総代会・総代懇談会

第75回定時総代会議事要旨(質疑応答の要旨)

2022年7月5日(火曜日)、午前10時30分から、大阪市北区中之島五丁目3番68号、リーガロイヤルホテルにおいて、第75回定時総代会を開催した。

総代数 196名
出席総代数 196名(うち、委任状による出席49名)

なお、委任状による出席者のうち、40名については、自宅または勤務先等にて、Web会議ツールを通じ定時総代会の審議等の状況を確認し、質問等もできる環境で参加していた。

出席取締役(取締役20名中、出席取締役20名(全員))
筒井義信、清水博(議長 兼 議事録作成者)、古市健、鬼頭誠司、松永陽介、牛島信、今井和男、三浦惺、冨田哲郎、濱田純一、三笠裕司、藤本宣人、朝日智司、戸田和秀、赤堀直樹、佐藤和夫、大澤晶子、中村克、井出口豊、山内千鶴
出席監査役(監査役6名中、出席監査役6名(全員))
今井敬、豊泉貫太郎、但木敬一、佐藤良二、小林一生、内海弘毅

総代からの書面等による事前質問に対し、全ての質問・要望に対する回答を資料として配付しており、以下の質問・要望については、議長および担当役員から回答を行った。

質問1

監査等委員会設置会社への移行自体は必ずしもガバナンス体制の高度化にはつながらないが、独立社外取締役が過半数かつ委員長を務める「指名・報酬諮問委員会」の任意設置により、高度化を期待できるのではないかと思う。もっとも、モニタリング・ボードへの移行を志向するのであれば、委員会の権限が法定機関としてさらに強化される指名委員会等設置会社に移行することも選択肢になり得ると思うが、今後そのような方向性も考えているのか。

質問2

監査等委員会設置会社に移行することは、ガバナンス体制の大きな変更になるが、機関構成の選択肢としては他に指名委員会等設置会社もある。相互会社である日本生命のあるべき機関構成として、指名委員会等設置会社ではなく、監査等委員会設置会社を選択した理由を教えてほしい。

質問3

ガバナンス体制の高度化に一層取り組み、金融業界のリーダーとして発展してほしい。

質問1~3への回答

  • 当社は、コーポレートガバナンス体制を高度化すべく、今回の定時総代会において、「定款一部変更」の議案について承認いただくことを条件に、監査等委員会設置会社に移行する。
  • 生命保険会社である当社では、取締役会でも執行現場の実情を踏まえ、お客様や職員の声をしっかりと経営にいかすことが重要であり、そのためには監督機能と執行機能がそれぞれ機能発揮しつつ協働していく体制の構築が必要であると考えている。今般、このような体制を引き続き構築すべく、監査等委員会設置会社への移行を選択しており、監督機能と執行機能の完全分離を志向する指名委員会等設置会社への移行は、現時点では考えていない。
  • 一方、今回のコーポレートガバナンス体制の高度化においては、①迅速・果断な業務執行の実現、②戦略議論の強化、および③監査・監督機能の強化を狙いとしているが、狙いどおりの効果を実現するためには、ご指摘のとおり、監査等委員会設置会社への移行という機関設計の変更だけではなく、運営面の変更が重要であると考えている。
  • 具体的には、定時総代会議案書P95に記載の取組を基本として、以下の3点に取り組んでまいりたい。
    • 取締役会では、より議論に適した規模を志向するとともに、付議案件を見直し、情報提供を主旨とする案件の付議を収束すること等により、中長期的な戦略議論をさらに充実
    • 社外取締役委員会を改組して設置する社外取締役会議では、経営の重要事項の審議に特化し、より一層社外の知見を取り込み積極的に活用することで、執行における戦略立案および取締役会における戦略議論をさらに高度化
    • 柔軟な配置が可能な執行役員が各部門等で迅速・果断な業務執行を行うこと等を通じて、戦略を実現
  • こうした取組を通じ、コーポレートガバナンス体制の高度化を実現するとともに、今後も、当社の事業および環境の変化等を踏まえ、不断の見直しを行ってまいりたい。

質問4

サステナビリティ委員会を経営会議の諮問機関の一つとして位置付けているようだが、海外では、取締役会にサステナビリティ委員会を設置して、当委員会の独立社外取締役がリーダーシップを発揮する実務が主流になりつつあると言われている。日本においても、一部の企業に同様の委員会を設置する動きがみられるが、サステナビリティ経営をモニタリングするためのサステナビリティ・ガバナンス体制について、今後の取組方針を教えてほしい。

回答

  • 当社は、2021年度からスタートした中期経営計画「Going Beyond-超えて、その先へ-」において、「お客様本位の業務運営」と「サステナビリティ経営」を事業運営の根幹に据え、当社の社会的役割のさらなる発揮に向け、取り組んでいる。
  • 取組にあたっては、経営会議の諮問機関として、サステナビリティ委員会を設置し、グループ会社を含めたサステナビリティ経営に関する全社取組方針の策定や、サステナビリティ重要課題への取組状況の確認、対外開示に関する対応方針の策定等の議論を行っている。
  • また、取締役会および社外取締役が議長を務める社外取締役委員会では、サステナビリティに係る幅広いテーマについて議論するとともに、取締役会にてサステナビリティ委員会の開催結果の報告を受け、取組状況等の監督を行っている。2022年度からは、社外取締役委員会を改組して設置する社外取締役会議において、サステナビリティの取組状況や今後の方向性に関して議論することを予定する等、より一層、社外取締役の知見を活用していくことも検討している。
  • さらに、評議員会をはじめ、社外有識者とサステナビリティ経営について議論を行う等、より幅広く社外の知見を取り込み、取組の高度化を進めている。
  • 現在、日本でも、取締役会とサステナビリティ委員会の関係性を強める取組が増えてきていることを踏まえ、当社においても、サステナビリティ経営を推進すべく、社外の知見のさらなる活用も含めた最適な体制等について、引き続き検討してまいりたい。

質問5

営業職員チャネルにおけるDXの今後の展開について教えてほしい。

回答

  • 当社は、営業職員チャネルにおけるDXを推進すべく、従来から以下のような先進的な取組を進めてきた。
    • 2012年にタブレット型の営業職員用携帯端末「REVO」を導入し、電子サインや印鑑レスを推進するとともに、2019年には、現在の「TASKALL」を導入し、AIを活用した営業職員へのアドバイスやカメラ機能を用いた本人確認書類の撮影等の機能を追加
    • 2019年に営業職員チャネルを含む全社のDXを推進する「日本生命デジタル5カ年計画」をスタート
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、営業職員チャネルにおけるDXを一層加速しており、デジタル装備の充実等を通じ、対面にオンラインを組み合わせた「デジタル時代のフェイス・トゥ・フェイス活動」を実践すべく、以下のような取組を進めてきた。
    • 2021年1月に「画面共有システム(※)」を全店舗へ配備、2021年8月に営業職員用スマートフォン「N-Phone」を全営業職員へ配備
    • お客様へ直接お届けしていた提案書等の資料をメールやLINEで送付
    • 商品説明動画やお客様ご自身で手軽に保険料設計が可能なシミュレーションを提供
  • 今後は、これらのデジタル装備を効果的に活用し、「デジタル時代のフェイス・トゥ・フェイス活動」を定着させる段階と認識しており、具体的には、以下の取組を進めている。
    • オンライン活動を組み込んだ、日次・月次・年次の基本活動の設定
    • オンライン活動の状況やお客様の反応を把握できるマネジメントシステムの導入
    • お客様からの評価の分析を踏まえた新たな商品説明動画やオンラインイベント等の企画・提供
    • オンライン活動の成功事例を「N-Phone」等を通じ、全国の営業職員に共有
  • 以上の取組を通じ、営業職員チャネルのDXを一層推進し、お客様一人ひとりのご意向にお応えできるよう取り組んでまいりたい。
    • (※)「TASKALL」の画面とお客様のパソコン等の画面を共有し、オンラインで同じ画面を見ながら提案や手続き等ができるシステム。

質問6

画面共有システムを活用した手続きにおいては、画面共有と音声共有のために別のアプリケーションの立ち上げが必要になり、対面の手続きより時間がかかる。また、PC・タブレットのみでスマートフォンでの手続きができないことから、利便性も悪いと感じている。幅広い層をターゲットにするうえでは、一律にシステム構築をするのではなく、以下のような契約者属性を踏まえた対応をしてはどうか。

  • デジタルに慣れているお客様に対しては、ネット生保のように本人主体で手続きを進められるようにする
  • デジタルに慣れていないお客様に対しては、フェイス・トゥ・フェイスを最大限にいかし、営業職員がお客様に寄り添った体制を維持する

回答

  • 当社では、従来から営業職員チャネルにおけるDXを推進してきた。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、より一層取組を加速する中、デジタルに慣れているお客様でも、単純な資料送付であればメールやLINEを希望する一方、保険商品に関する詳細な説明は対面を希望する場合も引き続き多いと認識している。
  • そのため、お客様属性にかかわらず、オンラインと対面を自在に組み合わせ、お客様のご意向に沿った対応をすることが大切であると考えている。
  • まず、オンラインの取組として、お客様のご要望に応じた方法でやり取りをさせていただくべく、「画面共有システム(※)」や「N-Phone」を配備し、メールに加え、LINE・Zoomの機能を導入している。
  • また、従来お客様へ直接お届けしていた提案書や、商品説明動画・保険料シミュレーション等をメールやLINEにて、送付可能とするとともに、ホームページ・スマートフォンで利用可能な手続きの範囲を拡大する等、お客様ご自身で手続き等を行えるような態勢も整備している。
  • こうしたデジタルを活用した活動を定着させるべく、営業職員のスキル教育に継続的に取り組むとともに、2021年9月に導入したマネジメントシステムを活用し、お客様の反応や営業職員の活動を見える化することで、つぶさな指導・フォローを行っている。
  • 次に、対面の取組としては、コンサルティング力を向上すべく、実際のお客様対応の場面をイメージしたロールプレイングに注力する等、より実践的な教育を行っている。
  • なお、ご指摘いただいた「画面共有システム」の音声共有ができない点や対応端末が限られるといった点により、ご不便をおかけしているが、現在、お客様の利便性向上に向けた検討を進めている。
  • こうした営業職員チャネルでの取組に加え、お客様ご自身で手続きを進めたいというご要望にお応えすべく、子会社のはなさく生命にて、インターネットで保険申込を完結できるサービスを提供している。
  • 今後も引き続き、多様なお客様ニーズに対応すべく、グループ一体で取り組んでまいりたい。
    • (※)「TASKALL」の画面とお客様のパソコン等の画面を共有し、オンラインで同じ画面を見ながら提案や手続き等ができるシステム。

質問7

営業職員の採用目標数を撤廃したとのことだが、以下について教えてほしい。

  • 最低採用数もないのか
  • 3年未満の離職率はどの程度なのか
  • 研修等の育成の充実以外で今後の離職防止の取組は

回答

<①最低採用数>

  • 当社では、長く安定的に活躍できる営業職員の育成に向けては、採用時の見極めが重要と考えており、これまでも厳選採用を掲げ取組を進めてきた。しかしながら、採用目標があることで、厳選採用より目標達成を優先してしまうケースが一定あったと認識している。
  • こうした認識のもと、2022年4月に最低採用数も含め採用目標を撤廃するとともに、当社独自の採用試験を強化している。

<②3年未満の離職率>

  • 育成専管指導者を軸として一人ひとりに合わせた丁寧な育成に取り組んでおり、2019年度には、一律2年であった営業職員の初期育成期間を、成長段階に応じて最長5年に延長する等、一人ひとりの成長にあわせた育成カリキュラムの見直しも行ってきた。
  • こうした取組を通じ、2018年度に採用された営業職員の3年未満の離職率は、57.5%となっており、10年前と比較すると、12.9ポイント改善しているが、未だ高い水準だと認識している。
  • そのため、直近では、初期育成期間におけるカリキュラムをより実践的な内容に見直すとともに、新たに発行した「長く安定的に活躍できる職員BOOK(※)」も活用し、営業職員のエンゲージメント向上に向けた取組を進めている。

<③研修等の育成の充実以外で今後の離職を防止するための取組>

  • これまでも福利厚生の充実や休暇取得の推進を通じた働き方の変革に加え、より働きやすい環境の整備に向け、営業拠点のリニューアルや営業職員アンケートを通じた課題解決等の取組を進めてきた。
  • 直近では、「N-Phone」を活用し、オンラインで自学自習や研修に参加できる環境を整備するとともに、営業拠点の朝礼もオンラインでも参加できるようにする等、時間や場所の制約がない効率的な働き方を推進している。
    • (※)当社が創業以来、戦争や大震災等の有事に際しても保険金・給付金のお支払いを通じ、お役に立ってきた歴史や、保険営業の前提となる「生命保険の意義・理念」、保険営業のやりがい、当社が目指す働き方とそれに向けて取得すべき資格・知識等をまとめた冊子。

質問8

経営環境が大きく変化する中、今後も日本生命の強みであるフェイス・トゥ・フェイスを大切にし、お客様本位の営業を貫いてほしい。

質問9

コロナ禍が長期化する中、インフラ面の整備を進められているが、営業職員のメンタル・マインド面を心配している。経営層による営業職員のケアを行うことで生産性の向上につながると思うので、これまで以上に取り組んでほしい。

質問8~9への回答

  • 当社では、営業職員のお客様本位の活動を一層進め、お客様からの信頼を獲得し、選ばれ続ける営業職員チャネルになるべく、2022年度より、営業現場と本部が一体となった販売改革をスタートしている。
  • この販売改革では、長く安定的に活躍できる営業職員育成を目指すとともに、各支社が抱える中長期的な課題を踏まえた自主経営を推進すべく、以下のように①活動・育成、②営業現場の執行、および③営業現場と本部のコミュニケーションの3点から取組を進めている。

<①活動・育成>

  • 長く安定的に活躍できる営業職員の育成に向け、2022年度より、「ニッセイまごころマイスター認定制度」を導入している。
  • これは、担当するお客様数やご契約の継続状況等の活動実績に加え、資格・専門知識の習得状況やお客様からの声等を定性評価として組み込み、ランク認定し給与を支給する制度で、営業職員のお客様本位の活動に対する意識を高めるものである。

<②営業現場の執行>

  • 各支社の特徴や課題に沿った経営を推進すべく、本部主導から、支社主導での計画・戦略策定への変更や支社・営業拠点の評価体系の見直しを行っている。
  • これにより、人材育成等の中長期的な課題に対しては、単年度だけでなく、各支社が抱える課題や置かれた環境を踏まえた中長期的な計画を立て、腰を据えた取組を進めてまいりたい。

<③営業現場と本部のコミュニケーション>

  • 上記の①活動・育成、②営業現場の執行をはじめ、さまざまな取組をより良いものにしていくためには、営業現場・本部全員が意見を出し合い、お互いに意見を聞き、議論し、納得して進めていくことが大切であると考えている。
  • そのために、これまで行ってきた役員層による営業現場の生の声を収集する取組に加え、今年度より、お客様本位推進役を各地域に配置するとともに、声を踏まえた本部による恒常的なPDCAを実施してまいりたい。
  • 以上の取組を通じ、新型コロナウイルス感染症をはじめ経営環境が大きく変化する中でも、当社の強みであるフェイス・トゥ・フェイスを通じたお客様本位の活動を一層推進するとともに、その活動をサポートすべく、役員・本部・支社が一丸となり営業職員に寄り添えるよう取り組んでまいりたい。

質問10

2022年4月より不妊治療が保険適用される一方、助成金制度が廃止されることで、保険適用外の治療を受ける場合、経済的負担が増える懸念があると思う。日本生命には、不妊治療を保障する保険があるが、これを機に保障内容の見直しをしてはどうか。また、あまり認知されていないと思うので、認知向上に向けた取組を強化してはどうか。

回答

  • 2022年4月の不妊治療の健康保険適用化により、健康保険が適用される治療費用の負担軽減が期待できる一方、同時に廃止された地方自治体の助成金の補助を受けながら高額な自由診療を受診されていた方は、負担が増加する場合もあるといわれている。
  • 当社では、不妊治療に備えることができる保険として、2016年より、ニッセイ出産サポート給付金付3大疾病保障保険「ChouChou!(シュシュ)」を販売しており、健康保険の適用可否にかかわらず、特定不妊治療(採卵・胚移植)や出産、3大疾病を保障することで、「女性の健康」と「妊娠・出産」をトータルでサポートしている。
  • しかしながら、不妊治療といったデリケートな事柄のため、積極的な提案が難しい側面もあり、販売件数が多いわけではない。一方で、約5組に1組の夫婦が不妊検査や治療を受けたことがあるという状況を踏まえ、保障内容の見直しについては、今般の健康保険適用化も受けてのお客様の反応も見ながら、検討してまいりたい。
  • なお、「ChouChou!(シュシュ)」以外にもニッセイみらいのカタチ 入院総合保険「NEW in 1(ニューインワン)」を販売しているが、今回の不妊治療の健康保険適用化に伴い、これまでの入院給付に加えて、不妊治療での外来手術等が新たに保障対象となった。
  • これらの商品について、ご指摘いただいたような認知度向上にも取り組むことで、一層お客様のお役に立てる機会を増やしてまいりたい。

質問11

過去の給付金請求歴等で、新たな保険契約の引受けに懸念があるお客様への保険の提案に際しては、より慎重な対応が求められるが、その点につき必要な対策は講じられているか。

回答

  • 当社では、過去に給付金請求歴等の情報があった場合でも、その後の経過期間や、追加の診療情報等によっては、お引受けが可能となる場合もあるため、システム上、一律に提案書作成を制限するのではなく、お客様の状況に応じ、保険をご提案できるようにしている。
  • なお、給付金請求歴等の情報があるお客様に、新たな保険のご提案をする場合、提案書作成時に営業職員の携帯端末の画面に「医的情報があるので、必ず営業部長に相談」するようウォーニングを表示する等、営業職員が事前に確認できる仕組みとしている。
  • 相談を受けた営業部長は、社内システムや本部照会により、具体的な病名やお引受けの可能性を事前に確認したうえで、ご提案を行うかどうかを検討し、ご提案する場合は、お引受けの可否についてお申込後に当社にて判断を行うこと、その結果お引受けできない場合もありうること等を、慎重かつ丁寧にお客様へ説明するよう営業職員に指示することとしている。
  • ご指摘のとおり、お申込いただいてもお引受けできない懸念があるお客様については、より慎重かつ丁寧な対応が必要であると認識しているので、今後より一層、ご提案に際し、お客様に配慮した丁寧な対応が担保できるシステムサポート等の仕組みづくりや、十分な社内教育を進めてまいりたい。

質問12

保険契約の引受けをお断りせざるを得ない場合、通知文書や対応方法等、お客様へ丁寧に説明する仕組みができているのか。

回答

  • 当社では、お申込みいただいたご契約について、お引受けいたしかねるとの判断に至った場合、お申込み手続きを行った担当の営業職員より、通知文書の手交等を通じ、ご説明する取り扱いとしている。
  • 通知文書については、お客様の健康状態に関わるセンシティブ情報でもあるため、万が一、他の方の目に触れた場合の影響が最小限となるよう、可能な限り情報を吟味する等、情報管理の視点も意識して作成している。
  • なお、お引受けが困難との結果になった場合でも、追加で新たな診療情報等をいただけた場合には、その内容にて再検討が可能なケースもあるため、その可能性を判断するために、お客様のご意向も踏まえ、直近の状況を改めて詳細にお伺いするといった対応を行う場合もある。
  • 保険の引受可否をお伝えするという極めて重要な場面においては、より一層丁寧なお客様対応となるよう、社内教育を進めるとともに、通知文書の内容や対応方法の見直し等、仕組みのさらなる充実に向けた検討を行ってまいりたい。

質問13

ロシア・ウクライナ情勢の長期化が経営に及ぼす影響について教えてほしい。

回答

  • 当社は、ロシア・ウクライナにおいて、直接、生命保険事業を展開しておらず、また、資産運用においても、直接投資の残高はなく、投資信託を経由した間接投資の残高も僅少であり、現時点で直接的な影響はないと認識している。また、今般の事案を受け、サイバー攻撃が増加しているが、当社をターゲットとした攻撃の兆候はない。
  • しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢が長期化することで、以下のような影響があると考えている。
  • まず、資産運用では、今般の事案を受け、資源・食料品価格等の上昇を通じたインフレが生じており、消費者購買力の低下が想定される等、金融・経済環境に与える影響には注視する必要があると考えている。
  • 今後、長期化することで、経済のブロック化が進展する懸念があり、供給制約の継続やサプライチェーンの見直しの動きを通じ、インフレの高止まりが長期化するリスクがあると考えている。
  • また、ESGの観点では、欧州のロシアへのエネルギー依存を踏まえると、再生可能エネルギーへの置き換え等、脱炭素の動きが一層加速する可能性や、逆に既存エネルギーの実用性が見直され、石油・石炭発電へ回帰するといった、双方の可能性があると考えている。
  • こうした幅広いマーケットの動きを想定しながら、資金配分計画の見直し等、機動的に対応をしてまいりたい。
  • 次に、国内保険・海外保険では、より長期の目線で、インフレの高止まりにより世帯の消費者購買力が低下することで、解約の増加や新契約の減少といった影響が生じると想定している。
  • また、海外保険においては、米国の金利上昇による新興国からの資金流出や中国等の地政学リスクが高まることも想定している。
  • これらに加え、サイバー攻撃については、引き続き活発化する懸念があることから、重点監視を継続するとともに、万が一、サイバー攻撃による被害が発生した場合は、即座に対処してまいりたい。
  • 今後も引き続き、さまざまなシナリオを想定したストレステスト等を通じたリスクの把握や、予兆管理を徹底し、リスク発生時の損失の抑制を図り、契約者保護に努めてまいりたいと考えている。

質問14

米国金利上昇に伴う有価証券ポートフォリオへの影響と対応について教えてほしい。

回答

  • 米国をはじめ諸外国の中央銀行が金融政策を引き締めへと転換したこと等を背景に、海外金利が上昇する一方で、国内では、日本銀行が金融緩和政策を維持する方針としたことで、諸外国との金融政策の違い等から、円安が進行するとともに、内外金利差の拡大に起因し、為替ヘッジコストが上昇している。
  • これらによる当社有価証券ポートフォリオへの主な影響は、運用収益において、為替ヘッジコストの上昇は減益要因となる一方、円安の進行による外国債券利息の増加や金利上昇に伴う新規投資時の投入利回りの向上は増益要因となる。また、資産の評価については、海外金利の上昇によるマイナスと円安の進行によるプラスの両面がある。
  • 当社は、中長期的な資産運用の基本方針に沿って、国際分散投融資の推進等、資産運用ポートフォリオ全体のリスク・リターン効率向上に取り組みつつ、直近の資産運用環境の急速な変化に対応すべく、資金配分計画について機動的な見直しを実施している。
  • 具体的には、外国国債を売却し、相対的に利回りの高い外国社債や、金利上昇余地が限られる日本の債券等への入替えを計画している。また、円安局面を捉えた外貨建資産の為替益実現や、将来の円高リスクへの対応としての為替リスク削減等、幅広いマーケットの動きを想定しながら対応を図っている。
  • 今後の資産運用環境は、インフレの高止まりとそれに伴う金融政策の動向、ロシア・ウクライナ情勢を受けた地政学リスクの高まり等、不確実性の高い状況が継続することが想定されるが、当社では、想定される複数のシナリオごとに収支・健全性への影響を分析のうえ、必要な対応策を検討するフォワードルッキングなリスク管理に努めている。
  • 引き続き、資産運用面・リスク管理面での各種取組を通じて、堅固な資産運用ポートフォリオを構築し、ご契約者資産の保護に努め、安定的な利差益確保を実現してまいりたい。

質問15

ロシア・ウクライナ情勢等の影響により、サイバー攻撃が増加しているが、日本生命は多くの顧客情報を保有していることから、サイバーセキュリティ対策をより一層強化する必要があるのではないか。また、日本生命でもサイバー攻撃に対する保険を取り扱っているのであれば、アピールしてはどうか。

回答

<サイバー攻撃への対応>

  • ロシア・ウクライナ情勢等も受け、サイバー攻撃が増加する中、当社では24時間・365日体制で監視しているが、サイバー攻撃の増加の兆候はなく、ダークウェブ等のモニタリングにおいても、当社をターゲットとした攻撃の兆候はない。
  • 当社では、常態化しているサイバー攻撃に対応すべく、これまで以下のとおり①技術的対策、②組織的対策、および③職員教育の3点から取り組んでいる。

(①技術的対策)

  • 「不正アクセスや攻撃メールの遮断」や「社内ネットワークとインターネットの分離」等による侵入防止に加え、「ウイルス侵入時の早期検知・対応」や「攻撃者との通信の検知・遮断」等による情報窃取や遠隔操作の防止を実施している。

(②組織的対策)

  • サイバー攻撃専門の監視チームを設置し、24時間・365日監視しており、事象発生時は、システム部門とリスク管理部門が合同で専門チームを立ち上げ、対応にあたる運営を確立している。また、事象別の対応マニュアルの整備に加え、定期的な訓練の実施や外部団体主催の演習への参加を通じ、適宜、対応内容を見直している。

(③職員教育)

  • 定期的なセキュリティ教育や攻撃メール訓練等を通じ、全役員・全職員のセキュリティ意識の向上を図っている。また、サイバー攻撃に伴う大規模な業務停止や情報漏えい発生時の対応について、リスク管理部門が中心となり、経営層を含め定期的な訓練を実施している。
  • サイバー攻撃の手口は常に高度化・巧妙化していくため、今後もサイバーセキュリティ対策の継続的な強化を進めてまいりたい。
  • <サイバー攻撃に対する保険>

  • 当社は、あいおいニッセイ同和損害保険の販売代理店として、営業職員チャネル等でサイバー攻撃による企業の賠償責任等を補償する損害保険のご案内・ご提案をしている。
  • ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴い、サイバー攻撃が活発化することも想定されるため、より多くの企業にご案内できるよう、これまで以上に取組を強化してまいりたい。

質問16

気候変動問題への取組として、日本生命グループの事業活動領域におけるCO2排出量削減の2030年中間目標を△51%(2013年度比)と設定しているが、CO2排出量の測定方法と目標達成に向けた取組を教えてほしい。

質問17

日本生命グループのカーボンニュートラルの具体策および前倒しの可能性について教えてほしい。

質問16~17への回答

  • 当社では、脱炭素社会の実現に向け、事業活動と資産運用の領域において、2050年ネットゼロおよび、2030年までの中間目標(※1)を設定し、取組を進めている。
  • <事業活動領域>

  • 温室効果ガス排出量の算定と報告の世界共通基準や環境省の定めるルールに基づき、事業活動における物流・販売・廃棄等に関係するあらゆる排出をスコープ1~3(※2)に分け、それを合計したものを当社の事業活動におけるCO2排出量として測定している。
  • そして、以下のようにスコープごとに削減に向けた取組を進めている。
    • スコープ1(ガソリン・燃料):
      全ての社用車をCO2排出量の少ない車種(EV車・PHV車等)へ切り替え
    • スコープ2(電気):
      営業拠点・保有ビルの省エネルギー化(太陽光パネル・蓄電池の設置を通じた再生可能エネルギーの導入やLED化の推進等)
    • スコープ3(紙・物流等):
      ご契約のしおりの電子化や事務手続きのデジタル化等
  • なお、2021年度のCO2排出量は、約19万トン(スコープ1:約3万、スコープ2:約7万、スコープ3:約9万)となっており、2013年度対比で約2割を削減している。
  • 以上が事業活動におけるネットゼロに向けた取組となる。当社グループが掲げる2050年のネットゼロは、パリ協定と整合するものであり、今後も、世間動向や社会全体の取組を踏まえ、少しでも前倒しできるよう、努力してまいりたい。
  • <資産運用領域>

  • 資産運用ポートフォリオのネットゼロに向けた基本的な考え方は、気候変動を含むESG要素を投融資判断に組み込む「インテグレーション」と、気候変動等のテーマについて投資先企業と建設的な対話をする「エンゲージメント」を主軸として、中長期的な視点で企業の削減取組を後押しすることである。
  • 具体的には、企業との対話において、資産運用ポートフォリオの温室効果ガス排出量上位先等と気候変動を主要テーマとする対話を実施し、2050年ネットゼロに向けた削減目標の設定や削減に向けたロードマップの策定・開示を要望している。
  • また、対話を通じた後押しだけでなく、2022年3月に設定した脱炭素ファイナンス枠5000億円を活用し、社会や企業の脱炭素に向けた取組を資金提供面からもサポートしている。
  • 当社の資産運用ポートフォリオのネットゼロは、社会全体で実現することで達成できるものであり、前倒し達成に向けてのハードルは相応に高いと考えているが、企業や社会全体の脱炭素取組を少しでも前倒しで進捗させるべく、後押ししてまいりたい。
    • (※1)事業活動領域:総排出量△51%以上(2013年度比)
      資産運用領域:総排出量△45%以上(2010年度比)
      インテンシティ(投資1単位あたりの排出量)△49%以上(2020年度比)
    • (※2)スコープ1:燃料やガソリン(自動車)による排出
      スコープ2:オフィスでの電気使用に伴う排出
      スコープ3:紙使用、通勤、出張、郵便等のサプライチェーンでの排出

質問18

お客様満足度調査について、営業職員チャネルに加え、代理店・金融機関窓販チャネルのお客様も対象にしたとのことだが、調査を通じて新たにどのようなことが分かったのか。また、全体の満足度だけでなく、チャネルごとの満足度も開示してはどうか。

回答

  • 当社では、商品・事務・サービス・お客様対応等の改善に役立てることを目的に、「お客様満足度調査」を実施している。従来は、営業職員チャネルのお客様を対象に、郵送での調査を行っていたが、お客様がご加入されるチャネルの拡大を反映し、2021年度から、調査対象を「営業職員・代理店・金融機関窓販チャネル」、調査方法を「郵送・Web調査」へと拡大している。
  • 2021年度調査の結果では、「満足」「やや満足」とご回答いただいたお客様は、従来の調査では90.5%、新たな調査では91.4%となった。
  • 全体に共通する傾向として、加入時・加入後の手続き時にお客様が重視する項目は、「説明内容の分かりやすさ」「各種書類の分かりやすさ」「担当者の態度やマナー」となっている。
  • また、それに加え、新たに調査対象とした代理店チャネルでは「自分に合ったものが選べる」、金融機関窓販チャネルでは「中立な立場で提案してくれる」といった点が重視される等、乗合チャネルの特徴が表れた結果となっている。
  • なお、チャネルごとの満足度については、データを積み上げる中で傾向等を分析し、開示に向けた検討を進めてまいりたい。
  • 今後も引き続き、お客様満足度の向上に取り組んでまいりたい。

以上の他、以下の質問・要望については、配付資料にて回答を行った。

質問19

昨年、東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを改訂し、知的財産を経営上の重要な資産と位置付け、取締役会による監督や開示を行うべきとされた。従来、知的財産は特許を中心に製造業の問題という扱いが多かったが、金融やサービス業でも、ブランドやDXの推進によるIT技術等で重要な問題になると思う。日本生命では、どのように対応しているのか、今後の予定も含め教えてほしい。

回答

  • デジタル化の急加速やお客様ニーズの多様化等により、生命保険業界全体が事業変革・業務変革を求められている中、当社は“財務資本の向上”に加え、将来の財務資本を生み出す源泉である“非財務資本の向上”を通じた企業価値の向上を目指している。
    具体的には、IT技術や知見・ノウハウ等の知的財産・無形資産についても、経営戦略上、重要であると位置付けており、①高度化、②組織体制の整備、および③個人のスキル・ノウハウの継承に取り組んでいる。
  • <①高度化>

  • 従来から商品・サービス開発、販売モデル、資産運用、引受け・支払い査定事務、システムインフラ、顧客データ等について、さまざまなスキル・ノウハウ等を築き上げており、これらを常に経営戦略の中心に据える中で、取締役会でも議論を重ね、世の中の変化への対応と経営資源の選択と集中を行い、不断の高度化を図ってきた。
    加えて、子会社のニッセイ情報テクノロジーが構築したIT技術やソリューションサービスを金融機関や自治体向けに提供することでグループ収益の拡大につなげる取組も行っている。
  • <②組織体制の整備>

  • 事業構造・環境の変化が加速する中で、新たな知見・ノウハウを獲得していくことも重要と認識しており、取組強化に向け、組織の新設(※1)やグローバルに活動を展開するオープンイノベーション拠点「Nippon Life X(※2)」の開設をした。
    これらの体制整備により、国内外における金融・保険業界における調査や、スタートアップ企業等との協業による先端ITのビジネス活用に向けた共同研究にも機動的に取り組んでいる。
  • <③個人のスキル・ノウハウの継承>

  • これまで築いてきた個人のスキル・ノウハウの着実な継承に向け、部門ごとに方針を策定のうえ、各領域の特性に応じた人材育成に取り組んでいる。
    具体的には、個人のキャリアビジョンや業務経験、保有スキルを管理するタレントマネジメントシステム等を活用し、人材育成における課題分析を行い、専門性の強化や適切な社内ローテーション等を検討している。
  • 今後もこうした取組を強化し、さらなる企業価値の向上につなげてまいりたい。
    • (※1)2018年にイノベーション開発室、2022年に事業企画室を新設した。
    • (※2)2020年に開設し、現在は東京・シリコンバレー・ロンドン・シンガポールで活動を展開している。

質問20

日本生命では、支社単位での計画・戦略の策定・取組を進めているとのことだが、地域活性化に向けては、中長期的かつ広域的な視点が必要と考えており、以下の視点で検討してはどうか。

  • 地域活性化に向けた計画・戦略については、支社単位ではなく、例えば、地域特色や産業集積等を踏まえたより広域な単位で策定
  • より広域な単位では従来どおりの販売業績評価とするものの、支社単位では社会的インパクト評価を取り込み
  • 社会的インパクト評価と業績評価の関係性に係る研究

回答

  • 当社は、地域活性化に向け、都道府県および市区町村と包括連携協定(※1)を締結し、以下のような取組を進めている。
    • がん検診受診率の向上に向けた健康増進・疾病に関するビラの配布
    • 地域の観光・県産品の振興の一環として、物産展の開催や社内外HPでの周知活動
  • こうした取組を進めるうえでは、地方自治体等の要望に応じ、きめ細かな対応をすることが求められることから、基本的には、支社単位の取組が適していると考えている。一方で、ご指摘いただいたように、地域の特性を踏まえた取組の横ぐしや本部主導での戦略策定も必要だと認識しており、以下のような対応を進めている。
  • <営業本部の取組>

  • 地域ごとに管内の支社をサポートする営業本部を設置しており、各支社から自治体が抱えている課題・要望を集約するとともに、地域単位の課題に対し、解決に向けた取組支援や成功事例の共有化等を進めている。
  • <地域振興支援室等の取組>

  • 2019年に地域振興支援室を立ち上げ、本部主導での戦略策定を行い、各支社や営業本部の地域・社会に根差した取組をサポートしている。
    • 都道府県および市区町村と包括協定の締結やビジネスマッチングイベント(※2)等の企画・運営
    • 各支社や営業本部の地域振興アクションプランを踏まえた取組支援や成功事例の共有
  • なお、地域活性化の取組を評価体系へ取り込むことは、地域の事情に応じた対応が必要であり、一律で評価することが難しい面もあるため、今後の課題と認識している。現在は、効果検証も含め、地域活性化の取組をより一層積み重ねていく段階であると考えている。
  • いただいたご意見も踏まえつつ、地域の特性等に応じ、社会課題の解決に取り組んでまいりたい。
    • (※1)地域が抱える社会課題に対して、自治体と日本生命が双方の強みをいかし協力しながら課題解決に対応する枠組みであり、2022年3月時点で41の都道府県、152の市区町村と締結している。
    • (※2)2016年度から大阪・仙台等で計6回の大規模イベントを開催した。2021年度は、新型コロナウイルス感染症の感染状況も踏まえ、首都圏・東海でオンラインを活用して開催した。

質問21

SDGs17の目標に「文化・スポ―ツ」はないが、東京2020オリンピック・パラリンピックにおいて、社会の発展に「文化・スポーツ」が重要と改めて証明されたのではないか。日本生命では、今後も「文化・スポーツ」に取り組むとともに、「文化・スポーツへの協賛は、SDGsの一環」ということを積極的に情報発信してほしい。

回答

  • 当社では、「文化・スポーツ」は、人びとに、楽しさ、夢、感動、健康、そして、豊かさをもたらすことから「明るく活力ある社会づくり」につながるものと認識しており、持続可能な社会づくりに貢献できると考えている。
  • 東京2020大会では、「応援すること」や「支えること」の大切さを広く社会に伝えてまいりたい、との思いから「Play,Support.~さあ、支えることを始めよう。~」のスローガンを掲げ、さまざまな取組を通じ、大会の成功に貢献できたと考えている。
  • また、当大会を通じて、アスリートの活躍に世界中の多くの人々が感動し、また、聖火リレーを通じ全国各地の方々から歓迎・応援のお声をいただいたことから、改めて「文化・スポーツ」の意義が高まったと考えている。
  • <スポーツ>

  • 日本を代表するアスリートや競技への応援を通じた全国各地の盛り上げや、次世代育成、ダイバーシティ推進、健康増進等、スポーツを通じた地域・社会課題解決への寄与等を目的に、以下のような取組を進めている。

    (取組例)

    ・次世代を担う子ども向けの取組
    • スポーツ教室・トークショー:延べ5.8万名が参加(オンラインイベントは約122万名が視聴)
    • 卓球教室(2004年~)、野球教室(2006年~)、桐生選手のかけっこ教室(2018年~)の開催
    ・共生社会実現に向けたパラスポーツ(車いすバスケットボール等)の普及・振興
    • 観戦・応援:延べ35.2万名が参加
    • 体験会・講演会:延べ2.8万名が参加
    ・地域活性化に資するスポーツの応援・活用
    • Bリーグクラブへの協賛・共創(21のクラブに協賛)

    <文化>

  • 2023年に開場60周年を迎える日生劇場への協賛等を通じ、舞台芸術や文化の普及・振興に取り組んでいる。

    (取組例)

    ・子どもたちの「豊かな情操」「多様な価値観」を育む目的の「ニッセイ名作シリーズ」
    • 小中高生を全国各地の劇場に招待
    • 前身の「ニッセイ名作劇場」を含む1964年からの招待数は、2022年3月時点で797万名
  • 今後も、持続可能な社会の実現に貢献すべく、「文化・スポーツ」への協賛・取組に注力し、社会的責任を発揮してまいりたい。
  • また、情報発信についても、ホームページやSNS等、さまざまな媒体を通じ、お客様・社会により認知いただけるよう、努力してまいりたい。

質問22

厳しい経営環境の中で、2021年度の経常利益は、4932億円(対前年+14.4%)と増益を確保しているとのことだが、以下の要因はどのような影響を及ぼしたのか。
①為替(円安)、②新型コロナウイルス感染症、③ロシア・ウクライナ情勢、④地球環境問題

回答

  • 2021年度の決算は、対前年で保険料等収入、基礎利益、経常利益等で増加となっているが、ご質問いただいた4つの要因は以下のような影響を及ぼしている。
  • <①為替(円安)>

  • 円安が進行したことにより、保有している外貨建保険における年換算保険料でプラスの影響があった。また、外貨建資産からの利息・配当金の収入等が円換算で増加したことにより、資産運用収益においてもプラスの影響があった。
  • <②新型コロナウイルス感染症>

  • 感染拡大を受けて保険金・給付金の支払いが増加したことを主因に、保険関係収支が減少した。また、営業職員チャネルにおける職域での活動の制限や金融機関の窓口に来店されるお客様の減少等、対面での接点機会が減少する中、対面にオンラインを組み合わせた活動の定着を進めたものの、保険料等収入にマイナスの影響があった。
  • <③ロシア・ウクライナ情勢>

  • 当社は、ロシア・ウクライナにおいて生命保険事業を展開しておらず、また、資産運用に関しては、直接投資の残高はなく、投資信託を経由した間接投資の残高も僅少であり、直接的な影響はなかった。
  • <④地球環境問題>

  • 脱炭素社会の実現に向け、事業活動領域におけるCO2削減の取組を進めており、社有車へのEV車・PHV車等の導入により、事業費が僅かに増加した。なお、機関投資家としてネットゼロに向けてESG投融資にも取り組み、持続可能な社会の実現と運用収益の向上の両立を目指している。

質問23

新たな国際資本規制の導入を見据えて、自己資本の強化に取り組むとのことだが、新たな国際資本規制はどういったもので、将来的に日本生命にどういったリスクをもたらすのか。

回答

  • 新たな国際資本規制は、2025年の適用に向けて検討されている国際的に活動する保険グループ(IAIGs)向けの国際資本基準(ICS)であり、国内でも、基本的な構造を共通にした経済価値ベースの新たなソルベンシー規制が、2025年の適用に向けて検討されている。
  • 現行のソルベンシー規制は、資産の一部や負債を簿価評価しているが、新たな規制は、契約者保護やリスク管理高度化等の観点から、規制・競争環境を整えることを目的とし、資産・負債およびリスク量を経済価値で評価(時価評価)するものである。
  • これにより、生命保険会社としては、中長期的な健全性がより正確に示される一方、金利・株価水準等の外部環境の変化が、リスク量や資本の増減に影響しやすくなる。
  • 当社は、これまでも、社内のリスク管理において、経済価値ベースの考えを組み込む等、リスクをより厳格に評価したうえで、自己資本の強化等を着実に進めてきた。新たな規制の導入も見据え、財務基盤積立金の積み立てを開始する(※)等、引き続き健全性の確保に努めてまいりたい。また、新たな規制が経営の選択肢を過度に狭めるものとならないよう、関係機関への働きかけも行ってまいりたい。
    • (※)今回の定時総代会において、「2021年度剰余金処分案承認」の議案について承認いただくことが前提となる。

質問24

金融庁の監督指針が改正・適用され、保険募集時に公的保険に関する情報提供を行うことが求められているが、現状と今後の対応について教えてほしい。

回答

  • 2021年12月に改正された「保険会社向けの総合的な監督指針」では、公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑み、公的保険制度についての「募集人への教育」と「顧客への情報提供」が監督上の着眼点として明確化されている。
  • 当社としては、保険募集時には、お客様の家族構成・ライフプラン等に基づき想定されるリスクに対し、公的保険制度や資産状況等も踏まえたコンサルティングを行ったうえで、ご意向に沿った保険プランをご提案することが望ましいと考えている。
  • そのためには、お客様ご自身が公的保険制度等の各種情報を理解・把握していることが重要であり、監督指針改正の有無にかかわらず、これまでも、お客様のご要望を踏まえ、適時適切な説明や情報提供をすべく、取組を行ってきた。
    • 4つのリスク(※1)や公的年金制度を踏まえた必要保障額をまとめた「NISSAYデータブック」・必要保障額をシミュレーションできる「みらいコンサルタント」等の提供
  • 今般の監督指針の改正を受け、新たに以下の対応を検討・実施している。

    <情報提供ツールの充実>

    • パンフレット等の各種募集ツールへの厚生労働省ホームページ(※2)のリンクの掲載
    • 公的保険制度について分かりやすくまとめた業界共通ビラの配布 等

    <募集人の教育>

    • 生命保険協会の継続教育テキストをベースとした公的保険に関する教育や情報提供ツールの活用に関する教育
    • 知識定着を目的とした確認テスト 等
  • こうした対応を通じ、お客様・営業現場の声を聞き、適宜、運営を見直すことで、お客様一人ひとりに適切なご提案をする活動を実践し、お客様本位の業務運営の高度化につなげてまいりたい。
    • (※1)①死亡のリスク、②重い病気や介護等のリスク、③医療のリスク、④老後等、将来の資金が必要になるリスク。
    • (※2)公的年金の受取見込み額を簡易に試算できるページ。

当日席上の質問・要望に対し、議長および担当役員から回答を行った。

【事前質問への回答終了後】

質問25

給付金請求歴で新たな保険を引き受けない事例について、同様の事例がないか把握する必要がある。また、件数の多寡にかかわらず、分析・検証をしなければ、実効性のある改善策にはならないと認識している。さらに、ミスが起きた場合、早期発見・早期対応が重要であり、新たな契約申込があった際、本部ではどう認識し、どのように対応されたのか。社内教育を進めるとのことだが、実際にお客様対応を行う営業職員だけでなく、契約に関わる本部職員についても対応を検討いただきたい。

回答

  • 同様の事例は年に数件発生しており、当社では本部のシステムや現地教育について順次改善を図っているものの、対応が十分に行き届いていないと認識している。
  • 特に、一旦引受けが困難となった場合の対応として、再検討の可能性を判断するため、改めてお客様から情報を伺う際は、ご意向を丁寧に確認することが重要と考えている。
  • また、引受け困難である旨の通知文書の手交にあたっては、文書の日付の訂正等を含めて誤解を招かないような対応が必要と認識している。
  • 今後、個別の事案を分析したうえで、課題の本質を捉え一般化し、本部・営業現場の事務や担当者の意識を改善してまいりたい。

【議案の審議終了後】

質問26

日本生命は、2025年の大阪・関西万博において、パビリオンを出展するとのことだが、子どもから大人まで「未来のヘルスケア」を体感できる企画を検討いただきたい。また、7月18日に1000日前を迎えるが、全国的には盛り上がりに欠けていることから、日本生命のネットワークを活用し、機運の醸成に取り組んでほしい。

回答

  • 当社は創業以来、大阪を本店とし、1970年の日本万国博覧会や1990年の国際花と緑の博覧会への出展を通じて地域への貢献を行っており、2025年の大阪・関西万博も積極的に参加したいと考えている。
  • 今回の万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」は、生命保険と親和性が高いと考えており、当社はヘルスケア事業やデータ利活用を通じた未来社会への貢献に向け、プロジェクトの検討を進めている。
  • ご指摘のとおり、大阪以外での盛り上がりが十分ではないので、当社の強みである5万名を超える営業職員や企業取引の担当部門を中心とした企業との関係性を活用するとともに、自治体等との包括連携協定もいかし、全国での機運醸成に努めてまいりたい。

質問27

入社3年未満の離職率が5割を超えているとのことだが、コロナ禍で、テレワークや単身赴任制度、雇用延長、介護に伴う休職等、働き方に関してさまざまなテーマが議論されている。日本生命で働く魅力やロールモデルと自らの人生とのマッチング等、従業員の働き方のビジョンを教えてほしい。従業員幸福度の向上に向けて取り組んでほしい。

回答

  • 入社3年未満の離職率について、営業職員は5割を超える一方、内務職員は1割程度となっている。
  • ご指摘のとおり、働き方をめぐる環境は大きく変化しているが、当社は、全国に約2000の事業所を有しており、また高齢者も含めた1000万名を超えるお客様に対し、デジタルに限らない、さまざまなサービスの提供が今後も必要であり、経営の中核となる総合職の全国転勤をなくすことは現時点では難しいと考えている。なお、転勤にあたっては所属長経由で本人の希望を丁寧に確認しており、現状、太宗が希望通りの勤務エリアとなっている。
  • 今後も働き方の見直しが必要と考えており、2015年から進めている「人財価値向上プロジェクト」においても、従業員エンゲージメントの向上を注視しており、従業員の意識実態調査と称するアンケートも活用しながら、引き続き対策を見直してまいりたい。
  • また、役員・従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる職場環境を整備することが重要と考えており、具体的にはワーク・ライフ・バランスの充実を重視し、テレワークや介護と仕事の両立等で働き方の選択肢を増やすこと、上司が部下の悩みやキャリアビジョン等を積極的に聞き丁寧に関わること、の2点に取り組んでいる。
  • 今後も、一人ひとりが能力を最大限発揮できる職場づくりに一層取り組んでまいりたい。

以上

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