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役立つ医療情報 メディカルレポート

Vol.6 皮膚の病気乾癬 No.2 〜根気よく、焦らず治療を〜

(1) 乾癬(かんせん)の治療法

乾癬の治療の進歩はめざましく、種々の効果のある治療法があります。大きくわけると塗り薬(外用療法)、光線療法、内服薬、2010年より生物学的製剤(注射薬)も乾癬に適用され、次々と有効な薬剤が使用可能になりました。

外用療法

乾癬の治療

外用療法は、自宅ででき、すべての患者さんが対象になります。乾癬治療の基本と考えてください。これだけで、効果が不十分な場合にその他の治療を組合わせて行います。塗り薬にはビタミンD3外用剤(主に皮膚の新陳代謝を抑えます)とステロイド外用剤(炎症を抑えます)があります。それぞれに長所、短所がありますので、併用されることが多いです。よりよい効果を出すには皮疹部だけにきっちり塗ること。塗る部位を間違わないこと。例えば、体に塗る薬を顔に塗るなどしないように気をつけてください。最近では両者の配合剤が使用可能になり効果が期待されています。

光線療法

日光浴をすると乾癬が良くなることは昔から知られていました。人工光線による治療は、PUVA(プーバ)療法や中波長紫外線(UVB)療法、特に最近ではナローバンドUVBが良く行われています。これは紫外線B波のうち有害な部分をのぞき、乾癬に効果のある限られた波長のUVBを照射します。病院では皮疹の広がりの程度により全身型、部分照射型、手足用など種々の照射機器があります。
エキシマライトは手のひら、足底などの難治部位の乾癬にも効果が良好です。

内服療法

エトレチナートとシクロスポリン、アプレミラストがあります。エトレチナートは皮膚の新陳代謝を調整し、シクロスポリンは免疫抑制剤、アプレミラストはPDE4阻害剤で両者とも炎症を抑える作用があります。いずれも服用にあたっては医師の説明を良く聞いてください。また無意識に掻いてしまうと症状が悪化するため、抗ヒスタミン薬も補助療法として使うことがあります。

生物学的製剤

近年、乾癬の成り立ちが解明されてきたことにより病気に関与している特定のタンパク質のみに作用できる薬剤(抗体など)が分子生物学的技術により作られるようになりました。これが生物学的製剤です。乾癬に適用される生物学的製剤には現在、点滴製剤(インフリキシマブ)と皮下注射製剤(アダリムマブ・ウステキヌマブ・セクキヌマブ・ブロダルマブ・イキセキズマブ)の6種類あります。内服薬に比べて肝臓、腎臓など色々な臓器への副作用が少ない反面、免疫力を抑制するため結核やその他の感染症に注意が必要です。また薬価が高いことも問題です。

(2) 日常生活の注意

乾癬の引金、悪化の原因には日常生活の習慣が深く関わっています。日常生活の注意は乾癬治療の第1歩です。よく患者さんから質問をうける事柄につき大事なことから順にお話したいと思います。

日光浴について

一般に日光にあたることで乾癬が良くなることが多いので日光浴をこころがけましょう。ただし急激な日焼けは皮膚を刺激して悪化させることがありますので、徐々に始めるようにしてください。

かぜなどの病気

かぜ、扁桃腺炎などの感染症にかかると乾癬は悪化することが多いので、なるべく風邪をひかないように気をつけることが大切です。日頃から規則正しい生活をし、冬はうがい、手洗いをするなど風邪をひかないようにすることも大切です。

皮膚への刺激

乾癬の患者さんではふつうの皮膚を引っ掻いたり傷つけるとそこに新しい乾癬ができることがあります。なるべく衣服は柔らかい生地のものを身につけるようにし、気になるからといって無理に鱗屑(りんせつ)をはがしたり、お風呂でこすりすぎるのはやめましょう。

食べ物、アルコール、たばこ

食事はバランスよくとれば何を食べてもかまいません。高カロリー、高脂肪食に偏ると乾癬を悪化させます。緑黄色野菜は多く、脂っこいものはひかえめにバランスの良い食事をしましょう。アルコールや喫煙もなるべくひかえるようにしましょう。

お風呂やシャワー

入浴やシャワーは毎日おこない清潔に保ちましょう。皮膚をこすらないように洗いましょう。入浴後に、すぐに薬をぬると効果的です。

ストレス

精神的ストレスは乾癬悪化の要因となることが多いです。ストレスを完全になくすことは難しいと思いますが、上手にストレスに対応することが大切です。

(全国の乾癬患者組織)
乾癬患者組織は世界各国で設立されており、日本にも全国で21の団体があります。それぞれの会では学習懇談会の開催、会報の発行、社会への広告活動など幅広い活動が行われています。患者さん同士、医師との交流もはかられ、病気についての正しい知識を得て、よりよい療養ができるよう、支援しています。詳しくは日本乾癬患者連合会や大阪乾癬患者友の会(日生病院皮膚科に事務局を設置)のホームページをご覧ください。

全国の乾癬患者会マップ

(2016年6月16日現在)


執筆者

東山 真理(ひがしやま まり)

公益財団法人日本生命済生会付属日生病院
副院長 皮膚科部長
日本皮膚科学会専門医
大阪大学医学部臨床教授
元大阪大学医学部講師