新社会人のための経済学コラム

第147回 東京ディズニーランドの入場料7,900円は世界で1番安い?

2022年5月11日

世界のディズニーランドの入場料はいくら?

 日本に住んでいればだれもが知っている東京ディズニーランドですが、その入場料が世界のディズニーランドと比較して安いことはあまり知られていません。東京ディズニーランドを含む世界のディズニーランドの料金比較が下の表です。

 各国の通貨を円に換算すると日本の東京ディズニーランドが1番安いことが分かります。

公式HPより(https://www.disney.co.jp/park.html新しいウィンドウ

  • 為替レートは2022年5月9日現在のものを使用しています。
    (為替レートを確認したサイトhttps://ja.exchange-rates.org新しいウィンドウ
  • 日によって料金が異なる場合は一番安い日の料金を採用しています。
  • 滞在期間によって料金が異なる場合は1日滞在の料金を採用しています。

 なぜ日本の東京ディズニーランドは入場料がほかのディズニーランドに比べて安いのでしょうか。各国の通貨はどんな基準で交換されているのでしょうか。

為替レートはどうやって決まる?

 他国の通貨を円に換算して考えるとき、為替レートを使用します。為替レートとはある国の通貨と別の国の通貨を交換するときの比率のことで、一般的に、外国通貨1に対して自国通貨がいくらかを示します。例えば、為替レートが1ドル=100円の場合、1ドルを100円で購入できるということを示しています。では、為替レートはどのように決定されるのでしょうか。

 同じ商品の値段は世界のどこでも等しくなるということを前提に為替レートが決まるという考え方を購買力平価説といいます。たとえば、日本とカリフォルニアのディズニーランドが同じサービスを提供しているとすれば、それぞれの入場料である104ドルと7,900円の購買力は等しい考えることができます。つまり適正な為替レートは1ドル=76円ということになります。実際の為替レートは1ドル=131円で、購買力平価からみたレートよりも円安なので、日本のディズニーランドの入場料が安くなるのです。

 実際の為替レート(円・ドルレート)とOECDが算出している購買力平価レートの関係を見たものが下のグラフです。1986年以降、実際の為替レートは購買力平価レートよりも円高でしたが、2014年に逆転し、それ以降、実際の為替レートは購買力平価レートよりも円安になっています。

円・ドル為替レートと購買力平価レート

(出典) OECD(https://www.oecd.org/新しいウィンドウ

日本への観光はコスパがいい?

 2014年以降は円安が進んでいるため、海外からみて日本の観光地としての魅力が高まっています。これは東京ディズニーランドの入場料が他と比べて安いことからも分かります。観光地としての魅力が高いことは、海外から観光客を呼び込む力があり、日本経済にとってプラスであるように感じるかもしれません。

 しかし、逆に日本から海外に行くとモノやサービスの値段が割高になるので、海外旅行へ行きづらくなってしまいます。為替レート、購買力平価説について理解することで、円とドルやユーロの関係を理解できれば、海外旅行や普段のショッピングが別の視点で見えてくるかもしれません。

(ニッセイ基礎研究所 安田 拓斗)

筆者紹介

安田 拓斗(やすだ たくと)

株式会社ニッセイ基礎研究所、経済研究部 研究員
研究・専門分野:日本経済

▼ニッセイ基礎研究所ホームページ(安田研究員)

https://www.nli-research.co.jp/topics_detail2/id=69482?site=nli新しいウィンドウ

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