人的資本

規約型企業年金の運用におけるスチュワードシップ責任を果たすための方針

2022年7月11日
日本生命保険相互会社

Ⅰ.基本方針

 日本生命保険相互会社(以下「当社」)は、2014年5月26日に「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫(以下「当コード」)を受け入れる旨を表明して以降、企業との対話を重視するスチュワードシップ活動を行い、PDCAを継続的に実施していくことで当社のスチュワードシップ活動の充実に努めてまいりました。

 これは、当コードが掲げる「建設的な対話などを通じて企業価値の向上や持続的成長を促す」という考え方の根幹が、当社の、長期投資を行う機関投資家として投資先企業との環境・社会の要素も考慮に入れた建設的な対話を通じて中長期的な企業価値向上につなげるとともに「安心・安全で持続可能な社会」を実現する、という考え方・スタンスに合致することから、その理念に賛同し実施してきたものです。

 当社は、従業員の企業年金として規約型の確定給付型企業年金を実施しており、その資産運用においては、直接に株式等を保有せず運用機関に資産運用を委託しておりますが、その過程において、委託先運用機関を通じて投資先企業の環境・社会の要素も考慮した中長期的な企業価値向上を図ることが、最終受益者である加入者・受給者の利益向上につながるとともに、「安心・安全で持続可能な社会」の実現に向けた一助となるものと考えています。

 当コードが掲げている、

  • アセットオーナーは最終受益者の視点を意識しつつ運用機関による実効的なスチュワードシップ活動が行われるよう促すべきである
  • 機関投資家はESG要素を含むサステナビリティの考慮に基づく建設的な対話などを通じて投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を促すべきである

という考え方は、当社の考え方に合致するものであり、企業年金運用におけるアセットオーナーとして適切にスチュワードシップ責任を果たすため、今般、当社規約型企業年金としても≪日本版スチュワードシップ・コード≫の趣旨に賛同し、当コードを受け入れることを表明いたします。

 当社規約型企業年金は、スチュワードシップ活動にあたり、委託先の運用機関に対して、当コードの受け入れおよび当コードの趣旨にのっとったスチュワードシップ活動を要請し、委託先運用機関との対話を継続的に実施していくことにより、スチュワードシップ責任を果たすことに努めてまいります。

Ⅱ.各原則への対応

原則1 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

 当社規約型企業年金は、従業員の企業年金の運用において、アセットオーナーとして、スチュワードシップ責任を果たすため、本方針を策定します。

 当社規約型企業年金は、最終受益者の視点を意識しつつ、その利益の確保のため、委託先の運用機関に対し、ESGを含めたサステナビリティの考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」などを通じて、投資先企業の企業価値向上や持続的成長を促すことにより、受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図ることを求めます。

 当社規約型企業年金は、委託先運用機関選定にあたり、スチュワードシップ・コードを受け入れる運用機関に資産の運用を委託し、委託後は、委託先の運用機関によるスチュワードシップ活動の適切性をモニタリングします。

原則2 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

 当社規約型企業年金は、委託先運用機関に対して、スチュワードシップ責任を果たすうえで管理すべき利益相反への明確な対応方針の策定、公表および遵守、ガバナンス体制の整備を求めます。

原則3 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

 当社規約型企業年金は、委託先の運用機関に対して、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を継続的かつ的確に把握することを求めます。

原則4 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

 当社規約型企業年金は、委託先の運用機関に対して、中長期的な視点から投資先企業の企業価値および資本効率を高め、その持続的成長を促すために、ESGを含めたサステナビリティの考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」に関する方針の策定を求め、当該方針に基づき、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題改善に努めることを求めます。

 また、委託先の運用機関がESGを含めたサステナビリティを巡る課題に関する対話を投資先企業と行うにあたっては、運用戦略と整合的で、中長期的な企業価値の向上や持続的成長に結び付くものになるよう努めることを求めます。

原則5 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

 当社規約型企業年金は、委託先の運用機関に対して、議決権の行使と行使結果の公表に関する明確な方針を策定し、これを公表することを求めます。

 また、当該方針に基づき、原則すべての保有株式について議決権を行使し、その行使結果を公表することを求めます。

原則6 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

 当社規約型企業年金は、委託先の運用機関に対して、スチュワードシップ活動の実施状況に関する報告・対話の機会を求め、少なくとも年に一度、その結果を企業年金の加入者に報告します。

 併せて、従業員への教育を通じて、ESGを含むサステナビリティに対する理解浸透に努めます。

原則7 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

 当社規約型企業年金は、委託先の運用機関に対して、ESGを含めたサステナビリティの考慮に基づく、スチュワードシップ責任を適切に果たすために必要な実力を備えることを求めます。

 また、委託先の運用機関に対し、スチュワードシップ・コードに沿った取り組みがなされているかに関し、定期的に自己評価を行い、その結果を公表することを求めます。

 また、当社規約型企業年金は、当該運用機関のスチュワードシップ活動を適切に評価するために必要な実力を備えるよう努めます。

原則8 機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである。

 当社規約型企業年金は、機関投資家向けサービス提供者に該当しません。

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