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3分でわかる 新社会人のための経済学コラム

第90回 日本の人口、50年後わずか8808万人=3割減少!

2017年8月1日

未来の人口は大幅減と予測

 厚生労働省に所属する国立の研究機関、国立社会保障・人口問題研究所は5年に1度「日本の将来人口推計」を発表しています。50年後、100年後といった長期で将来の人口(推計値)が分かり、政府や地方自治体の政策立案には欠かせない重要なものです。

 今年の4月、日本の将来人口の最新予測値が発表されました。2065年、今から約50年後の日本の人口は8808万人で、2015年から3割も減る予測です。

 人口が大幅に減少することは、実は大問題です。本稿では人口減少の何が問題か、また、政府はどのような対策を打出しているかを見ていきます。

図表1 日本の将来人口推計値

資料:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口」よりニッセイ基礎研究所作成
※出生中位(死亡中位)推計を使用

 人口減少は経済成長にとって大きなマイナスとなります。
例えば、人口減少で消費が減少すると、経済成長にマイナスになると言われています。また、この人口減少は地方で先んじて進むため、地方の衰退にも繋がると言われています。

 ただ、それ以上に課題視されていることがあります。今現在も問題になっている労働力不足に、人口減少が更に拍車をかけることです。

人口減少・労働力不足への対策

 労働力の中核となる生産年齢人口(15〜64歳)に限ってみると50年後には4割減少し、総人口以上の減少率となり、労働力不足を深刻化させると懸念されています。
こうした状況を受け、最近の政府の政策は人口減少・労働力不足への対策が中心となっています。

 2015年9月には、初めて人口の数値目標が設定されました。出生率を1.8まで上げ、半世紀後の人口1億人を維持するとしています。
また、労働市場に参入できる人口を増やすべく、「介護離職ゼロ」、女性や高齢者など潜在労働力の活用、外国人労働者の受入れなどの政策を相次いで打出しています。

 一人ひとりの生産性を上げて人口減少に対応する政策もあります。
教育無償化を始めとした今年話題の人材投資がそうです。一人ひとりの能力を高めることが、長期的には生産性向上に繋がり、労働力不足対策にも効果があります。

 こうした政策は重要ですが、効果が出るのに時間がかかります。そんな中で最近注目されているのが第四次産業革命で示された技術革新です。
人口知能(AI)やIoTを活用した、自動走行、スマート工場などによる生産性向上で、労働力不足を補う内容です。

今後の論点は変わっていくかもしれない

 将来を見据えて数々の対策が打たれており、政策の今後の成否は注目のポイントです。しかし、最後に出てきたAIは今後世界を一変させる可能性があります。

 2030年時点には、人間と同じように、物事を判断して幅広い問題に対処できる「汎用AI」が誕生するという説があります。汎用AIは人間の仕事の大部分を代替し、失業を増加させると言われています。これでは労働力不足どころか失業問題が発生します。また、2045年には、AIが自分よりも賢いAIを作れるようになり、爆発的な進化を遂げるようになるという説もあります(※1)。人間がAIに取って代わられるとして懸念を表明する科学者もいます(※2)

 人口減少・労働力不足への危機感が高まり、各種対策がとられていますが、もしかすると将来は人口問題の論点が変わってくるのかもしれません。

(※1) レイ・カーツワイル氏の説で、この時世界は技術的特異点(シンギュラリティー)の時を迎えるというものです。
松尾豊 (2015)『人口知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』角川EPUB選書
(※2) 英国の物理学者、スティーブン・ホーキング博士がこうした懸念を表明しています。

(ニッセイ基礎研究所 牧野 敬一郎)

筆者紹介

牧野 敬一郎(まきの けいいちろう)

株式会社ニッセイ基礎研究所、経済研究部、研究員
研究・専門分野:日本経済