赤道原則への取り組み
当社は2019年4月に、「赤道原則(Equator Principles)」を採択しました。
赤道原則とは
赤道原則とは、大規模な開発・建設を伴うプロジェクトに関連する融資を行う際に、プロジェクトが環境・社会に及ぼすリスクおよび影響を特定・評価し、管理するため、金融機関が中心となり策定した枠組みです。
具体的には、世界銀行グループの一員である国際金融公社(IFC)が定める「IFCパフォーマンススタンダード」および「世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドライン」にもとづき、各金融機関が環境・社会配慮に関する独自の方針・手続・基準を整備し、事業者によるプロジェクトの環境・社会配慮の状況を確認するための内部管理体制を構築するものです。
赤道原則の対象は、一定の基準を満たすプロジェクトファイナンス等*であり、プロジェクト所在国や業種を問わず適用されます。
赤道原則を採択した金融機関は、赤道原則の適用対象となる案件について、融資実行に際して赤道原則の要求事項への適合状況を確認し、当該要求事項を満たさないプロジェクトに対しては、融資を行いません。
2026年5月末現在、世界で126の金融機関が赤道原則を採択しており、国際的なプロジェクトファイナンスの多くをカバーしております。
- プロジェクトファイナンス
- プロジェクト総額10百万米ドル以上の全ての案件
ただし、フィナンシャル・クローズ時点で完工済の案件は除く - プロジェクト紐付きコーポレートローン(PRCL)
- 以下の3つの条件を全て満たすコーポレート案件
(1)総借入額の過半が特定のプロジェクトに向かい、かつ、当該プロジェクトの実質的な支配権を借入人が(直接的または間接的に)有する
(2)総借入額と当社の融資コミット額がそれぞれ50百万米ドル以上
(3)貸付期間が2年以上 - ブリッジローン
- 貸付期間が2年未満で、上記に該当するプロジェクトファイナンスもしくはPRCLによってリファイナンスされることが予定されている案件
- プロジェクト紐付きリファイナンスとプロジェクト紐付き買収ファイナンス
- 以下の3つの条件を全て満たす案件
(1)当該プロジェクトが過去に赤道原則フレームワークに基づいて融資されている
(2)プロジェクトの規模あるいは目的の重大な変更が無い
(3)フィナンシャル・クローズ時点でプロジェクトが完工していない - プロジェクトファイナンスアドバイザリー業務
- プロジェクト総額10百万米ドル以上の全ての案件
詳細は赤道原則の公式ウェブサイトをご覧ください。
IFCパフォーマンススタンダード
IFCが定めた、プロジェクト実施者向けの環境・社会ガイドラインであり、以下の8項目で構成されています。
- PS1
- 環境・社会に対するリスクと影響の評価と管理
- PS2
- 労働者と労働条件
- PS3
- 資源効率と汚染防止
- PS4
- 地域社会の衛生・安全・保安
- PS5
- 土地取得と非自発的移転
- PS6
- 生物多様性の保全および自然生物資源の持続的利用の管理
- PS7
- 先住民族
- PS8
- 文化遺産
詳細はIFCの公式ウェブサイトをご覧ください。
世界銀行グループ EHS(環境・衛生・安全)ガイドライン
世界銀行グループが定めた、プロジェクトを実施する際に遵守すべき「環境(Environment)」「衛生(Health)」「安全(Safety)」に関する基準です。全産業に共通する「一般EHSガイドライン」と、産業セクター特有の指標を含む「産業セクター別ガイドライン」で構成されています。
詳細は世界銀行グループの公式ウェブサイトをご覧ください。
赤道原則採択の背景
当社は、生命保険会社としての使命や公共性を踏まえ、環境や地域・社会と共生し、経済・企業と安定的な成長を共有していく視点を重視しており、資産運用においては、環境・社会・ガバナンスの要素を考慮して行う、責任投融資を強化しています。
2013年より取組を開始したプロジェクトファイナンスについては、2017年にストラクチャードファイナンス営業部を新設し、海外プロジェクトファイナンスへの取組実績も順調に積み上げています。一方で、大規模開発を伴うプロジェクトは、自然環境や地域社会に対して大きな影響を及ぼす可能性があるため、プロジェクトファイナンス等の意思決定時に環境・社会面への影響について十分に配慮することを定めた赤道原則を、2019年4月に採択しました。
当社における具体的な取り組み
社内運営体制
当社は赤道原則の採択にあたり、融資実行に関する社内方針・手続きに赤道原則を組み込むとともに、赤道原則を踏まえた環境・社会への配慮方針および環境・社会リスクの評価手順を定めた「環境社会リスク評価マニュアル」を制定しております。
本マニュアルに従い、貸付担当部が、環境・社会リスクの一次評価を実施し、財務審査部が二次評価を実施しております。
赤道原則の遵守状況確認に関する社内手順
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➀貸付担当部は、環境社会リスク評価の対象となる案件について、「スクリーニングフォーム※1」に係る情報を取得し、必要情報を記入する。
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➁貸付担当部は、「スクリーニングフォーム」の情報を踏まえ、「適用チェックリスト※2」に記載されたIFCパフォーマンススタンダードに定める項目ごとに、「影響程度(重大、限定的、軽微/なし)」を評価する。その後影響程度に応じて、仮カテゴリーを付与し、必要書類を財務審査部へ回付する。
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③財務審査部は、二次評価を実施し、仮カテゴリーを決定する。その後その結果を貸付担当部へ連絡する。
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④貸付担当部は、仮カテゴリーに応じ、プロジェクトの環境・社会に配慮する対応について、環境・社会影響評価書、環境・社会マネジメントプラン等の内容を確認し、赤道原則が求める水準を満たしているか否かの確認(環境社会リスク評価)を実施する。また、必要な場合はカテゴリーの見直しを検討する。確認が完了した案件について、必要書類を財務審査部へ回付する。
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⑤財務審査部は、二次評価を実施のうえ、カテゴリーおよび赤道原則遵守状況を決定する。その後貸付担当部等関係各部へ連絡する。
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⑥貸付担当部は、財務審査部より受領したカテゴリーおよび遵守状況の決定結果を確認する。なお、財務審査部より要調査事項が付与されている場合には、当該項目に対しても対応する。
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⑦貸付担当部は、カテゴリーおよび所在国に応じたコベナンツの融資契約への最終反映を確認する。
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※1スクリーニングフォームとは、プロジェクトファイナンス案件等に対する赤道原則の適用を検討するにあたり、当該プロジェクトの環境社会配慮に関する基本情報を収集するための帳票。
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※2適用チェックリストとは、プロジェクトファイナンス案件等に対する赤道原則の適用に関して、各案件が同原則の求める水準を満たしているかについて評価するとともに、各案件に付与するカテゴリーを決定するための帳票。
環境・社会リスク評価の実施
貸付担当部および財務審査部は、赤道原則の適用対象となる案件について、当社の「環境社会リスク評価マニュアル」にもとづき、顧客によるプロジェクトの環境・社会への配慮が、赤道原則の求める水準を満たしているか否かを確認する環境・社会リスク評価を実施します。
具体的には、最初に、赤道原則の原則1に従い、プロジェクトの環境・社会に対する潜在的なリスクと影響度合いを評価し、その結果に応じて以下のカテゴリーを付与しています。
| 原則1 | レビューおよびカテゴリーの付与 |
|---|
| カテゴリー | 定義 |
|---|---|
| A | 環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト。 |
| B | 環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト。 |
| C | 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト。 |
その後、付与したカテゴリーに応じて、赤道原則の遵守状況を確認します。例えば、最もリスクが高いカテゴリーAを付与したプロジェクトについては、赤道原則の原則2から原則10までの各原則が求める環境・社会配慮が実施されていることを確認します。確認結果を踏まえ、必要に応じて誓約事項(コベナンツ)を融資契約に反映することについて、お客様と合意します。
| 原則2 | 環境・社会アセスメントの実施 |
|---|---|
| 原則3 | 適用される環境・社会基準の遵守 |
| 原則4 | 環境・社会マネジメントシステムの構築、アクションプランの策定 |
| 原則5 | ステークホルダー・エンゲージメントの実施 |
| 原則6 | 苦情処理メカニズムの構築 |
| 原則7 | 独立した環境・社会コンサルタントによるレビューの実施 |
| 原則8 | 誓約事項(コベナンツ)の設定 |
| 原則9 | 独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の実施 |
| 原則10 | 情報開示と透明性の確保 |
赤道原則適用実績
2025年1月1日から2025年12月31日にフィナンシャル・クローズした赤道原則適用案件は以下のとおりです。
これらの案件について、前述のプロセスを経て、赤道原則の要求事項への適合を確認しております。
プロジェクトファイナンス案件
2025年1月1日から2025年12月31日の間にフィナンシャル・クローズしたプロジェクトファイナンスは1件でした。内訳は下表のとおりです。
| カテゴリー別件数 | |||
|---|---|---|---|
| カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC | |
| ー | 1 | ー | |
| カテゴリー別件数の内訳 | |||
| セクター | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
| 鉱業 | ー | ー | ー |
| インフラ | ー | 1 | ー |
| 石油・ガス | ー | ー | ー |
| 電力 | ー | ー | ー |
| その他 | ー | ー | ー |
| 地域 | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
| 米州 | ー | ー | ー |
| 欧州中東アフリカ | ー | ー | ー |
| アジア太平洋 | ー | 1 | ー |
| 指定国 | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
| 指定国 | ー | 1 | ー |
| 指定国以外の国 | ー | ー | ー |
| 独立したレビュー | カテゴリーA | カテゴリーB | カテゴリーC |
| 有り | ー | 1 | ー |
| 無し | ー | ー | ー |
プロジェクト紐付きコーポレートローン案件
対象無し。
プロジェクト紐付きリファイナンス案件
対象無し。
プロジェクト紐付き買収ファイナンス案件
対象無し。
プロジェクトファイナンスアドバイザリー業務
対象無し。
赤道原則遵守状況のモニタリング
契約締結時に融資契約書に反映した誓約事項については、お客様より提出される定期報告書等を確認することで、融資期間を通じて誓約事項の遵守状況を定期的に確認します。なお、誓約事項には環境・社会関連法規制やアクションプランの遵守等が含まれます。2019年の赤道原則採択以降、赤道原則適用対象プロジェクトについては、上記方針に従ったモニタリングを実施しております。
社内研修の実施
社内マニュアルの整備に加え、赤道原則の概念および環境・社会リスク評価の実施フローに対する理解を深めるために、定期的に貸付担当部を主な対象とした社内研修を実施しております。今後もこれらの取り組みを通じて、環境・社会配慮に対する社内意識の向上に努めてまいります。
