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役立つ医療情報 メディカルレポート

Vol.9 肺がんNo.1 〜早く見つけて治療〜

(1) 肺がんとは

ふえ続ける肺がん死

厚生労働省の統計から日本人の死因推移をみると、悪性腫瘍 (がん)は一貫して上昇を続け、昭和56年以降死因順位第1位となり、平成27年の全死亡者に占める割合は28.7%となっています。つまり全死亡者のおよそ3.5人に1人は悪性腫瘍で死亡したことになります。中でも肺がんの上昇が著しく、男で87.2%と第1位、女で32.9%と第2位となっています(図1)。肺がんで亡くなる人がふえているということです。

がんはなぜできる?

遺伝子 (DNA) の傷の蓄積ががん細胞をつくる 図2: 遺伝子(DNA)の傷の蓄積ががん細胞をつくる

がん細胞は遺伝子(DNA)の異常により発生します。がん細胞は普通の細胞と違い、簡単には死なずにふえ続ける能力や他の臓器に転移する能力、がんに栄養をとりこむ血管を作りだす能力などを獲得しています。こうした能力は、肺がんの原因としてよくあげられるたばこだけではなく、加齢、感染、放射線、飲食物など多くの原因によって遺伝子に傷(遺伝子変異といいます) がつくことによって獲得されてゆきます。少しぐらい傷がついても免疫機能 (がん免疫といいます) が働き細胞が排除されるため大丈夫ですが、傷がたまり続けるとある時点でとうとう免疫機能では制御できなくなり、がん細胞として無限に増殖を始め、そしてリンパ管や血管の流れにのって他の臓器に転移を起こすのです(図2)。

肺がんの分類

肺にできるがんが肺がんですが、ひとくちに肺がんといっても、いろいろな種類があります。まず、肺から発生した原発性肺がんと、大腸がんや乳がんなど他の臓器に発生したがん細胞が肺に転移してできた転移性肺がんとに分かれます。転移性肺がんの進行の仕方や治療効果は、もともと発生した臓器の特徴を持っているため、原発性肺がんとはずいぶん異なります。一般に肺がんといえば、原発性肺がんのことをさします。

組織所見による分類 治療上の分類 図3:原発性肺がんの分類

原発性肺がんはその組織型によってさらに細かく分類され、小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4つに分類されます。たばこによって起こりやすいのは、小細胞がんと扁平上皮がんです。また最近では、非喫煙者の腺がんがふえる傾向にあります。治療の上では、小細胞がんとそれ以外の3つ(非小細胞肺がん)の2つに分けて治療法を選択します。つまり、小細胞肺がんと非小細胞肺がんでは治療法が異なります(図3)。

小細胞肺がんと非小細胞肺がんとは、進行の早さや治療への反応性など大きく違いがあり、肺に発生する点では同じでも別のがんと考えてもいいくらいです。小細胞肺がんは原発性肺がんの20%であり、放射線や抗がん剤にすばやく反応して小さくなりますが、またすぐに大きくなって早く進行する悪性度の強いがんです。非小細胞肺がんは残りの80%で、放射線や抗がん剤への反応はそれほどよくありませんが、進行が比較的遅く、小細胞肺がんほど悪性度は強くありません。外科手術で切除できるのは、ほとんど非小細胞肺がんです。小細胞肺がんも非小細胞肺がんも進行すれば、リンパ節、肝臓、骨、脳、副腎などの臓器に転移を起こします。肺の中で別の場所に転移を起こし、胸に水がたまること(胸水)もあります。

執筆者

立花 功(たちばな いさお)

公益財団法人日本生命済生会付属日生病院
副院長 内科統括兼総合内科部長
日本内科学会認定医・指導医
日本呼吸器学会専門医・指導医
日本呼吸器内視鏡学会器官支鏡専門医・指導医