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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第99回 年間の労働時間は1,721時間(2017年)と5年連続で減少しているけど…

2018年5月1日

労働時間は減少している!?

 晴れてこの春から新社会人となった皆さん、そろそろ新生活にも慣れてきたでしょうか。毎日決まった時間に起きて出勤して一日の大半を会社で過ごすというのは、これまでの大学生活と比べると大変だと感じる方も多いかもしれません。
 労働者が1年間でどれくらい働いているのかをみると、2017年の総実労働時間は1,721時間と5年連続で減少しており、昨年と比べると5.2時間減少しました。ワークライフバランスや働き方改革が進み、労働時間が順調に減っていると思いたいところですが、労働者をパートタイム労働者と正社員を中心とした一般労働者に分けて考えてみると、そうは言えないようです。

 まず、パートタイム労働者の比率が90年代前半の15%程度から2017年は31%まで大幅に上昇していることが、全体の労働時間の減少に寄与しています。パートタイム労働者の労働時間は一般労働者の半分程度ですから、パートタイム労働者の比率が増えれば、全体の平均労働時間は減少していきます。また、パートタイム労働者は2000年代後半以降、減少傾向にあり、パートタイム労働者の労働時間が減っていることも全体の労働時間を下押ししています。背景として、労働時間の短い女性や高齢者が、自分の都合のよい時間に働ける非正規労働者として、積極的に労働市場に参加していることが挙げられます。一方、一般労働者の労働時間は約2,000時間と横ばいで推移していて、労働時間はほとんど変わっていません。

年間総実労働時間(常用労働者)

  • (注)事業所規模5人以上 (資料)厚生労働省「毎月勤労統計」

年間総実労働時間(就業形態別)とパートタイム労働者比率

  • (注)事業所規模5人以上 (資料)厚生労働省「毎月勤労統計」

 正社員の労働時間は長い間大きく変わっていませんが、一方で、企業が労働環境の改善に取組む事例を近年よく聞くようになりました。有給休暇の取得促進や育児や介護との両立支援、ノー残業デーの実施、テレワークや朝型勤務の導入など、皆さんの会社でも何らかの取組みを行っていたりするのではないでしょうか。

 また、2015年12月から従業員50人以上の事業所では、年1回のストレスチェック実施が義務化されました。(※1)少子高齢化が進み、労働力人口が減少していく中、様々な人が働ける環境づくりや健康面への配慮により一層力を入れていく必要があるでしょう。

  • (※1)従業員50人未満の事業所は努力義務

これからの仕事のあり方

 なお、残業時間は景気との連動性が高い指標として知られています。景気が良くなり仕事が増えると、企業は新しく従業員を雇う判断をする前に、今働いている従業員により長時間働いてもらうことで対応しようとするからです。

 現在の日本経済は景気回復局面にあるので、残業時間が増えることで労働時間が長くなる面もあると言えます。逆に、景気が悪くなり仕事が減ると、従業員をすぐ解雇するのではなく、まず働く時間を減らして対応します。実際、内閣府は景気の動向を判断する指標の1つとして、所定外労働時間指数を採用しています。

 政府は2017年3月28日に「働き方改革実行計画」を策定し、非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正、柔軟な働き方がしやすい環境整備など9分野にわたる働き方改革に取組んでいるところです。これからの仕事のあり方や働く環境にどのような影響を与えるのか、動向に注目です。

(ニッセイ基礎研究所 白波P 康雄)

筆者紹介

白波P 康雄(しらはせ やすお)

株式会社ニッセイ基礎研究所、経済研究部、研究員
研究・専門分野:日本経済