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役立つ医療情報 メディカルレポート

Vol.7 関節リウマチ No.1 〜不治の病から治る病気へ〜

関節リウマチの発見

17世紀中旬のオランダのルーベンスやその後のフランスのルノワールの作品の中に、変形した「手」が描かれていますが、これが世界で最初に関節リウマチを記載されたものとされています。彼ら自身もこの病に冒されていました。
その後、1857年にイギリスで関節リウマチという病名が提唱されました。

関節リウマチの症状

関節変形(ボタンホール変形、尺側偏位、Z状変形)、関節近傍中心の骨萎縮、多発する骨ぴらんと関節裂隙狭小化、一部に骨強直を認める。関節リウマチに典型的な所見である 図1

関節リウマチは、朝に関節が腫れて動かしにくく痛みがあるのが典型的な症状です。
その後、関節炎は多少の軽快・増悪を繰返しながら進行し、ついには関節破壊や変形をきたして、関節機能に重い障害を起こします。(図1は典型的な関節リウマチのX線所見)その他にも全身に炎症が起こるため、微熱・倦怠感(疲労感)・体重減少・貧血といった全身症状を伴うこともあります。現在日本には、約70万人の関節リウマチの患者さんがおられると想定されています。男女どの年齢にも起こりますが、主に40〜50歳代の女性に多くみられます。

関節リウマチの治療

関節破壊の経過 図2

関節リウマチについての研究は、ここ数十年の間に世界中で飛躍的に発展し、治療効果についても劇的な改善が見られるようになりましたが、現在にいたるまで病気の原因はまだ分かっていません。これまで関節リウマチは、症状がゆっくり進行する病気で治らないものと考えられており、そのため治療は、痛みが出たら鎮痛剤でその痛みを抑える方法(いわゆる対症療法)が主体でした。
しかし、最近の研究で関節リウマチは発症後初期の段階で関節破壊が急速に進行することがわかりました。図2をご覧ください。

関節リウマチによって壊れる関節の数は、これまでは感覚的に捉えることしかできず、「従来の予測」の曲線のように考えられていました。しかし、]線画像の解析研究によって骨や関節の破壊の状況を詳細に把握することが可能になりました。その結果、「実際の変化」の曲線のように、発症後初期段階で多くの関節が破壊されることが明らかになりました。このことで、痛みを抑える治療から、関節破壊を抑制することに重点を置いた治療が注目されるようになりました。

最近の研究により、骨や関節破壊の中心的な役割を果たしている「物質」が明らかになってきました。それは、「サイトカイン」という物質です。様々な細胞の間の情報を伝達する役割を担っているタンパク質の一種です。ある複数のサイトカインの働きを止めることが関節リウマチの進行を止めることにつながることがわかってきました。さらに研究が進められ、約10年前にサイトカインに対する抗体となる製剤が開発されました。これらの生物学的製剤の登場によって関節リウマチの治療は飛躍的に進歩しました。

関節リウマチの治療の進歩

1980年代までの関節リウマチの治療は、鎮痛剤で痛みを抑える対症療法が主体でした。1999年にメトトレキサート(MTX)という抗リウマチ薬が我が国でも保険適応となり、関節リウマチの病態(滑膜の炎症や関節破壊の進行)を抑制できるようになりました。さらに2003年からは、関節破壊の進行に関わるサイトカインの働きをブロックする生物学的製剤が認可されました。このMTXと生物学的製剤を使用した治療法によって関節リウマチ治療は飛躍的に改善し、これまで不治の病と言われていたこの疾患が、関節症状もなく、血液検査でも異常なく、レントゲン検査上でも関節破壊の進行がないという寛解(症状がなく検査異常もない)状態までに達することができるようになりました。
最近では、早期に診断を受けた関節リウマチ患者さんに、ごく初期からMTXや生物学的製剤といった強い治療で症状を抑え、寛解が維持できれば、治療自体をも中止することができたという報告もみられています。
今や、関節リウマチは、不治の病ではなく治癒できる病気になってきたと言えます。
次回は、治療の進歩についてより詳しくご説明します。

執筆者

小瀬戸 昌博(こせと まさひろ)

公益財団法人日本生命済生会付属日生病院
総合内科担当部長 兼 中央臨床検査部長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会専門医
日本アレルギー学会認定医・専門医・指導医
日本医師会認定健康スポーツ医