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役立つ医療情報 メディカルレポート

Vol.8 関節リウマチ No.2 〜不治の病から治る病気へ〜

関節リウマチの診断

関節リウマチの早期診断は、治療の進歩につながりました。
世界で最初に関節リウマチ分類基準が作成されたのは1958年であり、1987年の改訂を経て、世界中のリウマチ医がこの分類基準を基に関節リウマチの診断を行ってきました。
しかしこの基準では初期の関節リウマチを発見することは困難でした。抗CCP抗体の出現やMRI検査や関節エコー検査の進歩など検査手段の進歩により、2010年に新しい分類基準が発表され、極早期の関節リウマチから診断できるようになりました。

関節リウマチの治療

<A>非ステロイド系抗炎症剤
非ステロイド系抗炎症剤とは、痛みを和らげ腫れ・炎症を抑える薬ですが、リウマチの進行を抑えたり関節破壊を予防できる薬ではありません。この薬の共通の副作用には、胃腸障害と腎障害があります。副作用防止に胃腸薬の内服を行うとともに、プロドラッグ(体内での代謝により効き目を発揮する薬)や徐放剤(成分が徐々に放出されるよう工夫された薬)やCOX-2阻害薬のような副作用の少ない新しい薬の開発がされています。
<B>ステロイド
ステロイドとは毎日我々の副腎からも分泌されるホルモンで、リウマチ治療薬としてもっとも古くから用いられてきました。その後、ステロイドはリウマチの原因治療薬ではないことがわかってきました。治療を行っているにも関わらず関節破壊は進行してしまい、長期連用による様々な副作用が起きてきます。しかし、妊娠中の治療(胎児への影響なし)や早期関節リウマチの短期間だけの治療としては非常に有用な薬です。
<C>抗リウマチ薬
抗リウマチ薬とはリウマチの免疫異常を是正するための薬の総称で、免疫抑制剤も含まれます。薬ごとに作用の強さや副作用に違いがあり、個人差があります。世界的にはメトトレキサート(MTX)という薬が標準薬になっています。MTXの場合、感染症を悪化させることがあるので、内服前には必ず感染症(B型肝炎、C型肝炎、結核など)のチェックが必要です。
<D>生物学的製剤
生物学的製剤とは、細胞が産生するタンパクを遺伝子工学的手法によって作成した動物やヒトのタンパク製剤のことです。特定の分子(サイトカインや免疫担当細胞)の生物学的作用を制御するタンパクです。現在我が国では、腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン6受容体(IL-6R)に対する抗体製剤やT細胞融合タンパク(CTLA)製剤など計7種類の生物学的製剤(図3)が関節リウマチ治療の保険適応となっています。生物学的製剤は消化酵素で破壊されるため経口投与は不可能で、点滴注射か皮下注射による注射投与となります。これまでのリウマチ治療薬に比べて非常に優れた治療効果を示し、骨軟骨破壊抑制効果も証明されています。しかし、非常に高額な薬であることや、感染症・悪性腫瘍・脱髄疾患などの重篤な副作用にも注意が必要です。

関節リウマチに対する生物学的製剤 (図3)

<E>新しい治療薬
2013年には、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤という新しい治療薬が保険適応となりました。「ヤヌスキナーゼ」とは関節リウマチに伴う炎症に重要な役割を果たす細胞内のシグナル伝達分子のことです。JAK阻害剤は細胞内のこのシグナル伝達をブロックすることでリウマチを治療するというこれまでの治療薬と全く異なる作用をもつ低分子治療薬です。

寛解(症状もなく検査異常もない)を目指して

以前の関節リウマチの治療は、安静・リハビリを中心とした基礎療法を基本として、効果がなければ消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬を積上げるピラミッド型治療方針が基本とされてきました。
しかし、現在の関節リウマチ治療では、「早期診断」から「早期治療」を開始し、適切な指針を用いて厳重に管理することによって、治療目標も“寛解”から“治癒”へシフトすることができました。早期から、関節リウマチの病態の進行を抑制するMTXを代表とする抗リウマチ薬や生物学的製剤を用いて、関節破壊が進行して日常生活の障害が不可逆になる前に厳重に治療することが推奨されています。

関節リウマチの予防できるのか?

関節リウマチは原因がまだわかっておらず、予防することはできません。現在では、検査方法や治療方法がどんどん進歩しています。早期治療で症状のない寛解状態(症状もなく検査異常もない)となり、さらに治療も不要となる治癒にまで至ることができた例も報告されています。関節症状が出現したらできるだけ早く診断を受け、できるだけ早く適切な治療を受けることが何より大切なことです。

今後さらに関節リウマチの研究が進んで原因が解明されれば、科学的根拠に裏打ちされた確かな予防法が出てくる可能性もあります。原因不明の関節痛や朝のこわばり感・原因不明の発熱などの症状が現れましたら、一度お近くのリウマチ専門医を受診し、診察を受けられることをお勧めいたします。

執筆者

小瀬戸 昌博(こせと まさひろ)

公益財団法人日本生命済生会付属日生病院
総合内科担当部長 兼 中央臨床検査部長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会専門医
日本アレルギー学会認定医・専門医・指導医
日本医師会認定健康スポーツ医