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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第77回 週1日以上運動している20歳代は4割に満たない!?

2016年7月1日

20歳代の8割が「運動不足」

 健康や体型の維持のために、運動が大切だと感じている人は多いでしょう。ところが、実際に運動を行っている人は、特に若年であまり多くありません。文部科学省が20歳以上を対象に行った「体力・スポーツに関する世論調査(2013年実施)」によれば、「週1日以上の運動をしている」割合は、60〜70歳代では6割程度であるのに対し、20〜40歳代では4割程度にとどまっています。

 運動を行っている割合の低さに伴ってか、20〜50歳代は運動不足を感じている割合が高い傾向があります。たとえば、20歳代では、運動不足を「大いに感じる」と「ある程度感じる」を合わせて、およそ8割が運動不足を感じています。運動を行っている割合が高い60〜70歳代でも、運動不足を感じている割合は半数を超えています。

図表1 運動を行った日数 成人全体 週に3日以上が24.4%、週に1〜2日が23.1%。その内、20〜29歳では週に3日以上が12.4%、週に1〜2日が25.5%。30〜39歳では3日以上が11.1%、週に1〜2日が25.2%。40〜49歳では3日以上が14.4%、週に1〜2日が22.6%。50〜59歳では3日以上が24.2%、週に1〜2日が21.3%。60〜69歳では3日以上が32.7%、週に1〜2日が24.9%。70歳以上では3日以上が39.9%、週に1〜2日が20.1%。

(資料) 文部科学省「体力・スポーツに関する世論調査」(2013年実施)

図表2 運動不足を感じている割合 成人全体 大いに感じるが31.5%、ある程度感じるが43.2%。その内、20〜29歳では大いに感じるが31.4%、ある程度感じるが50.9%。30〜39歳では大いに感じるが41.1%、ある程度感じるが46.7%。40〜49歳では大いに感じるが40.4%、ある程度感じるが42.1%。50〜59歳では大いに感じるが35.4%、ある程度感じるが44.9%。60〜69歳では大いに感じるが22.9%、ある程度感じるが42.3%。70歳以上では大いに感じるが22.4%、ある程度感じるが37.4%。

(資料) 文部科学省「体力・スポーツに関する世論調査」(2013年実施)

 では、運動不足を感じているのに、運動をしていないのはなぜでしょうか。
同調査によると、運動をしない理由は、20〜60歳代で「仕事(家事・育児)が忙しくて時間がないから」が最も多くなっており、30歳代では、9割近くがこれに該当しています。次いで、「運動・スポーツは好きではないから」が多くなっています。

 運動が重要だという意識だけでは、運動を継続するのが難しくなっているのかもしれません。

地域スポーツ推進の動き

 上記の運動をしない理由を踏まえて、2015年に文部科学省から公表された「今後の地域スポーツの推進方策に関する提言」では、地域において運動・スポーツを推進するための対策をあげています。

  • 仕事や育児、家事が忙しくて運動ができていないことへの対策

     最近では、競技スポーツではなく、ウォーキングやジョギングなどの、施設を使わずに身近なところで行えるエクササイズ系の運動をする人が増えています。また、早朝や深夜にフィットネスクラブに通うなど、ニーズが多様化しています。そこで、ライフスタイルに合わせて、気軽にスポーツに参加できる機会を提供することを検討しています。

  • 運動・スポーツが好きでないから運動をしないことへの対策

     児童の約8〜9割が「運動・スポーツが好き」、「体育(保健・体育)の授業は楽しい」と回答しているにも関わらず、10歳の時点でスポーツをする人としない人が分かれていることが、上記の提言で紹介されています。そして、子どもの頃の運動・スポーツ習慣の有無が、成人してからの運動・スポーツ活動に与える影響が大きい可能性があるとしています。そこで、学校体育・運動部活動と地域スポーツの連携を一層進め、学校卒業後は地域スポーツに参画するよう促進することなどを検討しています。

  • 運動・スポーツを支える体制

     さらに、障がいをもつ人が運動をする割合は低く、成人全体が週1回以上の運動を行った割合が47.5%なのに対し、障がい者では18.2%にとどまっています。そこで、障がい者が積極的にスポーツを行うことができるよう施設の整備や指導員の養成を進めています。
     また、障がい者を含めた人々のスポーツを支えるボランティア文化の醸成と、継続的にボランティア活動が行える環境の整備が必要と考えられています。

図表3 障がい者(成人)がスポーツ・レクレーションを行った日数 成人全体 週に3日以上が24.4%、週に1〜2日が23.1%。その内、障がい者(成人)では週に3日以上が8.5%、週に1〜2日が9.7%。

  • (資料) 今後の地域スポーツ推進体制の在り方に関する有識者会議
    「今後の地域スポーツの推進方策に関する提言」2015年6月

 このように、国としてもスポーツ活動を発展させるために環境の整備を行っています。みなさんも、運動を行うだけでなく、スポーツボランティアに参加するなど、これまで以上に、運動との接点を増やしてみませんか?

(ニッセイ基礎研究所 村松 容子)

筆者紹介

村松 容子(むらまつ ようこ)

株式会社ニッセイ基礎研究所、保険研究部 研究員
研究・専門分野:共済計理人・コンサルティング業務、生保市場調査