ニッセイサステナ通信 「企業をつなぐ」編

東日本大震災から14年を経過した現在も、福島県の復興は道半ば。郡山支社の高岡さんと増子さんは、地元のお客様と関わるなかで「日本生命として、福島県の復興の一助になりたい」という強い想いを抱いていた。そこへ気持ちを同じくする仲間が集い、福島と東京をつなぐプロジェクトがスタート。地域に笑顔を増やしている。


地方と都会の課題を解決するために。

高岡私どもは現在、福島と東京の「困りごと」を解決する仕組みづくりに取り組んでいます。福島県は農業や漁業も盛んで、魅力あふれる県ですが、その魅力はもっと発信できる余地がある、また震災の影響や人口減少に伴い県内の消費力も低下しています。一方で東京は巨大なマーケットを持ちますが、同時に廃棄物が多く処理コストも莫大です。さらに競争も激しく、他の事業者との差別化も常に求められています。

増子そうした課題を日本生命の職員がヒアリングし、誕生したのが「循環型の農業プラットホーム」です。東京の天王洲アイルのクラフトビールを手掛けるレストランがクラフトビールの製造過程で生じたモルト粕を、福島県いわき市のオリーブ畑をはじめとした農園の肥料として活用し、生産されたいわき産オリーブオイルや果物を東京のレストランでお客様に楽しんでいただく。そんな循環の仕組みを構築しました。

出発点は、「地域に恩返しをしたい」。

高岡なぜ日本生命がこうしたプラットホームの構築に取り組むのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。私は郡山支社に赴任して以来、福島県のたくさんの方のお話をお聞きしてきましたが、そのなかでも多かったのが福島県、とりわけ浜通り地域をいかに盛り上げていき、元気にするかを熱く語る声でした。

私たちのお仕事は、地域のお客様がいらして初めて成り立つお仕事ですので、「福島県の皆様にお役に立てることは何だろう」と考えていた矢先、同じ想いを抱く県内の報道機関関係者の方から、「オリーブでいわき市を盛り上げたい」と地域振興に取り組む会社をご紹介いただいたのが始まりです。

福島とつながる、関係人口を増やす。

増子自治体の方ともお話する機会が多いのですが、人口減少は行政でも大きな課題になっています。今すぐ人口を増やすのは難しいけれど、地元の農産物を介して福島と縁を持つ“関係人口”を増やす事は可能だと考えました。

高岡まずは「モノの交流」。いわき産オリーブオイルの販路確保や雇用創出といった経済的な貢献を行い、次の段階では、「コトの交流」を経て、新たな生産者やレストランの参画、人材育成など「ヒトの交流」につなげていくのが理想ですね。モルト粕は栄養価が高く、幅広い活用が期待できるため、関係人口をさらに増やせる可能性を秘めていると考えています。

「笑顔の循環」が未来を育てる。

高岡プロジェクトを立ち上げる際にメンバー全員で話したゴールがあります。それは「子どもたちが未来に向けて大きな夢を持てること」でした。日本生命は「誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会」を目指していますが、サステナブルな社会の実現には、未来を育てる取り組みが欠かせません。

本プロジェクトを介し東京と福島をつなぐ新しい架け橋をつくることができましたので、福島の若者が東京で学ぶ、逆に東京の方が福島で学ぶ、人の交流を進める中で、お互いの地域の事をもっと知り、子どもたちの可能性を拡げ、夢を持てる世界を実現したいと願っています。モノの循環、コトやヒトの循環のその先の、いわば「笑顔の循環」が本当のゴールですね。

ともに地域創生を行う仲間が続々と。

高岡とはいえ、実現には高い壁がありました。モルト粕は栄養価が高い一方で水分が多く、輸送に高い専門性が求められます。他にも様々なハードルがありましたが、この取組の意義を深くご理解いただいた方々の「世の中のために役に立つなら是非やろう」というお気持ちのおかげで全てのハードルをクリアできました。

増子民間と行政が力を合わせればより有意義なものになりますので、様々な分野で自治体と協同した取り組みも実施しています。そうしたご縁で、いわき市の特産品を東京で販売するイベント開催など、新たな展開にも恵まれました。

プラットホームを軸に、新たな挑戦を!

高岡私どもができることには限りがあります。社会的な課題や、本プロジェクトがもたらす効果、目指す未来の姿といったお話を多くの方に共感いただけたからこそ実現できたと思います。また、今回の取り組みを通じて「福島をみんなで盛り上げたい」というお声をあちこちでうかがい、あらためて地元愛の強さを感じました。「循環型の農業プラットホーム」というベースができたことで、今後はそうした方に「一緒に地域振興に取り組みませんか」とお声をかけやすくなった点も、本プロジェクトのメリットだと思います。


地域社会、地球環境、そして“人”の未来を見据えた取り組み。高岡さんと増子さんの想いは県を超え、民間と行政の垣根を超え、多くの心を動かした。オリーブオイルがつなげた小さな縁から生まれた「循環型農業プラットホーム」を幹として、交流という枝葉が広がっていく。

福島に新たなにぎわいが生まれる未来も遠くないだろう。

インタビューされた人

日本生命 郡山支社 支社長
高岡 俊之さん

1991年入社。学生時代はラグビーに打ち込んでいました。入社理由は、ラグビーと同様に「それぞれの個性を生かしながら力を合わせる」日本生命のスタイルに魅力を感じたから。3年間の佐賀支社長を経て2年前に郡山支社へ。地域のお客様の声を伺い、安心安全をお届けするのが自分の仕事だと考えています。

インタビューされた人

日本生命 郡山支社 企画開発課長
増子 百恵さん

1994年に郡山支社へ入社。窓口でのお客様対応からスタートし、総務、損保業務、営業職員教育など、様々な立場で地域に密着した業務に携わってきました。これまで培ってきた経験を生かし、地域の発展と安心を支えるため、今後も地域に貢献し続けていきたいと考えています。

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