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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第58回 訪日外国人旅行者が1,000万人を超えた!!〜人口減少時代の日本、交流人口の増加で活力を〜

2014年12月1日

人口減少時代を迎えている日本

 日本は少子高齢化が急速に進展し、本格的な人口減少時代を迎えています。2010年の国勢調査では、総人口1億2,806万人でしたが、13年には1億2,730万人と3年間で76万人も減少しているのです。現状が続くと、50年後の2060年には、総人口は約8,700万人と現在の3分の2程度まで減少すると推計されています。

 そこで、政府は今年1月、経済財政諮問会議の下に「選択する未来」委員会を設置。日本の半世紀先の未来像を描き、持続的な成長・発展のための課題とその克服に向けた対応策を検討しています。5月には、これまでの議論の中間整理「未来への選択」を公表し、『50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持することを目指し、少子化・人口減少の克服や地方再生などに総合的に取り組む』としています。

 今年7月には全国知事会も「少子化非常事態宣言」を出し、少子化に対する危機感を露わにしています。その背景には、日本創成会議・人口減少問題検討分科会が5月に公表した報告書に、『地方からの人口流出がこのまま続くと、人口の「再生産力」を示す「若年女性(20〜39歳)」が2040年までに50%以上減少する市町村が896(全体の49.8%)にのぼる。これらの市町村は、将来的には消滅するおそれが高い』(※1)とした衝撃的な内容が含まれているからでしょう。

 このように日本は急速な人口減少時代を迎えており、定住人口の減少は不可避です。今後、日本が活力を維持するには、交流人口(その地域に訪れる人)の増加を促すことが重要になります。そのための有効な手段のひとつとして、外国人旅行者の誘致は極めて重要な成長戦略と言えるでしょう。

交流人口としての外国人旅行者の誘致

 2013年の海外から日本に来る訪日外国人旅行者数は1,036万人と、はじめて1,000万人を超えました。数年来の円安基調に加え、ビザの発給条件の緩和や免除、LCCの新規参入による国際航空路線の拡充などにより、前年比24.0%の増加となりました。しかし、それでも訪日外国人旅行者数は、日本から海外へ行く出国日本人数1,747万人の6割程度に過ぎず、大幅な出国超過が続いています(※2)。今後、政府は訪日外国人旅行者数2,000万人を目標に観光立国を目指しています。

図表1  訪日外客数と出国日本人数の推移

(資料) 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数、出国日本人数の推移」より作成

図表2  国籍別訪日外客数(2013年)

(資料) 「日本政府観光局(JNTO)「国籍別/目的別 訪日外客数」より

 国籍別外国人旅行者数(2013年)は、韓国23.7%、中国12.7%、台湾21.3%など、アジア諸国からが全体の8割を占めています。そのため、今後、近隣諸国との外交関係も大きな影響を与えるものと思われます。また、近年ではインドネシアなど東南アジア諸国からムスリム(イスラム教徒)旅行者が増加しており、国際空港などでは、イスラム教徒のための祈りの空間やハラル認証(※3)を取得したレストランの設置などの対応も急務になっています。

 日本には数々の素晴らしい観光資源がありますが、外国人旅行者を効果的に誘致するためには、観光資源の選択と集中が必要です。2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界中から多くの旅行者が日本を訪れるでしょう。これを契機に、日本のもつ魅力を海外に向けて強力にアピールし、さまざまな国から訪れる外国人旅行者を受入れるインフラ整備を行うことが、人口減少時代の日本の針路としてますます重要になるのではないでしょうか。

(※1) 日本創成会議・人口減少問題検討分科会「ストップ少子化・地方元気戦略」より。
(※2) 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数、出国日本人数の推移」より。
ただし、同局の訪日外客数(訪日外国人旅行者数)とは、「観光客」と「商用客」の合計であり、
訪日外国人観光客数とは異なります。
(※3) イスラム法の定める適正な方法で処理・加工された食品であると証明された製品に対する認証。

(ニッセイ基礎研究所 土堤内 昭雄)

筆者紹介

土堤内 昭雄(どてうち あきお)

株式会社ニッセイ基礎研究所、社会研究部 主任研究員
研究・専門分野:少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

日本は急速に少子高齢化や都市化が進展し、本格的な人口減少時代を迎えるとともに地域コミュニティの希薄化も進んでいます。その中、高齢者をはじめ若者や中高年層を含む社会的孤立問題が深刻になり、少子高齢化や人口減少に対応した住宅・地域づくりやコミュニティの再生が重要な課題となっています。そこでこれまでも「ニュータウンの高齢化」、「少子高齢化とまちづくり」、「コミュニティづくり・NPO・市民社会」等に関する調査研究に取り組んできましたが、さらに世代を超えた社会的孤立や格差社会を解消するための社会デザインおよび私たち一人ひとりが「幸せ」に暮らすためのライフデザインに関する研究を引き続き行っています。また、少子高齢化や人口減少、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランス等に関する講演・執筆活動等にも積極的に取り組んでいます。