総代会・総代懇談会

第72回定時総代会議事要旨(質疑応答の要旨)

2019年7月2日(火曜日)、午前10時30分から、大阪市北区中之島五丁目3番68号、リーガロイヤルホテルにおいて、第72回定時総代会を開催した。

総代数 199名
出席総代数 199名(うち、委任状による出席15名)
出席取締役(取締役21名中、出席取締役21名(全員))
筒井義信、清水博(議長 兼 議事録作成者)、古市健、中村克、赤林富二、有馬朗人、牛島信、今井和男、三浦惺、八木誠、松永陽介、三笠裕司、井出口豊、長谷川靖、藤本宣人、朝日智司、田中聡、戸田和秀、小林一生、矢部剛、早田順幸
出席監査役(監査役6名中、出席監査役6名(全員))
今井敬、豊泉貫太郎、但木敬一、佐藤良二、窪谷治、内海弘毅

総代からの書面による事前質問および当日席上での質問に対し、議長および担当役員から回答を行った。

質疑応答の要旨は以下のとおりである。

質問1

滋賀県野洲市で行われているような自治体による高齢者の見守り活動事業に積極的に協力してほしい。

回答

  • 当社は地域の発展こそが当社発展の基礎であるとの考えにもとづき、自治体との連携協定の締結を進め、地域の実情に応じた課題の解決に取組んでいる。
  • その一環として、自治体による高齢者の見守り活動事業への協力も積極的に行っている。具体的には、当社職員が営業活動の中で高齢者のひとり歩き等を発見した際に、自治体や警察等の関係機関へ連絡している。
  • なお、滋賀県野洲市については、当社は市が運営する「見守りネットワーク」の協力事業者にはなっていないものの、滋賀県と包括連携協定を締結しており、同等の内容の見守り活動に県単位で協力できているものと考えている。
  • 引続き、自治体による高齢者の見守り活動事業等に積極的に協力し、地域の発展に貢献してまいりたい。

質問2

銀行等での外貨建保険販売時のリスク説明が不十分との報道があったが、どのように対応していくのか。

回答

  • 銀行等での外貨建保険販売に関する苦情については、お客様本位の業務運営を推進していく観点から、当社として非常に重く受け止めている。
  • 当社に昨年度寄せられた苦情件数は426件と対前年77件増加している。なお、発生率については0.17%と対前年0.04ポイント改善している。
  • 苦情の多くは、定期的にお届けしている通知等をお客様がご覧になり、解約した場合の金額が払込んだ保険料を下回ることに関するお問合せをいただいたこと等により発生している。
  • この状況をふまえ、保険の内容をお客様にしっかりご理解いただいたうえで加入いただき、更には記憶に留めていただけるよう取組を強化していく。
  • 1つ目の取組は、募集時の説明の充実である。具体的には、積立利率や実質的な利回り、各種リスク等についての説明を補強する募集補助資料を作成し、2019年4月から順次、銀行等に提供し活用を進めている。
  • 2つ目の取組は、アフターフォローの充実である。定期的にお届けしている通知物をお客様がご覧になった際のお問合せを減らす取組として、アフターフォローが有効であり、またその内容も重要との傾向も出ていることから、このような分析結果や、個別の銀行等の好取組事例等をその他の銀行等と共有化するとともに、銀行等がアフターフォローを行うための情報提供を行っていく。
  • また、保険会社としての対応も一層推進・強化していく。募集時に用いるパンフレットや帳票のわかりやすさの向上に加え、加入後に定期的にお届けしている通知物の改良等、更にふみ込んだ対応を実行していく。
  • また、この課題は当社だけでなく、生命保険業界としての課題でもあると認識しており、2019年7月下旬に就任する生命保険協会の協会長の立場からも、この課題に取組んでいきたいと考えている。

質問3

経営者向け定期保険等の税務取扱変更を受け、当該商品の内容や保険料にどのような影響があるか。

回答

  • 経営者向け定期保険等の保険料の経理処理方法は、これまで商品別に定められていたが、新たな税務取扱いにおいては、商品に関わらずピーク時の単純返戻率に応じて定められることとなった。
  • 商品の内容や保険料について、従来から変更することは今のところ考えていないが、むしろ、お客様へのご提案時に保障を中心に語るべきところ、税務面に重きを置いた説明もあった等、募集面にこそ課題があったことを強く受け止め、本来のあるべき募集体制を改めて徹底・強化しなければならないと考えている。
  • 具体的には、保障を中心とした商品であることや、経理処理に関しては課税の繰延べに過ぎず、節税効果は原則ないこと等をお客様に十分にご理解いただけるよう、まずは販売資料を見直し、職員教育を徹底していく。
  • 当該商品の販売再開時期は現時点で未定であるが、募集体制の整備を完了することが販売再開の大前提であると考えている。

質問4

今後予定されている国際的な会計基準では、保険会社の収益の見え方が変わると理解しているが、導入に向けての検討状況を教えてほしい。

回答

  • 国際的な会計基準であるIFRSについて、保険会社にとって特に影響が大きいのは、IFRS17号「保険契約」である。
  • IFRS17号は、収益をあらわす損益計算書に加えて貸借対照表についても、現在の日本の会計基準による開示とは大きく異なる。2017年に一旦基準化され、2021年からの適用と決定されていたが、IFRSが強制適用される欧州を中心に懸念の声があがっており、現在は国際的に修正に向けた議論が再開されている状況である。
  • 現在、日本では、IFRSは任意適用となっているが、修正議論の状況をフォローし、引続き慎重に分析・検討を進めてまいりたいと考えている。

質問5

大樹生命との経営統合による相乗効果や今後の方向性を教えてほしい。

質問6

大樹生命の保険加入でも、サンクスマイルを貯めることができるように検討してほしい。

質問5・6への回答

  • 当社と大樹生命は、経営統合以降、単体では応えきれないお客様ニーズに一体となって対応することを目的に、早期に相乗効果が見込まれる領域から、順次、取組を進めてきた。
  • 具体的には、営業職員領域において、お互いのラインアップにない商品を相互に供給し、商品開発資源を効率的に配分することで、より競争力の高い商品をグループ内で機動的に開発できるようになっている。
  • また、金融機関窓販・代理店領域では、当社の委託先へ大樹生命商品の委託も行うことで、大樹生命にとっては販路が拡大し、グループとしては、これまで以上に多様な商品をお届けできるようになっている。
  • 今後も、大樹生命の強みをいかしながら、グループとして商品開発力や資産運用力の向上を図り、多様化するお客様ニーズにお応えしてまいりたい。
  • 一方で、アフターフォローや付帯サービス面の検討は道半ばである。現在当社がご提供している「ずっともっとサービス」は、当社商品にご加入されたお客様へのサービスとして当社の事務フローと連動して設計されたものであり、大樹生命商品への適用には、現時点ではシステム上も制約がある。
  • 日本生命グループとなった大樹生命の商品に、当社の営業職員からご加入いただいたお客様のご期待に応えるためには、これまでの発想を超えて、グループとしてより良い体系を構築していくことが必要であると認識しており、いただいたご意見もふまえて、今後検討を進めていく。

質問7

地方の人口減少や高齢化が進む中で、地方の支社や営業所のあり方を長期的にどのように考えているのか。

回答

  • 当社では、営業職員による年1回のご契約内容確認活動をはじめ、訪問によるお客様サービスの提供や接点の充実に注力してきた。
  • 今後一層高齢化等が進むことが予想される日本国内においては、対面・訪問によるお客様サービスの提供が一層、重要になっていくものと考えている。
  • そうした中では、地方の支社や営業所の単純な削減という判断はすべきでないと考えている。
  • 一方で、効率性向上や継続的なコスト削減も重要と考えており、地方の支社や営業所の維持に向け、単純処理業務の自動化や事務フローの見直しといった効率化取組を進めつつ、より丁寧なサービスの展開に向けた努力を続けてまいりたい。

質問8

地方での新たな人材として活躍が期待できる外国人留学生に対し、奨学金や生活費の援助を行う事業を検討してほしい。

回答

  • 当社が多様な社会課題の解決に向けて取組む中で、非常に貴重なご意見をいただいたと考えている。
  • 奨学金援助については、生命保険協会で「生命保険協会留学生給付型奨学金」という制度を設け、東南アジア・東アジア等から日本へ来る留学生に対して奨学金の支援を行っている。
  • また、生活援助については、当社として「公益財団法人留学生支援企業協力推進協会」に寄付を行い、日本の大学で学ぶ留学生に宿舎を提供することを通じて経済的支援を行っている。
  • 今後も、こうした取組を継続するとともに、社会からの期待や責任をふまえ、外国人留学生に対して、どのような支援ができるのか、総合的に検討してまいりたい。

質問9

外国人労働者向けの商品を今後展開する予定はあるか。

回答

  • 当社の保険商品は、国籍に関わらずご加入いただくことが可能であり、外国人労働者専用の商品の販売は現時点では予定していない。
  • 現行では、福利厚生制度として企業のニーズが高い全員加入型の団体保険等を提供している。
  • なお、手続書類等は日本語表記であることから、企業の担当者等に外国人の方の対応をしていただいている点については、より一層のサービスの充実が必要と考えており、外国語対応した記入見本の作成等、お手続きをサポートする仕組について検討している。
  • 今後も、お客様のニーズを丁寧にくみ取りながら、ご加入からお支払いまで、どのようなサポートができるか考えてまいりたい。

質問10

特定不妊治療を保障する「シュシュ」は意義深い商品だと思う。「シュシュ」の販売方針や出産・不妊治療に関する商品の開発計画を教えてほしい。

回答

  • 「シュシュ」は、出産時の給付や特定不妊治療の保障等を組込んだ生命保険業界初の商品として2016年10月に発売した。
  • 発売以来、少子化や晩婚化等の社会的課題に立ち向かう商品として評価いただいており、2017年の日経優秀製品・サービス賞も受賞している。
  • 販売面においては、不妊治療という非常にデリケートな事柄を保障する商品であるため、他の商品に比べて販売件数が多いわけではないものの、「シュシュ」にご加入いただいたお客様の約6割が新しいお客様であり、新たな女性のお客様の拡大に寄与しているものと考えている。
  • 今後、更に多くのお客様に「シュシュ」をご提供していくため、例えばインターネット等の媒体を通じてお客様のニーズを喚起し、ニーズが顕在化したお客様をフェイス・トゥ・フェイスのチャネルにつないでいく仕組も考えていきたい。
  • また、出産・不妊治療に関する新たな商品については、はなさく生命において6月24日から医療保険を発売しており、その特約で不妊治療を保障している。
  • 今後もお客様の多様なニーズにきめ細やかに対応し、社会的課題の解決に資する商品・サービスの開発に取組んでまいりたい。

質問11

育児・介護や健康問題等を抱える職員が働きやすくなる制度やサポートはあるのか。

回答

  • 当社でも、育児・介護・病気治療等の事情を抱える従業員が増加しており、働きやすさの向上に向けた環境整備を進めている。
  • まず、勤務時間の柔軟化に向け、育児・介護を抱える層が勤務時間の短縮とフレックスタイム勤務が可能となる制度を整備しており、これら制度の適用上限は法律上の要請を上回る水準としている。
  • また、60才超の定年後再雇用職員については、介護や健康問題等が生じる可能性が高まることをふまえ、1週間の勤務日数を選択できる「日数限定勤務制」を整備している。
  • なお、社外での営業活動が中心となる営業職員向けには、所定労働時間が通常の半分で勤務時間帯を自由に選択可能な「ファミリーケア職員制度」を整備している。
  • こうした制度に加えて、セミナーや職場ミーティングの開催等により、制度が活用しやすい職場の風土づくりに努めている。
  • 引続き、働きやすさの向上に向け、制度対応・風土醸成の両軸で検討を進めていく。

質問12

5つの公益財団法人を通して社会貢献していることをもっと広くアピールしてはどうか。

回答

  • 当社は「環境」「児童・青少年」「高齢」「文化」「医療」の各分野において設立した5つの公益財団法人とともに、長年、社会貢献活動に取組んできた。
  • 財団を通じた社会貢献の認知度向上は重要と考えており、社会貢献活動を紹介したビラを全国の営業職員を通じてお客様にお届けするとともに、オフィシャルホームページやディスクロージャー資料にも活動内容を掲載し、広く情報発信してきた。
  • 最近では、SNSでの情報発信を開始し、更に、オフィシャルホームページの開示内容を充実する等、認知度向上に向けた取組を強化してきている。
  • また、各財団においても、オフィシャルホームページやパンフレット、一部の財団では近年SNSも活用し情報発信を行っている。
  • 当社・財団ともに一層の取組を進め、財団を通じた社会貢献の認知度向上に努めることで、ニッセイファンづくりに取組んでいく。

質問13

他社で販売ノルマの達成のために顧客に不利となるような保険販売があったとの報道があったが、日本生命ではどのような営業職員教育や顧客への説明を行っているのか。

回答

  • 当社の営業職員の給与体系は、入社してから2年間はほぼ固定給であり、3年目以降は販売実績に応じた比例部分が大きくなるものの、その比例部分の目標は、営業職員自身の希望にもとづき、指導者等と丁寧にすり合わせながら決めているものであるため、当社では、会社が一方的に強要するようないわゆる販売ノルマはない。
  • 営業職員の教育については、毎年高度化を進めてきているが、とりわけ定着率の向上に重きを置く観点から、2019年4月から「新育成」と銘打ち、一人ひとりのレベルに合わせた育成を進めている。
  • 具体的には、入社初期の段階からロールプレイング等の実践的な教育の比重を上げ、また、これまでは一律2年間であった育成期間を個々の営業職員の目標や習熟度に応じて、最長5年間へと柔軟化している。
  • お客様に対しては、例えば新商品への見直しを希望される場合、現在加入中の商品を解約するのではなく、そのキャッシュバリューを活かして新商品に見直すことができる「保障見直し制度」や、「みらいのカタチ」における新商品のみを追加できる「保障追加制度」等、お客様が一方的に不利になることのないような仕組をご用意している。ただし、「保障見直し制度」を用いると、予定利率が下がる等のお客様にとって不利な点もあるため、パンフレットや提案書等を用いて対面でしっかりとご説明し、お客様にご納得いただいてからご契約いただくようにしている。
  • 加えて、お申込みいただいた後に、契約手続きを取扱った営業職員とは別の第三者が改めてお客様にご連絡やご訪問を行い、契約内容をもう一度確認する等の取組により、社内においてしっかりとチェックする仕組も設けている。

質問14

日本生命がSDGs達成に向けた取組の1つに掲げる貧困や格差の解消の一環として、社会的に不利な立場にいる若い女性への支援を行っていってほしい。

回答

  • 当社は女性が9割を占める会社であり、ご指摘いただいているような社会的課題の解決に向けて取組むことは、当社の使命であると考えている。
  • 子どもの6人、7人に1人は貧困に直面しており、そのような方が大人になったときには、負の連鎖が続くとも言われていることから、貧困、格差の解消に向けて、幅広く長期的な視点で取組んでまいりたい。

質問15

投資先企業への議決権行使にあたっては、多面的に分析し、議決権行使の意味合いを根本的に掘り下げ、長期的な観点から判断することで、日本企業の発展に寄与していってほしい。

回答

  • 当社の株式投資は、中長期の視点から、安定的な配当や株価の上昇等、投資先企業の企業価値向上の果実を享受するということを基本的な考え方としている。
  • したがって、スチュワードシップ活動においても、短期ではなく、中長期の視点から投資先企業の企業価値の向上につながるよう、投資先企業と建設的な対話を行っていくことを重視している。
  • 現在、専門人材を6名配置する等、対話の量と質を高めながら、当社としての課題意識を投資先企業にお伝えし、それに対する投資先企業の考えをきちんとうかがうことに努めている。
  • 当社が課題意識をお伝えした投資先企業の約4分の1において、対話の中でその課題は解消されており、これがまさに対話の効果や意義だと考えている。
  • そして、その延長線上に、当社株式投資の重要な要素の1つとして、議決権行使がある。当社では、議決権行使助言会社は活用せず、当社が作成した議決権行使精査要領にもとづき、精査すべき議案を抽出し、その議案を多面的かつ深く掘り下げて分析することで、画一的な議決権行使とならないようにしている。
  • 株式投資は、今後の日本の産業や経済の発展を支えるうえで非常に重要であり、またその役割を果たす機関投資家としての意義もこれから更に高まってくると考えていることから、引続き様々な点を見直しながら、この対話活動を中心とするスチュワードシップ活動に、より一層力を入れてまいりたい。

質問16

東京2020オリンピック・パラリンピックやセ・パ交流戦のスポンサーになる等のスポーツ支援のほかに、若い世代に夢と希望を与え、世界中から注目されるような更なる取組はあるか。

回答

  • スポーツは、とりわけ次世代の若者や子どもたちに大きな夢と希望を与えるものだと考えている。
  • 現在は、東京2020オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー(生命保険)や、セ・パ交流戦等のスポンサーとなっており、世界規模での取組はなかなか難しいものの、日本の子どもたちに対してスポーツの喜びや楽しみをスポンサーとして提供している。
  • また、当社自身も、当社の野球部や女子卓球部が各地で野球教室や卓球教室を開催し、草の根でスポーツの楽しさを教えるという地道な取組を長年続けており、とりわけ、女子卓球に関しては、Tリーグへの参戦を契機に中高生等の若い選手を女子卓球部の寮にお迎えして指導する等、次世代育成にもふみ出している。
  • 様々なスポーツについて世界中から注目される取組は難しいものの、若い世代に夢と希望を与えられるよう、スポンサーとしての支援や当社自身の地道な取組を引続き進めるとともに、スポーツ以外でもこれまでの発想にとどまらず、どのような取組ができるか考えてまいりたい。

以上

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