1. 日本生命保険トップ
  2. 知る・楽しむ
  3. 大人のための長生き応援コラム
  4. 第19回 介護とお金

3分でわかる 大人のための長生き応援コラム

第19回 介護とお金

2018年4月2日

介護に必要な費用(自己負担)はいくら?

 人生100年時代、長生きできるのは本来喜ばしいですが、人生が延びると同時に不安を募らせてしまうのが「お金」のことではないでしょうか。本コラムの第4回と第5回で、高齢期に向けた「備え」の必要性について述べましたが、今回はもう少し具体的なお金の"水準"について見ていきたいと思います。その1回目として、「介護」に着目します。介護はいつまで続くかわかりませんし、サービスの内容も非常に複雑なので、一体いくら位かかるのか、わかりづらいものです。公表されているデータから、必要な介護費用の水準感について確認していきましょう。

 まず先に、公的介護保険制度のサービス利用についてご説明します。サービス利用に伴う負担については、要介護度(要支援1〜要介護5までの7段階)に応じて定められた利用限度額の中で、原則「9割」が国(市区町村)の負担、残り「1割」が自己負担となります(自己負担割合は所得に応じて異なり、所得の多い方は2〜3割1になります)。このことは広くご存知かと思いますし、「1割」程度の負担でいいのかと楽観的に思われておられる方も少なくないのではないでしょうか。しかしながら、実態を見ますと、意外と費用がかかっているようです。確かに「1割」の自己負担であれば、比較的負担は大きくはないかもしれませんが、介護保険利用限度額を超えた分(全て自己負担)や介護サービス以外の関連経費(介護保険外サービスや医療費など、全て自己負担)もかかっている実態が見られます。図表1はそうした介護全般に関わる費用について月額を調査した結果になりますが、平均では7.9万円/月もかかっています。10万円以上負担している方も多くいらっしゃるのです。

介護にかかった費用(月額)

資料:生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する実態調査」より筆者作成

 またデータの出所は異なりますが、図表2を見ますと、要介護度別に介護に関わる負担額の内訳がわかります。これをみると、介護サービス1割の自己負担だけに止まらず、利用限度額を超えた分や介護保険サービス以外の費用が相応にかかっている実態がわかります。

介護にかかった費用(月額:負担内訳別)

資料:家計経済研究所調査(2011年10月分の家計)より筆者作成

  • 全国の40-64歳の男女で、介護が必要な65歳以上の親・義親と同居している方(要介護者が1名)を対象
  • 「介護サービス以外の費用」には、医療費や税・社会保険料などが含まれる

 では総額としていくらかかるのか、あくまで平均の目安を把握するための極めて単純な計算になりますが、図表1の平均額(7.9万円/月)と図表3にある平均の介護期間(4年11カ月)を掛け合わせてみると、466.1万円という額が算出されます。実際は、これに介護を始めるための初期費用(リフォーム経費など)も加わるので、約500万円近い費用が相場として必要なのかもしれません。

介護が始まってからの期間

資料:生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する実態調査」より筆者作成

 もちろん、介護はケースバイケースなので一概に言えることではありませんが、いざ介護が必要になってから考えるよりも、予めこうした費用の水準感を念頭に据えながら、早い段階から備えることに超したことはないでしょう。この点、民間の生命保険に加入しておくことは一つの「備え」になると思います。あとは、必要な介護(サービス)について、本人と家族、また介護の専門職(ケアマネージャー等)の方々とよく話し合って、家族でできることとサービスに委ねることをきめ細かく決めながら、負担の軽減をはかるのが大切だと思います。将来いずれ訪れるかもしれない介護生活を、安心して前向きに送っていただけるように、できるだけ若いときから「備え」ていただくことをお薦めします。

1 「3割負担」は2018年8月利用分から適用されます(現役並所得のある高齢者)

(ニッセイ基礎研究所 前田 展弘)

筆者紹介

前田 展弘(まえだ のぶひろ)

株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
研究・専門分野:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)