総代会・総代懇談会
第76回定時総代会議事要旨(質疑応答の要旨)
2023年7月4日(火曜日)、午前10時30分から、大阪市北区中之島五丁目3番68号、リーガロイヤルホテルにおいて、第76回定時総代会を開催した。
総代数 | 200名 |
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出席総代数 | 200名(うち、委任状による出席36名) |
なお、委任状による出席者のうち、27名については、自宅または勤務先等にて、Web会議ツールを通じ参加していた。
- ※開会後、報告事項中に総代1名が退出したため、議案の決議における出席総代数は199名に変更。
- 出席者
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- 取締役(監査等委員である者を除く。)【17名中、出席17名(全員)】
- 筒井義信、清水博(議長 兼 議事録作成者)、三笠裕司、藤本宣人、朝日智司、赤堀直樹、佐藤和夫、岸淵和也、大澤晶子、木村稔、鬼頭誠司、松永陽介、牛島信、今井和男、三浦惺、冨田哲郎、濱田純一
- 監査等委員である取締役【5名中、出席5名(全員)】
- 小林一生、今井敬、豊泉貫太郎、但木敬一、佐藤良二
総代からの書面等による事前質問に対し、全ての質問・要望に対する回答を資料として配付しており、以下の質問・要望については、議長および担当役員から回答を行った。
質問1
2022年度を「販売改革元年」と位置付け、営業職員のコンサルティング力の向上に注力したとのことだが、営業職員のリスキリングの視点からの取組について教えてほしい。
回答
- 当社では、2022年度より販売改革として、お客様本位の業務運営の高度化と長く安定的に活躍できる営業職員の育成に向け、営業現場・本部一体となり、以下のようにさまざまな観点から営業職員のコンサルティング力の向上に取り組んでいる。
<対面にオンラインを組み合わせた活動の推進>
- お客様一人ひとりのご意向にお応えする活動の定着に向け、とりわけオンラインの活動に不慣れな職員を中心としたフォロー等、営業職員用スマートフォン「N-Phone」や「画面共有システム(※)」等のデジタル装備を効果的に活用するためのスキル教育に継続的に取り組むとともに、マネジメントシステムを活用し、お客様からの反応や営業職員の活動を見える化することで、一人ひとりへのつぶさな指導・フォローを行っている。
- また、「N-Phone」のAI機能によるロールプレイング練習やオンラインでの商品研修コンテンツの提供等、時間や場所の制約なく学習できる環境を整備している。
<お客様本位の業務運営の高度化>
- 2022年度に「ニッセイまごころマイスター認定制度」を導入し、新契約のみならず、これまで以上に既契約のアフターフォロー等を評価するとともに、2023年7月より、給与にも反映することで、お客様の立場に立った活動を後押ししている。
<リスクコンサルティング活動の推進>
- お客様一人ひとりに最適な保障とサービスを提供すべく、お客様の公的保険やライフプラン等を踏まえた必要保障額を算出するツール「みらいコンサルタント」の活用や、営業職員が自学自習できる豊富なデジタルコンテンツの提供等を行っている。
- また、2022年度から、全営業職員ならびに営業部長・支社幹部を対象として、全国に一斉放送可能な社内の教育番組を活用した公的保険制度の解説や学習内容の知識定着を目的としたオンラインのテスト等、公的保険制度の教育に取り組んでいる。
- 今後も、時代や環境の変化に合わせ、上記の観点で営業職員の総合的なスキルアップを図るべく、継続的な教育機会の拡充や教育内容・水準の均質化に取り組み、お客様から選ばれ続ける営業職員チャネルを目指してまいりたい。
- (※)営業職員用携帯端末「TASKALL」の画面とお客様のパソコン等の画面を共有し、オンラインで同じ画面を見ながら提案や手続き等ができるシステム。
質問2
2022年度に導入した「ニッセイまごころマイスター認定制度」に期待している。意欲がある営業職員に対し、お客様の声はどのように反映されたのか、状況を教えてほしい。
回答
- 当社では、お客様本位の活動に対する意識を高め、長く安定的に活躍できる営業職員を育成すべく、2022年度より「ニッセイまごころマイスター認定制度」を導入している。
- この制度は、担当するお客様数や、ご契約の継続状況といった活動実績面を中心に評価しており、お客様から信頼いただいている営業職員が評価されやすい制度となっている。
- 併せて、定性的な評価として、資格・専門知識の習得状況に加え、お客様からの声も反映する仕組みとしている。
- 具体的には、「当社営業職員としての相応しいマナーを身に付けているか」「お客様からの申し出に遅延なく取り組んでいるか」等の項目に関するお客様の声を当制度の定性的な評価に組み込んでいる。
- 認定者には、取組状況に応じて3段階のランクを付与し、2023年7月より、認定ランクに応じた支給額を月例給与に反映している。
- 当制度の理念や内容の周知・理解向上を通じ、営業職員の意欲を高め、お客様本位の活動をより一層推進すべく取り組んでまいりたい。
- 査定対象者の約9割(ゴールド:約3割 シルバー:約4割 ブロンズ:約2割)
- ゴールド:5.5万円 シルバー:3.5万円 ブロンズ:2.0万円
<認定状況>
<支給額>
質問3
生命保険協会の「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」を踏まえた日本生命の取組状況は堅実であり、「ニッセイまごころマイスター認定制度」における新契約以外の指標の評価項目への追加は大きな変化であると考える。一方で、未だに営業職員による不祥事案も起きており、職員が2~3年で入れ替わり、成績が優秀な職員に依存しがちであることが不祥事案の背景という考え方もある。そのため、継続的な取組が必要だと思うが、営業職員の定着に向けた対応について教えてほしい。
回答
- 当社では、ターンオーバー構造からの脱却に向けた営業職員の定着率改善を重要なテーマと認識しており、2019年度に採用した営業職員の入社5年後の定着率の目標を30%と掲げ、取り組んでいる。
- そのため、2019年度より営業職員一人ひとりを丁寧に育て上げる新たな育成方式を導入し、一律2年であった初期育成期間を、成長段階に合わせて最長5年に延長するとともに、サポートが必要な職員には、営業拠点の育成担当者に加え、支社・営業拠点一体で育成する体制を構築する等、長く安定的に活躍できる営業職員の育成に取り組んでいる。
- また、2022年度を「販売改革元年」と位置付け、営業職員のサステナブルな成長の実現に向け、以下のとおり、活動と制度の両面から取り組んでいる。
<活動面>
- お客様との接点機会のさらなる拡大に向け、対面とオンラインを組み合わせたお客様との双方向コミュニケーションの強化により、営業職員の活動モデルを定型化するとともに、一人ひとりのお客様への最適な保障・サービスの提供に向け、お客様世帯に対するリスクコンサルティング活動のさらなる高度化を進めている。
<制度面>
- お客様の立場に立った活動を推進すべく、「ニッセイまごころマイスター認定制度」を導入し、お客様数・ご契約の継続状況等のストック評価を高めるとともに、入社初期層については、お客様サービス活動等の状況を、より丁寧に評価している。
- また、ご指摘いただいた営業職員の不祥事案の未然防止に向けては、日々のコンプライアンス教育・研修に加え、営業現場・本部一体でのモニタリング強化等に努めている。
- 今後も、お客様本位の業務運営をより一層推進すべく、営業職員一人ひとりが、より多くのお客様との長きにわたる信頼関係を築き、「安心・安全」を感じながら、「やりがい」をもって営業活動を続けていけるよう、上記の取組等を通じ、営業職員の定着率改善に注力してまいりたい。
質問4
世界的なインフレやロシア・ウクライナ情勢の長期化、欧米の金融機関の業績悪化等、先が見通しづらい金融・経済環境にあるが、日本生命の資産運用に与える影響と運用方針について変更があるのか、教えてほしい。
回答
<当社の資産運用に与える影響>
- 当社は、ロシア・ウクライナ向け、経営破綻に陥った金融機関向けともに、直接投資の残高はなく、外部委託を通じた間接投資の残高も僅少な割合であり、こうした事象による直接的な影響は限定的と認識している。
- 一方で、コロナ禍での供給制約やロシア・ウクライナ情勢の長期化を一因とした世界的なインフレに伴う、米国等での急速な金融引き締めや、欧米金融機関の経営危機を受けた銀行の融資基準のさらなる厳格化等、金融経済全体に影響を与えることにより、当社への間接的な影響は顕在化している。
- 具体的には、海外金利の上昇に伴い保有債券の価格が低下するとともに、内外金利差の拡大に起因した為替ヘッジコストの増加は、外貨建資産の収益率の押し下げ要因となっている。
- こうした環境の変化や市場見通しを踏まえ、過去に投資した低利回りの外国債券を売却し、金利上昇局面を捉え、より高い利回りの債券へと積極的に入れ替えを行うことで、長期・安定的に利息収入を得ることのできるポートフォリオへの組み替えを進めている。
<今後の運用方針>
- 年度末にかけて、米国ではさらなる政策金利の引き上げが限定的になる一方、国内では日本銀行によるイールドカーブコントロール政策の再修正を想定する中、金利の緩やかな上昇を見込んでいる。ただし、当面はインフレ・金融政策に対する不透明感や、欧米の金融不安に伴う景気減速懸念を背景に、上下に振れやすい相場環境が続くと想定している。
- 当社では、従来から、こうしたリスクシナリオも踏まえた資金配分計画を策定しており、円金利資産の長期化や国際分散投融資の推進等の中長期的な基本方針に変更はないが、今後の急速な環境変化に対応すべく、ポートフォリオの入れ替え等、機動的に対応してまいりたい。
- 引き続き、堅固な資産運用ポートフォリオを構築し、ご契約者資産の保護に努め、安定的な利差益確保を実現してまいりたい。
質問5
米国の政策金利であるフェデラル・ファンド金利の年間5%以上の上昇により、多額の有価証券売却損を計上しているが、資産と負債を総合的に把握・管理するALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)上の教訓と2023年度の対策について教えてほしい。また、2022年度末の有価証券評価損益の状況についても教えてほしい。
回答
- 当社は、保険負債の殆どが円建てであることから、ALMの考え方に基づき、日本の国債や為替ヘッジ付き外国債券等の円金利資産を中核としつつ、厳格なリスク管理を前提に、株式等のリスク性資産への投資を行っている。
- 2022年度は、世界的なインフレを受けた米国等での急速な金融引き締め等を背景に、海外金利が上昇するとともに、内外金利差の拡大に起因し、為替ヘッジコストが大きく増加した。金利上昇は新規投資時の投入利回りの向上が見込める一方、債券価格が低下し、為替ヘッジコストの増加は外貨建資産の収益率の押し下げ要因となっている。そうした中、2022年度末における有価証券含み損益は、国内債券・外国債券を中心に含み益が減少し、約8兆円(前年度末比約△2.6兆円)となった。
- また、上記の急激な環境変化等を踏まえ、過去に投資した低利回りの外国債券を売却し、金利上昇局面を捉え、より高い利回りの債券へと積極的に入れ替えを実施した。その結果、2022年度の有価証券売却損は、約△8700億円を計上した一方、円安局面を捉えた外貨建資産の売却等を通じ、有価証券売却益を約8000億円計上する等、概ね相殺できている。なお、資産の入れ替えを通じて利息収入は引き上がり、中長期的な収益の向上に貢献するものと考えている。
- これらを通じて得られた教訓は、フォワードルッキングなリスク管理のさらなる高度化の必要性である。今般の利上げ局面では、前例のないスピードと幅で政策金利が引き上げられ、当社を含めた市場参加者や中央銀行の金利・為替ヘッジコストの見通しは、繰り返し上方修正されることとなった。また、前例にとらわれないシナリオの想定や、金融・経済環境の実態に迫る深度ある分析に向けては改善の余地があると考えている。今後は、金融・経済環境の動向を捉え、投資判断を的確に行うことで、売却損の抑制と、長期的に最適なポートフォリオへの組み替えの実現に向け、PDCAの取組をさらに強化してまいりたい。
- 2023年度については、米国ではさらなる政策金利の引き上げは限定的になる一方、国内では日本銀行によるイールドカーブコントロール政策の再修正を想定する中、緩やかな金利上昇を見込んでおり、金利水準に応じた超長期債への投資・入れ替えの推進等に取り組んでまいりたい。
質問6
プライム市場ではPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業に対して、収益力強化を求める動きがあるが、相互会社である日本生命はどのように考えているのか。
質問7
日本生命はPBR1倍割れの投資先企業に対してどのような対応を取っていくのか。また、日本生命自体も上場企業に準ずるパブリックカンパニーであると思うが、PBR1倍割れ問題への対応方針はどうか。
質問6~7への回答
- 2023年3月に東京証券取引所がプライム市場等の全上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、改めて対応を要請したことは、従来より、当社が対話を通じて投資先企業に要請してきた内容と一致しており、高く評価している。
<機関投資家としての対応>
- 当社では、従来から長期投資を行う機関投資家として、投資先である国内企業を対象に、中長期的な企業価値向上を促す対話を実施しており、昨年度(2021年7月~2022年6月)には、749社と延べ1,197回実施する等、日本最大級の活動量となっている。
- PBRは、株価が1株あたりの純資産の何倍かを表す指標であり、PBR上昇に向けては、株価上昇につながる収益力強化・非財務価値の向上や、資本効率の向上が必要である。
- 従来より、収益力強化に向けては、中長期的な収益性の改善に資する、最適な事業ポートフォリオのあり方や事業環境・経営課題について、資本効率の向上に向けては、将来につながる設備投資や株主還元等、最適な財務・資本構成のあり方について、対話を行っている。
- また直近では、非財務価値の向上に向け、非財務情報である人的資本に関する取組について開示を要請する等、世の中の動向を踏まえた対話にも取り組んでいる。
- これらの取組は、東京証券取引所の目指す資本コストや株価を意識した経営の実現につながると考えており、引き続き、建設的な対話を通じ、企業に自律的な対応を促す活動を高度化していくことで、中長期的な企業の取組をサポートしてまいりたい。
<当社経営としての対応>
- ご認識のとおり、相互会社である当社には株価がないため、株主が企業の収益力や成長性を推し量るPBRのような見方をすることは難しいと考えている。一方で、相互会社としては、保障責任の全うと配当の安定・充実に向け、より長期的な目線で収益力を向上させ成長し続けることをご契約者から期待されていると認識している。
- 当社では、こうしたご契約者からの期待に応えるための水準感として、保障責任の全うに向けては「世界トップクラスの健全性の確保」を、配当の安定・充実に向けては「お客様配当性向(※):安定的に50%」を、収益力向上に向けては「基礎利益:安定的に6000億円確保」を目標に掲げている。
- これらの達成に向け、中期経営計画「Going Beyond -超えて、その先へ-」の以下のようなグループ成長戦略の遂行を通じ、財務資本と人的資本等の非財務資本の向上に取り組むことで、収益力の向上に努めてまいりたい。同時に、諸準備金の積み増しや劣後債務の調達等による自己資本の強化を進めつつ、ご契約者への毎年の配当のお支払いに努めてまいりたい。
- 主力の営業職員チャネルの業績進展
- 安定的な利差益確保・リスク削減の両立
- 国内保険・海外保険・アセットマネジメント事業等の拡大を通じたグループ収益力の強化
(グループ成長戦略の具体取組)
- (※)当社独自の指標で、当期の実質的な利益に対するご契約者への配当の割合。
質問8
政府から示された「女性版骨太の方針2023」で、2030年までに女性役員の比率を30%以上とする目標が掲げられたが、日本生命は女性役員(社外取締役を含む)について、将来のビジョンをどのように考えているのか教えてほしい。
質問9
政府が2030年までに女性役員の比率30%以上を目指す中、欧州諸国は40%超、OECD(経済協力開発機構)平均は29.6%、日本は15.5%である。一方、日本生命は1割にも満たず、新任の女性取締役候補もいない等、女性を登用する意思が感じられず残念だ。従業員の9割を女性が占める、業界のリーダーにもかかわらず女性管理職層の育成・強化等の歩みが遅いと感じざるを得ない。女性のライフイベントを見据えた前倒しのキャリア形成支援をお願いしたい。
質問8~9への回答
- 当社では、従業員の約9割が女性であり、女性活躍推進を企業の持続的成長を支える経営戦略の1つと位置付け、従来から取り組んでいる中、女性役員の選任は、取締役会をはじめとした多様性の確保の観点からも極めて重要であると考えており、さらなる女性役員比率の向上を目指している。
- 当定時総代会において原案どおりに取締役を選任いただいた場合でも、女性取締役は1名、比率は4.7%、また、執行役員等を含めた経営層全体として、女性役員は2名、比率は4.0%にとどまっている。今後のさらなる選任に向け、社内外の女性役員候補者の裾野を拡大すべく、将来の女性社外役員候補者の選定と関係構築に取り組むとともに、とりわけ社内の女性管理職の育成に向け、以下のとおり、活躍のサポートと活躍機会の提供の観点から注力している。
- 具体的には、女性管理職の活躍のサポートに向け、役員によるメンター運営や女性部長と社長との意見交換会の実施等に取り組んできたことに加え、さらなる活躍機会の提供に向け、2022年10月より、サステナビリティ委員会やお客様本位の業務運営委員会をはじめとした、当社の経営に関する重要事項等について審議を行う場に女性部長を委員として加える等、取組を推進している。
- こうした取組の結果、現在、女性部長相当職は25名(出向者含め31名)、課長相当職等を含む女性管理職全体は1,021名、比率はそれぞれ8.1%、24.6%となっているが、着実に上昇傾向にある。
- 今後も、上記の取組を通じ、女性活躍推進および経営層全体のより一層の多様性確保を図るべく、人物本位の選定を重視したうえで、さらなる女性役員比率の向上を目指してまいりたい。
質問10
監査等委員会設置会社に移行して1年を迎えるが、以下の点について教えてほしい。
- ①迅速・果断な業務執行という当初の狙いは実現できているのか
- ②監督機能の重要な役割を担う指名・報酬諮問委員会において、最終的な報酬額の決定に際し、業績をどのように評価したのか
- ③当移行により達成を目指した機能のさらなる高度化に向けて、どのような課題を認識しているか
回答
- 当社は、経営環境が大きく変化する中、変化を捉えた戦略議論および監査・監督機能の強化ならびに変化に応じた迅速・果断な業務執行を実現するため、コーポレートガバナンス体制の高度化として、2022年7月5日に開催した定時総代会にて監査等委員会設置会社に移行するとともに、以下のような見直しを行った。
- 取締役会の改革:協議事項を新設するとともに、付議事項を絞り込み
- 「指名・報酬諮問委員会」・「社外取締役会議」の設置
:「監督」「助言」機能を強化する観点から、各機能に特化した任意の委員会を設置 - 執行体制の強化
:柔軟な配置が可能な執行役員が各部門・領域の業務執行責任を負う担当執行役員制を導入 - この1年間においては、企図していた狙いを実現すべく、見直し後の体制のもと、運営面での工夫も継続するとともに、取締役会の実効性評価等を通じて振り返りを行ってきた。
ご質問いただいた3点についての認識および評価等は以下のとおりである。
<①迅速・果断な業務執行の実現>
- 法令および定款の定めに従って個別の業務執行の決定を取締役会から執行側に委任し、経営会議協議・社長決定とした。これにより、以前は取締役会決議を要した海外出資先への追加出資による関連会社化等を執行側で決定することとなり、業務執行の意思決定の迅速化が実現している。さらに、方針決定後の具体検討や交渉を早期に開始することが可能となり、検討内容等の充実につながっている。
<②指名・報酬諮問委員会における、役員の報酬等の審議にあたっての業績の評価>
- 当社では、役員の報酬等について、生命保険事業の特性も踏まえ、長期性、安定性を重視した体系・水準としている。指名・報酬諮問委員会では、今年度の報酬等の審議にあたり、昨年度の業績について、基礎利益は減益となった一方で、お客様数等が増加しており、回復への足掛かりとなる取組も進めていると評価し、また、サステナビリティ経営に係る取組も進めていることを確認のうえ、適切な報酬水準と判断している。引き続き、当社の経営状況や国内企業経営者の報酬水準等を踏まえ、報酬水準の適切性を確認してまいりたい。
<③さらなる高度化に向けた課題>
- さまざまな視点から議論を深めるため、女性をはじめとした取締役会の多様性の一層の拡充等が課題であるほか、中長期の戦略議論の充実に向け、取締役会への付議案件および情報提供についてさらなる工夫を図ってまいりたいと考えている。
- 今後も、当社の事業および環境の変化ならびに取締役会の実効性評価等を踏まえ、コーポレートガバナンスの不断の高度化に取り組んでまいりたい。
質問11
ChatGPTが話題となっているが、ライフ・ワーク・バランスを重視する傾向や今後の労働人口減少を見据えれば、人工知能(AI)等の活用は企業にとって必須課題であると思う。現在の日本生命での人工知能の活用状況と、今後活用していくうえでのリスクと将来的な活用計画等について教えてほしい。
質問12
ChatGPTの活用について、現状および今後の予定を教えてほしい。
質問11~12への回答
- 当社は、2019年度から開始した「日本生命デジタル5カ年計画」において、「お客様サービスの高度化・社内業務の効率化(業務変革)」と、「新たな商品・サービス・お客様接点の創出(事業変革)」、「先端ITを活用した働き方・風土醸成」を軸に取組を進めている。
- こうした中、人工知能(以下、AI)の活用を通じ、以下のような取組を行ってきた。
- 「TASKALL」や「N-Phone」において、AIがお客様の状況に応じた訪問時期・活動内容等をアドバイスするとともに、営業職員のお客様応対スキルを評価
- 事務処理においてAI-OCR(※)を活用し書類のデータ化を行い、手続きの迅速化を実現するとともに、コールセンターでは、AIが解約請求書発送のお申し出に自動で対応
- オフィシャルホームページにおいて、AIが会話形式でお客様からの照会に回答 等
- また、生成系AI技術についても、社内業務では、実証実験を既に実施しており、さらに活用を全社的に広げる観点から、ChatGPTの活用方法も検討する中、2023年7月から実証実験を開始している。一方で、利用に際しては回答の正確性等、技術的な精度向上に加え、適切な情報管理や倫理的リスク・著作権侵害等の法務リスク等、さまざまな課題を解決する必要があると考えている。
- 当社としても、AIの積極的な活用は労働人口減少や、お客様サービスの高度化・社内業務の効率化等の観点から必要と認識しており、今後も世の中における技術動向の調査・研究および活用方法の検討を進めてまいりたい。
- (※)AI(人工知能)とOCR(光学文字認識)の組み合わせにより、高精度に画像の文字情報をデジタル化する技術。
質問13
現在、日本にとって最大の課題である少子化については政府も対策に動き出しているが、産業界等も含め幅広い取組が必要だと思う。命の大切さを仕事とする日本生命でも、こども保険や出産サポート給付金等さまざまな取組をしていると思うが、「結婚する」「生まれる」「育てる」の各場面に寄り添う商品や活動等により一層取り組んでほしい。
回答
- 当社は、従来から、社会的役割の発揮に向け、ご指摘の少子化をはじめとするさまざまな社会課題の解決に資する商品・サービスの提供や活動に取り組んできた。
- 商品・サービスの提供において、まず「結婚する」に対しては、万が一のときのご家族のための備えに加え、資産形成等の必要な保障を自由に組み合わせられる「みらいのカタチ」をはじめとしたさまざまな商品・サービスの提供を通じ、結婚後のさまざまなリスクやニーズに対応している。
- 次に、「生まれる」に対しては、所定の出産や特定不妊治療(採卵・胚移植)等への保障を提供する「出産サポート給付金付3大疾病保障保険“ChouChou!”」や当社子会社のニッセイプラス少額短期保険の妊産婦向け医療保険「ママとこどもの1000daysほけん」を通じ、女性の健康と妊娠・出産をトータルでサポートしている。
- 最後に、「育てる」に対しては、学資保険やこども保険を通じ、お子さまを育てるうえで必要な費用への備えを提供している。
- また、活動においては、核家族化の進行や女性の社会進出等を背景に子育てを取り巻く環境が大きく変化する中、子育ての壁や不安を当事者だけに留めるのではなく、“みんなで子どもを育てる社会”を実現すべく、2022年3月に「NISSAYペンギンプロジェクト」を始動し、風土醸成に取り組んでいる。
- 具体的には、包括連携協定等を締結した自治体における子育て施策の発信や地域のNPO法人と協働した子育て支援等、地域社会に寄り添った活動等に取り組んでいる。
- 加えて、子育てと仕事が両立可能な社会の実現に向け、2017年4月にニチイ学館との企業主導型保育所の協働展開を開始し、2020年1月からは保育所探しに悩む企業・従業員と企業主導型保育所との仲介サービス「子育てみらいコンシェルジュ(※)」を展開している。今後は、賛同いただく企業・自治体を増やすことで、新たな商品・サービスを含む価値提供等、社会全体で支える仕組み作りに努めてまいりたい。
- 当社は、すべての人が笑顔で暮らす未来を目指し、サステナビリティ経営の重点領域として、「人」「地域社会」「地球環境」の3つを掲げており、引き続き、「結婚する」「生まれる」「育てる」に寄り添う上記取組の充実等、社会課題の解決に取り組むことで社会的役割をさらに発揮してまいりたい。
- (※)当社子会社であるライフケアパートナーズが展開するWebマッチングサービス。
質問14
2022年度の合計特殊出生率・出生数の発表があったが、現在、日本の人口問題において重要局面にあると思う。日本生命における出産・子育て支援に関する以下の点について教えてほしい。
- ①どのような考えのもと、取組を行い、効果検証を行っているのか
- ②上記取組の利用状況と利用者からの要望により、改善が進められている事例はあるのか
- ③合計特殊出生率が地域によって大きく異なる中、地域の実態に応じた取組の拡充を、支社の裁量で一定程度柔軟にできる組織・制度となっているか
回答
<①出産・子育て支援に関する考え方・取組・効果>
- 当社は、従業員の約9割が女性である中、企業の持続的成長を支える経営戦略の1つとして女性活躍推進をとりわけ重視している。
- このような考えのもと、女性の活躍を後押しする中で、育児休業に加え、育児と仕事の両立を支える育児短時間勤務等の制度を充実させており、法で定められている期間よりも長期間の取得を可能としている。
- 当社は、中長期的な資産運用の基本方針に沿って、国際分散投融資の推進等、資産運用ポートフォリオ全体のリスク・リターン効率向上に取り組みつつ、直近の資産運用環境の急速な変化に対応すべく、資金配分計画について機動的な見直しを実施している。
- 2022年度において、約2,000名の職員が育児休業から復帰し、約950名の職員が短時間勤務制度を活用しながら、育児と仕事を両立している。
- また、男性も含め、周囲の職員が実情を理解し、自発的にサポートし合う風土醸成も重要と認識している。そのような風土を醸成すべく、男性の育児休業取得を推進し、2013年度から10年連続で100%の取得を達成している。
<②職員の声を踏まえた取組の拡充>
- 社内で実施した「仕事とライフイベントの両立に関するアンケート」における、さらなる支援を望む声等も踏まえ、従来より、働き方の柔軟性拡充に取り組んでいる。とりわけ、テレワーク可能な環境整備については、職務特性等を踏まえつつ、引き続き推進してまいりたい。
- さらに、制度面の対応として、今年度より、不妊治療時に特別休暇を取得可能な取り扱いを新設している。
- 加えて、育児休業から仕事へ復帰する職員に対する丁寧なフォローに向け、管理職の育成を強化するとともに、キャリアに関する相談窓口を設置している。また、所属の垣根を超えて、職員同士で育児の悩みを共有し、アドバイスし合うことができるオンラインの交流の場も設けている。
- また、男性の育児参画等を目的に、2021年度からは、単なる育児休業の取得のみならず、産後早期の取得や、連続10日以上の取得に加えて、早帰りや在宅勤務の活用を通じた育児参画デーの設定に取り組んでいる。
- 当社では、役員が年2回全国の支社を訪問し、職員の要望を把握する機会を設けている。そのような機会も活用しながら、今後も職員の声に寄り添った対応を拡充してまいりたい。
<③地域の実態に応じた取組>
- 組織面の対応として、各支社における育児休業による突発的な欠員や短時間勤務者の増加等に対し、支社の裁量で柔軟に対応可能とするための人員を追加で配置している。このような取組を通じ、各支社の実態に応じた柔軟な体制の構築に取り組んでいる。
- また、当社の企業主導型保育所であるニチイキッズと、当社子会社のライフケアパートナーズの提供サービスである「子育てみらいコンシェルジュ」を通じ、各地の保育所を子育て中の職員に紹介する運営を推進している。加えて、各支社の裁量で、地域の保育事業者と独自に提携し、職員に対して紹介することも可能としている。
質問15
多くの自治体と連携協定を締結しているが、その目的と事業上のメリットについて教えてほしい。
回答
- 当社は、2016年から都道府県等との「包括連携協定」や「個別連携協定」等の締結を通じ、行政との協働を強化しており、2023年には全47都道府県と協定等で連携している。
- こうした協定においては、「健康増進」や「地域の安全・安心」をはじめ、「子育て支援」「青少年の健全育成」等、幅広い分野で地域に貢献するとともに、本業との相乗効果を生み出すことを目指している。
- このうち「健康増進」については、2023年度から、地域のお客様へがん検診の重要性を呼びかける活動を全国共通のテーマとする等、取組を強化している。
- こうした活動は、お客様が保険の必要性を考える機会になることや、営業職員自身が地域に貢献しているという誇りを持つことでモチベーションの向上につながるという点で、保険販売にもプラスの効果があると考えている。
質問16
地元で開催された卓球の試合を観戦したが、ニッセイ懇話会でも日本生命と地域の協力についてご契約者からご意見があり、地域活性化への強い期待を感じた。告知方法の工夫や試合に合わせたイベントの企画等により、さらなる地域活性化につなげてほしい。
回答
- 当社は、スポーツが人々に、夢、感動、そして健康をもたらすとともに、次世代育成や地域活性化、共生社会の実現を通じ、明るく活力ある社会づくりにつながるとの認識のもと、長年にわたりスポーツ支援に取り組んできた。
- また、こうした取組は、当社サステナビリティ経営の重点領域の「人」や「地域社会」にも貢献できると考えており、全国の自治体との連携協定等において、「青少年の健全育成」や「スポーツ振興」等の協定項目に基づく取組を実施している。
- 具体的には、陸上・桐生祥秀選手の「かけっこ教室」をはじめ「野球教室」「卓球教室」「車いすバスケットボール体験会・講演会」等のスポーツイベントの開催に加え、車いすテニス・小田凱人選手への協賛、ならびに共同でのジュニア向け車いすテニス大会の新設等、次世代を担う子どもたちに対して、体を動かす楽しさを感じることや日本を代表するアスリートと接することで夢や希望を持つきっかけを提供している。
- さらに、各地域に所在するB.LEAGUE(男子プロバスケットボールリーグ)所属クラブへの協賛(※)を通じ、営業職員が地域のお客様へ、試合観戦の招待やバスケットボール教室の案内を行う等、地域活性化に向けた取組も行っている。
- 今後も、自治体や地元企業等との連携強化やSNS等の活用を通じ、試合に合わせた魅力的なイベントの企画や効果的な告知等に取り組み、地域活性化により一層貢献してまいりたい。
- (※)2023年6月末時点で45支社が30クラブへ協賛。
以上の他、以下の質問・要望については、配付資料にて回答を行った。
質問17
保険加入者向けの講演会やセミナーはあるが、未加入の方や若年層向けのイベントがあると、保険加入のきっかけや日本生命のファンづくりにつながるのではないか。
回答
- 当社では、保険未加入や若年層のお客様への当社の認知度を高め、生命保険への関心を持っていただくことが重要であると認識しており、当該層へのイベントやセミナーの実施を進めている。
- 従来より、営業職員が訪問・活動している事業所やお取引のある企業において、若手従業員向けや資産形成・健康増推進等の幅広いラインアップのセミナーを開催しており、2022年度は全国で延べ5,000回以上の企業従業員向けセミナーを開催した。
- また、コロナ禍においては、若年層に人気のあるアーティストを起用したオンラインイベント等を実施し、2022年度は、延べ20.4万名の方にご参加いただいた。2023年4月からは、若年層に人気の漫画「ONE PIECE」のイベントである「MEET THE “ONE PIECE” 47」の共催に加わっており、2023年6月末時点で7回開催し、延べ1.5万名以上の方にご来場いただいている。こうしたお子様のいるご家庭を中心に気軽に参加いただけるイベントの開催等を通じ、認知度向上に取り組んでいる。
- 上記のイベント・セミナーの開催に加えて、今後は全47都道府県との協定等に基づき、地域のお客様へがん検診の重要性を呼びかける活動を強化してまいりたい。こうした取組により、お客様とのつながりを創出し、生命保険ならびに当社への興味・関心を持っていただけるよう、より一層取組を推進してまいりたい。
質問18
総代会の関係資料は、例年、紙媒体で送付されるが、CO2排出量の削減や環境保全を考慮し、希望に応じてメールでの送付やインターネットでの閲覧も可能とする等、ペーパーレス化を検討してほしい。
回答
- 当社では、総代会の招集通知等について、現時点で定款の定め等もないことから、法令上、紙媒体での送付が必要となっている。
- 一方で、ご指摘のとおり、ペーパーレス化を進めることで、CO2排出量の削減にも貢献できると認識しており、総代会の招集通知等以外については、以下のとおり、着実に取組を推進している。
- 総代会当日に席上に配付する資料について、毎年見直しのうえ、紙使用量を削減
- 日常的に総代方に送付しているプレスリリース等については、ご希望に応じ、メールで送付
- 総代会の招集通知等をメール等で提供することについては、法的要件の充足も必要であり、いただいたご意見や社会情勢等も踏まえながら、総代方への適切な提供方法について、検討してまいりたい。
質問19
基礎利益の減少要因として、新型コロナウイルス感染症に係る給付金の支払増加が挙げられているが、2022年度および2022年度までの累計支払額と、支払漏れを防ぐための取組について教えてほしい。
回答
- 当社は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けられたお客様の状況やお気持ちに寄り添えるよう、2020年4月に「みなし入院」を給付金の支払対象へ追加(※)する等、さまざまな対応を実施してきた。
- こうした取組の結果、当感染症に罹患されたお客様にお支払いした保険金・給付金の金額について、年度別状況は以下のとおりであり、2019~2022年度の累計支払額は2305億円である。
- 2019年度:77万円
- 2020年度:87億円
- 2021年度:344億円
- 2022年度:1872億円
- また、保険金等の支払漏れや請求案内漏れを防ぐため、当社では以下のような取組を継続している。
- 「ご契約内容確認活動」をはじめとしたお客様説明の充実(2007年8月開始)
- お客様にとって分かりやすい商品の発売【総合医療特約(2008年10月発売)、みらいのカタチ(2012年4月発売)、入院総合保険(2019年4月発売)等】
- 速やかにお支払対応をしたうえで、他の契約の支払漏れがないかのチェックを行い、万一、支払漏れが判明した場合はお客様にご連絡し、追加でお支払いする体制を構築(2008年10月開始)
- 加えて、当感染症に関して、多くのお客様が罹患されたことを踏まえ、ご請求漏れがないかをご確認いただけるよう、年1回送付しているご契約内容のお知らせやメールマガジン等によりご案内している。
- なお、昨年の感染急拡大の影響により、給付金をご請求いただいてからお手続き完了までにお時間を要し、お待たせしたお客様には、ご不便、ご迷惑をおかけしたこと、お詫び申しあげる。
- お手続きの大幅な遅延は、2023年3月末に解消し、2023年6月時点では、ご請求いただいた保険金・給付金について、必要な書類が当社に到着した日の翌日から、原則5営業日以内にお手続きが完了している。
- 顕在化した課題に対応する改善策について検討・実施のうえ、今後も、ご加入からお受け取りまで、長期にわたり、お客様をサポートできる体制を構築し、保障責任を全うしてまいりたい。
- (※)2023年5月8日以降、当感染症の「5類感染症」への移行に伴い、当感染症が感染症法の規定を根拠に講じられている「入院措置・勧告」等の適用外になることから、当取り扱いを収束。
質問20
発症から相当期間を経過した場合や後遺症を認めない旨の診断書等がある場合でも、過去の病歴等を原因として新たな保険に加入できない場合があると思うが、加入可否の基準について定期的な見直しや検討の機会はあるのか。
回答
- 当社では、お客様が「保険にご加入いただける健康状態かどうか」を判断するにあたって、健康状態・治療に関する情報をいただくことで、総合的にお引き受けの可否を判断することとしている。
- ご指摘のとおり、過去の病気によりご加入できないケースもあるが、当社では最新の医療動向を踏まえつつ、医療ビッグデータ等を活用した詳細な分析・調査を通じ、糖尿病や高血圧について引受可能な数値を拡大する等、引受範囲の見直しを定期的に行っている。
- 今後も、医療技術の進歩やお客様の声を踏まえ、引受範囲の拡大を検討してまいりたい。
質問21
外貨建保険販売資格の試験ならびに登録制度の日本生命における運用状況と効果について教えてほしい。
回答
- 外貨建保険販売資格試験は、募集人に共通する「外貨建保険の販売に必要な業務知識」や「苦情縮減に資するコンプライアンス・リテラシー」の向上を目的とした業界共通の教育制度として2020年10月に導入された。2022年4月からは外貨建保険を販売する全ての募集人が、販売するための要件として募集資格を取得することになっている。
- 当社では、お客様に最適な商品を選択いただけるよう募集人教育の強化に取り組んでおり、2023年3月末時点の当資格登録は、金融機関代理店チャネルでは、委託先の金融機関代理店の募集人のうち約27万名、営業職員チャネルでは約3万名となっている。
- これにより、加入時における外貨建保険の特性・留意点を踏まえた丁寧な説明につながり、苦情の発生率が低水準で推移していることからも、効果が表れていると認識している。
- 当資格取得の推進にとどまらず、引き続き、募集人教育の強化にも取り組むことで、お客様本位の業務運営を徹底してまいりたい。
質問22
健康で長生きすることへのニーズも高まっており、長く保険に加入している契約者向けに人間ドック等のサービスがあれば有難い。
回答
- 当社では、ご契約者限定の「ずっともっとサービス」において、全国の提携医療機関で人間ドック・脳ドック・乳がん検診・レディースドック・PET検診を特別料金で受診していただける優待サービスをご用意している。
- また、医療機関の受診以外にも郵送検査優待として、唾液を採取することで複数のがんのリスクを検査できる「サリバチェッカー®(※1)」や、微量の血液を採取することで複数のがんや生活習慣病のリスクを検査できる「おうちでドック®(※2)」がある。
- さらに、3大疾病等に罹患した際に治療・セカンドオピニオンの取得に適した専門医を無料で紹介する「ベストドクターズ®・サービス(※3)」や、心臓疾患・脳血管疾患の再発・重症化予防に向け、スマートフォンアプリを通じて一人ひとりの最適な健康づくりを支援する「Mystar(マイスター)®[生活習慣改善支援プログラム](※4)」等、特定商品に付帯したサービスもある。
- なお、長くご加入いただいているお客様に対しては、「ずっともっとサービス」における「サンクスマイルメニュー(※5)」において、「サービス継続」として毎年の契約応当日にマイルを贈呈するとともに、「長期継続ボーナス」として一定の累計マイル数に到達する毎にマイルを贈呈している。
- 今後も、健康増進等、お客様の多様なニーズに的確にお応えするサービスを検討してまいりたい。
- (※1)サリバテックが提供するサービスであり、商標はサリバテックに帰属。
- (※2)ハルメク・ベンチャーズが提供するサービスであり、商標はハルメク・ベンチャーズに帰属。
- (※3)法研が提供するサービスです。「ベストドクターズ®」は米国およびその他の国のBest Doctorsの商標。「みらいのカタチ“新3大疾病保障保険”」等の所定の保険の被保険者がご利用可能。
- (※4)PREVENTが提供する重症化予防支援事業サービスであり、商標はPREVENTに帰属。「みらいのカタチ“新3大疾病保障保険”」の被保険者がご利用可能。
- (※5)サービス継続・契約確認・健康増進取組等でマイルを贈呈しており、各種賞品と交換可能。
質問23
加入している保険の内容・金額等の把握のためにいただく法人の契約一覧について、月々の払込や年間・累計の保険料、解約時の受取金額は確認できるが、解約時の益金は確認できない。決算時には計上される益金の把握が重要なため、記載してほしい。
回答
- 当社では、2019年の法人税基本通達等の一部改正後、経理処理が複雑化したことを受け、経理処理の参考値として、2021年7月から、以下の帳票を新設・改訂(※)している。
- お客様にご加入いただいている契約毎の「資産計上額累計」を表示
- 解約等の保全手続き時の経理処理の仕訳を表示
【解約時の帳票において、解約時受取額と資産計上額(前払保険料・配当金積立金等)の差額を益金として仕訳表に表示している】 - 一方で、ご指摘のとおり、解約時の益金については、法人契約一覧に記載できていない。これは、紙面上およびシステム上の制約といった課題があるためだが、引き続き、いただいたご意見を含め、ご要望等をお伺いしながら、既契約をご案内する帳票の利便性を一層高めるべく、検討してまいりたい。
- (※)ただし、契約日が2012年4月1日以前となるご契約については、システム制約のため、対応できていない。
<「資産計上額のご案内」帳票の新設や「法人契約一覧」の改訂>
<「税務取扱のご案内帳票」の新設>
質問24
犯罪被害者の立場が弱い中、来日した外国人観光客が日本国内で犯罪に巻き込まれた時に特化した保険を開発してほしい。
回答
- 当社は、多様なお客様ニーズに対応すべく、グループ一体での商品ラインアップの拡充に努めている。
- 特定の保障に特化した商品を開発してほしいというお客様ニーズにお応えすべく、2022年度には生命保険・損害保険の両領域で商品提供が可能な、当社子会社のニッセイプラス少額短期保険を開業し、社会のニーズを研究しながら、商品開発に取り組んでいる。
- 外国人観光客の旅行時の損害に関しては、各国で取り扱う海外旅行保険のほか、国内の損害保険会社が外国人観光客向けのインバウンド旅行保険を提供していると認識している。
- ご指摘のように、時代の変化とともに社会課題も多様化している。当社グループとしてもさまざまな課題に向き合い、その解決に向けて検討を重ね、お客様に求められる保険商品を提供してまいりたい。
当日席上の質問・要望に対し、議長および担当役員から回答を行った。
【議案の審議終了後】
質問25
日本生命では「人は力、人が全て」と掲げ、人材育成に注力しているが、今までの価値観と異なる価値観を持つZ世代も入社する中、当該新しい世代と経営層がお互いに意見を交換するような場はあるのか。
回答
- Z世代等の多様な価値観を持つ若手職員が入社する中、テレワークや育児・介護との両立支援等、さまざまなニーズに応じた働き方の多様化を進めている。
- ご指摘いただいた経営層と若手職員が意見交換する機会については、社長をはじめとする各役員と若手職員5~10名程度との意見交換会を定期的に開催しており、仕事から趣味等まで自由に話ができる場を設けることで、若手職員が経営層を身近に感じ、安心して意見具申できるような風土醸成に努めている。
- また、若手職員に活躍の機会を与えることも重要と考えており、AIやフィンテック等を含めた新規事業のアイデアを社内で公募し、若手職員の積極的な参加や提案を促している。
- 引き続き、社内副業やキャリア採用等の取組も含め、多様な価値観を持った多彩な人材がより集まる会社になるよう努めてまいりたい。
質問26
女性役員について社内からの登用を進めようとしている点は評価できるが、現状、取締役の多くが男性であり、アンコンシャス・バイアスによって女性管理職等の育成が上手くいかない面もあるのではないか。また、健康経営®(※)に力を入れる企業が多い中、日本生命でもさまざまなサービスを提供していると思うが、大企業向けが多いと感じており、中小企業向けの健康経営関連のサービスはあるか。
- (※)『健康経営®』は特定非営利活動法人 健康経営研究会の登録商標。
回答
- 当社の従業員の約9割は女性であり、とりわけ営業現場では、営業拠点の管理職の約3割を女性が占め、活躍が進んでいる。こうした女性が活躍する姿を見ることは、アンコンシャス・バイアスを持ってはいけないと男性自身が考える機会にもなると考えている。
- そのため、女性活躍の機会を積極的に提供することが重要であり、女性管理職比率30%・女性部長相当職比率10%の目標を早期に達成することが必要だと考えている。
- 一方で、女性が考えていることを役員が理解することも必要であり、各役員がメンターとして女性部課長を数名担当し、さまざまな悩みや今後のキャリアに関する相談を受ける機会を設けている。こうした直接のコミュニケーションを通じて役員が学ぶことは多いと考えており、今後も役員自らがアンコンシャス・バイアスを取り除くような取組を継続してまいりたい。
- 次に、中小企業向けの健康経営関連のサービスについては、ご指摘いただいたとおり、提供できておらず、地域振興の取組の一環としてサービスを提供できないか、現在検討中である。
質問27
海外保険事業について、インドネシア・中国・インド等のアジアを中心に展開しており、今後は、先進国市場への積極展開を検討しているとのことだが、具体的にどのエリアを検討しているのか。また、日本国内のマーケットが将来的に縮小していく中、海外事業全体の今後のビジョンについて教えてほしい。
回答
- 国内と異なる成長機会の取り込みや安定的な利益の獲得に加え、リスク分散・コントロールの観点から、当社にとって海外事業の発展は不可欠であり、生命保険とアセットマネジメントの2つの領域で拡大してまいりたいと考えている。
- これまでは、国内におけるノウハウを活用し、中長期的に成長が期待できるアジア・オセアニア地域を中心に事業展開してきたが、グループに占める海外事業の割合は、保険料等収入・基礎利益ともに5%程度と僅かである。未だ、具体的な目標の水準や達成時期を定めるには至っていないが、早急に検討を進めたいと考えている。
- さらなる成長に向けては、世界最大のマーケット規模であり今後も安定的に成長が見込まれる北米を中心とした積極進出を検討しており、レゾリューションライフへの追加出資も布石の一つである。
- 引き続き、ガバナンス態勢を強化しつつ、既存事業の成長に注力するとともに、北米等への新規出資に一層スピード感を持って取り組むことで、長期・安定的に成長できる海外事業の基盤を確立してまいりたい。
質問28
日本生命は営業職員による対面での活動を大切にしているが、若い世代の中には、自身の家族構成や資産状況等の情報を他人に対面で伝えることに抵抗がある方もいると思う。例えば、AIを活用し自身で情報を入力することで、想定されるリスクに対する保険商品を提案するサービス等が開発されるとよいと思う。
回答
- コロナ禍以降、対面にオンラインを組み合わせた活動を通じ、お客様との接点機会の確保に取り組む中で、公的保険等を踏まえたお客様の必要保障額を非対面でも算出するツール等の活用を進めてきた。
- また、AIの活用については、現在、成績の良い営業職員の活動データ等から、営業職員がより効率的に活動するためにはどうすべきかをAIが提案する等、社内の活用が主であり、ご指摘のとおり、お客様サービスの中でAIを直接活用することは重要課題と認識しており、引き続き検討してまいりたい。
質問29
ESG投融資について、日本生命ではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言へ賛同しCO2の具体的な削減目標を設定しているとのことだが、特にスコープ3のサプライチェーンについては、排出量が最も多く、多くの投資先企業とともに取り組む必要があるため、ハードルが高い領域だと思う。複数年にわたる対話を通じて行動変容を促すと説明があったが、具体的にどのように対応しているのか。
回答
- 当社の投資先企業は約1,400社あり、直近5年では気候変動や脱炭素をテーマとする対話に注力しており、このうち当社投資先のスコープ1・2における排出量の約8割を占める約70社とは、毎年当テーマに関する対話を行っている。
- これまでの取組として、スコープ1・2については、リスクと機会をどのように捉えているかというヒアリングに加え、排出量の削減目標の設定が全対象企業で完了しており、昨年度からは、削減に向けたロードマップの作成を依頼し、対話を通じて確認している。
- ご指摘いただいたスコープ3については、排出量が多い約40社と対話を行ってまいりたい。これまで対話を進めてきた約70社と合わせると、投資先排出量の約9割を占めることになり、今年度より対話をさらに強化してまいりたいと考えている。
- こうした取組は、非常に時間を要すると考えており、形式的・画一的にならず、各企業の実情に合わせて建設的な対話を進め、2050年ネットゼロ達成に向け、投資先企業とともに取組を進めてまいりたい。
質問30
サステナビリティ経営について、2022年にプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が施行され、3R(リデュース・リユース・リサイクル)に加えてリニューアブル(再生可能資源への代替)の考えが法律に導入された。日本生命でもクリアファイル等にバイオプラスチックを活用することも検討してはどうか。
質問31
日本生命は、2025年の大阪・関西万博において、子どもから大人まで楽しみながらヘルスケアを体験できるプログラムを検討しているとのことだが、多くの子ども達に来場してもらえるよう、楽しみながら学べるプログラムを作ってほしい。また、11月30日に500日前を迎える中、未だ全国的には認知度が低いため、チケットの活用も含めて、日本生命のネットワークをいかして機運の醸成に力強く取り組んでほしい。
回答
- 大阪ヘルスケアパビリオンの中で、バーチャル空間における体験型のゲームとして人生100年時代を疑似体験できるようなプログラムの提供を考えている。子どもから大人まで楽しめ、いのちや健康に関する新たな気づきを提供できるようなものを検討している。
- また、チケットの具体的な活用法については現在検討しているが、機運醸成の観点からは、オリジナルの万博ロゴ入り社章の着用や本店・東京本部におけるカウントダウンボードの設置に加え、都市対抗野球において選手が万博ロゴ入りユニフォームを着用する等の取組を行っている。
- 引き続き、当社の営業ネットワークを活用して、積極的な機運醸成に取り組んでまいりたい。
以上