トップメッセージ

日本生命グループのサステナビリティ経営
日本生命グループは、長期安定経営に向けたサステナビリティ経営の高度化を通じて、『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』を実現することを目指し、人・地域社会・地球環境の3つの領域で社会課題の解決に向けた取り組みを進めています。
「生命保険を中心にアセットマネジメント・ヘルスケア・介護・保育等の様々な安心を提供する“安心の多面体”としての企業グループ」を長期的に目指す企業像として掲げ、当社事業の中心である、生命保険・サービスの提供に加え、社会課題の解決につながる様々な安心をお届けしていく活動を、日本生命グループとして推進していきます。
2025年4月の新たな経営体制のスタートにあたり、このことを改めてグループ全員で共有するため、「まっすぐ、お客様へ。もっと、地域、社会のために。」を基本方針として掲げました。これは、創業以来“人”を大切にしてきた日本生命グループの根底に息づく「三信条(信念・誠実・努力)」の精神を共通の行動指針とし、これまで以上に、地域や社会の課題解決に貢献するサステナビリティ経営を推進することで、経営理念に謳う「共存共栄」「相互扶助」に則って、グループ全員で社会と人々の幸せを実現するという思いを表したものです。「まっすぐ、お客様へ。」お客様一人ひとりの安心・幸せをとことん考え、行動すること。そこから地域や社会への貢献にもつながっていく、私はそう考えています。
加えて、海外グループ各社とも、こうした考えを、経営の在り方についての共通の価値観として共有すべく、「グループ共通経営方針」も改めて設定しました。ここでは、「三信条」の精神を根底に、長期的視座に基づき、顧客主義と地域・社会への貢献を実現することを普遍の方針として、「徹底した顧客志向」「社会の発展への貢献」「誠実さと長期的な視座」を定めています。
目指す社会・目指す企業像への第一歩として昨年策定した中期経営計画では、「期待を超える安心を、より多くのお客様へ。」お届けすることをテーマに掲げ、お客様本位の業務運営のもと、「国内保険事業のバリューアップ」「国内における安心の更なる多面化」「海外事業の拡大」「財務戦略のステージアップ」「強固な経営基盤構築」の5つの戦略軸に取り組んでいます。
営業職員の提供価値の拡大
営業職員が提供する価値は、これまでは保険商品とサービスの提供にとどまってきましたが、これからは社会貢献活動をその中心に据え、社会課題解決に資するソリューションの提供を進めます。例えば、「がん検診受診勧奨活動」です。がんは早期発見が重要であることから、当社は、地域の皆様へのがん検診の受診勧奨活動に注力してきました。加えて、がん検診に関するアンケートを実施し、例えば、「がん検診をなぜ受けなかったのか?」といった質問に対するお客様の考えをデータとして蓄積・分析したうえで、自治体へフィードバックする活動を行っています。2024年度は、前年度の約56万名を大きく上回る約90万名からアンケートの回答を頂きましたが、2年連続で回答を頂いた約14.9万名のうち、2023年度に「がん検診の受診なし」と回答した約7.1万名のおよそ4人に1人(1.7万名)が「がん検診の受診あり」に変化していました。
営業職員による活動がこのような行動変容につながったことで、少しずつ地域社会の課題解決への貢献を実感することができています。さらに2025年度からは、「ニッセイがん啓発プロジェクト」をスタートし、従来の「がん検診受診勧奨活動」から、がん検診の受診勧奨にとどまらず、お客様へお届けする情報の高度化等を通じて、行動変容を地域全体へ広げていくという意味合いで名称を「がん啓発活動」へと変更し、取り組みを進めています。8月~10月の期間で約130万件のアンケートを収集しており、今後も回答内容に応じたお客様への情報提供や地域ごとの分析結果のフィードバックを行ってまいります。
また、地域の安全・健康・福祉の向上に直接的な効果をもたらすことを目的に、がん検診を含む地域振興アンケートの回答件数に応じて、都道府県の交通安全協会や日本赤十字社都道府県支部へ寄付する「にっせーのせ!地域振興寄付金」を今年度から導入しました。こうした新たな仕組みも活用しながら、営業職員の活動を地域への貢献につなげてまいります。
地域の課題解決に資する様々な安心の面の拡大
「安心の多面体」となるためには生命保険以外の安心の面をどのように大きくしていくかということが重要ですが、まずは、ヘルスケア領域からその取り組みを進めてまいります。当社は、47都道府県と包括連携協定等を結んでおり、その取り組みの中には、ほとんどの自治体において地域の健康増進が組み込まれています。これまでも、自治体を含むステークホルダーの皆様に対し、健康や医療に関する分析データを提供してきましたが、今後、匿名医療保険等関連情報データベース(National Database of Health Insurance Claims、以下「NDB」)を活用した「ニッセイ医療費白書」の作成と、健康リテラシー向上に向けた啓発活動もスタートします。
また、介護もますます重要な課題になっています。2024年6月に日本生命グループへ加わったニチイグループとの協働を通じて、より一層介護という課題に向き合っていきたいと思います。日本全国に事業展開していることの両社の強みや、「人が安心を提供する」という両社のビジネスモデルの親和性を生かし、地域ごとの課題に根差した取り組みを推進できると確信しています。
生命保険を中心とした「安心の多面体」となることで、私たちが成し遂げたいことは「健康寿命の延伸」です。2024年度に設定したサステナビリティ取組のアウトカム目標の一つに「ニッセイ版健康寿命2歳延伸(対2023年比)」を定めています。この実現に向け、例えば今後の保障性商品は、より一層病気との前向きな戦い方を提案できるようなものでありたいと考えています。「健康寿命の延伸」という視点に立脚して、社会課題に向き合うこと、これこそが日本生命グループの提供価値の向上・長期に安定した経営の実現に直結していると考えています。
まっすぐ、お客様へ。もっと、地域、社会のために。
当社は、『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』の実現に向けて、生命保険を中心とした「安心の多面体」となるために、取り組みを進めてまいります。とりわけ中心となる生命保険事業について、今まで以上に地域社会への貢献を通じて提供する価値を拡大するとともに、様々な安心の面の拡大を目指します。そのために、基本方針「まっすぐ、お客様へ。もっと、地域、社会のために。」を掲げ、一人ひとりが自分ごととして地域社会の課題に向き合い、地域に暮らす皆様とともに発展できる社会づくりに貢献していきます。
2025年11月 代表取締役社長 社長執行役員
朝日 智司
