総代会・総代懇談会
2022年度総代懇談会開催結果のお知らせ
2022年度総代懇談会開催結果は下記のとおりです。
記
日時 | 2022年12月2日(金)午前10時30分から約1時間半 |
---|---|
場所 | 帝国ホテル東京 ならびに オンライン |
出席総代 | 175名(うちオンライン出席44名) |
主な議事経過
■当社側より、以下の事項について説明を行った。
- 2022年度上半期業績
- 経営課題への取組(新型コロナウイルスへの対応、人的資本の強化)
■総代からの以下の事前質問に対し、担当の役員から回答を行った。
質問1
コロナ禍での新たな営業活動を含めた営業職員教育は大変だったと思うが、昨年・一昨年に採用された職員の教育の成果と、入社後のフォローアップにおいて工夫したこと等について、働き方改革への対応も含め、教えてほしい。
回答
- 当社は、「長く安定的に活躍できる営業職員の育成」という理念のもと、2020年のコロナ禍以降、新しい生活様式に対応すべく、従来の対面にオンラインを組み合わせた新しい営業活動に取り組んでいる。
- インフラ面では、営業職員用携帯端末「TASKALL」に加え、コロナ禍以降、全営業職員に営業職員用スマートフォン「N-Phone」、全営業拠点に「画面共有システム(※)」を配備し、お客様のご意向に合わせて、メール・LINEでのやり取りやオンラインでのお手続きを行っている。加えて、全支社・営業拠点にオンライン会議システムを配備し、本部と営業現場、支社と営業拠点の各種会議・ミーティングのリモート化を推進している。
- 教育面では、新しい営業活動を実践できるよう、入社初期層の教育カリキュラムを大幅に見直すとともに、従来、集合形式で行っていた研修のリモート化や、教育用デジタルコンテンツを整備し、職員が自身の活動目的や内容および課題に合わせて自学自習できる環境を整えている。
- また、リモート研修の実効化に向け、オンラインによる双方向コミュニケーションを行っている。具体的には、営業職員に対し、スマートフォンによるアンケートを研修のたびに実施し、習熟度の確認や要望・課題の収集を行うことで教育内容の見直しをしている。
- その結果、昨年・一昨年に入社した営業職員は、多くのお客様にオンラインを活用したアプローチを行っており、それ以前に入社した職員と比べ、対面にオンラインを組み合わせた活動の実績が高く表れてきている。
- 今後、営業職員に配備する機器のリニューアルに併せて、教育面でも、オンラインの活用をより一層進め、職員一人ひとりの理解度・到達度を的確に把握し、個々の課題に応じた指導を行う「教育のパーソナライズ」を目指してまいりたいと考えている。
- (※)「TASKALL」の画面とお客様のパソコン等の画面を共有し、オンラインで同じ画面を見ながら提案や手続き等ができるシステム。
質問2
営業職員用携帯端末について、通信障害や電波の弱い地域・場所等で使用できない場合があると思うが、アナログ的な対応の他に何か対策を取っているのか。
回答
- 2019年に導入した「TASKALL」は、オフィス外では4G(フォージ―)回線を使用し、「保険のお手続き」や「お客様とのコミュニケーション」等に活用している。
- 通信環境が悪い場合、電波の強い場所に移動いただくことをお願いさせていただく他、通信障害の際には書面でのお手続きをご案内するといった対応に加え、以下のような対応を行っている。
<保険のお手続き>
- ご加入時のお手続き:
「TASKALL」に保存されたデータを使うことで、オフラインでお手続き可能としている。なお、お客様情報保護の観点からデータを暗号化するとともに、万が一、端末を紛失した場合もデータの遠隔消去を可能としている。 - ご加入後のお手続き:
お客様ご自身のデバイス(スマートフォンやパソコン)でご利用できるオンライン手続きの拡大に向け、スマートフォンアプリやホームページの機能拡充を順次実施している。これにより、「TASKALL」で通信障害があった場合でも、お客様ご自身のデバイスでお手続き可能としている。
<お客様とのコミュニケーション>
- 「TASKALL」に加え、「N-Phone」も活用しているが、それぞれで異なる通信キャリアを使用することで、通信障害が発生した場合でも、いずれかの端末でコミュニケーションを確保できるような体制としている。
- 引き続き、通信環境面でお客様にご不便をおかけしないよう、対応を進めてまいりたい。
質問3
学校教育の中で金融教育を受けるようになり、スマートフォン一つで資産運用ができる時代となっており、起業や転職への心理的障壁が低くなっている。近頃、40代や50代で生活のための仕事を辞めるもしくは起業するため、早期に資産形成を図る層が見受けられる。こうした雇用の流動化やライフサイクルの変化が急激に進む中、どういった商品戦略をとっているのか。また、今後どうしていくのか。
回答
- 当社は、人生100年時代の到来や低金利環境の長期化等、昨今のさまざまな環境変化を捉え、「豊かな健康長寿社会づくり」に寄与する商品・サービスの提供を通じ、社会的役割のさらなる発揮を目指している。
- こうした取組を進める中、ご指摘の雇用の流動化やライフサイクルの変化等にも対応すべく、当社では、保障の組み合わせや見直しが自在にできる「みらいのカタチ」を主力としてフルラインアップの商品を提供するとともに、グループ一体で一層多様化するお客様ニーズにもお応えしている。
- 安定した資産形成を図る商品として、当社において円建商品である「みらいのカタチ 年金保険」を提供しているが、子会社のニッセイ・ウェルス生命においては外貨建商品である「つみたてねんきん2」を提供しており、多様な資産形成ニーズにお応えしている。
- 重い病気に対応する商品として、当社にて「みらいのカタチ 3大疾病3充マル」等の生前給付商品を提供しており、ご指摘のような将来的に起業等を目指す中、もしくは起業後等に万一の大病を患った際にも、安心した生活を送っていただくことを可能としている。
- 低廉な保険料での加入が可能な商品として、子会社のはなさく生命において、「はなさく医療」等の商品を提供しており、保険料支出を抑えた分、資産形成に充てていただくことも可能としている。
- 今後も、さまざまな社会環境変化等を踏まえ、グループ一体でさらなる商品ラインアップや保障の拡充を行うことを通じ、一層多様化するお客様ニーズにお応えしてまいりたい。
質問4
有料老人ホームの高齢者介護に携わる中、認知症の入居者が増えていると感じる。老人ホームに入居し、介護サービスを使えば安心して生活できるが、公的年金だけでは賄えないと思う。
お客様の老後を支えるといった視点で、①職員向けの認知症に関する研修の有無、②年金セミナー等の実施状況、③ニッセイ長寿生存保険(低解約払戻金型)「Gran Age」の販売戦略について教えてほしい。
回答
- 当社では、人生100年時代の到来を背景に、「安心して・自分らしく」過ごすことができる社会づくりのサポートのため、『Gran Ageプロジェクト』を展開している。
<①職員向けの認知症に関する研修の有無>
- 当プロジェクトの一環として、当社では、任意参加型の「認知症サポーター養成講座」を実施しており、これまでに累計約1.5万名の職員が受講を完了している。
- この講座では、認知症への正しい理解と適切な接し方を学び、認知症の方やそのご家族を温かく見守る応援者を養成している。
- また、2020年4月には、認知症の早期発見・重症化予防を目的とした「ニッセイみらいのカタチ認知症保障保険“認知症サポートプラス”(※)」を発売するとともに、営業職員の入社前の研修において、当商品の研修を行うことで、長寿社会に対応できる営業職員の育成に取り組んでいる。
<②年金セミナー等の実施状況>
- 全国の支社やライフプラザにおいて、公的年金に関する理解を深める目的で、担当する企業の従業員の方々や近隣のお客様等を対象に、地域単位で積極的に年金セミナーを開催している。
- このうち、企業の従業員を対象としたものは、2021年度計763回と、新型コロナウイルス感染症の影響により、落ち込んでいた2020年度との比較で、約1.5倍の水準まで回復した。今年度は昨年度よりさらに多いペースで開催している。
- また、当社では、公的年金を踏まえたうえで、必要保障額が算出されるお客様向けシミュレーションを提供しており、当シミュレーションの活用推進に向けた営業職員教育にも注力している。
<③ニッセイ長寿生存保険(低解約払戻金型)「Gran Age」の販売戦略>
- 当商品は、人生100年時代を支えるための老後資金の形成に向け、シニア層を対象に以下のような特徴を訴求して販売しており、2016年4月の発売以来、約11万名のお客様にご加入いただいている。
- 低金利環境が継続する中においても、年金開始日前の解約時・死亡時のお支払い金額を累計保険料よりも抑えることで、その分長生きした方の受け取れる年金額を大きくするという、国内の生命保険業界初のスキームを導入している。
- ご加入時点から、一生涯受取れる「終身年金」を選択いただけるとともに、50歳から男性は86歳、女性は85歳の方まで、無告知でご加入いただける。
- 今後も引き続き、全国約5万名の営業職員を中心としたフェイス・トゥ・フェイスの強みをいかし、お客様へのご案内活動を通じ、当プロジェクトを推進してまいりたい。
- (※)認知症・軽度認知障がいと診断された際の保険金支払いに加え、早期発見・予防行動を促すサポートや認知症・介護に関する相談窓口の設置といったサービスを提供しており、ご加入時から保険金支払後まで、トータルサポートを行っている。
質問5
従業員の健康管理を通じ、組織の活力や生産性の向上を図る健康経営®(※1)が、2025年問題(※2)と相まって注目されているが、日本生命の取引先企業の健康経営を支援する取組について教えてほしい。
- (※1)『健康経営®』は特定非営利活動法人 健康経営研究会の登録商標。
- (※2)2025年には人口の多い団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、医療費等の社会保障費の急増が懸念される問題のこと。
回答
- ご認識のとおり、少子高齢化による人口動態の変化等に伴い、社会保障制度の在り方が問われる中、当社は、社会保障の補完的機能を担う生命保険会社として、「企業の健康経営」をはじめ、福利厚生制度のコンサルティングや商品・サービスの提供等、グループ一体で、さまざまなサポートを行っている。
- このうち「企業の健康経営」については、労働生産性や健康保険組合の財政に与える影響が大きく、企業・健康保険組合等の関心が高い「生活習慣病等の発症予防」に重点を置き、取り組んでいる。
- 具体的には、企業・健康保険組合等を対象に「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス“Wellness-Star☆(ウェルネススター)”」を2018年4月から提供を開始し、従業員とそのご家族の健康維持に向け、企業と健康保険組合等が連携して取り組む「コラボヘルス」の実現をサポートしている。
<サービス概要>
- データ分析サービス:事業所や組織等、ご希望の単位で健診結果・レセプトデータの分析を行い、健康課題を可視化。2024年から開始される厚生労働省による第3期データヘルス計画(※1)に向けては、事業計画の策定・振り返りまでトータルでサポートする内容にサービスをバージョンアップ(2023年1月より提供予定)。
- 糖尿病予防プログラム:各種機器を活用したセルフモニタリングと日本生命病院等の保健師による生活習慣改善プログラム。
- 血糖変動チェックプラン:血糖管理ツールを活用し、2週間の血糖変動セルフモニタリングを実施し、医師による健康アドバイスをオンライン上で配信するプラン。
- 運動促進支援:ウォーキングアプリを活用したイベントの実施や活用状況の分析レポートの提供。
- 健康経営支援:「健康経営優良法人認定制度」の基準を踏まえ現状を棚卸し、強化すべきポイントや取組の方向性を具体化。
- この他、企業保険商品の付帯サービス「N-コンシェルジュ(※2)」では、メンタルヘルスをはじめとした各種健康相談窓口等のサービスも取り揃えている。団体定期保険について、これまでは、従業員規模が一定以上の企業を中心に提供していたが、2023年1月より中堅企業でもご加入いただける「新無配当扱特約付団体定期保険“みんなの団体定期保険”」を発売し、当サービスをより多くの企業にご活用いただけるようになる。
- また、団体定期保険に「健康経営割引(※3)」を導入しており、企業の健康経営の一層の推進を支援している。
- 今後も、魅力ある商品・サービスの開発等に努め、「企業の健康経営」のサポートをはじめ、グループ一体で取り組んでまいりたい。
- (※1)データヘルス計画とは、「健診・レセプトデータの分析に基づいて保険事業をPDCAサイクルで効果的・効率的に実施するための事業計画」(平成29年9月 厚生労働省発行 「データヘルス計画作成の手引き(改訂版)」より抜粋)であり、健康保険組合をはじめとする全ての保険者に対して、計画の策定・実施が求められる。
- (※2)企業保険のご加入者と人事・総務ご担当者の方々に、メンタルヘルス等の健康管理や介護支援のための情報・ツールを中心に多彩な商品・サービスをインターネットでお届けするサービスであり、当社子会社であるライフケアパートナーズ等が提供している。
- (※3)企業の健康経営ならびに従業員の健康増進を保険商品の側面から支援するものとして、「健康経営優良法人に認定されている」等の所定の条件を満たす場合に、団体定期保険の保険料を割り引く仕組み。
質問6
福利厚生として養老保険・医療保険に加入しているが、従業員が増加する中、持病等の個人的な理由で加入できない従業員の比率は年々高くなっており、全員加入の原則から遠くなっている。現在、団体定期保険への加入を検討しているが、格差をさらに広げてしまうのではないかと懸念している。保険商品である以上、加入できない人がいることは理解しているが、福利厚生制度という大きな枠組みの中で、従業員が全員加入できるものがあれば、不平等が解消でき、管理も容易になると思う。
例えば、100名分の保障枠を契約し、入社・退社時の管理のみで、個人的な理由にかかわらず、従業員が全員加入できる商品 等
回答
- 生命保険契約においては、個人保険・団体保険にかかわらず、契約者全体の公平性を確保する観点から、原則として、対象者の健康状態に関する告知や医師による診査等をお願いしており、その点はご理解いただきたい。
- 一方、できるだけ幅広い方々に保障を提供することが保険会社としての責務である点はご指摘のとおりであるため、今後の商品開発においては、さらなる統計データの蓄積や医療技術の進展のフォロー等を通じて、研究を積み重ねてまいりたい。
- なお、現在、法人契約可能な個人保険において、アクサ生命と共同開発した「メディ・アン」、子会社の大樹生命の「おまかせセレクト」といった引受基準を緩和した商品を提携会社やグループ会社を通じてご提供しており、これらの商品は持病がある方もお申込みいただきやすくなっている。
- 引き続き、お客様のニーズや課題を踏まえた丁寧なコンサルティングや制度提案を行い、福利厚生制度のさらなる充実に貢献できるよう努めてまいりたい。
質問7
ロシア・ウクライナ情勢、米中対立、北朝鮮の動き等、日本の安全保障に影響を及ぼしかねない地政学リスクが高まっていると感じている。日本生命ではこれらのリスクをどのように分析し、事業にどのような影響があると予測しているのか。また、最悪の事態への備えとしてのBCP対応等の具体取組について従来と変わった点があれば教えてほしい。
回答
- 当社では、地政学リスクの顕在化時には、お客様サービスや保険販売、資産運用、グループ事業等への影響が生じうるため、状況を注視しつつ、想定される複数のシナリオごとに影響を分析のうえ、対応策の検討・実施に努めている。
<リスクの分析・影響>
- 各事業部門やリスク管理部門等で日常的な情報収集、関係部・経営層への適切なレポーティングに取り組むとともに、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化等の事象発生時には、全社的な影響・対応策について経営レベルでの議論・確認を行っている。
- 紛争の激甚化等によるお客様サービス態勢の維持困難、保険金等支払額の増加
- 景気後退懸念等に伴う金融経済環境の悪化による資産運用収支・財務健全性の低下
- 企業業績の悪化や所得減少等による保険販売の減少・解約の増加
- サイバー攻撃の増加によるシステム停止・情報漏洩等の発生 等
- こうした経営に大きな影響を与えうるリスク事象については、公的被害想定(※)等に基づいてシナリオを策定し、保険金等支払額の増加や金融経済環境の悪化等による財務健全性への影響、資金の流動性の十分性等を定期的に確認している。
(想定される主なリスクと影響)
<主な具体取組>
- 業務運営に大きな影響を及ぼす有事に対し、平時には事前対策と教育・訓練等を行うとともに、事象発生時には対策本部等を立ち上げ、被害の最小化と業務継続・早期復旧に取り組むこととしている。また、保険金等支払額の増加等への備えとして、諸準備金や基金・劣後債務等の積み立てによる自己資本の強化に取り組んでいる。
- 地震や感染症等も含めた有事への対応については、BCP(業務継続計画)やマニュアルを定め、保険金等のお支払いや資金繰り・資産運用関連業務等を優先業務とし、各所属が具体計画を策定のうえ、訓練や実際の災害で得られた教訓、第三者評価等を踏まえ、さらなる実効性の向上に努めている。
- こうした取組に加え、直近の地政学リスクの高まりを受け、社内教育・啓蒙において北朝鮮の弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合の対応を追加するとともに、自己資本の強化においては新たに財務基盤積立金の積み立てを行う等、社会情勢等も踏まえながら、有事に備えた取組の強化を図っている。
- (※)内閣府が公表している被害想定等。
質問8
ロシア・ウクライナ情勢が継続していることに伴う経営に与える影響について、コストと資産運用の両面から教えてほしい。
回答
- 当社は、ロシア・ウクライナにおいて、直接、生命保険事業を展開しておらず、また、資産運用においても、直接投資の残高はなく、投資信託を経由した間接投資の残高も僅少であり、現時点においてもなお、直接的な影響はないと認識している。
- しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等を背景としたインフレ等により、コスト面ならびに資産運用面での影響は顕在化している。
- コスト面では、資源価格の上昇や円安等による、電気料金等の公共料金の値上げや購入物品の値上げ要請、海外での業務委託費用の増加等も発生している。今後さらなるコスト増加による収支への影響も懸念されるため、引き続き動向を注視してまいりたい。
- 資産運用面では、資源・食料品価格等の上昇を通じた広範なインフレと、それを受けた諸外国の中央銀行による金融引き締め政策によって、世界経済は減速することが見込まれている。特に、欧州地域については、エネルギー資源のロシアへの依存度が高いため、資源価格の上昇による経済の下振れリスクは他地域に比べても大きいと見ている。
- 当社は、従来から、こうしたリスクシナリオも踏まえた資金配分計画を策定している。今後、ロシア・ウクライナ情勢の悪化やロシアへの制裁強化等によって、さらなる資源価格の上昇や金融市場の混乱が起こる可能性もあるため、引き続き、多面的にモニタリングを行い、必要に応じて機動的に対応を行ってまいりたい。
- 今後も、さまざまなシナリオを想定したストレステスト等を通じたリスクの把握や、予兆管理を徹底し、リスク発生時の損失の抑制を図り、ご契約者保護に努めてまいりたい。
質問9
米国ではインフレ進行への対応として、政策金利であるフェデラル・ファンド金利が急激に引き上げられ、年末には4%台後半の水準も想定される中、日本生命の外国債券ポートフォリオの収支および含み損益の状況と、当面の外国債券の運用方針について教えてほしい。
質問10
金融市場の見通しと円安に伴う資産運用の考え方について教えてほしい。
質問9~10への回答
- 直近の金融市場は、世界的なインフレの高止まりやそれを受けた米国をはじめとした諸外国での急速な金融引き締め等を背景に、金利・為替・株価ともに変動の大きい状況が続いている。また、為替ヘッジコストについても、日本銀行が金融緩和政策を維持していることから、諸外国との金融政策の違いが鮮明となり、一段と上昇している。
- 当上半期における外国債券ポートフォリオの運用収支(※)は、金利・ヘッジコストの上昇を踏まえた外国債券の積極的な入れ替えに伴う売却損が影響し、△約600億円(前年同期比△約2200億円)となった。また、当上半期末における外国債券ポートフォリオの含み損益は、円安に伴う含み益押し上げ効果があったものの、海外金利の上昇による債券価格の下落が影響し、約8400億円(前年度末比△約7400億円)の含み益となった。
- 今後の金融市場については、供給制約の緩和や金融引き締め政策による効果等から、インフレが徐々に落ち着きを見せ始める中で、金利・為替・株価は、当年度末にかけて現在の水準から、概ね横ばい圏での推移を見込んでいる。ただし、当面は、インフレや金融政策に対する見方等を巡り、不透明感が継続し、上下に振れやすい相場環境が続くと想定している。
- 当社は、リスク・リターン効率向上に向け、こうした資産運用環境の急速な変化に対応すべく、資産運用ポートフォリオの入れ替え等、機動的な資金配分計画の見直しを実施している。具体的には、為替ヘッジコストの上昇を踏まえた外国債券の売却や、相対的に利回りの高い外国社債や日本の超長期国債への入れ替えを進め、利回り向上を図っている。また、円安局面を捉えた外貨建資産の為替益実現に加え、将来の円高リスクが相対的に高まっていることへの対応として為替リスクの削減等を図っている。
- 引き続き、金融市場の動向と投資対象の双方のリスクを適切に見極めたうえで、堅固な資産運用ポートフォリオを構築し、ご契約者資産の保護に努め、安定的な利差益確保を実現してまいりたい。
- (※)経常利益に含まれる額のうち、資産運用収益から資産運用費用を控除した額。
質問11
2022年7月より監査等委員会設置会社へ移行したが、その後、取締役会の議題・議論内容や執行側のスピード、取締役会と執行側の関係性等、どのような変化があるのか。
また、機関設計の変更は中期的な企業価値の向上に貢献していると評価できるか、ガバナンスの観点から残された課題は何か教えてほしい。
回答
- 当社は、経営環境が大きく変化する中、変化を捉えた戦略議論および監査・監督機能の強化ならびに変化に応じた迅速・果断な業務執行を実現するため、コーポレートガバナンス体制の高度化として、2022年7月5日に開催した定時総代会にて監査等委員会設置会社に移行するとともに、以下のような見直しを行った。
- 取締役会の改革:
協議事項を新設するとともに、付議事項を絞り込み - 「指名・報酬諮問委員会」・「社外取締役会議」の設置:
「監督」「助言」機能を強化する観点から、各機能に特化した任意の委員会を設置 - 執行体制の強化:
柔軟な配置が可能な執行役員が各部門・領域の業務執行責任を負う担当執行役員制を導入
- こうした見直しにより、コーポレートガバナンスにおいて、以下のような変化が起きている。
<①取締役会の議題・議論内容>
- 取締役会の付議事項の絞り込みを行うことで議論の時間をさらに確保するとともに、監査等委員も含めた社外取締役を中心にご意見をいただくことで、議論の一層の充実に取り組んでいる。また、社外取締役委員会を改組した社外取締役会議では、経営の重要事項の審議に特化することにより、執行における戦略立案や取締役会における戦略議論に、これまで以上に社外取締役の知見をいかすべく取り組んでいる。
<②執行側のスピード>
- 法令や定款の定めに従って個別の業務執行の決定を取締役会から執行側に委任し、経営会議協議・社長決定とすることで、業務執行の意思決定の迅速化を図っている。
- 一方で、以下の点については、従来から変わらないと認識している。
<③取締役会と執行側の関係性>
- 取締役会でも執行現場の実情を踏まえ、お客様や職員の声をしっかりと経営にいかすことが生命保険会社として重要であり、そのためには監督・執行がそれぞれ機能発揮しつつ協働していく体制の構築が必要であると考えている。今般の機関設計の変更にあたっても、この関係性は、継続している。
- また、相互会社である当社では中期的な企業価値の向上を通じ、お客様に対する長期にわたる保障責任を全うすることをより確実なものにする必要があり、今般の機関設計の変更は、その観点から貢献できるものと評価している。
- 一方で、さまざまな視点から議論を深めるために、女性をはじめとした取締役会の多様性の拡充等が課題であり、今後も不断の取組を進めてまいりたい。
質問12
カーボンニュートラルに向けた2030年の中間目標の具体的な削減数値について、保有する不動産との関係も踏まえ、教えてほしい。また、グループ会社への徹底方策も教えてほしい。
回答
<2030年の中間目標の具体的な削減数値について>
- 当社では、脱炭素社会の実現に向け、事業活動と資産運用の領域において、2030年までの中間目標を次のように設定し、取組を進めている。
事業活動領域 : 総排出量△51%以上(2013年度比) 資産運用領域 : 総排出量△45%以上(2010年度比) インテンシティ(投資1単位あたりの排出量)△49%以上(2020年度比) - 事業活動領域の削減目標である総排出量△51%以上(2013年度比)は、日本政府の地球温暖化対策計画のうち、当社が属する「業務その他部門」の2030年度の目標値△51%に沿って設定し、自動車燃料や電気・紙使用等に関係する排出についてスコープ1~3(※1)ごとに、削減取組を進めている。
- 資産運用領域の削減目標である総排出量△45%以上(2010年度比)は、世界各国の科学者で構成される政府間パネルIPCCの目標水準を参照し、設定している。また、インテンシティ△49%以上(2020年度比)は、機関投資家の脱炭素取組で国際的に重要な役割を担う「NZAOA(ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス)」の目標水準を参照し、設定している。
- この目標に向け、気候変動を含むESG要素を投融資判断に組み込む「インテグレーション」と、気候変動をはじめとするテーマについて投資先企業と建設的な対話をする「エンゲージメント」を主軸として、中長期的な視点で企業の削減取組を後押ししている。
<保有する不動産との関係について>
- 事業活動領域において、当社がオフィスとして使用する不動産から発生する排出量は総排出量の約47%を占めており、以下のような省エネ・節電や自らの創電、再生可能エネルギー導入による排出量の削減に取り組んでいる。
- 営業拠点の建て替え時に原則ZEB Ready水準での建て替えや、太陽光パネル・蓄電池の設置による営業拠点のZEB化(※2)
- 本店・本部ビル等への太陽光パネルの設置やオフサイトコーポレートPPA方式(※3)等による再生可能エネルギーの導入
- 各オフィスのLED化推進に加え、昼休みの消灯や空調設定温度の調整等、地道な省エネ取組 等
- 資産運用領域においては、株式・債券投資先の企業活動に加え、投資用不動産のテナントによる電気使用等から発生する排出量が含まれている。
- 投資用不動産から発生する排出量が資産運用ポートフォリオにおける総排出量に占める割合は1%程度(※4)と僅少だが、以下のような省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入等を通じて、排出量削減に取り組んでいる。
- LED照明・高効率空調機器への入れ替えによる省エネルギー化
- 首都圏・近畿等における投資用不動産への再生可能エネルギーの導入
- 投資用物流施設への太陽光パネルの設置
- 上記取組を通じた環境認証であるBELS認証(※5)等の取得 等
<グループ会社への徹底方策について>
- 事業活動領域における削減目標は、国内および海外の主要子会社(※6)も含めた日本生命グループの目標としており、子会社ごとに国・業態に合わせた独自の削減目標を策定するとともに、グループ環境情報連絡会議を年4回開催し、各社の取組状況や課題を共有することで、グループ全体で排出量の削減に取り組んでいる。
- 資産運用領域では、現在、グループ各社において、「インテグレーション」や「エンゲージメント」の体制整備を進めているプロセスにあり、今後、体制が整い次第、各社ごとの目標設定を進めるとともに、グループ全体の目標設定についても検討してまいりたい。
- (※1)
スコープ1 : 燃料やガソリン(自動車)による排出 スコープ2 : オフィスでの電気使用に伴う排出 スコープ3 : 紙使用や通勤、出張、郵便等のサプライチェーンでの排出 - (※2)ZEBとは、快適な室内環境を実現しながら、建築物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築物のこと。省エネルギーと創エネルギーによる収支ゼロへの達成状況に応じて4段階に分かれている。
- (※3)当社専用の太陽光発電設備を当社の敷地外に設置し、本店・コンピューターセンターへの電力供給を行う。
- (※4)2021年度の総排出量:約1530万t(うち、投資用不動産:約20万t)
- (※5)Building-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの略称で、国土交通省が定める「建築物の省エネ性能表示のガイドライン」に基づき、建築物の省エネ性能を第三者機関が客観的に評価し、5段階で表示する制度。
- (※6)
国内主要子会社6社 : 大樹生命、ニッセイ・ウェルス生命、はなさく生命、 ニッセイアセットマネジメント、ニッセイ・リース、 ニッセイ情報テクノロジー 海外主要子会社3社 : 米国日生、MLC(オーストラリア)、 ニッポンライフ・インディア・アセットマネジメント(インド)
質問13
大阪・関西万博の開催まで2年半を切り、SDGsやSociety5.0の実現に向け、「大阪・関西が世界に誇るライフサイエンス、バイオメディカルの集積の発展」が謳われているようだが、世界にアピールするような日本生命の最近の具体的な取組を教えてほしい。
回答
- 当社は、米国のシリコンバレーを中心にR&D活動を行っており、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業へのイノベーション投資枠の活用を通じた情報獲得やスタートアップ企業との協業推進に取り組むとともに、中期経営計画で掲げる「健康長寿社会づくりの牽引」に向け、以下のような先端技術の活用やヘルスケアサービスの研究・開発等を進めている。
(先端技術の活用)
- AIによるお客様との対話の実現に向け、会話を理解する最先端AIの実証実験に取り組んでいる。また、米国のスタンフォード大学発のスタートアップ企業と疾病予測領域におけるAI活用に関する議論をスタートしている。
- ノーコード(※1)に強みを持つ米国のスタートアップ企業のアンコルク社の技術を、国内初の事例として、子会社のニッセイプラス少額短期保険に導入している。
(ヘルスケアサービスの研究・開発)
- 「ニッセイ健康増進コンサルティングサービス“Wellness-Star☆”」を通じ、データ分析サービスや疾病予防サービスを提供しており、直近では、血糖変動チェックプラン(※2)をサービスラインアップに追加している。
- パートナー企業との連携や大学との共同研究等、アライアンスの強化を進めている。直近では、西川株式会社を中心とした睡眠コンソーシアムに加入するとともに、東京大学とのメンタルヘルス領域に関する共同研究を開始する等、「からだ」に加え、「こころ」の領域も含めた幅広いヘルスケアサービスの展開に向け、取り組んでいる。
- 2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、世界が一つの「場」に集う機会となる。
- 当万博において、当社が出展参加する「大阪ヘルスケアパビリオン(※3)」は、子どもから大人までが楽しみながら、最先端の医療やヘルスケアサービスが日常に浸透した近未来の暮らしを感じられるコンテンツを展示することを目指している。
- 当社としては、これまでのさまざまな取組成果をパビリオンへの出展参加を通じ、皆様にお知らせするとともに、「いのち」や「健康」に関する新たな価値提供を共創し、誰もが心身豊かに、快適で暮らしやすい健康長寿社会の実現に貢献してまいりたい。加えて、デジタルの進化や先端医療技術の開発等の外的環境変化も踏まえ、これまで以上にお客様に満足いただける商品・サービスを提供できるよう取り組んでまいりたい。
- (※1)エンジニアによるプログラミングなしでアプリケーションやWebサービスの開発が可能なサービス。
- (※2)2021年8月から、健康な方から健康に不安のある方まで、幅広い方を対象者として、主に以下のサービスを提供している。
①自身の血糖変動をリアルタイムでセルフモニタリング
②専用Webサイトに日本生命病院によるアドバイスを表示
③サービスの契約者となる法人とサービスを利用された従業員にそれぞれレポートを提供 - (※3)開催都市である大阪府・大阪市が「REBORN」をテーマに出展する。
■席上にて、総代から、以下の質問・要望があり、社長および担当の役員から回答を行った。
質問14
自治体との包括連携協定は地域・社会への貢献のためであり、費用対効果を求めるものではないと思うが、本業とシナジー効果が生まれているのであれば、教えてほしい。
回答
- 当社では、都道府県や市区町村との包括連携協定や個別連携協定等、行政との協働を通じ、地域・社会への貢献を目的とした取組を推進している。
- 都道府県単位では、43の都道府県と包括連携協定を締結し、保険との親和性が高い「健康増進」や「地域の安心・安全」といった項目を含み、営業職員が地域貢献から保険販売につながる活動にも取り組んでいる。
- 例えば、乳がんの早期発見の重要性を呼びかけるピンクリボン活動等、自治体が作成したがん検診の受診率向上を目的としたビラを用いて営業職員がお客様へ情報提供を行う際に、保険の情報収集やニーズ喚起・商品の提案等にもつなげている事例や、自治体と連携して自転車保険の加入義務化を周知するビラを作成し、支社で自転車保険のセミナーを開催する等、自転車保険の販売にもつなげている事例がある。
- こうした地域の課題解決に向けた取組により、営業職員自身が地域に貢献しているというやりがいや誇りを想像以上に感じていると認識しており、地域・社会への貢献にはコストをかけてでも取り組むべきであると考えている。
- また、保険販売等の営業活動と異なる活動を通じ、新たなお客様との接点創出にもつながっており、社内では取組の共有化を進めている。
- 今後も、各自治体とコミュニケーションを取りながら、健康増進や地域の安心・安全、子育て支援、児童・青少年の健全育成等の幅広い分野で地域に貢献する中で、本業にもつなげてまいりたい。
質問15
沖縄の海ではサンゴ礁が死滅する等、美しい自然環境が緩やかに破壊されていることを実感している。美しい自然環境を目の前にした際の感動を次世代に受け継いでいくためにも、日本生命には、自然環境の保全に取り組んでいただきたい。
回答
- 自然環境の破壊・保存は、COP15においても取り上げられる等、国際的に大きな問題となっていると認識しており、脱炭素・生物多様性・自然保護・プラスチック削減等、本部・各地域での取組を進めている。
- 具体的には、自然保護では、湿地帯の保護を目的とした清掃活動への参加や植樹・育樹による里山づくり、生物多様性に向けては、自治体と協働での天然記念物の保護活動、プラスチック削減では、海から回収されたプラスチックをリサイクルしたボールペンの活用や、営業職員が使用するプラスチック製クリアファイルの新規購入分の紙製への入れ替えといった取組である。
- 今後も、こうした分野についてはさまざまな課題が生じ、世界の動向や日本政府の取組が加速していくことが予想されるため、当社としても積極的に取組を拡大し、社会・地球環境に貢献してまいりたい。
質問16
現在、学校教育で「部活動の地域移行」が話題になっている。これまでの部活動は、ボランティアの方を中心に支えられてきたが、地域への移行と報酬を紐づけサービス化することで、より活発になるのではないか。このためには、企業が副業を認めていくことが不可欠だと思うが、日本生命の取組や考えについて教えてほしい。
回答
- まず、副業について、規程として禁止する取扱にはなっていないが、実際に副業に従事する職員は僅少な状況である。
- こうした中で当社では、従業員が60歳でプロフェッショナル職員に移行し、定年までの5年間を働く制度があるところ、当社業務以外にも知見を広げる目的で、現在、当該層における副業実施を後押しする取組を進めている。
- 一方、60歳未満の職員については、事業の変革・発展を目的として外部から専門的な知見を取り入れることを優先し、専門性の高い他社の従業員による当社での副業の受け入れを進めているところである。当社職員による副業の取り入れ方についても、スピード感を持って検討を進めてまいりたい。
- 次に、地域振興の取組としては、包括連携協定のもとで、自治体に協力する形で営業職員が生き生きと働く姿を全国で目の当たりにしており、それが地域および当社のためになると確信している。
- また、その他にも、ボランティア等を行っており、支社単位で地域・社会のための活動を増やしてまいりたい。
- 部活動の地域移行については、現状や具体的な課題を踏まえ、当社としてできることを検討してまいりたい。
質問17
営業職員用携帯端末「TASKALL」等によって、時間や場所に捕らわれない営業活動が可能となり、営業の機会が広がっていると思う。一方で、万が一、端末を紛失した際には、端末にセキュリティを掛けていたとしてもデータベースにセキュリティを掛けない限り、情報を不正に取得されてしまうリスクがあるが、端末の回収やセキュリティについて、どのような対応をとっているのか。
回答
- 営業職員用携帯端末「TASKALL」は、紛失も想定し、ログインにUSBキーとパスワードの2要素の認証が必要な仕組みとしている。
- また、端末に大半のデータが残らない仕様としており、残る一部のデータについても遠隔操作でデータの消去が行える仕組みを備えている。
- さらに、より確実な手段である端末の回収を可能とするために、GPSを搭載している。
- こうした手段により、万一の紛失の際にも、お客様の情報が漏洩しないような対策を講じている。
質問18
当上半期業績における有価証券売却損益について、前年度に国内株式の売却益を多額に計上したことの反動減で対前年マイナスという説明があったが、資産運用費用として有価証券売却損を4232億円と経常利益の約4倍の損失を計上している。多額の売却損の計上に問題はなかったのか、どのような状況で計上に至ったのか教えてほしい。
回答
- まず、前年度の国内株式の売却について、現在の中期経営計画において、資産運用ポートフォリオの入替を推進しており、国内株式内での入替を行った上で、3年間で簿価約1000億円減少させる計画としている。
- 前年度は、国内株式マーケットが堅調に推移する中、当計画を前倒しで進めた結果、売却益を多額に計上したが、当年度については、その売却ペースは対前年で抑制的であったこと等から、当年度の有価証券売却益は前年比で減少となった。
- 次に、有価証券売却損について、今年度は国内金利・海外金利ともに上昇局面に入り、過去に投資した低利回りの債券が含み損の状態となる中、当上半期に当債券を売却し、金利上昇局面を捉え、より高い利回りの債券へ入替を実施した。この投資行動は、当年度に有価証券売却損を計上するものの、中長期にわたる運用利回りの向上を意図したものである。
- なお、円安の影響で含み益となった外国債券等を売却したことにより、有価証券売却損を一部相殺している。
- 中長期的な観点から資産運用を行う機関投資家として、こうした戦略的な投資行動を採っていることをご理解いただきたい。
質問19
生命保険会社の社会的使命を踏まえると、最も重要なことは、中長期視点と本質的な経営であり、運用環境の大きな変動やコロナ禍でのさまざまな変化等がある中、単年度の決算に右往左往することなく、中長期の視点で諸準備金の積み増しや資産運用等を継続してほしい。
回答
- 生命保険会社の本質は、どのような状況であっても保険契約でお客様にお約束した保障を全うすることに尽きると考えている。
- コロナ禍を経て、パンデミック等により支払いが急増した際の体制整備について課題を実感した。
- また、資産運用について、現下の金融市場の大きな変動の中でも安定的な運用ができているものの、ストレスシナリオの想定等のリスク管理については再確認を行っている。
- さらに、国内で人口減少が進む中、いかに収益を維持・向上していくかが重要と考えており、事業の収益率向上や海外を含む事業領域の拡大等のさまざまな課題に取り組み、中長期的な視点から、お客様にお約束した保障責任の全うを本質として、今後も経営してまいりたい。
質問20
当上半期業績において、海外金利の上昇や円安の影響により外貨建保険の販売等で他社に劣後する部分もあるようだが、数年後に市場が逆の動きをした場合、お客様が損を被ることもあり得ることから、むしろ、お客様視点に立った営業に取り組んだ結果と考えてもよいのではないか。
回答
- 保険料等収入について、当社も着実に進展しているものの、金融機関窓販や海外事業を要因として他社に劣後していることを真摯に受け止める。ただし、慌てることなく、事業拡大戦略をリスク管理も行いながら着実に進め、安定的に保険料等収入や基礎利益を含め、あらゆる領域でトップが取れるよう、発展してまいりたい。
質問21
近年、政府が国民の安定的な資産形成を促進する方針を積極的に打ち出す中、NISAが脚光を浴びている。生命保険においても、保障性と貯蓄性を組み合わせた中長期の商品があることから、NISAを組み入れた提案もしてはどうか。
回答
- 生命保険会社の資産形成に対する大きな役割は、長期の年金保険を提供していることに代表されるように、長期間にわたる元本保証型の資産形成の手段をお客様へ提供することであると考えている。
- 依然として低金利下ではあるが、お客様にとっての重要な選択肢を用意すべく、さまざまな運用の工夫により、引き続き長期の年金保険等を提供してまいりたい。
- また、子会社のニッセイアセットマネジメントでは、さまざまなリスクを取りながらリターンを追求できる商品を提供しており、今後も、グループ全体で元本保証型とさまざまなリスク性の商品を組み合わせてご提案してまいりたい。
質問22
事前質問を提出されている総代に若干偏りがあるように感じる。全国各地から約200名の総代が集まる中、より多様な意見を引き出し、全体へ共有いただきたい。中長期視点を持ち、本質的な経営を進めるうえでも、多様な意見が必要ではないか。
回答
- 事前質問の数は増加している状況であるが、会議の場でも忌憚なくご意見を頂戴できるような運営の工夫等を引き続き検討してまいりたい。
- 今後も、厳しいご意見も含め、忌憚のないご意見を頂戴したい。
以上