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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第64回 クレジットカードの分割払い手数料 15%は高いの?安いの?

2015年6月1日

増加するクレジットカード取引

 就職を機にクレジットカードを作られた方もいるでしょう。クレジットカードを利用すると、商品やサービスの購入代金をその場で支払う必要がありません。もちろん、後日代金を支払う必要がありますが、あいにく持ち合わせがない時や、現金で持ち歩くことをためらうほど高額な商品を購入する時など、クレジットカードはとても役立ちます。また、利用金額に応じてポイントが付与されるといったメリットもあります。そして、この10年間でクレジットカード利用金額は約1.8倍になりました。

図表1 クレジット利用金額の推移

(資料) 「日本の消費者信用統計」及び「クレジット関連統計」(一般社団法人日本クレジット協会)より筆者作成

割賦方式と非割賦方式の違いは?

 クレジットカード利用は、割賦方式と非割賦方式に分けられます。割賦方式は、2カ月以上の期間をかけ、かつ3回以上に分けて支払う方法で、分割払いやリボ払いなどが該当します。一方、非割賦方式はそれ以外の方法で、翌月一括払い(1回払い)や、翌月と翌々月に分けて支払う2回払い、翌ボーナス月に一括で支払うボーナス払い等が含まれます。カードによっては年会費が必要ですが、非割賦方式の多くは手数料が不要です(※1) 。一方、割賦方式は手数料が必要です。図表1によると、割賦方式はクレジットカード利用全体の1割弱を占めます。つまり、クレジットカード利用の1割弱は手数料を伴う利用です。

分割払い手数料15%は高いの?安いの?

 割賦方式に必要な手数料は、返済までの期間や利用金額に応じて決まります。その意味で、手数料は金利のようなものです。支払う期間やカードの種類によって8%〜18%程度と幅がありますが、概ね年率15%程度です。では、年率15%は高いのでしょうか。一般に、好景気ほど金利は高くなりますが、定額郵便貯金(3年以上)の金利はバブル期ですら6.33%です。ただ、これを理由に高いと結論付けるべきではありません。

図表2 定額郵便貯金(3年以上)の利率の推移

(資料) 「金利一覧」(ゆうちょ銀行)より筆者作成

時間選好率って何?

 ここで時間選好率という言葉を紹介します。これは、将来消費できる金額が現在消費できる金額よりどのくらい増えれば、将来の消費のために、現在の消費を諦められるかを表します。現在の消費と将来の消費の優先度を表しているとも解釈できます。時間選好率は、人それぞれ異なり、現在の消費を優先する人ほど時間選好率は高くなります。金利は現在お金を貸した場合に、将来受取る金額がどれくらい増えるかを表すので、時間選好率と金利はとても似ています。

 では、違いはどこにあるのでしょうか。お金の貸し借りが成立するには、金利より低い時間選好率を有する貸し手と金利より高い時間選好率を有する借り手の存在が不可欠です。そのため、金利は借り手と貸し手のバランスが取れるよう設定されます。時間選好率の高い人が相対的に増えると金利は高くなり、逆に時間選好率の低い人が増えると金利は低くなります。好景気は、消費が盛んな時期、つまり時間選好率の高い人が多い時期なので金利が高くなるのです。

人生における優先順位を考えよう

 バブル期における金利との比較だけで高いと判断すべきではないのは、時間選好率が人それぞれ違うからです。将来なら現在消費するより年率15%も多く消費できるとしても、諦めきれない用途がある人にとっては、年率15%でも決して高くないことになります。きちんと支払えるかを考えて、クレジットカードを利用すべきなのは当然です。しかし、より良い人生を送るには、それだけでは不十分です。目の前の消費が将来の消費よりも優先すべき消費か考えることも重要です。そのためにも、将来生じそうな消費ニーズや自分にとっての優先順位を考えておくことをお勧めします。

(※1) 中には翌ボーナス月とその次のボーナス月に分けて支払うボーナス2回払いが可能なカードもあり、これも非割賦方式に含まれます。但し、多くは手数料を支払う必要があります。

(ニッセイ基礎研究所 高岡 和佳子)