「何を何枚着せたらいいか、わからない」「部屋の乾燥が気になる」「風邪やインフルエンザにかからせたくない」……寒い冬の育児は、いつも以上に心配事が増えます。赤ちゃんが快適に過ごせるように、冬を元気に乗り切るポイントを、小児科医の渡辺とよ子先生に聞いてみました。
日中の室温は23度ぐらいを目安に
寒さや暑さの感覚は、家庭や個人ごとに異なるものです。室内の温度は、ママが快適でいられることを基準にしてかまいません。冬の日中は23度ぐらいを目安に、エアコンを設定しましょう。暖かい空気は上に行くということも考慮してくださいね。赤ちゃんとの暮らしには、温度や湿度が一目でわかるようなデジタル温湿度計をおすすめします。
湿度は40%以上を目指して
室内を暖めると、湿度は下がっていきます。湿度が下がって室内が乾燥すれば、のどや鼻の粘膜の働きが鈍くなり、感染症にかかりやすくなります。湿度の目安は40%以上、50%を目標に。エアコンの使用と加湿は必ずセットにしましょう。
■ 部屋の乾燥対策!加湿する方法
- 洗濯物やぬれタオルを部屋に干す
- 加湿器を使う
冬とはいえ着せすぎない
暖房が効いた室内では、赤ちゃんの衣類も「ママと同じくらいの枚数」が目安です。ただし、布団にくるまれている赤ちゃんは「大人より1枚少なめ」に。赤ちゃんは大人よりも熱産生が多く、重ね着しすぎると冬でもあせもができることもあります。
寒いから靴下をはかせたくなりますが、すべったり転倒したりして危険。室内では基本的に“はだし”で過ごし、どうしてもはかせたいときはすべり止めつきのものを選びましょう。
1日2~3回は換気する
閉めきった室内はハウスダストやカビ、炭酸ガス(吐いた息)などがたまり、空気が汚れてきます。室内で燃やす石油やガスのストーブなどを使うときは1時間に1回の換気が目安とされましたが、エアコンや電気ヒーターが中心の現在では、朝晩に窓を開けて空気を入れ替えましょう。
暖房器具によるやけどに注意!
室内で燃焼させる石油ストーブなどは空気が汚れやすく、さわってやけどをする心配があります。撤去するか、さわれないようにガードしましょう。また、ホットカーペットや電気敷布団、床暖房は、低温やけどや皮膚の乾燥、脱水症状を起こすおそれがあります。赤ちゃんを直接寝かせるときは、スイッチをオフしましょう。
一日1回は外へ
外に出て太陽の光を浴びることは、赤ちゃんだけでなく、ママの心身の元気のためにも大切です。生活のリズムを考えて、一日1回は外に出ましょう。近所の公園で遊んだり、家の周りをお散歩したりするだけでもじゅうぶんです。
お出かけの服装も、大人と同じ枚数でOK
お出かけの服装は、親子ともに薄手で風を通さない、動きやすいものがおすすめ。厚手のものを1枚より、薄手のものを2枚着せるほうが保温効果は高く、脱ぎ着しやすいです。暖かい屋内に入ったら上着を1枚脱がせるなど、調節してあげましょう。
外から帰ったら手洗い・うがい
感染症を予防するには、大人やきょうだいが病原菌を家の中に持ち込まないこと。外から帰ったら洗面所に直行し、手洗い・うがいを徹底! 赤ちゃんの場合は、お湯をしぼったタオルで手をふいてあげて。
■ 冬のお出かけの注意点
- 比較的暖かい時間帯を選ぶ
- 脱ぎ着しやすい服装で、こまめに調節する
- 人混みを避ける
- 帰ってきたら手洗い・うがい
- 手洗い・うがいのできない赤ちゃんの場合は、手をぬれタオルでふく
お風呂は38~40度ぐらいが適温
湯温は、大人が少しぬるいと感じる38~40度ぐらいが適温です。入浴時間は5分ぐらいを目安に、お風呂上がりにはさっとタオルでくるんでから、暖かい脱衣所やリビングで、水分を押さえるようにふいてあげましょう。
■ 湯冷めしないお風呂の段取り
- 湯温は38~40度ぐらい
- 浴室や脱衣所を暖めておく
- 着替えやバスタオルをセットしておく
- お風呂につかるのは5分ぐらい
- お風呂上がりはタオルでさっとくるみ、暖かい場所で着替える
- 時間をおかずに、保湿剤で肌の潤いをキープ!
夜間の室温は15~20度ぐらいに
夜間も暖房は使ってかまいませんが、温風が赤ちゃんに直接当たらないように気をつけて。室内の温度を15~20度ぐらいに保ち、湿度も40%以上を目指した寝やすい環境をつくってあげましょう。
ねんねの服装で大切なのは、肩とおなかをカバーしてあげること。赤ちゃんには、肌着+ウエア(おなかが出ないツーウェイオールやロンパース)が基本です。寝ている間もよく動き、布団から出てしまう赤ちゃんには、その上にスリーパーを着せるのもいいでしょう。
赤ちゃんの寒い暑いをチェックする習慣を!
赤ちゃんの足がヒヤッと冷たいからといって、寒いというわけではありません。赤ちゃんが寒いのか暑いのかを知りたいときは、首の後ろ(背中)に手を入れて、汗ばんでいないかどうかをチェックしてみてくださいね。
■ 赤ちゃんが暑がっているとき
- 顔色がふだんより赤くなっている
- 首の後ろ(背中)に手を入れてさわると、汗ばんでいる
■ 赤ちゃんが寒がっているとき
- 顔や唇の色が青白い
- おなかや背中まで冷たい
どんなに気をつけていても、風邪をひいてしまうことはあります。赤ちゃんは風邪をひいたり、熱を出したりしながら免疫をつけていくものです。「風邪はひくもの」と覚悟しながら、できるだけ軽くすむように、日々の予防と対策を万全にしましょう。
<監修者プロフィール>
わたなべ医院東松戸 新生児科
渡辺とよ子先生
都立墨東病院周産期センター新生児科(NICU周産期新生児専門医指導医)部長、内科系副院長を歴任。わたなべ医院院長を経て、2021年より現職。豊富な経験に基づいた、あたたかで的確なアドバイスが好評。『はじめてママ&パパの 0~6才 男の子の育て方』『ココだけおさえればOK!育児』(ともに主婦の友社)など、監修に携わった育児書多数。