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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第108回 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」IoTデバイス数は2020年に400億超え!

2019年2月12日

デジタル技術の筆頭、「IoT」

 皆さんの会社でも、デジタル技術の活用が話題になっているのではないでしょうか。デジタル技術は最近ますます重要になっていますが、その筆頭とも言える「IoT」についてお話します。

増加するIoT

 IoTは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳されます。インターネットにつながるモノ(IoTデバイス)は、これまでパソコンやスマートフォン等の端末が主流でしたが、技術革新に伴い、その対象は工場の生産設備や自動車等に大きく拡がり、2017年時点では世界全体で274.9億個に達すると言われています。(※1)IoTデバイスは今後も増加し、2020年には403億個と、1.5倍近くに達する見通しです。(図表)

  • (※1)データを収集するための通信機器やセンサーの設置が必要ですが、技術革新に伴い、それらが十分な機能を持っていてサイズも小さく、しかも安価になったことがIoTデバイス拡大の理由です。

図表 世界のIoTデバイス数の推移と予測
(資料)「平成30年版 情報通信白書」より (出典)IHS Technology

IoTのメリット

 IoTが私達の仕事や暮らしにもたらすメリットは何でしょうか。それは、IoTを通じて取得されるデータの利活用による、生産性向上やより良い商品・サービスの提供です。

 例えば、生産設備へのセンサー設置によってIoT化された工場(スマート工場)では、設備の稼働状況がデータ取得でき、取得データをリアルタイムでモニター表示することもできます。それを見て的確な対応をとれば、現場の生産性改善に役立てることができます。
通信型のレコーダー搭載によりIoT化された自動車(コネクティド・カー)からは、運転中の急発進や急ブレーキの発生状況等の様々なデータが収集できます。そうしたデータから運転状況が良好と判断されると、保険料が割引かれる保険商品(テレマティクス保険)も販売されています。

 このようなメリットを一層広げるべく、政府もIoTを強く後押ししています。経済産業省が「コネクテッドインダストリー」という政策を掲げ、「自動走行」、「ロボティクス」といった重点分野を中心に、産業界を巻き込んだ検討を進めているほか、情報通信政策を担当する総務省がIoTビジネス推進に向けた支援事業(※2)等の取組みを進めています。また、両省が産業界と共同で設立した「IoT推進コンソーシアム」も、技術の開発・実証や新たなビジネスモデルの創出に向けた検討を進めています。こうした取組みによって、IoTの一層の発展が期待されます。

IoT推進に向けたルールづくり

 もう一つ、IoTの発展に向けて欠かせないものがあります。それは、安全なデータ流通環境です。IoTを通じてやり取りされるデータは、多くの場合、個人情報や、企業の機密情報ですが、ウィルスなどのサイバー攻撃によって、こうしたデータが悪用されることが懸念されています。また、2018年に大手IT企業のデータ独占が話題になったように、個人情報保護に対する関心は、これまでにないほど高まっています。これまでにも、国内でのデータ流通を円滑化させる取組みが進められてきましたが、目下更なる検討が進められています。

 そして、経済のグローバル化が進む中、日本国内だけでなく、国際的なデータ流通のルールづくりも必要とされています。これも日本は積極的に進めようとしています。先月開催された国際会議(※3)では、安倍総理大臣が国境を越えたデータ流通を認める「データ流通圏」の構築を提唱しました。
今年のG20サミット(※4)は日本で開催されます。「G20貿易・デジタル経済大臣会合」(※5)も予定されていて、ホスト国の日本がデータ流通の国際ルール形成を主導する姿を示せるか注目されています。
我々の仕事や暮らしに様々なメリットをもたらすIoT。その安全な発展に欠かせないデータ流通のルール整備が、諸外国も巻き込んで大きく進むことに期待しましょう。

  • (※2)「IoTサービス創出支援事業(平成30年度予算)」
    (http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu02_04000299.html)
  • (※3)世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)。世界各国の政府要人やグローバル企業の経営者が3000人以上参加する重要な会議です。
  • (※4)G20は、主要先進国に新興国を加えた20カ国・地域を指します。国内総生産(GDP)はあわせて63兆ドルで世界全体の8割弱を占めています。
  • (※5)「G20貿易・デジタル経済大臣会合」は、2019年6月8日、9日に茨城県つくば市で開催され、自由貿易の推進やIoT、AI等の革新的技術を通じて、世界の経済成長を力強いものとするためのG20の取組みについて議論される予定です。

(ニッセイ基礎研究所 牧野 敬一郎)


筆者紹介

牧野 敬一郎(まきの けいいちろう)

株式会社ニッセイ基礎研究所 総合政策研究部 研究員・経済研究部兼任
研究・専門分野:日本経済