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3分でわかる 大人のための長生き応援コラム

第16回 寿命は誰が決めているの?

2018年1月9日

寿命を決定する「2:8」の考え方

 人生100年時代を「安心して・自分らしく」、より豊かに生きていくには、生活するのに必要な「①備える」、「②健康」、社会や家族との「③つながり」、そして「④生きがい」が大切な要素であることをこれまでお伝えしてきました。今回からは、それぞれの要素について今一度掘り下げながら、長生きを応援する情報をお届けしていきたいと思います。第16回では、人生の長さを決定する「寿命」について注目します。

 人生はよくマラソンに例えられます。スタートは皆同じですが、ゴールに近づくにつれスピードが速い人と遅い人とバラバラになっていきます。人生も同じように、年齢を重ね高齢になればなるほど、加齢のスピードに幅が生じ、健康の面でも差が現れます。結果的に、短命となってしまう人、長寿を全うできる人、人それぞれです。この寿命の違いは何なのでしょうか。

 「生まれ持った運命、遺伝(遺伝子)なんだろう」と思われる方も少なくないと思います。しかし、先に結論を申しあげると、自分の人生の長さを決めているのは、実は「自分自身」で、自分の普段の生活行動の積み重ねが、寿命に大きく影響を与えているのです。

 これは、北欧で盛んな一卵性双生児を追跡する長寿科学研究から導かれる話です。一卵性双生児の遺伝子は、基本的に全く同じですが、2人の一卵性双生児を晩年まで追跡した結果、「寿命に与える遺伝の影響は約2割で、残りの約8割はその人の生活習慣を含む生活・環境的要因である」とされています。確かに、「普段から健康的な生活をおくっている人」と「不摂生な行動を重ねている人」とで寿命に差が出てくることは不思議ではないでしょう。

健康習慣の実践を

 そうした生活・環境的要因に着目して、生活習慣と健康の関係を研究し、心がけるべき生活習慣を唱えたさきがけとも言えるものが、『ブレスローの7つの健康習慣』です。1980年に米国UCLAのレスター・ブレスロー教授が提唱しました。これは、以下の7つの習慣を実践している人ほど、健康で長命であったことを明らかにしたものです。

ブレスローの7つの健康習慣

 健康に関する情報が豊かになった今では、『ブレスローの7つの健康習慣』は特段目新しい情報ではないかもしれませんが、今でも通じる健康に役立つ情報であることには変わりません。これに限らず、健康に役立つ情報はメディアなどを通じて多く確認できますが、大事なのはそうした情報を吸収し、行動として日々の生活に取り込み、継続していくことだと思います。

 暴飲暴食、お酒の飲みすぎ、喫煙など、「健康には良くない」と言われていることを続けてしまう人は少なくありません。しかしながら、“寿命を決めるのは普段の自分自身の行動や生活習慣である”ということを意識し、健康的な生活を心がけるのが、“明るい”長寿時代を迎えるためには重要となると考えます。その努力は、必ずや将来の自分に帰ってくるでしょう。

(ニッセイ基礎研究所 前田 展弘)

筆者紹介

前田 展弘(まえだ のぶひろ)

株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
研究・専門分野:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)