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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第50回 感謝の気持ちは2,000円から? 〜ふるさと納税って?〜

2014年4月1日

納税は社会を支える方法のひとつ

 新年度が始まりました。新社会人の中には、初任給で家族に何をプレゼントするか等思い巡らせている方もいるのではないでしょうか。これも「支えられる立場」から「支える立場」になることに対する自覚の表れです。これまでみなさんを支えてきたのは、家族だけではありません。日々の生活で利用する道路、上下水道といったインフラの整備、教育や安全に暮らせる環境の整備やサービスなど、さまざまな形で社会からの支援を受けてきたのです。

 社会を支える方法の一つとして、これから所得に見合った所得税や住民税等を納めることになります。所得税は国に対して支払いますが、住民税は居住する都道府県や市区町村に支払います。社会人生活のスタートを機に地元を離れた場合、これまで支えてくれた地元ではなく、新しい居住地に住民税を支払うことになります。これからは新しい居住地の公的サービスを受けるのですから当然ではありますが、これまで支えてくれた地元に直接還元できないことに歯がゆさを覚える方も多いことでしょう。

 この歯がゆさを解消する手段として、都道府県・市区町村に対して寄附する方法(ふるさと納税)があります。寄附した金額が一定の範囲内であれば、寄附した翌年に確定申告を行うことで、寄附額のうち2,000円を越える額が所得税や住民税から差引かれる制度です。つまり、制度を利用することで寄附の自己負担額を2,000円に抑えることができるのです。支払先はふるさとに限らず自由に選ぶことができるうえ、寄附の利用用途も選択できます。さらに寄附者との関係づくりの一環として一定金額以上の寄附者に特産物等を贈る自治体もあるようです。

図表1 ふるさと納税 制度の概要

(資料) 総務省ホームページ ふるさと納税など個人住民税の寄附金税制「制度の概要」より

感謝だけでなく、支援の気持ちを表す手段

 個人から寄附を受領した自治体が把握する寄附件数と利用者数(※1)の推移は図表2の通りです。一部の自治体は寄附金額を把握できていない等(※2)の理由から寄附件数と利用者数は一致しませんが、制度の利用者が増加していることがわかります。

図表2 ふるさと納税件数などの推移

(資料) 総務省自治税務局「ふるさと納税に関する調査結果」及び、総務省「寄附金税額控除に関する調査
  (都道府県・市区町村に対する寄附金)」を基に作成

 H23年に制度利用人数が大きく伸びていますが、自治体把握件数はさほど伸びていません。時期を考えると、東日本大震災の被害が大きく、把握が困難であった自治体に寄附が集中したと推測されます。なお、図表3は、H21年度から継続して寄附件数を公表している39都道府県の総寄附件数に占める、岩手県と福島県への寄附件数割合の推移を表しています。ここからもふるさと納税制度が復興支援に利用されたことが読み取れます。

図表3 都道府県へのふるさと納税件数に占める被災2県の割合

(資料) 福井県ふるさと納税情報センター「各都道府県の受付実績」を基に作成

 ふるさと納税は感謝だけでなく、支援の気持ちを表す手段としても活用されています。また最近は、自治体が地域をもっとよく知って身近に感じられるように寄附者に贈る特産物にも注目が集まっているようです。ただし、寄附の自己負担額を2,000円に抑えるには、所得や家族構成等によって決まる寄附額の上限を超えないよう注意する必要がありますので、例えば初任給20万円程度を前提にすると、寄附額の上限は数千円程度でしょうから、特産物を期待した利用はもうしばらく先になりそうですね。

  • (※1)自治体に寄附したうえで、翌年に確定申告を行った人数
  • (※2)9割強の自治体が寄附金額を把握しています。この他、複数の自治体へ寄附することも可能なこと、寄附をしてもふるさと納税制度を利用しない(確定申告をしていない)人がいること等の理由も考えられます。

(ニッセイ基礎研究所 高岡 和佳子)