【よくわかる「がん」のメカニズム】
⑥主要な「がん」について知っておきましょう
2024.08.30
部位別がんの解説
主要ながんの特徴や治療法をご紹介します。
肺がん 死亡数がもっとも多いがん

- 特 徴
- 喫煙者の肺がんリスクは男性4.5倍、女性4.2倍*1
部位別のがんの中で死亡数が男性1位、女性2位で男女計1位*2のがんです(2022年予測)。喫煙との関連が深く、たばこを吸う人は肺がんになりやすいという調査結果*1が出ています。
*1 出典:国立がん研究センターがん対策研究所「多目的コホート研究の成果」より作成
*2 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計予測」
- 治 療 法
- 主な治療法は手術、薬物療法、放射線治療
最近の外科手術では胸部に小さな穴を3~4カ所開けてカメラや器具で手術する胸腔鏡下手術が増えています。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の投与のほか、先進医療の粒子線治療が行われることもあります。
- 検 査 方 法
- 40歳以上は年1回の肺がん検診を
厚生労働省は40歳以上の人に年1回の肺がん検診を受けることを推奨しています。また、喫煙者などリスクの高い人は低線量CT検査を受けることがすすめられています。
胃がん 早期なら治癒する可能性大

- 特 徴
- リスクを高めるピロリ菌
胃がん発生のリスクを高めるピロリ菌*への感染には除菌療法で対処することが推奨されています。
胃がんは胃壁の内側の粘膜内に発生し、増殖します。大きくなるにつれ粘膜の外側に広がり(浸潤)、他臓器に転移することもあります。スキルス胃がんは診断時に約6割の患者に転移が見られる危険な胃がんです。
胃がんは胃壁の内側の粘膜内に発生し、増殖します。大きくなるにつれ粘膜の外側に広がり(浸潤)、他臓器に転移することもあります。スキルス胃がんは診断時に約6割の患者に転移が見られる危険な胃がんです。
* 正式名称は、ヘリコバクター・ピロリ菌。胃や小腸に炎症や潰瘍を起こす細菌。
- 治 療 法
- 体への負担が小さい治療法が増加
治療技術の進歩で、早期の胃がんならかなりの確率で治癒する時代に入っています。治療は外科手術が標準。体への負担を和らげるため、胃の切除範囲やリンパ節の除去範囲を縮小した「縮小手術」を実施するケースが増えています。また、早期がんの場合は内視鏡によるがん切除や、腹腔鏡下手術も可能です。
- 検 査 方 法
- エックス線検査(バリウム検査)や胃カメラで見つかることが多い
胃部エックス線検査(バリウム検査)で発見されることが少なくありませんが、現在は胃内視鏡検査(胃カメラ検査)が主流になりつつあります。厚生労働省は50歳以上の人に2年に1回の胃がん検診を受けることを推奨しています。
大腸がん 罹患数がもっとも多いがん

- 特 徴
- 早期発見できれば生存率は比較的高い
長さ約2mの大腸(結腸・直腸・肛門)に発生し、罹患数が男性3位、女性2位で男女計1位*のがん。死亡数も女性のがんで1位*です(2022年予測)。家族歴(直系の親族に大腸がんの人がいること)や肥満、高身長、飲酒や赤肉・加工肉の摂取の増加などがリスク要因として指摘されています。ただ、早期に発見できれば治療しやすいがんといえます。
*出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計予測」
- 治 療 法
- 手術によるがんの切除が基本
大腸がんの治療は、開腹手術または腹腔鏡下手術が基本。早期がんの場合は体への負担が少ない内視鏡でがんを切除することも可能です。なお、肛門近くのがんを切除する場合などは肛門も一緒に切除しなければならないことがあり、人工肛門の造設が必要となります。
- 検 査 方 法
- 便潜血検査で早期発見を
検診は便の中に血液が混じっていないかどうかを見る便潜血検査が一般的ですが、最近は大腸内視鏡で検診する場合もあります。便潜血検査で陽性反応が出たら精密検査が必要です。厚生労働省は40歳以上の人に年1回の大腸がん検診を受けることを推奨しています。
乳がん 女性のがんで罹患数1位(2022年予測)*1

- 特 徴
- ピークは40歳代後半から
患者は30歳代前半から増え始め、40歳代後半から70歳代まで幅広い年齢層で罹患率が高くなっています*2。妊娠・出産経験がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことなどに加え、飲酒・喫煙習慣もリスク要因とされています。
*1 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計予測」
*2 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」のがん種別統計情報「乳房」年齢階級別罹患率(2019年)
- 治 療 法
- 「乳房温存手術」と「乳房全切除術」
外科手術はがんとその周辺だけを部分的に切除する「乳房温存手術」と、乳房を全部切除する「乳房全切除術」に大別され、ステージ(病期)や本人の希望も勘案して決められます。「乳房全切除術」の場合、術後にシリコンなどの人工物や自己の筋肉で乳房を再建する手術もあります。乳がんは発症から5年以降でもホルモン療法の薬を服用することがあります。
- 検 査 方 法
- セルフチェックに加え、乳がん検診も忘れずに
しこりやえくぼのようなひきつれがないかなど、乳房のセルフチェックも有効ですが、それだけでは見落とすこともあり、厚生労働省は40歳以上の女性に2年に1回、マンモグラフィを使用した乳がん検診を受けることを推奨しています。
子宮がん 特徴が異なる2つのがん

- 特 徴
- 子宮頸がんは20歳代後半から増加、40歳代でピーク*
子宮入口の子宮頸部に発生する子宮頸がんと、子宮奥の子宮体部に発生する子宮体がんがあります。子宮頸がんは20歳代後半から増加し、40歳代でピークを迎え、子宮体がんは50歳代~60歳代でもっとも多く見られます*。子宮頸がんは性行為を介して感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因と考えられるのに対し、子宮体がんはエストロゲンという女性ホルモンの分泌が関係しているものが多いと考えられています。
*出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」のがん種別統計情報「子宮頸部」および「子宮体部」年齢階級別罹患率(2019年)
- 治 療 法
- 子宮摘出のレベルは様々
子宮頸がん、子宮体がんとも、治療は病変を取り除く外科手術が一般的です。がんのある部分だけを切除する手術から子宮を摘出する手術、周辺までより広汎に切除する手術まで、様々なレベルがあります。
- 検 査 方 法
- 20歳以上の女性は2年に1回の検診を
子宮頸がんは早期に見つかれば、比較的治療しやすいがんなので、早期発見に努めるのが大切。厚生労働省は20歳以上の女性に2年に1回の子宮頸がん検診を受けることを推奨しています。なお、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)について厚生労働省は2022年4月から接種の積極的勧奨を再開しています。
白血病 研究が進む血液のがん

- 特 徴
- がん細胞が血液細胞をつくる骨髄で増殖
病気の進行パターンなどから「急性」と「慢性」、白血病細胞のタイプから「骨髄性」と「リンパ性」に分けられます。骨髄で正常な血液がつくれなくなり、赤血球の減少が貧血症状を、血小板の減少が出血症状を引き起こします。また白血球の減少が病原体に対する抵抗力の低下を招き、感染症の併発による発熱などの症状を起こします。
- 治 療 法
- 治療の進歩により予後が改善
病型により症状や予後、治療方針が大きく異なります。従来は抗がん剤による治療が主でしたが、近年、分子標的薬、抗体薬などによる免疫療法やキメラ抗原受容体導入T細胞(CAR-T細胞)を用いた治療が相次いで開発されています。また、造血幹細胞移植の進歩・適応拡大もあり、高齢者を含めて予後が改善しています。
- 検 査 方 法
- 血液や骨髄、遺伝子などを調べて診断
血液中の細胞の増減を調べる血液検査や骨髄検査、染色体検査・遺伝子検査など多様な検査で診断し、治療方針が決められます。
監修:公益財団法人日本生命済生会日本生命病院
生24-3580,営業企画部
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