して有権者に情報発信を行っています。今後、有権者の興味や関心が政治に向かえば、すでに以前よりも情報を得やすい環境が整っています。また、大学への期日前投票所の設置や、投票日に無料バスを運行するといった投票率の向上に向けた取組みも行われています。
さらに現在、国会において選挙権を「20歳以上」から「18歳以上」に引下げる法案が審議されています(※5)。これがシルバー民主主義を是正するきっかけになるのではないかとの期待があります。
もちろん、選挙権を18歳に引下げたからといってすぐに国の政策の方向性が変わるのは難しいでしょう。18歳に引下げることで、新たな有権者は2016年で約240万人増える見通しですが、もともと若い世代の投票率が低い傾向にあることや65歳以上の人口が2010年時点で約3000万人と、高齢者が有権者に占める割合が大きい状況が劇的に変わるまでには至らないからです。
しかし、教育現場で政治教育が見直されることや政治家が若い世代をターゲットにした発信を増やすことにつながるなど、若い世代が政治や経済に接する機会が増えます。若い世代を中心に若い世代の立場に立った議論が活発になることで、国の政策の方向性にも影響を与えるはずです。
(注:本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。)