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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第47回 夫の家事関連時間、1日1時間7分は短い

2014年1月6日

日本と諸外国における夫の家事関連時間について

少子化の抑制や、女性労働力の活用がなかなか進まない背景には、家事や育児の分担が女性に大きく偏っているという実態があります。6歳未満児のいる世帯について、1日の家事関連時間をみると、夫は1時間7分(うち育児時間は39分)である一方、妻は7時間41分(うち育児時間は3時間22分)となっています。

夫の家事関連時間は、日本以外の国でも短いのでしょうか。欧米諸国の夫の家事関連時間をみると、米国、英国、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーは3時間前後、日本を除くと最も短いフランスでも2時間30分となっています(図表1)。

図表1:6歳未満児のいる夫の家事・育児関連時間(1日当たり) 資料:内閣府『平成25年度男女共同参画白書』。日本の数値は総務省「社会生活基本調査」(平成23年)の、「夫婦と子どもの世帯」に限定した夫の「家事」「介護・看護」「育児」および「買い物」の合計時間。その他の国はEurostat “How Europeans Spend Their Time Everyday Life of Women and Men”(2004),Bureau of LaborStatistics of the U.S.“American Time Use Survey”(2011)より作成。

夫の家事関連時間を増やすための課題

このように日本の夫の家事関連時間が極端に短い背景には、どのような課題があるのでしょう。

内閣府の世論調査で「男性が家事、子育て、介護、地域活動に参加するために必要なこと」(複数回答)として男性があげた内容(上位5位)をみると、「夫婦や家族間でのコミュニケーションをよくはかること」「家事参加への男性自身の抵抗感をなくすこと」「労働時間短縮や休暇制度の普及」「男性による家事、子育て、介護、地域活動に対する社会的評価を高めること」「年配者やまわりの人が、夫婦の役割分担等についての当事者の考え方を尊重すること」が並んでいます。このうち、30〜39歳の男性については、「労働時間短縮や休暇制度の普及」の回答割合が71.7%と最も高くなっています。

こうした課題を解決して夫の家事関連時間を増やさなければ、懸案となっている少子化の抑制も女性労働力の活用も、大きくは進まないでしょう。政府は、6歳未満児のいる夫の家事関連時間について、「2020年に2時間30分」という数値目標を掲げていますが、いまだ目標達成の見通しは立っていない状況にあります。

家庭で夫婦がコミュニケーションをとること、男性や周囲の人びとが意識を変えること、企業が労働時間短縮や休暇制度の普及に取り組むこと、いずれも一つひとつは小さな一歩かもしれませんが、こうした小さな一歩が社会全体の変化につながっていくことを、それぞれが認識し、行動することが重要だと考えられます。

図表2:男性が家事、子育て、介護、地域活動に参加するために必要なこと(男性の回答、上位5位) 資料:内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成24年10月)より、筆者作成。

(ニッセイ基礎研究所 松浦 民恵)

筆者紹介

松浦 民恵(まつうら たみえ)

株式会社ニッセイ基礎研究所、生活研究部 主任研究員
研究・専門分野:雇用・就労・勤労者生活、少子高齢社会

雇用システムや人事管理、働き方について研究しています。研究方法は事例調査やアンケート調査が中心ですが、さまざまな場面で企業や働く方がたの生の声をお聞きするなかで、現実を見据え、物事の本質を捉えられるような研究者を目指して努力を続けております。これまで主に女性、高齢者、派遣スタッフに関する研究をしてきましたが、最近は営業人材の人事管理、グローバル人事の展開にも関心を持っております。