新社会人のための経済学コラム

第160回 2024年から新NISAがスタート!

2023年6月30日

2024年から新NISAがスタート!

NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)とは、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や株式投信などの金融商品から得られた配当・譲渡益等が非課税になる制度で、2014年からスタートしました。そして、2024年からはNISAが大幅拡充された新制度、いわゆる新NISAがスタートします。それにより、個人の資産形成のための投資が、今までよりさらに活用しやすくなることが期待されています。では、新NISAと現行のNISAではどのような違いがあるのでしょうか。

図表:新NISAと現行のNISAの違い

 新NISAの主な変更点として、①制度の恒久化、②年間投資枠の拡大、③生涯保有限度額の設定の3つがあげられます。

 まず、新NISAでは、いままで時限措置であった制度を恒久化し、非課税期間も無期限になります。現行のNISAでは、例えば一般NISAの非課税保有期間は5年間と決まっています。そのため、非課税保有期間を経過すると、保有している株式等の売却、またはロールオーバーと呼ばれる継続手続等が必要でした。新NISAでは、口座開設時期や非課税保有期間がいつ終わるのかを気にする必要がなくなります。

 2つ目の変更点は、年間の投資限度額が360万円に拡大されることです。成長投資枠では現行の一般NISAの2倍の240万円、つみたて投資枠ではつみたてNISAの3倍の120万円の投資が可能になります。更に、現行のNISAでは、つみたてNISAと一般NISAの併用ができず、どちらかの口座を選択する必要がありました。それが新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になるため、より柔軟に投資することができるようになります。

 3つ目の変更点は、一人当たりの生涯の非課税保有限度額が1,800万円、その内枠として成長投資枠の非課税保有限度額が1,200万円に設定されたことです。たとえば毎年つみたて投資枠で120万円投資する場合は、15年間投資し続けることができます。もし新NISAで投資した金融商品を売却した場合は、売却した分の投資枠が翌年以降、復活します。新NISAで投資した金融商品を途中で売却しても、保有金額が1,800万円までなら何度でも年間投資枠内で投資することができます。

 資産形成の方法には「貯蓄」と「投資」があります。日本の家計金融資産は、半分くらいが「貯蓄」である現預金として保有されています。NISAは「投資」で効率よく資産形成する中で税制メリットが受けられる制度です。新NISAでは、所得が少ないときは少額から投資を開始し、所得に余裕がでてきたタイミングで投資金額を増やすなど、個人のライフプランに合わせて、柔軟に投資することが可能です。今回の新NISAのスタートは、人生100年と言われる時代に、自分のライフプランに合わせた資産形成に活用する良い機会になりそうです。

(ニッセイ基礎研究所 森下 千鶴)

筆者紹介

森下 千鶴(もりした ちづる)

株式会社ニッセイ基礎研究所、金融研究部 研究員
研究・専門分野:株式市場・資産運用

▼ニッセイ基礎研究所ホームページ(森下研究員)

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