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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第49回 NISA口座開設者 20代はわずか3.5%(2013年11月)〜「若い世代の将来資産形成」と「貯蓄から投資へ」は進むか!?〜

2014年3月1日

2014年1月、NISA(少額投資非課税制度)がいよいよスタート!

 2014年1月よりNISA(Nippon Individual Savings Account=少額投資非課税制度)が開始されました。皆さんもテレビや新聞などで広告をよく目にするのではないでしょうか。開設口座数は1月時点で500万件を越えたとされており、これは既に2020年の政府目標の3分の1に達する勢いです。2013年の円安・株高など好調な市場環境も後押しの要因となっているでしょう。

 現在、投資から得た配当金や売買益等は20%の税金がかかりますが、NISAを利用した場合、毎年100万円を上限とする新規購入分を対象にそれらは最長5年間非課税となります。これまで投資をしたことがない、これから始めてみたいという方に適した制度といえるでしょう。(図表1)

図表1 NISAの概要

若い世代の将来資産形成の自助努力を促すことはできるか!?

 NISAは口座開設数が幸先よく伸びていますが、その内訳はどうなっているのでしょうか。2013年11月時点の金融財政事情研究会の調べによれば、60代以上が口座開設者の56.7%を占めており、一方で30代は8.7%、20代は3.5%にとどまっています。(図表2)(※1)これは60歳以上の金融資産保有割合が6割を占めていることや60歳以上人口が20歳以上の全人口の約4割を占めているといったことが原因として考えられます。

 そこで、人口を分母にして年代別の利用率を試算してみると、20代で0.38%、30代で0.75%、60代以上は約2.0%となり、出足は20・30代の利用率が60歳以上に比べ少ないと言えるでしょう。(図表3)(※2)NISAは日本版ISAとも呼ばれ、イギリスのISAを参考にして導入されたものですが、イギリスでは導入から15年経過し、利用率が全人口の4割を越えています。また、20・30代においても2〜3割前後の利用率となっており、若い世代に普及が進んでいます。(図表4)

 日本のNISA導入は、少子高齢化の進展が進む中、将来の資産形成の自助努力を促すことが大きな目的の一つです。“少額投資”という命名からもわかるように、少額で投資を行うことに非課税というインセンティブを設けており、金融資産保有額の多寡に左右されず、若い世代の利用率が伸びてくると本来の狙い通りになります。今後、日本もイギリスのように現役世代や若い世代にどのように浸透させていくかが、運営上の大きな課題の一つといえるでしょう。

図表2 NISA口座開設者<年代別>の割合

図表3 NISA(日本)の利用率 図表4 ISA(イギリス)の利用率

「貯蓄から投資へ」は進むか? 現・預金850兆円は動き出すか?

 日本国内において家計が保有する金融資産は1,600兆円近くに上りますが、そのうち現・預金は約850兆円と53.5%を占めています。これは米国の12.8%、ユーロ圏の35.9%と比べても突出して高い状況です。(図表5)一方、株式・出資金はわずか8.5%、投資信託も4.7%です。米国では株式・出資金だけで32.7%を占めています。

 日本では過去何度も「貯蓄から投資へ」を促すために様々な取り組みがなされてきました。しかし、バブル崩壊後、株安・円高が続いたことで相対的に預金のパフォーマンスが良かったことや、97年に起きた金融不安や雇用への不安の広がり、そして長期に渡るデフレ経済など、預金が選好される要因が多く存在し、結果とし「貯蓄から投資へ」は進みませんでした。

 日本経済の動向が左右することはもちろんですが、NISA導入が起爆剤となり投資への流れが広がるのかが、今後注目となります。

図表5 日米欧の家計の資産構成の比較

(※1)
  • 金融財政事情研究会『少額投資非課税制度(NISA)実態調査(第1回)概要報告』
  • 対象は2013年11月15日時点で、税務当局から非課税適用確認書の交付を受けた開設許可口座
  • NISAの口座開設手続きは2013年10月から開始している
(※2)
  • 口座開設者数は金融財政事情1月27日号(11月調査)より、
    年代別の人口は総務省統計局「人口推計(2013年8月確定値)」より算出

(ニッセイ基礎研究所 薮内 哲)