
⾷料品や電気代、ガソリン代など、あらゆる物価が上がり続けている昨今。総務省が発表している消費者物価指数(※)でも、⽣鮮⾷品を除く総合指数は前年度と⽐較して3%上昇しており、物価⾼の流れが顕著になっています。「⼈⽣100年時代」と⾔われるなかで、お⾦に対する悩みや、将来への不安を抱えている⼈も多いのでは?そこで、今後どのように備えていくべきなのか、お⾦のプロである丸⼭晴美先⽣に伺いました。
※総務省 2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)3⽉分
貯⾦は、いざというときのため

私たちは毎⽉の収⼊でやりくりして⽣活していますが、それは短期のお⾦の考え⽅。でも実はお⾦というのは、もっと⻑い⽬、つまり中・⻑期で考えて備えていくことが⼤切です。
たとえば、下記3つのポイントが⼈⽣の三⼤資⾦と⾔われています。

でも、こういった⼤きい資⾦以外にも「家電が壊れた」「旅⾏したい」「⾞が買いたい」など、さまざまな出費がライフイベントごとに発⽣します。
それらに備えるお⾦は、毎⽉の給料から捻出するのは、なかなか難しいもの。だからこそ、ふだんからコツコツ貯めておかなければいけないのです。
基本的にお⾦は、⼀朝⼀⼣で貯まるものではありませんから、まず「いつまでに」「いくら貯める」という⽬標を⽴てます。そこから「毎⽉いくら貯めるか」を逆算して、その⾦額を先取りして、残ったお⾦でやりくりします。
たとえば「1年後に家族で旅⾏するために30万円貯める」なら、⽉々2万5000円を先取り貯⾦する、ということです。余ったお⾦を貯めようとしても、なかなか貯まりません。
とにかく最初に必要なお⾦は別に取り置いて、残ったお⾦でやりくりする。それがベーシックかつ最強の貯め⽅になります。

これからは預貯⾦だけでは不安!?
下の図をご覧ください。まだまだ⽇本⼈の多くは預貯⾦で資産を増やしています。

※出典:⽇本銀⾏調査統計局「資⾦循環の⽇⽶欧⽐較」家計の⾦融資産構成 2022年
※「その他計」は、⾦融資産合計から、「現⾦・預⾦」、「債務証券」、「投資信託」、「株式等」、「保険・年⾦・定型保証」を控除した残差
しかしながら、預貯⾦は短期ならともかく、中・⻑期で考えると⼼配な部分があります。
なぜなら今はインフレで物価が上がっているから。インフレで物価が上がるということは、現⾦の価値が下がっているということ。つまり今まで100円で買えたものが150円出さないと買えない時代になりはじめているということです。
単純に現⾦の価値が⽬減りしている状況の中で、これからもインフレが続くのであれば、中⻑期で考えるとやはり預貯⾦だけでは、ちょっと備えが⾜りません。何かしら投資で資産形成を考えていった⽅がよい時代がきているのです。
私⾃⾝は、預貯⾦をはじめ、国⺠年⾦基⾦の積み⽴て、NISA⼝座の積み⽴て投資、株主優待狙いの株式投資、不動産投資などを⾏っています。⼀つに絞らず「分散」することが⼤切です。
時間を味⽅につければ資産を増やせる!

とにかく投資による資産形成で⼤切なことは「⻑期‧積⽴‧分散」です。たとえば20年という⻑期にわたって毎⽉1万円、全世界株式などに分散して投資すれば、リスクが抑えられ、着実に資産を増やせる可能性が⾼まるでしょう。

※出典:⾦融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」
資産を増やすときに覚えておいてほしいのは、「時間を味⽅につける」ということです。
冒頭でもお伝えしたように、お⾦は⼀気に貯めることはできないし、過去に戻って貯めなおすこともできません。だから貯めないと不安だな、と思ったときは⼀歩踏み出して、少額でもいいから積み⽴て投資を始めることが⼤切なのです。
ただし、投資の場合は変動リスクがつきもの。不安な⽅は確定年⾦などもおすすめです。
そして⼀つに⾦融商品を集中させると何かあった時に困るので、投資をする⾦融商品は分散させましょう。商品で分けるまたは地域通貨で分けるか、元本が減るリスクはあるけれどリターンが期待できるものとそうでないもので分けるか、そのバランスはご⾃⾝の投資スタンスで決めていくことが⼤切です。
投資をはじめるにあたり、まずは⽣活費の⾒直しや「節約」についても考えてみましょう。



節約アドバイザー‧ファイナンシャルプランナー‧
消費⽣活アドバイザー
丸⼭晴美(まるやま‧はるみ)さん
22歳で節約に⽬覚め、1年で200万円を貯めて26歳でマンションを購⼊。その体験をもとに節約アドバイザーとして独⽴。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費⽣活アドバイザーなどの資格も取得し、メディアや講演でおトクなマネー情報を発信し続けている。『お⾦を活かす ハッピーエンディングノート』(東京新聞)、『かんたん申請で「⽉5万円」もらえる! シングルママの「お⾦に困らない」本』(徳間書店)、『50代から知っておきたい! 年⾦⽣活の不安、解消します』(共著・幻冬舎)など著書多数。
※当社から丸⼭さんに依頼し記事を執筆いただいたものです。