2025年2月5日(水)
女性活躍を共に考える会@東京を開催!

「女性活躍推進」をテーマに、セミナーを開催し、82企業約200名のお客様に参加いただきました。
日本バスケットボール協会三屋会長(以下、JBA)、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(以下、Bリーグ)島田チェアマンに登壇いただきトークセッションを実施した他、最後に参加者に向けてエールをいただきました!
JBA三屋会長×Bリーグ島田チェアマン

Q.日本の女性登用や活躍の現状についてどうお考えですか
――三屋会長
「企業においてチャンスの場があるのか」、「ジェンダーでボーダーを決められていないか」ということがポイントだと思いますが、チャンスをもらえる機会は多くなっていると思うので、これからもっと改善していくと思います。昇格タイミングで、ちょうど産休や育休などのライフイベントがあることが原因で、若干足踏みをすることもあるかもしれないですが、そのあとチャンスがあれば今後女性登用の機会が増えていくと思います。それぞれのライフイベントのタイミングは異なるので人と比べず自分の尺度で考えるのが良いと思います。
――島田チェアマン
Bリーグでは理事15名中、7名が女性外部理事で女性比率が高いです。ただ、比率というよりも変えていかなければならないという社会へのメッセージとして、女性登用の推進を決定しました。今後ジェンダーに関わらずフラットに考えるという社会になっていくと思うので、様々な決定をどれだけスピード感を持って実現できるかが大事だと思います。
Q.女性登用が進んでいないことへの解決方法についてどうお考えですか
――三屋会長
管理職として大事なことは「いかに経験してもらうか」です。
もし経験してもらうことの入口が狭いなら、「規定を変えて入口を広げること」です。入口を広げた後、障壁があるなら周囲の人が全力で守ることも必要です。
登用を目指している方には、失敗してもいいのでどんどん挑戦してほしいと思います。
――島田チェアマン
制度を整えることも大事ですが、雰囲気や実例を作ることも大切です。
Bリーグの管理職は21名中、女性が7名で、産休から戻ってきている方も多いです。最初は不安になる方もいますが、「できるようにサポートすること」も大切です。子育てがハンディキャップにならないような空気感を作り、実例をつくることで子育て中の女性管理職が浸透してきています。
Q.JBA、Bリーグの女性活躍の取組について教えてください
――三屋会長
そもそもジェンダーを気にせず取り組んでいます。指導者も審判も含めて、ジェンダーという基準はなく、 「個」の得意分野を考えてポジショニングしています。
また育休中でも、自主的に試合観戦をしたりというように会社・社会と接点を持つ機会をつくることが大事だと思います。育休中の方が赤ちゃんを連れてオフィスに来るなど、社内の人と繋がっていられるようにしています。
――島田チェアマン
基本的にはジェンダーギャップの議論さえない社会が理想です。ジェンダーが議論に上がらないような社風作りを、スピーディーにやるようにしています。
また、Bリーグのオンライン会議でも、「子どもを抱いて参加することは普通のこと」という雰囲気を作っています。「空気作り」は大事です。
Q.男子のリーグで女性管理職の割合が高い理由は何ですか
――島田チェアマン
Bリーグは女性ファンが多く、お客様の層もファミリー層でお母さんとお子さんが多いです。意思決定をするうえで女性の意見を聞くことが当然ではないかと考え、登用しました。
また理事会では、女性理事を登用してから議論が闊達になりました。厳しい指摘が入る前提でみなさん準備をするので、職員全体のレベルもアップしたと思います。
Q.女性活躍の今後の展望について教えてください
――三屋会長
あと数年したら「女性活躍」という言葉自体もなくなると思いますが、いろんなチャンスが来た時に、うまくやろうとせず、やってみたいと思ったら手を挙げてほしいです。
経験を積むことが大きなエネルギーとなり、予想を超えた成果を出すことにつながると思います。
私も昔ジェンダーで役職に選ばれた悔しい経験もありますが、みなさんまだまだこれからなので失敗をして学んでください。
「自分の言葉だったらなんでも正解」です。
自分の感情や心から出る疑問や意見はどんどん言った方がいいです。そこに間違いはありません。是非一歩踏み出してほしいです。
――島田チェアマン
「日本をバスケで元気に」と言っている私たちは、日本がもっといい国になっていくために、老若男女関係なく、多くの人が生きやすい社会を作り、よりよい未来を作っていければと思います。
Q.仕事とプライベートの両立や女性リーダーの育成ポイントを教えてください
――三屋会長
すべてがうまくいくというのは難しいですので、「助けて」と言える人を何人か作っておくことがポイントです。友達でも親戚でもいいので一人でも多く、助けを求めたり、相談できたり頼れる人が近くにいるといいでしょう。
――島田チェアマン
週1回の出社で働きやすくしています。リモートが多いことのメリット・デメリットどちらもありますが、大事なことは「長時間労働=スタンダード」の状況を変えることです。仕事の質を大事にするという仕組みによって、ライフワークバランスを保つことが恒常的にできます。短い時間で成果を出して、リーダーとして頑張ることができれば意識づけもできるので、ポイントとなることは「時間」だと思います。
ーみなさんへエールー
――三屋会長
「チャンスは必ず掴め」です。
もし、皆さんにチャンスが来たら絶対に手を挙げてください。失敗から学ぶことは多いので、失敗を怖がらず勇気をもって挑戦してください。
あとは、「ロールモデルは探すな」です。
皆さんと同じ人はいないですし、3,4年経つと世の中の流れも変わります。ロールモデルは探さないほうが、ずっと自分らしく生きられます!
――島田チェアマン
人生たった一度しかないので、短期的な日々だけでなく5年後、10年後を見据えましょう。長期的目線で考えるとメンタル面でもしんどくならないです。
ー参加者から質問ー
Q.座右の銘を教えてください。
――三屋会長
「敢為」
あえてその道を選ぶ。苦しいからやめようという選択をとらないようにしています。
――島田チェアマン
「人事を尽くして天命を待つ」
すぐに評価されなくても頑張っていればいいことがあるという想いを抱くようにしています。
Q.会社の古い体質をどうしたら変えていけるのか教えてください。
――三屋会長
みんなを巻き込みながら、少しずつ多様な人を増やしていくといいです。
急に方向転換してもみんながついていけないですし、変わりたくないと思っている人を変えるのは大変です。ですので、賛成してくれる人をひとりずつ増やすといいですよ。私は飲み会等で自分を知ってもらって少しずつ仲間を増やしていきました。
――島田チェアマン
課題意識を持っているメンバーでプロジェクトを作るといいと思います。会社にとってプラスであれば、会社の競争力を高めることになるので、首を縦に振ってくれると思います。長い目で見たら会社も働き方を変えないといけないという前提条件は整っているので、いかに経営層に声を届けるかが大事ですね。
Q.管理職の心持ちや求めることを教えてください。
――三屋会長
新人には「small win」を体験させることです。小さなプロジェクトを任せて成功体験をさせたら、将来の管理職候補が増えると思います。
――島田チェアマン
目指す未来に向かって進んでいき、かつ社会の要請に対してスピードアップして対応するには、上層部や男性が変わっていく必要があります。私は女性と仕事する機会が多いですが、本当に優秀な方が多い。女性が活躍するということが必要不可欠ですのでどんどん突き進んでほしいと思います。
Q.これまでのキャリアの道筋を教えてください。
――三屋会長
バレーボールが終わってからの人生の方が競技人生より長いと想定していたので、競技人生が終わった後、教員になることを考えて大学に進学しました。当時はバレーボールの名門高校卒業後、大学に進学する人は珍しかったので、周囲からは驚かれました。実際に教員にもなりましたが、大きく変わったのはテレビのコメンテーターになったことと、会社の社長になり経済界に入ったことです。今思うと間違えはなかったです。その時々の出会いがありましたし、人生1回しかないので悔いはないです。
――島田チェアマン
30歳の時には自分の意志で会社を立ち上げましたが、その後は声がかかって千葉ジェッツに行きました。その都度その場その場で頑張っていれば自然と未来は切り拓かれていくと思います。
Q.男性の育児参加について働きかけはしていますか。
――三屋会長
スポーツ業界は大会が土日になるので休日出勤多いです。逆に平日はお休みをとりやすいので男性が子育てに参加しやすいと思うため、ジェンダーで区別した対応はしていないです。
――島田チェアマン
制度化まではしていませんが、急に出勤できなくなっても、社内でお互いに協力することが当たり前となっている空気ですので、言えないという状況がないです。
協会やリーグはこの空気感が作れていますが、全国にあるチームでは難しいこともあるので、まずはリーグが率先して実施し、それを全国に伝播しようとしているところです。