日本生命グループのサステナビリティ経営の高度化に向けて
開催日:2024年12月4日(水)
日本生命グループの独自性を生かした取り組みを通じて社会課題解決への貢献と企業価値向上につなげていく

日本生命グループでは、事業運営の根幹であるサステナビリティ経営を一層高度化するため、相対的かつ客観的なご意見を伺うべく、社外の有識者をお迎えして、サステナビリティ・アドバイザリー会議を開催しています。2024年度はアウトカム目標の達成に向けた各種体制・取り組みの高度化にあたり、当社グループのサステナビリティ推進体制や当社の具体取組等をお伝えした後に、サステナビリティ経営のガバナンス体制や地域社会への貢献、従業員への理解浸透・行動変容、人的資本に関する取り組み等への評価やご意見を頂きました。
有識者
松田 千恵子 様
東京都立大学大学院
経営学研究科
教授
日本長期信用銀行、ムーディーズジャパン格付けアナリスト等を経て、2011年より東京都立大学大学院経営学研究科教授。専門は企業の経営戦略構築・中期計画立案支援、グループ経営、コーポレートガバナンス、情報開示、M&A支援等に関するアドバイザリー。公的機関、上場企業の社外役員等を務める。『グループ経営入門』(税務経理協会)『これならわかるコーポレートガバナンスの教科書』(日経BP社)など著書多数。
足達 英一郎 様
株式会社日本総合研究所
常務理事
株式会社日本総合研究所 経営戦略研究部、技術研究部を経て、現在、未来社会価値研究所長。専門は環境経営、企業の社会的責任、サステナブルファイナンス。公益社団法人経済同友会社会的責任経営推進委員会ワーキング・グループメンバー、ISO26000作業部会日本国エクスパートなどを歴任。「投資家と企業のためのESG読本」(日経BP社、共著)など著書多数。
日本生命保険相互会社出席者
中村 吉隆(常務執行役員)
河村 隆文(執行役員人事企画部長 兼 人事部長)
藤本 宣人(代表取締役副社長執行役員)
宮本 泰俊(責任投融資推進室長 兼 財務企画部担当部長)
中尾 仁彦(営業勤労部長)
三田村 研吾(理事業務部長)
鹿島 紳一郎(執行役員 兼 主計部長)
加藤 勇一郎(サステナビリティ経営推進部長)
木村 武(執行役員 兼 サステナビリティ経営推進部審議役)
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※有識者・当社出席者の所属・役職は意見交換を開催した当時のものです。
意見交換
サステナビリティ経営のガバナンス体制
- 松田様
- 日本生命は、どこを切り取っても「人」のサステナビリティが中心と理解していましたが、「地域社会」「地球環境」等のテーマも網羅されていることが印象的です。一般的に、サステナビリティ委員会の取組報告にとどまる企業が多く、取組方針や改善策の検討等、議論の場にできると良いと思います。
- 足達様
- ガバナンスの観点では、外部の声を取り入れてほしいと思います。例えば、社外取締役からの評価や、保険契約者の声を取り入れていくことも一案です。
- 鹿島
- サステナビリティ委員会は、これまで40名規模と人数が多く、発言しづらい状況にありました。2024年度からは、委員を担当役員以上に絞っており、以前よりも議論がしやすく、積極的な意見発信がなされるようになりました。今後、さらに議論を活性化させるため、社外取締役やご契約者の声を取り入れることも考えていきます。
- 藤本
- 当社は年1回の総代会に加え、地域版の総代会として「ニッセイ懇話会」を50年近くにわたり開催しており、毎年5,000を超える意見を頂戴しています。2024年度の懇話会では、サステナビリティ取組について詳細に説明し、たくさんの意見を頂きました。引き続き、外部からの意見を頂きながら、真摯に取り組んでいきたいと思います。
- 足達様
- 外部の声に加えて、従業員の多くを占める営業職員の参画も大切です。サステナビリティ経営の議論は、ガバナンスの面では上意下達となりがちで、本部の一部の人だけで取り組んでいるように見えやすいですから、下から上への動きをガバナンスの中に入れていくと良いと思います。例えば、従業員発信のプロジェクト展開や、サステナビリティ取組の表彰制度の導入等もガバナンス体制の一要素として考えられます。
- 鹿島
- 2024年度から、役員・職員の日々のサステナビリティ取組を対外発信していくプロジェクトとして、「にっせーのせ!」という全社運動を開始し、役員・職員が日々の活動の中でサステナビリティを意識できる枠組みを作りました。また、社内のさまざまな表彰制度の中で、こうした取り組みを褒め称えられるような項目も追加する予定です。
日本生命グループの地域社会への貢献
- 松田様
- 地域振興に取り組む中で、地域のニーズはどのようなものでしょうか。ニーズが見える化できると、そこに手が届く具体取組が見えてくると思います。
- 加藤
- 過去に各自治体へアンケートを実施したことがあり、「人手」を求める声が多くありました。例えば、自治体の施策や取り組みを地域住民に発信し届けるために、約5万名の営業職員を通じてそれらを伝播し、地域の課題解決につなげていくというものであり、BtoCの活動を実施していただけたら嬉しい、という声を頂いています。
- 松田様
- 日本生命が持つ大きなリソースは、皆が持っているものではありません。BtoCのノウハウを持っていない方々や、日本生命のリソースを切望している方のニーズを救ってほしいと思います。
- 足達様
- 日本生命らしさで言いますと、「健康」の問題からスタートしている点は素晴らしいことです。地域課題の観点で具体的に踏み込みながら、日本生命が大切にする価値観を打ち出したうえで、日本生命としての地域課題の捉え方や、「我々はここに拘る」という取り組みをストーリー立てて伝えていくと良いと思います。
- 三田村
- これまで、交通安全啓発活動やがん検診受診勧奨活動を実施してきましたが、この2つは全国一律の課題と捉えています。今後は地域の健康サ ポート活動として、各自治体が抱える健康課題に応じて、自治体と当社間で議論して施策を検討する取り組みを予定しています。課題が多様化していく中で、色々と取り組みを実施していきたいと思います。
- 木村
- 当社は、健康寿命の延伸というアウトカムを設定しており、がん検診受診勧奨活動は、地域住民の健康寿命延伸に寄与し得る取り組みとして進めています。一方、健康寿命が改善した時に、当社の活動でどれだけ貢献できたのか、効果性の測定が難しいと感じています。
- 松田様
- 効果性が測定しやすい取り組みを選択しても良いのではないかと考えます。例えば、がん検診の受診について、営業職員自らがアピールをしたことで、お客様が検診を受診し、その数が増えてくると元気が出る。最終的にビジネスにつながる取り組みを強化していくと、営業職員方も自身の取り組みによって上手く回っていると実感が湧くのではないでしょうか。
- 三田村
- がん検診受診勧奨活動の結果として、営業職員の活動によって、4人に1人が行動変容につながったという分析結果が出ました。また、受診勧奨したお客様が実際に受診し、がんが発覚したケースも何件か出てきています。早期発見につながり感謝される事例が一定数ある中で、営業職員としても充実感・満足感は高まっていると考えています。
従業員への理解浸透・行動変容、人的資本について
- 松田様
- 経営層と従業員が双方向で理解浸透・行動変容に取り組むことは大事なことであり、圧倒的に効果がある取り組みが、好取組の表彰運営です。アワー ドのようなものは、皆さん燃えるものがあるようです。
- 足達様
- いくつかの企業と話す中では、表彰運営を通じて、若い人たちが全社を突き上げるようなムーブメントになっている会社は、比較的面白いことができているように思います。若い人たちが集まり、議論し、あるいは社内でプロジェクトを作るというような仕掛けも一つの工夫です。
- 鹿島
- 全社的にサステナビリティ取組が進んでいると感じている一方、職員側からの自発的な取り組みというフェーズまでには至っていないと考えています。 これからの課題は、職員が自分ごととして、社会課題に向けて何ができるかを考えて、行動に移していくことです。ニッセイサステナプロジェクト「にっせーのせ!」の中で、行動に移していくような仕掛けづくりも考えていきたいと思います。
- 松田様
- 従業員の理解浸透・行動変容につなげるためには、人的資本も大きな経営課題です。私は就活生を送り出す側ですが、最近の学生は3年以内に転職を希望しています。転職することでキャリアアップができる、と思っているからです。長くいきいきと働いていただくためにも、魅力ある会社でなければならない。そのために重要なことは、小さなステップアップ像で構わないので、どのようなスキルが身に付くのか等を可視化してあげることだと考えています。
- 河村
- 近年は、専門性や自身が身に付けたスキルを入社時から意識する層が増えており、若手のうちから 「この仕事をしたい」という意志を持っています。2025年度の制度改正の中では、こうした個人の希望を正しく解釈し、きちんと選択肢を用意することに取り組むための施策を考えており、職務公募の中で、若手層を中心にポスティング式でステップアップしていくことを志向していきたいと考えています。
- 中尾
- 営業職員の世界では、よく言われる大量採用・ 大量脱退という形になっていましたが、これからの人口減少の中で生産性向上に対応していくためには、組織の拡大では限界を感じており、営業職員一人ひとりへの教育を通じた個々の成長とエンゲージメントの向上等、人的資本の強化を図っていきたいと思います。
- 中村
- 人的資本を取巻く環境がここ数年で激変している中、従業員に選ばれる会社になろうと各種取組を進めています。また、学生の価値観も多様化し、今は、多様な人材やタレントを受け入れながら組織を作っていくことが、私たちに求められているものと感じています。一方、多様性が出てくるほど、人の集団をどのようにまとめるかがますます重要になってくる中、サステナビリティはつなぎ止めるための1つのテーマであると認識しています。そういう意味でのサステナビリティ経営ということも、改めて意識していきたいと思います。
これからのサステナビリティ経営について
- 松田様
- 日本生命は、本当に真摯に積極的に取り組んでいるというのが全体の感想です。ぜひ、こうした良い取り組みをもっとアピールすべきだと思うので、“日本生命の想いはここに詰まっている”というものを発信してほしいと思います。人的資本領域では、営業職員・内務職員両方を考える必要がある中、考える量も質も、他の企業と比べて非常に多いと感じます。人材獲得競争は非常に激しく、逼迫しているという雰囲気を日々実感していますので、ぜひ、頑張っていただければと思います。
- 足達様
- 世界情勢等を見ていると、今は、公益より私益がものすごく前面に出ており、世の中を支配しているような雰囲気になっています。そうした中で、社内でサステナビリティを論じていく時には、本音と建前のような形にならないようにしていくことが大切です。世の中が自分のことだけを考えるようになると、社内でも同様の雰囲気が蔓延してきてしまいますし、そのことを念頭に置いたうえで、業務運営を図っていくということが一層求められます。
- 藤本
- 当社は保険業法で認められた相互会社という特殊な形であり、生命保険会社として、長期の目線に立った経営が求められます。昨今、短期的なボラティリティが高まっている事業環境の中では、より一層長期目線で経営ができる相互会社というのは望ましい組織形態です。また、サステナビリティ経営では、当社の社員にあたるご契約者への発信をより高めて、ご意向をしっかりと把握しながら、短期・中長期双方の成果を意識しつつ、着実に進めていきたいと思います。
- 鹿島
- サステナビリティ経営は、単に社会課題の解決に貢献することだけでは長続きさせることが難しく、いかに収益に結び付けていくかという考えが重要だと認識しており、当社のような地域に根差し た会社にとっては、非常に大事なことだと思います。一つ一つの活動が次の新しいお客様につながっていく、そういうところを目指していくような取 り組みにしていきたいと考えています。まだまだ課 題は多いですが、これからも勇気を持って取り組んでいきたいと思います。
頂いたご意見・対応
| ご意見 | 対応 | |
|---|---|---|
| ① | ガバナンスの観点で社外取締役からの評価や保険契約者の声を取り入れることも必要 | 社外取締役会議での案件付議やニッセイ懇話会等でのアンケートを通じて、サステナビリティに関するご意見やご要望を収集 |
| ② | 地域社会への貢献については、日本生命としての地域課題の捉え方やこだわりをストーリー立てて伝えていくことが重要 | 2023年度より実施してきた、がん検診受診勧奨活動をがんに関する情報の高度化等を通じて、お客様の行動変容を地域全体へ広げていく意味合いを込め、名称をがん啓発プロジェクトへと変更し、取り組みを強化 |
| ③ | 経営層と従業員が双方向で理解浸透・行動変容に取り組むことが重要であり、好取組の表彰運営が効果的 | 各部・各支社のサステナビリティ向上に向けた取り組みを全社に共有するサステナアワードを開催予定 |
