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役立つ医療情報 メディカルレポート

Vol.5 皮膚の病気乾癬 No.1 〜根気よく、焦らず治療を〜

(1) ひふの日をご存じですか?

11月12日は「ひふの日」です。
日本臨床皮膚科医会は1989年に11月12日(イイヒフ)を「皮膚の日」に制定しました。皮膚についての正しい知識の普及や皮膚科専門医療に対する理解を深めるための啓発活動を行っています。毎年「皮膚の日」の前後の時期には全国各都道府県において、一般の方々を対象に講演会や皮膚検診、相談会を多数開催しています。この機会に皮膚の役割や疾患について学んでみてはいかがでしょうか?

(2) 皮膚は人体最大の臓器であり全身の鏡です。

皮膚は面積1.6㎡、重量は体重の16%で人体最大の臓器です。最外層にあり外的環境から人体を保護し恒常性を維持するために色々な重要な機能を持っています。主な機能としては@水分の喪失や透過を防ぐA体温の調節B物理、化学刺激や微生物から保護C感覚器としての機能D表情やボディーイメージを保つ。などですが、まだまだ多くの機能があります。これらの皮膚の機能が一つでも不全になると種々の症状が現れQOL(日常生活の質)が障害されます。普段は意識していなくても皮膚の機能が悪くなってはじめて健康な皮膚の恩恵を実感します。一方皮膚は全身の鏡ともいわれ、全身の機能と密接に関係しています。皮膚症状から内臓疾患の診断に結びついたりします。日常よりご自身の皮膚の状態に注意を払い年齢にかかわらず健やかな皮膚を保っていただきたいと思います。

(3) 乾癬(かんせん)ってどんな病気?

さて今回は秋冬の季節に悪化することが多い難治性の皮膚の病気のひとつである乾癬(かんせん)についてお話します。

乾癬はどのような病気?

乾癬の症状は皮膚から少し盛上がった赤い発疹(紅斑(こうはん))のうえに銀白色のかさぶたのような皮膚片(鱗屑(りんせつ))ができて、フケのようにぼろぼろとはがれ落ちるのを特徴とします。悪化すると数が増え、互いにくっついて、地図状になることもあります。もともと欧米人に多い病気でしたが、最近は日本人にも多く見られ、10万人以上の患者さんがいるといわれています。発症頻度は1000人に1〜3人と想定されています。日本では男女比は2:1です。年齢分布は男性が30〜40歳代、女性が10歳代と50歳にもピークがあります。

乾癬はどのようにしてできるのかについて簡単にご説明します。私たちの皮膚の一番外側は表皮とよばれる細胞層でおおわれています。乾癬では表皮の新陳代謝が活発になり、その結果鱗屑が次々と形成されます。表皮と真皮に白血球などの血液成分が集まり、炎症がおこり毛細血管が拡張しているので赤くみえます。摩擦などの刺激を受けやすい肘、膝、頭などができやすい部位です。太ももの後ろ側やおしりにもよくできます。乾癬は爪にも生じ、爪が白く濁ったり、厚くなります。約6割の方がかゆみを感じています。入浴後などからだが暖まったときや紅斑が新生するとき、かさぶたが厚くなったときなどにかゆくなります。掻くと、その部分に新たに皮疹(ひしん)を誘発してしまいます。掻かないように注意しましょう。

乾癬と内臓の病気との関係

近年乾癬患者さんには肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などのメタボリック症候群の合併、特に重症の患者さんでは心血管系疾患の合併率が高いことわかってきました。また皮膚以外の症状として関節の痛み、はれを伴うことがあります。またまれに、ぶどう膜炎などの眼症状を併発することもあります。

乾癬はうつりません。

乾癬は伝染しない疾患です。プールやお風呂、接触などで、他人にうつることは決してありません。「乾癬―かんせん」という病名のためうつる病気と誤解され偏見による苦しみからつい閉じこもりがちになってしまう患者さんも見られます。乾癬はうつらない病気であることをしっかり覚えていただきたいと思います。

乾癬の原因は?

まだはっきりわかっていません。体質的素因の上に様々な環境因子などが重なり合ってはじめて症状が発現すると考えられています。体質的素因とは人がもって生まれた様々な特徴のことで、乾癬では皮膚の新陳代謝活動が活発であること、免疫の反応性の違いなどがあげられます。乾癬に関係する環境因子としては傷、風邪、扁桃炎などの上気道感染、気候、喫煙やアルコール、食生活そして不眠、イライラなどの精神的ストレスなどが悪化要因としてあげられます。特定の薬物によって症状が悪化する場合もあります。

乾癬は治るのでしょうか?

乾癬がおこりやすい体質は変わりませんが、コントロール可能な病気であり、長期間症状をおさえておくことも可能です。先に述べました悪化要因の排除や適切な治療などにより、皮膚が完全に正常な状態へ戻るひともいます。

乾癬の治療において大切なこととはどんなことでしょうか?

1. 自分自身の乾癬の症状をよく理解することです。どのようなときによくなるのか、どのようなときにひどくなるのかを考えてみましょう。日常生活の注意点などが多く見つかるはずです。

2. 乾癬の治療方法の進歩はめざましく、いろいろなものを選ぶことができるようになりました。医師とよく相談して乾癬でどのようなことで困っているかなど積極的に医師に伝えてください。患者さんの症状やQOLを医師が総合的に判断して一人一人に適した方法が選択されます。

執筆者

東山 真理(ひがしやま まり)

公益財団法人日本生命済生会付属日生病院
副院長 皮膚科部長
日本皮膚科学会専門医
大阪大学医学部臨床教授
元大阪大学医学部講師