1. 日本生命保険トップ
  2. 知る・楽しむ
  3. 新社会人のための経済学コラム
  4. 第55回 国内最高層ビルは300m!でも世界のビルはもっと高い??〜高さでは目立たずも、東京のビル街は世界最大〜

3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第55回 国内最高層ビルは300m!でも世界のビルはもっと高い??〜高さでは目立たずも、東京のビル街は世界最大〜

2014年9月1日

21年ぶりに国内最高層ビルを更新

 今年6月、虎ノ門ヒルズが開業し、東京にまたひとつ顔となるビルが加わりました。周囲に肩を並べる大規模なビルがないため、近づいて見上げるとそのスケールは圧倒的に感じられます。高さは247m(最高部255.5m)と、248mのミッドタウンタワーに次いで都内で2番目に高いビルになりました。

 しかし、国内で最も高いビルは、今年3月に大阪市阿倍野区で全面開業したあべのハルカスです。その高さは300mとなっており、横浜ランドマークタワーの296mを上回ったことで、21年ぶりに国内最高層ビルを更新しました。大阪に国内最高層ビルが立地するのは、明治時代の陵雲閣以来、実に125年ぶりになります。

 しかしながら、世界をみると300mは超高層ビル(スーパートール)の基準値でしかなく、特別に珍しい高さではありません。500mを超えるような巨大なビルもいくつか存在し、計画も含めると20棟以上にのぼります。特にアジア新興国では、中国を中心に超高層ビルの高さが顕著になっており、韓国でも500m超の開発計画が複数ある状況です(※1)。

 ただし、そのようなビルの賃貸スペースはあまりに巨大で、入居テナントの確保は容易ではありません。中国の地方都市などでは、竣工予定ビルの空室懸念が大きく、今後の経済成長による賃貸需要の拡大が待たれます。むしろ、それらの超高層ビルについては、事業採算よりも、ランドマークとして国や都市の威信を示す意図や観光資源としての期待などが大きいとみられます。

東京は世界的にも珍しい都市形態

 このように、東京では最高層ビルが約250mと、世界的に高いビルがあるわけではありません。羽田空港に関する規制により、都心部で300m級のビル建設が認められてこなかったことが直接の理由です。また、地震がある東京では、十分に耐震技術などは進んでいるものの、あまりに高いビルの建設には抵抗感があったともみられます。

 しかし、300mの高さはないものの、世界的にみて、東京のように広範囲に多くの高層ビルがみられる都市はないといえるでしょう。最近はタワーマンションの増加も著しいため、都心部のオフィス街だけでなく、至るところで高層ビルをみることができます。タワー展望室などから一望すると、普通は大都市でも、視界のほとんどは周辺の田園や山地で占められ、ビル街は足もとの狭い範囲に限られるものですが、東京では、建物の建ち並ぶ様子が果てしなく続くように感じられます。実際、東京の賃貸オフィスビルの総面積は、ニューヨークやロンドンを上回り世界最大といわれています。

図表1 賃貸オフィスビル面積

(資料) 2012年6月 Cushman & Wakefield “Winning in Growth Cities 2012/2013”

 東京の都市形態は、突出した高さはないものの、ビル街が非常に広範囲に広がる世界でも珍しいものです。経済発展が著しいアジアで超高層ビル街の一画を目の当たりにすると、東京に追いつき、追い越すような勢いを感じるものですが、都市形態が大きく違うことに注意が必要です。

(※1) その他、石油資源に恵まれたアラブ諸国も500mを超える超高層ビルの建設に積極的。

(ニッセイ基礎研究所 増宮 守)

筆者紹介

増宮 守(ますみや まもる)

株式会社ニッセイ基礎研究所、金融研究部 准主任研究員
研究・専門分野:不動産市場・投資分析

不動産は地域性・個別性を有し、内需の影響が強い分野の代表といえますが、日本企業の活発な海外進出や海外資金の流入など、不動産投資も国際化が進みつつあります。我が国は国内市場の成長余地が限られるものの、これまでの蓄積を活用することで、アジアの成長を享受できる恵まれた立場にあります。自身ではこれまでアジアの株式市場や不動産市場に携わってきましたが、その投資業務経験等を活かし、アジアの成長を享受できる不動産の投資機会を様々な観点から追求していきたいと思っています。また、国内不動産に関しても実地調査を主とした情報収集に努め、アジアの中の日本という視点から興味深い分析に繋げるよう取り組んで参ります。