第1回 ESGって何だろう ~言葉の定義を考える~

2023年5月23日

ESGという言葉を見聞きしたことはありますか?
近年、企業においてESGという言葉に注目が集まっています。
実は、皆さまにとってもESGは身近で重要です。
今回は、ESGの言葉の意味と、ESGが注目を集めている背景について解説致します。

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとった造語です。
環境、社会、ガバナンスには、「様々な問題がある」という共通点があります。

Environment環境 Social社会 Governanceガバナンス

ご存じの通り、毎年のように世界中のどこかで、台風や大雨、極度な乾燥などの異常気象による影響で大きな被害が発生しています。これはESGの環境に該当する問題です。
幸いこれまで直接的な被害を受けていない人も、これからも被害を受けないとは限りません。
また、多くの人が農作物の価格高騰など間接的な被害は受けているはずです。

また、日本では2022年の出生数(速報値)が80万人を下回り、少子化が問題になっています。
これはESGの社会に該当する問題なのですが、少子化が進むと、現在の行政サービスや社会保障の水準を維持するために必要なコストを、より少ない人数で負担する必要が生じるので、皆さまの1人あたりの負担が増えます。
また、人手が不足するので、24時間営業のお店や、注文当日や翌日に商品が届くインターネット販売など、現在利用可能な便利なサービスの継続が難しくなるかもしれません。
このように、環境、社会に関連する問題は、皆さまにとって身近で重要な問題です。

ESGのガバナンスという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、報道等で目にする企業の不祥事とガバナンスには密接な関係があることが知られています。
日々の生活において直接的な関わりのない企業の不祥事は自分には関係ないと思うかもしれません。
しかし、経済活動は蜘蛛の巣のように繋がっているので、直接的な関わりのない企業の不祥事が、身近な商品・サービスの価格や質に幅広く影響している可能性があるのです。

ESGの問題は、皆さまにとって重要な問題であるだけでなく、企業にとっても重要な問題であり、逆にビジネスチャンスでもあります。このため、企業においてESGが注目を集めているのです。
そして、ESGには先に示した問題の他にも、様々な問題があります。
次回以降、ESGと企業の関わりや、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)のより広範囲かつ具体的内容などを説明していきます。

ガバナンス 直訳すると、支配・統治、管理・運営を意味する。
企業におけるガバナンスを、コーポレートガバナンスと呼び、企業がお客様、従業員、仕入先、株主、債権者、地域社会等様々な関係者の立場を踏まえ、適切な意思決定を行う仕組みを指す。
また、実効的なコーポレートガバナンスが企業及び経済全体の発展に寄与すると考えられている。

(ニッセイ基礎研究所 高岡 和佳子)

筆者紹介

高岡 和佳子(たかおか わかこ)

株式会社ニッセイ基礎研究所
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任
研究・専門分野:リスク管理・ALM、価格評価、企業分析
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