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役立つ医療情報 メディカルレポート

Vol.3 慢性肝炎〜沈黙の臓器、肝臓!〜

肝臓は「沈黙の臓器」

肝臓は人体最大の臓器で、重さは成人で1000〜1500gあります。主な働きは代謝、解毒作用、胆汁生成です。代謝機能としては、身体に必要な蛋白質の合成、糖質の貯蔵と分解、脂肪の合成、ビタミンの貯蔵などです。解毒作用として、有害物質や毒物を無毒化して直接胆汁に、または尿中に排泄できるようにします。また、コレステロールから腸管内で脂肪の吸収を助ける胆汁酸を合成し、胆汁中へ分泌します。このように肝臓は身体の機能維持にはなくてはならない臓器です。

肝臓は傷ついた部位を他の部位が補う力(代償機能)が高く、また傷ついても元に戻る力(再生機能)が大きな臓器の一つです。少しぐらい傷害を受けても全く症状として出てきません。“沈黙の臓器”と言われる所以です。言い換えれば、症状が出現したときには、病状がかなり進行した状態であるということになります。早期に異常を発見、診断し、対処することが非常に重要となります。早期に異常を発見するためには、血液検査と腹部超音波(エコー)検査をお勧めします。

早期に診断、原因究明、治療開始

肝臓に障害を引起こす病気としては、ウイルス性肝炎(A型、B型、C型、E型)、脂肪肝、アルコール性肝障害、自己免疫性肝疾患、薬剤性肝障害などです。しかし、最近の医療の進歩により、これらの大部分は早期に診断し、原因を突止め、治療を開始すれば、治癒するもしくは病期の進行を止めることが可能となっています。ウイルス性肝炎の中で症状が長引く慢性肝炎に移行するのは、B型とC型です。慢性肝炎が持続すると肝硬変に進展し、更に肝癌が発生してきます。肝硬変への進展を抑えることは、肝癌発生の大きな予防となります。肝硬変への進展を抑えるには、まず第1にウイルスをなくすこと、それが難しければウイルス量を少なくする、あるいは肝臓の炎症をできるだけ抑え込むことです。

慢性肝障害を指摘された場合に重要なことは定期的に血液検査と画像検査を受けることです。肝臓に炎症が生じていないか、1〜3カ月に一度は定期的に血液検査で炎症の有無をチェックし、炎症があるようでしたら点滴注射、内服薬等で炎症を鎮めることが重要です。飲酒は肝硬変への進展を早めますので、飲酒を控えるようにしましょう。また、肝臓がんを早期に発見するためには、定期的に腹部超音波(エコー)検査や腹部CTあるいはMRI検査を行う必要があります。腹部超音波検査は、慢性肝炎で半年に1回、肝硬変になると3〜4カ月に1回の検査、更に半年に1回程度の造影CTもしくは造影MRI検査が推奨されています。肝臓専門医に定期的に通院されることをお勧めします。

食習慣の改善・適度な運動・定期的な健康診断

生活習慣と関連した肝疾患として、脂肪肝とアルコール性肝障害があります。脂肪肝は飲酒によってもなりますが、最近は食習慣の欧米化による過栄養により飲酒と関係しない非アルコール性脂肪肝が増加しており問題となっています。その理由は、脂肪肝の一部、脂肪性肝炎は肝硬変に進展し、更に肝癌も発生することが確実になってきたからです。肥満や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病、すなわちメタボリック症候群に脂肪肝が高率に合併します。糖尿病では約75%が脂肪肝を合併し、肥満者(BMI25以上)、特に内臓脂肪型肥満者では約70%が合併すると言われています。また、BMI30以上の肥満者では明らかに肝癌が増加しています。脂肪肝といえども侮れません。肝機能の血液検査(AST,ALT,γGTP)の異常値をみる脂肪肝では早期に生活習慣を改め、正常内に維持するよう努めるべきです。もちろん、アルコールによる脂肪肝や肝障害は、個人差等により多少異なりますが、禁酒もしくは適度な飲酒量(一般的には1日に日本酒で1合、ビールで500ml、焼酎で120ml、ワインでグラス2杯、ウイスキーダブル1杯、休肝日1日/週)にすることにより肝機能の改善が得られます。適度の飲酒を含めた食習慣の改善と適度な運動および定期的な健康診断によりいつまでも快適な生活を送れるようにしましょう。

執筆者

中村秀次(なかむら ひでじ)

公益財団法人日本生命済生会付属日生病院
ニッセイ予防医学センター長
日本消化器病学会認定専門医・指導医
日本消化器病学会評議員
日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医
日本肝臓学会評議員
日本消化器内視鏡学会認定専門医・指導医